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リモート接続せつぞくねらうサイバー攻撃こうげき急増きゅうぞう テレワーク増加ぞうか

2020-11-12 10:52:50

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新型しんがたコロナウイルスの影響えいきょうで、おおひとがテレワークをするようになるなか自宅じたくから会社かいしゃのサーバーにつなぐリモート接続せつぞくをねらって、パスワードなどやぶろうとするサイバー攻撃こうげきが、つづけていることが情報じょうほうセキュリティー会社かいしゃ調査ちょうさかりました。
情報じょうほうセキュリティー会社かいしゃの「カスペルスキー」は、自宅じたくパソコンから会社かいしゃのサーバーなどにリモート接続せつぞくしていて、サイバー攻撃こうげきけるケースについて、そのかず状況じょうきょう調査ちょうさしました。

その結果けっか、リモート接続せつぞくおこなログイン画面がめんにIDやパスワードの入力にゅうりょく繰り返くりかえして不正ふせいアクセスをこころみるそうたり攻撃こうげき」とばれるサイバー攻撃こうげき対象たいしょうとなったサーバーのかずは、新型しんがたウイルスの感染かんせん拡大かくだいするまえのことし1つきには223か所かしょでしたが、3つきには242か所かしょ、4つきには323か所かしょ次第しだいえ、9つきは352か所かしょそして先月せんげつには362か所かしょと、1つきのおよそ1.6ばいになっていることがわかりました。

そうたり攻撃こうげきは、パスワードをやぶためにロボットが機械きかいてき入力にゅうりょく繰り返くりかえもので、ひとのサーバーたりの攻撃こうげき回数かいすう膨大ぼうだいかずのぼっているとみられます。

攻撃こうげきは、ほとんど海外かいがいからのものだったということです。
コロナ自宅じたくなどでテレワークをするひとえるなか攻撃こうげきしゃ会社かいしゃのサーバーなどにつなぐリモート接続せつぞくのセキュリティーのぜい弱ぜいじゃくせい集中しゅうちゅうてきにねらっているとみられ、解析かいせきおこなったカスペルスキー石丸いしまるすぐる研究けんきゅういんは「テレワークがつづなか、セキュリティーがぜい弱ぜいじゃくシステム使つかっていたり、設定せっていあやまったまま使つかっていたりするケースおお。リモートアクセスできるひと制限せいげんしたり、パスワードを強固きょうこなものにするなど安全あんぜん対策たいさくさい確認かくにんしてほしい」と注意ちゅういびかけています。

リモートデスクトップのログイン画面がめん 公開こうかい状態じょうたい

今回こんかい攻撃こうげき増加ぞうか確認かくにんされたのは「リモートデスクトップ」とばれる、リモート接続せつぞくシステムです。

これは、自宅じたくパソコンから会社かいしゃのサーバーなど接続せつぞくして操作そうさできるようにするもので、ログイン画面がめんにIDとパスワードを打ち込うちこんで利用りようします。

もともと、企業きぎょうのサーバーの保守ほしゅ点検てんけんなど使つかわれる機能きのうでしたが、コロナはいってテレワークでもおお使つかわれるようになっています。

ただこの機能きのう使つかさいにアクセスできるひと制限せいげんしないで使つかはじめると、ログイン画面がめん公開こうかい状態じょうたいとなり、だれでもパスワードを打ち込うちこめるようになります。

情報じょうほうセキュリティー会社かいしゃのRapid7が「リモートデスクトップ」で公開こうかい状態じょうたいになっているサーバーのかず調査ちょうさしたところ、コロナはいってからつづけていて、先月せんげつ平均へいきんして10まん1900だいあま公開こうかい状態じょうたいにあり、緊急きんきゅう事態じたい宣言せんげんされるまえのことし3つき平均へいきんを1わりほど上回うわまわっていました。

ログイン画面がめん公開こうかい状態じょうたいそく攻撃こうげき 実験じっけん

会社かいしゃ重要じゅうようなサーバーにつながったリモートデスクトップのログイン画面がめん公開こうかい状態じょうたいになっていると、どれだけパスワードのそうたりなどのサイバー攻撃こうげきけやすいか、情報じょうほうセキュリティー会社かいしゃ実験じっけんおこないました。

実験じっけんでは、あらかじめ、データそらにしたパソコンで、「リモートデスクトップ」の機能きのう設定せっていし、外部がいぶからのアクセス制限せいげんおこなわずに公開こうかい状態じょうたいにしました。

パソコンに対にたいするアクセスを観測かんそくし、記録きろくしたところ、インターネットに接続せつぞくしたわずか1ふん20びょう不審ふしん通信つうしんとどき、通信つうしんは10分間ふんかんで10かいえました。

