“サハリン1 の事業じぎょうをロシア企業きぎょうに” プーチン大統領だいとうりょうが署名しょめい

日本にっぽんの政府せいふや大手おおて商社しょうしゃも参画さんかくしてロシア極東きょくとうのサハリン沖おきで行おこなわれている石油せきゆと天然てんねんガスの開発かいはつプロジェクト「サハリン1」について、ロシアのプーチン大統領だいとうりょうは、事業じぎょうをロシア企業きぎょうに移うつすよう命めいじる大統領だいとうりょう令れいに署名しょめいしました。

サハリン沖おきの石油せきゆと天然てんねんガスの開発かいはつプロジェクト「サハリン1」についてロシアのプーチン大統領だいとうりょうは新あらたにロシア企業きぎょうを設立せつりつし、事業じぎょうを新しん会社かいしゃに移うつすよう命めいじる大統領だいとうりょう令れいに7日にち、署名しょめいしました。

ロシアの国営こくえい石油せきゆ会社かいしゃの今いまの権益けんえき分ぶんを除のぞく80％をいったんロシア政府せいふが管理かんりし、外国がいこくの事業じぎょう者しゃは1か月かげつ以内いないに新しん会社かいしゃの株式かぶしきを取得しゅとくすることに同意どういするかどうかをロシア政府せいふに通知つうちする必要ひつようがあるとしています。

ロシアメディアは、事業じぎょうの中心ちゅうしんとなってきたアメリカの石油せきゆ大手おおて「エクソンモービル」が、ロシアによるウクライナ侵攻しんこうを受うけてことし3月つきにプロジェクトからの撤退てったいを表明ひょうめいしたことに伴ともなうものだと伝つたえています。

「サハリン1」には、日本にっぽんからも、政府せいふが50％を出資しゅっしする「SODECO・サハリン石油せきゆガス開発かいはつ」に大手おおて商社しょうしゃの伊藤いとう忠ただし商事しょうじと丸紅まるべに、それに「石油せきゆ資源しげん開発かいはつ」などが参加さんかし、この会社かいしゃを通をつうじてプロジェクトの30％の権益けんえきを保有ほゆうしています。

サハリン沖おきの石油せきゆ・天然てんねんガス開発かいはつプロジェクトをめぐっては、大手おおて商社しょうしゃの三井みつい物産ぶっさんと三菱みつびし商事しょうじが参画さんかくする「サハリン2」でもイギリスの石油せきゆ大手おおてシェルが事業じぎょうからの撤退てったいを発表はっぴょうしたあと、ロシア政府せいふがことし8月つき、事業じぎょうを引き継ひきつぐ新あらたなロシア企業きぎょうを設立せつりつし、日本にっぽんの商社しょうしゃ2社しゃとも新しん会社かいしゃの株式かぶしきを取得しゅとくして権益けんえきを維持いじしています。

サハリン1とは

「サハリン1」は「サハリン2」とともにロシア極東きょくとうのサハリン北東ほくとう沖おきで行おこなわれている石油せきゆと天然てんねんガスの開発かいはつプロジェクトです。

総そう事業じぎょう費ひは120億おくドル、日本にっぽん円えんで1兆ちょう7000億おく円えんを超こえ、アメリカ、ロシア、インド、日本にっぽんが参加さんかしています。

権益けんえきの比率ひりつは、
▽アメリカの石油せきゆ大手おおて「エクソンモービル」が30％。
それに、
▽ロシアの国営こくえい石油せきゆ会社かいしゃが20％、
▽インドの国営こくえい石油せきゆ会社かいしゃが20％となっています。
▽日本にっぽん勢ぜいは「SODECO・サハリン石油せきゆガス開発かいはつ」が30％の権益けんえきを保有ほゆうしていて、この会社かいしゃには政府せいふが50％出資しゅっしするほか、大手おおて商社しょうしゃの「伊藤いとう忠ただし商事しょうじ」と「丸紅まるべに」、それに政府せいふが出資しゅっしする「石油せきゆ資源しげん開発かいはつ」などが出資しゅっししています。

日本にっぽんにとってサハリン1は、サハリン2に比くらべて政府せいふの関与かんよが強つよいのが特徴とくちょうで、官民かんみんをあげて開発かいはつを進すすめてきました。

2005年ねん以降いこう、3つの油田ゆでんで原油げんゆの生産せいさんが行おこなわれていて、200キロ余あまり離はなれた極東きょくとうハバロフスク地方ちほうの沿岸えんがんにある出荷しゅっかターミナルまでパイプラインで輸送ゆそうしたあと、タンカーで輸出ゆしゅつしています。

また、天然てんねんガスについてもLNG＝液化えきか天然てんねんガスとして日本にっぽんなどへ輸出ゆしゅつすることなどが検討けんとうされています。

サハリン1をめぐっては、事業じぎょうの中心ちゅうしんとなってきた「エクソンモービル」がことし3月つき、ロシアによるウクライナ侵攻しんこうを受うけてプロジェクトからの撤退てったいを表明ひょうめいしました。

一方いっぽう、ことし8月つきにはロシアのプーチン大統領だいとうりょうが、アメリカや日本にっぽんを含ふくむ非ひ友好国ゆうこうこくと位置いちづける国くにの企業きぎょうなどに、ロシア企業きぎょうの株式かぶしきを売却ばいきゃくすることなどをことし12月つき末まつまで禁止きんしする大統領だいとうりょう令れいに署名しょめいしたことで、事業じぎょうの先行さきゆきに不透明ふとうめい感かんが出でていました。

経済けいざい産業さんぎょう省しょう「中東ちゅうとう以外いがいの重要じゅうような調達ちょうたつ先さき」

政府せいふは、ウクライナへの軍事ぐんじ侵攻しんこうを受うけた経済けいざい制裁せいさいの一環いっかんとして、G7＝主要しゅよう7か国かこくとともにロシア産さんの石油せきゆの輸入ゆにゅうを原則げんそく、禁止きんしする措置そちを取とっています。

このため、経済けいざい産業さんぎょう省しょうによりますとサハリン1から現在げんざい原油げんゆは輸入ゆにゅうされていないということです。

ただ日本にっぽんは原油げんゆの輸入ゆにゅうの90％以上いじょうを中東ちゅうとうに依存いぞんしていて、エネルギー調達ちょうたつの多角たかく化かを進すすめることが課題かだいとなっています。

ロシアからの原油げんゆの輸入ゆにゅう量りょうは2021年ねん、全体ぜんたいの3.6％と決けっして多おおくありませんが、経済けいざい産業さんぎょう省しょうは「中東ちゅうとう以外いがいの重要じゅうような調達ちょうたつ先さきであり、日本にっぽんのエネルギー安全あんぜん保障ほしょう上じょう、サハリン1の権益けんえきの重要じゅうよう性せいは変かわらない」としていて、今後こんご情報じょうほう収集しゅうしゅうを進すすめ、日本にっぽんへの影響えいきょうの有無うむなどを見極みきわめることにしています。

ソース：NHK ニュース