News
Show Furigana

ども死亡しぼう経緯けいい検証けんしょう「CDR」すす 虐待ぎゃくたい事故じこ再発さいはつ防止ぼうし

2020-11-12 22:50:57

avatar
play
ども死亡しぼうするまでの経緯けいいくわしく調しらべ、再発さいはつ防止ぼうしにつなげる取り組とりくくにのモデル事業じぎょうとして群馬ぐんまけんはじまりました。病院びょういん警察けいさつなど担当たんとうしゃが12にちはつ会合かいごうひらき、死因しいんはっきりとわからないケースなどについて検証けんしょうすす今年度こんねんどちゅう提言ていげんをまとめることを確認かくにんしました。
ども死亡しぼうするまでの経緯けいい検証けんしょうし、虐待ぎゃくたい事故じこ再発さいはつ防止ぼうしにつなげる取り組とりくは「CDR=チャイルド・デス・レビュー」とばれ、厚生こうせい労働ろうどうしょうは、制度せいど導入どうにゅう目指めざして今年度こんねんどから7つの府県ふけんモデル事業じぎょうおこなっています。

このうち群馬ぐんまけんでは12にち前橋まえばしはつ会合かいごうひらかれ、病院びょういん警察けいさつ自治体じちたいなどからおよそ20にん出席しゅっせきしました。

会合かいごうでは、去年きょねん4つきからことし9つきまでに群馬ぐんま県内けんない死亡しぼうした18さい以下いかどもうち把握はあくできた48にんのケースについて意見いけんわされました。

厚生こうせい労働ろうどうしょうによりますと、去年きょねん1年間ねんかん死亡しぼうした18さい以下いかどもおよそ3800にんで、窒息ちっそくおぼれてくなるなど不慮ふりょ事故じこ」の割合わりあい大人おとなよりもおおくなっているということです。

群馬ぐんまけんでは、「不慮ふりょ事故じこ」や死因しいんはっきりとわからないケース中心ちゅうしん死亡しぼういたった経緯けいいくわしく検証けんしょうし、今年度こんねんどちゅう再発さいはつ防止ぼうしにつながる提言ていげんをまとめたいとしています。

中心ちゅうしんになって事業じぎょうすすめている前橋まえばし赤十字せきじゅうじ病院びょういん溝口みぞぐちふみつよし医師いしは、「事故じこ虐待ぎゃくたいによるどもは、どこかの段階だんかい支援しえん対策たいさくがあればふせげる可能かのうせいたか。ひとつひとつの事例じれい丁寧ていねい検証けんしょうし、再発さいはつ防止ぼうしにつなげる仕組しくととのえたい」とはなしています。

「CDR=チャイルド・デス・レビュー」とは

「チャイルド・デス・レビュー=CDR」は、ども死亡しぼうするまでのいきさつを調しらべて再発さいはつ防止ぼうしかすための制度せいどです。

CDRでは、医療いりょう機関きかん警察けいさつ児童じどう相談そうだんしょ自治体じちたいなど連携れんけいし、ども死亡しぼうしたとき状況じょうきょうくわえて、家庭かてい環境かんきょう生活せいかつ状況じょうきょうそれ病歴びょうれきなど、きていたときくわしい情報じょうほう共有きょうゆうします。

そのうえで、どの時点じてんで、どのような支援しえん対策たいさくがあればども死亡しぼうふせことができたのかを検証けんしょうし、再発さいはつ防止ぼうしけた提言ていげんをまとめます。

日本にっぽんでは、ども病気びょうき以外いがい理由りゆう死亡しぼうした場合ばあい虐待ぎゃくたいであれば厚生こうせい労働ろうどうしょう学校がっこうでの事故じこであれば文部もんぶ科学かがくしょうと、ケースおうじてかく省庁しょうちょう調査ちょうさおこなっています。

しかし、すべてのども死亡しぼうれい調しらべる仕組しくく、十分じゅうぶん検証けんしょうがされないケースや、虐待ぎゃくたい見逃みのがなど問題もんだいされてきました。

厚生こうせい労働ろうどうしょうは、「18さい以下いかども死亡しぼうれいすべてを省庁しょうちょう横断おうだんして調しらべることで、より有効ゆうこう再発さいはつ防止ぼうしさくこうじられるとかんがえている」としています。

日本にっぽんでの取り組とりく状況じょうきょう

CDRは、およそ40ねんまえからアメリカはじまり、日本にっぽんでも4ねんまえから厚生こうせい労働ろうどうしょう研究けんきゅうはん制度せいどけた取り組とりくみをすすめてきました。

ただ日本にっぽんではどもにまつわる情報じょうほう秘匿ひとくせいたかく、遺族いぞく感情かんじょうへの配慮はいりょなどもあり、関係かんけい機関きかん情報じょうほう共有きょうゆうすることのむずかしさがおおきな課題かだいとなっていました。

こうしたなか去年きょねん12つき施行しこうされた「成育せいいく基本きほんほう」のなかでは、くにども死因しいんに関にかんする情報じょうほうあつめて活用かつようするための体制たいせい整備せいびすすめていくことなど盛り込もりこまれました。

これにもとづいて、厚生こうせい労働ろうどうしょうは、今年度こんねんど群馬ぐんま山梨やまなし三重みえ京都きょうと滋賀しが香川かがわそれに高知こうちの7つの府県ふけんで、体制たいせいづくりにけたモデル事業じぎょうおこなっています。

