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7つき参議院さんぎいん選挙せんきょ は「違憲いけん状態じょうたい」1ひょう格差かくさめぐる判決はんけつ 大阪おおさか高裁こうさい

2022-10-14 04:31:46

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ことし7つき参議院さんぎいん選挙せんきょで1ひょう価値かち最大さいだいで3.03ばい格差かくさがあったことについて、大阪おおさか高等こうとう裁判所さいばんしょは、憲法けんぽうもとめる投票とうひょう価値かち平等びょうどうはんした「違憲いけん状態じょうたい」だったと判断はんだんしました。

ことし7つき参議院さんぎいん選挙せんきょでは、選挙せんきょによって議員ぎいん1にんたり有権者ゆうけんしゃかず最大さいだいで3.03ばい格差かくさがあり、2つの弁護士べんごしグループが「投票とうひょう価値かち平等びょうどうはんし、憲法けんぽう違反いはんする」などとして選挙せんきょ無効むこうもとめるうった全国ぜんこく高等こうとう裁判所さいばんしょ高裁こうさい支部しぶわせて16けんこしています。

このうちはじめて判決はんけつ関西かんさい24けん選挙せんきょ対象たいしょうにした裁判さいばん言い渡いいわたされ、大阪おおさか高等こうとう裁判所さいばんしょまき賢二けんじ 裁判さいばんちょうは、1ひょう格差かくさ憲法けんぽうもとめる投票とうひょう価値かち平等びょうどうはんした「違憲いけん状態じょうたい」だったとする判断はんだんしめしました。

選挙せんきょ無効むこうもとめるうったみとめませんでした。

参議院さんぎいん選挙せんきょの1ひょう格差かくさについて最高さいこう裁判所さいばんしょは、5ばいや4ばい格差かくさがあった2010ねんと2013ねん選挙せんきょを(5.00ばい/4.77ばい)「違憲いけん状態じょうたい」と判断はんだんしましたが、その後そのごいわゆるごう」の導入どうにゅうなどによって格差かくさが3ばい程度ていど縮小しゅくしょうした2016ねん(3.08ばい)と前回ぜんかい・2019ねんについては(3.00ばい)「合憲ごうけん」と判断はんだんしています。

今回こんかい選挙せんきょ前回ぜんかいおな方式ほうしきおこなわれましたが格差かくさはわずかに拡大かくだいしていました。

違憲いけん状態じょうたい」とは

国政こくせい選挙せんきょでの1ひょう格差かくさ憲法けんぽう違反いはんするかどうかがあらそわれる裁判さいばん判決はんけつニュースでは「合憲ごうけん」や「違憲いけん」のほかに、「違憲いけん状態じょうたい」というわかりにくい表現ひょうげん使つかわれます。

この違憲いけん」とらずに「状態じょうたい」がついた判断はんだんは、どういうことを意味いみしているのでしょうか。

1ひょう格差かくさをめぐる裁判さいばんは、選挙せんきょによって有権者ゆうけんしゃとうずる1ひょう価値かちおおきな格差かくさあることが「投票とうひょう価値かち平等びょうどう保障ほしょうした憲法けんぽう違反いはんしている」として選挙せんきょ無効むこうにすることをもとめるうったです。

こうした裁判さいばんではおお場合ばあい裁判所さいばんしょうったみとめるどう審理しんりにあたり、2段階だんかい検討けんとうすすめています。

まず検討けんとうするのは「選挙せんきょ当日とうじつ選挙せんきょしょうじた格差かくさいちじるしく平等びょうどうだったといえるかどうか」です。

このだい1段階だんかいで、数値すうちじょう評価ひょうかとして「いちじるしく平等びょうどう」だとする認定にんていが「違憲いけん状態じょうたい」と表現ひょうげんされるものです。

しかしこの段階だんかいではまだ憲法けんぽう違反いはん」とらないのです。

裁判所さいばんしょは、さらにだい2段階だんかい検討けんとうすすめます。

憲法けんぽう選挙せんきょ投票とうひょう方法ほうほう法律ほうりつめるさだめていて、国会こっかいどのような制度せいど採用さいようするかおおきな裁量さいりょうをもっています。

しかし実際じっさい選挙せんきょ制度せいどえようとすると政党せいとう議員ぎいんによって立場たちばかんがことなるため意見いけん調整ちょうせいするのにどうしても時間じかんがかかります。

このため、だい2段階だんかい検討けんとうでは「違憲いけん状態じょうたい」と評価ひょうかした選挙せんきょ実施じっしされるまでに国会こっかいどれくらい真剣しんけん格差かくさ是正ぜせいけて取り組とりくんだのかや、またどのくらいの期間きかん選挙せんきょ制度せいど検討けんとうする時間じかんてき余裕よゆうがあったのかを見極みきわめるのです。

その結果けっか十分じゅうぶん時間じかんがあったにもかかわらず、漫然まんぜん放置ほうちした」と評価ひょうかされるとはじめて憲法けんぽう違反いはん」「違憲いけん」という判決はんけつになります。

つまり違憲いけん状態じょうたい」の判決はんけつとは「1ひょう格差かくさ数値すうちうえでは、いちじるしく平等びょうどうなんだけど、国会こっかい是正ぜせいするための取り組とりくおこたっていたともいえないので、トータルでみて憲法けんぽう違反いはんとまではいわない」という裁判所さいばんしょ評価ひょうかです。

ただ違憲いけん状態じょうたい」にとどまったとしても国会こっかい安心あんしんすることはできず、格差かくさ是正ぜせいけた取り組とりくすすめなければつぎ選挙せんきょでは「憲法けんぽう違反いはん」と判断はんだんされる可能かのうせい裁判所さいばんしょ指摘してきされたともいえます。
ソース:NHK ニュース