天皇てんのう皇后こうごう両りょう陛下へいか 即位そくい後ご初はつの沖縄おきなわ訪問ほうもん 沖縄おきなわ戦せんの犠牲ぎせい者しゃを慰霊いれい

天皇てんのう皇后こうごう両りょう陛下へいかは「国民こくみん文化ぶんか祭さい」などの開会かいかい式しきに出席しゅっせきするため22日にち、即位そくい後ご初はじめて沖縄おきなわ県けんを訪問ほうもんされました。沖縄おきなわ戦せん最後さいごの激戦げきせん地ちとなった糸満いとまん市しでは「国立こくりつ沖縄おきなわ戦没せんぼつ者しゃ墓はか苑えん」で犠牲ぎせい者しゃの霊れいを慰なぐさめられました。

両りょう陛下へいかは22日にち午後ごご1時じ前まえ、特別とくべつ機きで那覇なは空港くうこうに到着とうちゃくされました。沖縄おきなわ訪問ほうもんは天皇てんのう陛下へいかの即位そくい後ご初はじめてで、両りょう陛下へいかでの沖縄おきなわ訪問ほうもんは平成へいせい9年ねん以来いらい、25年ねんぶりになります。

沿道えんどうには歓迎かんげいのため大勢たいせいの人ひとたちが集あつまり、両りょう陛下へいかは笑顔えがおで手てを振ふって応こたえられていました。

そして、午後ごご2時半じはん前まえ、糸満いとまん市しにある「国立こくりつ沖縄おきなわ戦没せんぼつ者しゃ墓はか苑えん」に到着とうちゃくし、18万まん人にん以上いじょうの遺骨いこつが納おさめられている納骨のうこつ堂どうの前まえで一礼いちれいして花はなを供そなえ、犠牲ぎせい者しゃの霊れいを慰なぐさめられました。

このあと出迎でむかえのため集あつまった遺族いぞくたちと懇談こんだんし「どなたを亡なくされましたか」とか「お体からだにはお気おきをつけてください」などとことばをかけ、予定よてい時間じかんを大幅おおはばに超こえて一いち人にん一いち人にんの話はなしに耳みみを傾かたむけられていました。

続つづいて、戦没せんぼつ者しゃの名前なまえを刻きざんだ石碑せきひ、「平和へいわの礎いしずえ」や平和へいわ祈念きねん資料しりょう館かんを訪たずねられました。

資料しりょう館かんでは、沖縄おきなわ戦せんで家族かぞくを亡なくした人ひとなどの証言しょうげん集しゅうをじっくりと読よまれていました。

両りょう陛下へいかは23日にちまで沖縄おきなわに滞在たいざいし、午前ごぜんは宜野湾ぎのわん市しで行おこなわれる「国民こくみん文化ぶんか祭さい」と「全国ぜんこく障害しょうがい者しゃ芸術げいじゅつ・文化ぶんか祭さい」の開会かいかい式しきに出席しゅっせきされます。

沖縄おきなわ県けん糸満いとまん市しの国立こくりつ戦没せんぼつ者しゃ墓はか苑えんで天皇てんのう皇后こうごう両りょう陛下へいかを出迎でむかえた沖縄おきなわ県けん遺族いぞく連合れんごう会かい前ぜん会長かいちょうの照屋てるや苗子みつこさん（86）は「上皇じょうこうご夫妻ふさいのお心こころを引き継ひきついでいらっしゃると感かんじました。そして、私わたしたち遺族いぞくに対にたいしてもお心こころを寄よせて下くださると思おもいました。一いち人にん一いち人にんに長ながい時間じかん、声こえをかけて下くださったので本当ほんとうに感謝かんしゃしています」と話はなしていました。

両りょう陛下へいかを案内あんないした沖縄おきなわ県けん平和へいわ祈念きねん資料しりょう館かんの前川まえかわ早由さより利とぎ館長かんちょうは「証言しょうげんのコーナーでは、両りょう陛下へいかは顔かおを見合みあわせるようにして『大変たいへん痛いたましい内容ないようだね』と話はなされていました。また、海岸かいがんを望のぞむ場所ばしょでは天皇てんのう陛下へいかから『このような美うつくしいところでこんな悲かなしい出来事できごとがあったのですね』と声こえをかけていただきました。両りょう陛下へいかは大変たいへん優やさしいまなざしで、沖縄おきなわ戦せんの状況じょうきょうを熱心ねっしんに聞きかれ、沖縄おきなわのことをよく理解りかいしようとするお姿すがたが非常ひじょうに印象いんしょうに残のこりました」と話はなしていました。

糸満いとまん市しで大勢たいせいの人ひとたちが両りょう陛下へいかを歓迎かんげい

糸満いとまん市しのひめゆりの塔とうの前まえでは沿道えんどうに大勢たいせいの人ひとたちが集あつまり、両りょう陛下へいかを歓迎かんげいしていました。

南城なんじょう市しに住すむ19歳さいの女性じょせいは「沖縄おきなわ戦せんのあった地ちを訪おとずれて寄り添よりそって、思おもいを寄よせて考かんがえて下くださっていることが沖縄おきなわ県民けんみんとしてすごくうれしいです」と話はなしていました。