厚生こうせい労働ろうどうしょうでは、この事業じぎょうを通をとおして課題かだい洗い出あらいだし、2022年度ねんどをめどに遺族いぞく配慮はいりょした情報じょうほう収集しゅうしゅう共有きょうゆう在り方ありかた検討けんとうし、ども死亡しぼうするまでの経緯けいい検証けんしょうできる体制たいせいづくりをすすめていきたいとしています。

ども事故じこくした遺族いぞく再発さいはつ防止ぼうしに」

どもを事故じこくした遺族いぞくからは事故じこ背景はいけいまで踏み込ふみこんだ調査ちょうさおこなことで再発さいはつ防止ぼうしにつなげてほしいというこえ相次あいついでいます。

神奈川かながわけん大和やまと康弘やすひろさん(46)は9ねんまえ平成へいせい23ねん7つき当時とうじ3さいだった長男ちょうなん貴弘たかひろくんをとおっていた幼稚園ようちえんでのプール事故じこくしました。この事故じこは、警察けいさつ捜査そうさほか消費しょうひしゃちょう安全あんぜん調査ちょうさ委員いいんかい、いわゆる消費しょうひしゃ事故調じこちょう調査ちょうさはいりました。

さんによりますと調査ちょうさ結果けっか幼稚園ようちえんプールあそんでいたさい立ち会たちあっていた教諭きょうゆはなしたおぼれたことがわかりました。

さんは、当時とうじ状況じょうきょうについて「つまからメールがあって気付きづきました。病院びょういんいたら貴弘たかひろ心臓しんぞうマッサージけていて、そのときに先生せんせいから『正直しょうじきもうたすかりません』とき、なにがどうなっているのかわからなかったです」とはなしています。

自宅じたくには、いまもリビングに貴弘たかひろくんが笑顔えがお両親りょうしん一緒いっしょうつった写真しゃしんかざられています。おさなどもたちに人気にんきの「アンパンマン」の乗り物のりもの電車でんしゃおもちゃかれていて、さんは、「息子むすこかなしがるおもっててられないです」とはなしていました。

さんは、事故じこのあと、ほか遺族いぞくとともに「チャイルド・デス・レビュー=CDR」の勉強べんきょうかい参加さんかするなど再発さいはつ防止ぼうしのためにも活動かつどうしています。制度せいど期待きたいする一方いっぽう自身じしん経験けいけんなどをもとに現状げんじょう課題かだいかんじています。

さんは、「遺族いぞくに対にたいする警察けいさつなど対応たいおうにはばらつきがありこれだと共有きょうゆうどころか今後こんご対策たいさくにはかされません。自分じぶん場合ばあいだと、幼稚園ようちえん実態じったいまでは納得なっとくできるまでくわしく調査ちょうさされなかった。教諭きょうゆ救急きゅうきゅう対応たいおう日頃ひごろからの注意ちゅういのしかたなどなに背景はいけいこったのかがわかればよかった」とはなし、地域ちいきによって警察けいさつ行政ぎょうせい機関きかんなどの姿勢しせい温度おんどかんじられることや事故じこ背景はいけいにまで踏み込ふみこんだ調査ちょうさできるのか懸念けねんしています。

そのうえで、「ども事故じこ繰り返くりかえされるたびにくやしくおも遺族いぞく真実しんじつことですこずつその真実しんじつ受け入うけいれてまえすすもうとする。そして再発さいはつ防止ぼうしにつながる。自分じぶんつま当時とうじ経験けいけんしたことをだれ経験けいけんしてほしくない」とはなしていました。

※「」は「」が「ネ」。

研究けんきゅうはんのメンバー「情報じょうほう取り扱とりあつかほう整備せいび検討けんとう必要ひつよう

「CDR」では、病院びょういん警察けいさつなど関係かんけい機関きかんども死亡しぼうに関にかんする情報じょうほう共有きょうゆうして検証けんしょうしますが、個人こじん情報じょうほう保護ほご観点かんてんからスムーズにすすまないことが課題かだいとなっています。

厚生こうせい労働ろうどうしょうによりますと、CDRのためにども個人こじん情報じょうほう提供ていきょうすることやあつめることは法律ほうりつじょう問題もんだいないとされていますが、それぞれ自治体じちたい条例じょうれい病院びょういん規則きそくなどにおける制限せいげんや、遺族いぞく感情かんじょうへの配慮はいりょなどから、情報じょうほう提供ていきょうためらう関係かんけい機関きかんおおということです。

くに研究けんきゅうはんのメンバーで、群馬ぐんまけんのモデル事業じぎょう中心ちゅうしんになってすすめている前橋まえばし赤十字せきじゅうじ病院びょういん溝口みぞぐちふみつよし医師いしは、「くなったことをことさらに取り扱とりあつかいたくないという日本にっぽん特有とくゆう死生しせいかんもあり、どもの死亡しぼうに関にかんする情報じょうほう秘匿ひとくせいたかあつめづらい状況じょうきょうあるモデル事業じぎょうを通をつうじて未来みらいどもいのちまもためにCDRが必要ひつようだという認識にんしきひろめていくと共ととも今後こんご情報じょうほう取り扱とりあつかについてほう整備せいび検討けんとうしていく必要ひつようあるだろう」と指摘してきしています。
ソース:NHK ニュース