性せい犯罪はんざいの実態じったいに合あわせた刑法けいほうの規定きてい改正かいせいへ試案しあん どう見直みなおす？

性せい犯罪はんざいの実態じったいに合あわせて刑法けいほうの規定きていを改正かいせいする試案しあんが示しめされました。
強制きょうせい性交せいこう罪ざいの構成こうせい要件ようけんとして、「拒絶きょぜつする時間じかんを与あたえない」「アルコールを飲のませる」など相手あいてを「拒絶きょぜつ困難こんなん」にさせる行為こういを具体ぐたい的てきに示しめしたほか、性的せいてきな目的もくてきで子こどもを手てなずけ、心理しんり的てきにコントロールする「グルーミング」に対応たいおうする新あらたな罪つみが盛り込もりこまれました。

現在げんざいの刑法けいほうで規定きていされる強制きょうせい性交せいこうなどの罪つみでは、相手あいての「同意どういがないこと」に加くわえて、「暴行ぼうこうや脅迫きょうはく」を用もちいることなどが構成こうせい要件ようけんになっています。

被害ひがい者しゃ側がわからは、「暴行ぼうこうや脅迫きょうはく」がなくても恐怖きょうふで体からだが硬直こうちょくしてしまうなどの実態じったいがあるとして、構成こうせい要件ようけんの見直みなおしを求もとめる意見いけんが出でていました。

このため、法制ほうせい審議しんぎ会かいの部会ぶかいで去年きょねん10月つきから議論ぎろんが行おこなわれ、24日にちの部会ぶかいで法務省ほうむしょうから刑法けいほうの規定きていを改正かいせいする試案しあんが示しめされました。

それによりますと、強制きょうせい性交せいこうなどの罪つみの構成こうせい要件ようけんとして、「暴行ぼうこうや脅迫きょうはく」のほか、「アルコールや薬物やくぶつの摂取せっしゅ」、「拒絶きょぜつするいとまを与あたえない」、「恐怖きょうふ・驚きょうがくさせる」など、8つの行為こういを条文じょうぶんで具体ぐたい的てきに列挙れっきょし、こうした行為こういによって相手あいてを「拒絶きょぜつ困難こんなん」にさせ、性交せいこうなどをすることとしています。

また、最近さいきんの性せい犯罪はんざいの傾向けいこうを踏ふまえ、性的せいてきな目的もくてきでSNSなどで子こどもを手てなずけて心理しんり的てきにコントロールする「グルーミング」に対応たいおうする罪つみや、性的せいてきな画像がぞうや動画どうがを盗と撮うつする罪つみを新あらたに設もうけるとしています。

このほか、性行為せいこういへの同意どういを判断はんだんできるとみなす年齢ねんれいを現在げんざいの13歳さいから16歳さいに引き上ひきあげ、同どう年代ねんだいを除のぞき、16歳さい未満みまんとの性行為せいこういは同意どういの有無うむにかかわらず犯罪はんざいとするとしています。

一方いっぽう、強制きょうせい性交せいこう罪ざいや強制きょうせいわいせつ罪ざいなどの時効じこうを5年ねん延長えんちょうさせる案あんなども盛り込もりこまれています。

部会ぶかいでは、試案しあんをもとに今後こんごも議論ぎろんを続つづけることにしています。

強制きょうせい性交せいこう罪ざいの構成こうせい要件ようけん 試案しあんで示しめされた8つの行為こうい

今回こんかいの試案しあんでは、強制きょうせい性交せいこうなどの罪つみの構成こうせい要件ようけんとして、次つぎのような8つの行為こういによって相手あいてを「拒絶きょぜつ困難こんなん」にさせ、性交せいこうなどをすることとしています。

具体ぐたい的てきな行為こういとして条文じょうぶんに列挙れっきょされているのは、
▽1つ目めは「暴行ぼうこうや脅迫きょうはくを用もちいること」。

▽2つ目めは「心身しんしんに障害しょうがいを生しょうじさせること」。

▽3つ目めは「アルコールや薬物やくぶつを摂取せっしゅさせること」。

▽4つ目めは「睡眠すいみん、そのほか意識いしきが明瞭めいりょうでない状態じょうたいにすること」。

▽5つ目めは「拒絶きょぜつするいとまを与あたえないこと」。
被害ひがい者しゃにとって急きゅうすぎて拒絶きょぜつできない、不意打ふいうちの状態じょうたいを想定そうていしています。

▽6つ目めは「予想よそうと異ことなる事態じたいに直面ちょくめんさせ、恐怖きょうふさせたり驚きょうがくさせたりすること」。
恐怖きょうふやショックで体からだが硬直こうちょくしてしまう状態じょうたいです。

▽7つ目めは「虐待ぎゃくたいに起因きいんする心理しんり的てき反応はんのうを生しょうじさせること」。
長年ながねんにわたり性的せいてきな虐待ぎゃくたいを受うけ、無力むりょく感かんを感かんじて拒絶きょぜつする意思いしさえわかない場合ばあいなどが当あてはまります。

▽8つ目めは「経済けいざい的てき・社会しゃかい的てき関係かんけい上じょうの地位ちいに基もとづく影響えいきょう力りょくによって受うける不利益ふりえきを憂慮ゆうりょさせること」。
教師きょうしと生徒せいとや、監督かんとく・コーチとスポーツ選手せんしゅなどが想定そうていされています。

また、みずからがこのような行為こういをしていなくても、相手あいてが「心身しんしんに障害しょうがいがあること」や「アルコールや薬物やくぶつの影響えいきょうがあること」などの理由りゆうで「拒絶きょぜつ困難こんなん」であることに乗じょうじて性交せいこうなどをした者ものも処罰しょばつするとしています。

ソース：NHK ニュース