新型しんがたコロナ 労災ろうさい認定にんてい1000人にん近ちかくに 医療いりょう従事じゅうじ者しゃや介護かいご職しょく以外いがいも

業務ぎょうむによって新型しんがたコロナウイルスに感染かんせんし労災ろうさい申請しんせいが認定にんていされた人ひとが、全国ぜんこくで1000人にん近ちかくになっていることが、厚生こうせい労働ろうどう省しょうのまとめでわかりました。
医療いりょう従事じゅうじ者しゃや介護かいご職しょくが8割わりを占しめる一方いっぽうで、運輸うんゆ業ぎょうやサービス業ぎょうなどさまざまな業種ぎょうしゅで認定にんていされています。

厚生こうせい労働ろうどう省しょうによりますと、業務ぎょうむにより新型しんがたコロナウイルスに感染かんせんしたとして、これまでに労災ろうさい申請しんせいをした人ひとは1995人にんで、11日にちまでに労災ろうさいと認みとめられた人ひとは992人にんとなっています。

このうち、建設けんせつ業ぎょうや製造せいぞう業ぎょう、医療いりょう従事じゅうじ者しゃなどの12人にんが死亡しぼうしています。

全体ぜんたいの内訳うちわけをみると、医師いしや看護かんご師し、介護かいご士しなど医療いりょうや介護かいごに従事じゅうじしている人ひとが合あわせて811人にんで全体ぜんたいの8割わりを占しめているほか、医療いりょう機関きかんや介護かいご施設しせつで事務職じむしょくなどで働はたらく人ひとが合あわせて69人にんとなっています。

一方いっぽうで医療いりょうや福祉ふくし関係かんけい以外いがいでも
▽「運輸うんゆ業ぎょう・郵便ゆうびん業ぎょう」が24人にん、
▽「建設けんせつ業ぎょう」が13人にん、
▽「卸売おろしうり業ぎょう・小売こうり業ぎょう」が12人にん、
▽「宿泊しゅくはく業ぎょう・飲食いんしょくサービス業ぎょう」が11人にんなどとなっていて、
さまざまな業種ぎょうしゅで労災ろうさいが認みとめられています。

さらに公務員こうむいんの労災ろうさいにあたる「公務こうむ災害さいがい」についても、これまでに地方ちほう公務員こうむいんと国家こっか公務員こうむいん、合あわせて98人にんが認定にんていされ、
このうち、
▽医師いしや看護かんご師しなど医療いりょう関係かんけい者しゃは53人にん、
▽警察官けいさつかんが17人にん、
▽消防しょうぼう職員しょくいんが4人にんなどとなっています。

各地かくちで感染かんせん拡大かくだいが進すすむ中なか、厚生こうせい労働ろうどう省しょうは労災ろうさいの実態じったいを把握はあくすることが再発さいはつ防止ぼうしにつながるとして、幅広はばひろい業種ぎょうしゅの事業じぎょう者しゃに対にたいし、業務ぎょうむでの感染かんせんが疑うたがわれる場合ばあいは、積極せっきょく的てきに労災ろうさい申請しんせいの手続てつづきを労働ろうどう者しゃに周知しゅうちし、感染かんせん防止ぼうし策さくを徹底てっていするよう呼よびかけています。

どんなケースで認定にんてい？

厚生こうせい労働ろうどう省しょうは、新型しんがたコロナウイルスの感染かんせんにより実際じっさいに労災ろうさいと認定にんていされた具体ぐたい的てきな事例じれいを、ホームページ上じょうで公開こうかいしています。

医療いりょうや介護かいごなどの従事じゅうじ者しゃは原則げんそく認定にんてい

この中なかでは、医療いりょうや介護かいごなどの従事じゅうじ者しゃは、仕事しごと以外いがいでの感染かんせんが明あきらかな場合ばあいを除のぞいて、原則げんそく、認定にんていするとしていて、認定にんていされた医師いしの事例じれいでは、診察しんさつした患者かんじゃに発熱はつねつなどの症状しょうじょうがあり、後日ごじつ、感染かんせんが確認かくにんされたあと、医師いし自身じしんも症状しょうじょうが出でて陽性ようせいと判定はんていされたケースが紹介しょうかいされています。

そのほかの職種しょくしゅでも

そのほかの職種しょくしゅでも、直接ちょくせつ接せっした同僚どうりょうや顧客こきゃくなど感染かんせん経路けいろが特定とくていされた場合ばあいは、認定にんていするとしているほか、感染かんせん経路けいろがわからなくても職場しょくばで申請しんせいした人ひとを含ふくむ2人にん以上いじょうの感染かんせんが確認かくにんされたり、小売こうり業ぎょうや運転うんてん手しゅなど人ひとと接せっする機会きかいが、多おおい仕事しごとなど業務ぎょうむによる感染かんせんリスクが高たかいとされたりした場合ばあいは認みとめるとしています。

飲食いんしょく店てんの店員てんいんの事例じれい

実際じっさいに労災ろうさいと認定にんていされた、飲食いんしょく店てんの店員てんいんのケースでは、感染かんせんした人ひとが来店らいてんしていたことが確認かくにんされ、検査けんさを受うけたところ店員てんいん自身じしんも陽性ようせいと判定はんていされ、その後そのご、複数ふくすうの同僚どうりょうの感染かんせんが確認かくにんされて職場しょくばでクラスターが発生はっせいしたと認みとめられました。