中学生ちゅうがくせいの息子むすこと一緒いっしょに沿道えんどうに並ならんだ糸満いとまん市しの40代だいの女性じょせいは「沖縄おきなわ県けんに来き県けんすると決きまってからどのルートを通とおるのか確認かくにんしてずっと待まちわびていました。一生いっしょうに一度いちどあるかどうかなので　幸しあわせな1日にちです。これからも頑張がんばってくださいという気持きもちで糸満いとまん市しから応援おうえんしています」と話はなしていました。

また、糸満いとまん市しの平和へいわ祈念きねん公園こうえん近ちかくの沿道えんどうにも大勢たいせいの人ひとたちが集あつまり、両りょう陛下へいかを歓迎かんげいしていました。

糸満いとまん市しに住すむ80歳さいの女性じょせいは「沖縄おきなわの現状げんじょうを見みていただいてうれしかったです。また来きてほしいです」と話はなしていました。

皇太子こうたいし当時とうじに取材しゅざい受うけた「豆まめ記者きしゃ」たちと再会さいかい

22日にち午後ごご5時半じはん前まえ、宿泊しゅくはく先さきである沖縄おきなわ県けん宜野湾ぎのわん市しのホテルに到着とうちゃくされた天皇てんのう皇后こうごう両りょう陛下へいかを、かつての「豆まめ記者きしゃ」の高校生こうこうせい、大学生だいがくせい6人にんが出迎でむかえました。

両りょう陛下へいかは、皇太子こうたいしご夫妻ふさいだったときに、夏休なつやすみに記者きしゃの仕事しごとを体験たいけんする沖縄おきなわの子こどもたち「豆まめ記者きしゃ」と交流こうりゅうされていました。

6人にんは「豆まめ記者きしゃ」として東京とうきょうを訪おとずれた平成へいせい28年ねん、両りょう陛下へいかから赤坂あかさか御ご用地ようちにある当時とうじのお住すまいに招まねかれました。両りょう陛下へいかや中学生ちゅうがくせいだった愛子あいこさまと一緒いっしょにバレーボールをしたということです。

両りょう陛下へいかは時折ときおり、笑顔えがおを見みせながら「高校こうこう生活せいかつはどうですか」などと話はなしかけ、かつての「豆まめ記者きしゃ」たちとの再会さいかいを楽たのしまれている様子ようすでした。

21歳さいの男子だんし学生がくせいは「愛子あいこさまとは同どう学年がくねんで、当時とうじ同おなじバスケットボール部ぶだったことが話題わだいにあがりました。今いまは高校こうこうの数学すうがくの教員きょういんを目指めざしていて、天皇てんのう陛下へいかから『高校こうこうの数学すうがくは難むずかしいですよね』と声こえをかけていただきました」と話はなしていました。

16歳さいの女子じょし高校生こうこうせいは「『今いまは何なにをされていますか』と聞きかれ、『琉球りゅうきゅう舞踊ぶようを始はじめて、この前まえ、賞しょうを取とりました』と伝つたえたら、『見みたかったです』と言いっていただき、本当ほんとうにうれしかったです」と話はなしていました。

また、別べつの16歳さいの女子じょし高校生こうこうせいは「通かよっている高校こうこうを伝つたえたら、天皇てんのう陛下へいかが『野球やきゅうが強つよいですよね』と答こたえられ、ご存ごぞんじでうれしかったです。変かわらず温あたたかく私わたしたちのことを考かんがえてくださっていて、うれしく思おもいました」と話はなしていました。

玉城たまき知事ちじ「深ふかく心こころを寄よせていただいた」

宜野湾ぎのわん市内しないのホテルで天皇てんのう皇后こうごう両りょう陛下へいかとの御ご懇談こんだんに出席しゅっせきした玉城たまき知事ちじは記者きしゃ会見かいけんで、「陛下へいかからは、『コロナのたいへん厳きびしい状況じょうきょうにあったと思おもいます』といわれ、現状げんじょうについて説明せつめいした。また、ひとり親おやの率りつが全国ぜんこくでいちばん高たかいことなど子こどもの貧困ひんこんについて説明せつめいしたのに対にたいし、皇后こうごう陛下へいかが『非常ひじょうに気きになりますね』とお話おはなしされていた」と振り返ふりかえりました。

また、糸満いとまん市しの平和へいわ祈念きねん公園こうえんへの訪問ほうもんについて、「平和へいわの礎いしずえ、平和へいわ祈念きねん資料しりょう館かんを非常ひじょうに熱心ねっしんにごらんいただいていたお姿すがたが、沖縄おきなわ県けんの平和へいわを求もとめる心こころが如実にょじつに表あらわれている場所ばしょなので、そういうことに深ふかく心こころを寄よせていただいていると拝見はいけんさせていただいた」と述のべました。

ソース：NHK ニュース