これは、「ポートスキャン」とばれる調査ちょうさよう通信つうしんで、端末たんまつどのような機能きのうち、どのようなアクセスが可能かのうかを調しらべているということで、通信つうしんもとくに調しらべると、インドやベトナム、アメリカなど27か国かこくにのぼりました。

さらに2日間にちかん放置ほうちしたところ、1まん3850かいにわたって、ログイン画面がめんにパスワードを入力にゅうりょくしてこじあけようとする攻撃こうげきがありました。

こちら通信つうしんもとくには、フィリピンや韓国かんこくアフリカのエスワティニ、ラトビアなど、30か国かこくほどにのぼりました。

また実験じっけんでは、IDとパスワードを単純たんじゅんなものと複雑ふくざつなものに設定せっていして比較ひかくしました。

すると、IDとパスワードをともに「user」や「admin」というアルファベットの単純たんじゅん文字もじれつ設定せっていしたアカウントは、侵入しんにゅうけました。

いっぽうで、パスワードをアルファベットに数字すうじ記号きごう組み合くみあわせて設定せっていしたアカウントは、攻撃こうげきしゃ手当てあたりしだいに入力にゅうりょくしてこじあけようとした形跡けいせきがありましたが、侵入しんにゅうされませんでした。

実験じっけんおこなった情報じょうほうセキュリティー会社かいしゃもう石田いしだ隆二りゅうじさんは、「たん時間じかん攻撃こうげきけておどろいた。攻撃こうげきしゃ侵入しんにゅうしやすいところをさがして企業きぎょうなかはいり、情報じょうほう資産しさんうばって犯罪はんざい使つかったり、脅迫きょうはくしたりする。リモートデスクトップ設定せっていミスによる公開こうかい状態じょうたいは、非常ひじょうにリスクがたか状況じょうきょうだとえる」とはなしていました。

「ランサムウェア」仕掛しかけられるケース相次あいつ

このリモートデスクトップあなをついて、ランサムウェア=身代金みのしろきん要求ようきゅうがたウイルスが仕掛しかけられたとられるケースも相次あいついでいます。

ある高校こうこうでは、ことし4つき休校きゅうこうちゅうに、職員しょくいん出勤しゅっきんしてパソコンげたところ、英語えいご脅迫きょうはくぶんおくりつけられていました。

あなたファイルはすべて暗号あんごうされている」「解除かいじょしてほしければ、我々われわれ連絡れんらくするように」そして生徒せいと進路しんろなど重要じゅうよう個人こじん情報じょうほうふくまれた、職員しょくいん使つか共有きょうゆうサーバーのデータがすべて暗号あんごうされ、けなくなっていました。

サーバーは、データをいわば人質ひとじちにとって身代金みのしろきん要求ようきゅうするランサムウェアに感染かんせんしていたのです。

このサーバーは保守ほしゅ管理かんりのために、外部がいぶ業者ぎょうしゃ遠隔えんかくでアクセスできるよう「リモートデスクトップ」の機能きのう使つかわれていましたが、設定せってい不備ふびだいさんしゃもアクセスできる状態じょうたいになっていたために侵入しんにゅうされたのではないかとられています。

学校がっこうがわ身代金みのしろきん支払しはらわず、データもどってきていないということで、教育きょういく委員いいんかい担当たんとうしゃは「生徒せいと大事だいじ情報じょうほうくなったのはショックだった」とはなしていました。

NHKが脅迫きょうはくぶん文面ぶんめん提供ていきょうしてもらい、情報じょうほうセキュリティー会社かいしゃマクニカネットワークスの勅使ちょくし河原かわはらたけしさんに分析ぶんせき依頼いらいしたところ、脅迫きょうはくぶんのタイトル連絡れんらくさきのメールアドレスの書き方かきかたなど特徴とくちょうから、使つかわれたのは「マトリックス・ランサムウェア」とばれるウイルスとみられることがわかりました。

またこのウイルスは攻撃こうげきさきのサーバーがロシアけんのものだと、攻撃こうげきめる特徴とくちょうあることもわかり、攻撃こうげきしゃのグループは、ロシアけん拠点きょてんとする可能かのうせいもあるとみられるとことです。

このグループは、これまでも「リモートデスクトップ」の設定せってい不備ふびをねらって攻撃こうげきおこなってきたグループだということで、勅使河原てしがわらさんは「もともとリモートデスクトップをねらっている攻撃こうげきしゃが、コロナはいってリモートデスクトップの利用りようえ、設定せってい不備ふびえたことで、攻撃こうげきつよめ、おお被害ひがいんでいる可能かのうせいがある」と指摘してきしています。
ソース:NHK ニュース