建設けんせつ作業さぎょう員いんの事例じれい

建設けんせつ作業さぎょう員いんの事例じれいでは、作業さぎょう用ようの車くるまに一緒いっしょに乗のっていた同僚どうりょうが感染かんせんし、その後そのご、自身じしんも陽性ようせいが確認かくにんされ、この同僚どうりょう以外いがいに感染かんせんした人ひととの接触せっしょくが確認かくにんされず労災ろうさいと認定にんていされました。

タクシー運転うんてん手しゅの事例じれい

タクシー運転うんてん手しゅの事例じれいでは、感染かんせん経路けいろは特定とくていされなかったものの、発症はっしょう前まえの14日間にちかんに海外かいがいや県けん外がいからも含ふくめて、日々ひび数すう十じゅう人にんの乗客じょうきゃくを乗のせていた一方いっぽう、私生活しせいかつの外出がいしゅつは日にち用品ようひんの買い物かいものなどで感染かんせんリスクが低ひくいと認みとめられ、密閉みっぺいされた空間くうかんで感染かんせんした蓋然がいぜん性せいが高たかいとされました。

港湾こうわんの荷役にやく作業さぎょう員いんの事例じれい

港湾こうわんの荷役にやく作業さぎょう員いんの事例じれいでは、感染かんせん経路けいろの特定とくていはできなかったものの、発症はっしょう前まえの14日間にちかんで、荷に渡わたしの際さい、不ふ特定とくてい多数たすうのトラック運転うんてん手しゅらと近ちかい距離きょりで会話かいわしていて、私生活しせいかつの外出がいしゅつは感染かんせんリスクが低ひくいことが確認かくにんされたため、労災ろうさいと認定にんていされたことが紹介しょうかいされています。

認定にんていされると何なにが受け取うけとれる？

労災ろうさい保険ほけんは、労働ろうどう者しゃが業務ぎょうむや通勤つうきんが原因げんいんでけがをしたり、病気びょうきになったり、さらには死亡しぼうしたりしたときに、必要ひつような保険ほけん給付きゅうふを行おこなう制度せいどで事業じぎょう主ぬしが支払しはらっている保険ほけん料りょうでまかなわれます。

業務ぎょうむにより、新型しんがたコロナウイルスに感染かんせんして労災ろうさいと認みとめられれば、これらの保険ほけん給付きゅうふを受うけることができます。

具体ぐたい的てきには、入院にゅういん費ひや通院つういん費ひのほか、検査けんさ費用ひようなど治療ちりょうにかかる費用ひようは全額ぜんがく支給しきゅうされ、療養りょうようのため仕事しごとを休やすんで賃金ちんぎんを受うけていない場合ばあいは、休業きゅうぎょう4日にち目めから、1日にち当あたりの平均へいきん賃金ちんぎんの8割わりが原則げんそく、休やすんだ日数にっすう分ぶん支払しはらわれます。

このほか、治療ちりょうが終おわった際さいに障害しょうがいが残のこった場合ばあいは年金ねんきんや一時いちじ金きんが支払しはらわれるほか、重おもい障害しょうがいにより介護かいごが必要ひつようになった場合ばあいは、介護かいご費用ひようの一定いってい額がくが支給しきゅうされます。

また当事者とうじしゃが亡なくなった場合ばあいは、遺族いぞくが労災ろうさい申請しんせいをすることができ、認定にんていされれば、遺族いぞく年金ねんきんや一時いちじ金きんなどが支給しきゅうされるほか、残のこされた子こどもの学費がくひの支払しはらいが難むずかしい場合ばあいに受け取うけとれる給付きゅうふもあります。

専門せんもん家か「現状げんじょうと申請しんせい件数けんすうに隔へだたり」

NPO法人ほうじん「東京とうきょう労働ろうどう安全あんぜん衛生えいせいセンター」の天野あまの理さとしさんは「感染かんせんが拡大かくだいしているので職場しょくばで増ふえるのは自然しぜんだが、8割わり以上いじょうが医療いりょうや介護かいごに従事じゅうじしている人ひとというのは、さまざまな職場しょくばで感染かんせんが起おきている現状げんじょうと申請しんせい件数けんすうが合あっておらず明あきらかに少すくない。例たとえば製造せいぞう業ぎょうでは工場こうじょうなどで100人にんといった大おおきな集団しゅうだん感染かんせんの例れいもあるが、厚生こうせい労働ろうどう省しょうのまとめではこれまでの申請しんせいは20人にんで隔へだたりがある」と指摘してきして、まだ申請しんせいを行おこなっていない人ひとが多おおくいるのではないかと懸念けねんしています。

天野あまのさんはその要因よういんを3つあげていて「1つ目めは感染かんせんに対にたいする差別さべつで、声こえを上あげづらく請求せいきゅうしにくい状況じょうきょうにあること、2つ目めは、そもそも新型しんがたコロナウィルスに仕事しごとで感染かんせんした場合ばあいに労災ろうさい申請しんせいができることが周知しゅうちされていないこと、3つ目めは会社かいしゃや事業じぎょう所しょが労働ろうどう者しゃからの申請しんせいの相談そうだんに対にたいし手続てつづきの協力きょうりょくを拒こばんでいることが考かんがえられる」としています。

そのうえで「どの業種ぎょうしゅでどの現場げんばでどういう風かぜに感染かんせんが発生はっせいしたか正確せいかくにつかまなければ、感染かんせん防止ぼうし対策たいさくをとることが難むずかしくなる。労災ろうさい申請しんせいは個人こじんでできるので積極せっきょく的てきに労働ろうどう基準きじゅん監督かんとく署しょや外部がいぶの労働ろうどう団体だんたいなどに相談そうだんしてほしい」と話はなしていました。

ソース：NHK ニュース