イラン西部せいぶ Ｍえむ7.3の地震じしん 135人にん死亡しぼう 約やく1400人にんけが

イランとイラクの国境こっきょうに近ちかい山やまあいの場所ばしょで日本にっぽん時間じかんの１いち３さん日にち未明みめい、マグニチュード７なな．３さんの地震じしんがあり、これまでに１いち３さん５ご人にんが死亡しぼう、およそ１いち４よん０ぜろ０ぜろ人にんがけがをしました。現地げんちでは多おおくの建物たてものが倒壊とうかいする被害ひがいが出でていて、死傷ししょう者しゃの数かずはさらに増ふえるおそれがあります。

ＵＳＧＳ＝アメリカの地質ちしつ調査ちょうさ所しょによりますと、現地げんち時間じかんの１いち２に日にち午後ごご９きゅう時じ２に０ぜろ分ふんごろ、日本にっぽん時間じかんの１いち３さん日にち午前ごぜん３さん時じ２に０ぜろ分ふんごろ、イラクとの国境こっきょうに近ちかいイラン西部せいぶでマグニチュード７なな．３さんの地震じしんがありました。

イランの国営こくえい放送ほうそうは、この地震じしんで１いち２に９きゅう人にんが死亡しぼうしたと伝つたえているほか、イラクのメディアも６ろく人にんが死亡しぼうしたと伝つたえていて、死者ししゃは、これまでに１いち３さん５ご人にんに上のぼっています。
また、けが人けがにんは、イランで９きゅう０ぜろ０ぜろ人にん以上いじょう、イラクでおよそ５ご０ぜろ０ぜろ人にんに上のぼっているということです。

地震じしんの揺ゆれは、震源しんげん地ちから２に０ぜろ０ぜろキロ以上いじょう離はなれたイラクの首都しゅとバグダッドでも観測かんそくされたほか、トルコやクウェートなどの周辺しゅうへん国こくでも観測かんそくされたということです。

外務省がいむしょうによりますと、これまでのところ、この地震じしんで日本人にっぽんじんが被害ひがいを受うけたという情報じょうほうはないということです。地震じしんが起おきたのは、イラクとの国境こっきょう付近ふきんにあるイラン西部せいぶの山やまあいの場所ばしょで、小規模しょうきぼな集落しゅうらくが点在てんざいし、このうちイラク側がわで撮影さつえいされた映像えいぞうでは多おおくの建物たてものが倒壊とうかいする被害ひがいが出でています。

イラン側がわの震源しんげんに近ちかい地域ちいきでは、土砂崩どしゃくずれが起おきて道路どうろが寸断すんだんされるなど、救助きゅうじょ活動かつどうが難航なんこうしているということで、死傷ししょう者しゃの数かずはさらに増ふえるおそれがあります。

震源しんげん地ち付近ふきんは地震じしん多発たはつ地帯ちたい

今回こんかい地震じしんが起おきたイラン西部せいぶやイラク北東ほくとう部ぶ、それに隣国りんごくのトルコは、「ユーラシアプレート」と呼よばれる大陸たいりくの岩盤がんばんに南みなみからアラビア半島はんとうがのった「アラビアプレート」の岩盤がんばんがぶつかっている影響えいきょうで、ほぼ南北なんぼくから押おし合あう力ちからがかかっているために地震じしん活動かつどうが活発かっぱつな地域ちいきで、過去かこにも繰り返くりかえし地震じしんの大おおきな被害ひがいが出でています。

このうち、１いち９きゅう９きゅう０ぜろ年ねん６月ろくがつには、イラン北西ほくせい部ぶのカスピ海かすぴかい沿岸えんがんでマグニチュード７なな．４よんの大だい地震じしんが発生はっせいし、およそ３さん万まん５ご０ぜろ０ぜろ０ぜろ人にんが死亡しぼうしました。

２に０ぜろ１いち１いち年ねん１０月じゅうがつには、トルコ東部とうぶでマグニチュード７なな．１いちの大だい地震じしんが起おきて６ろく０ぜろ０ぜろ人にん以上いじょうが死亡しぼうし、翌よく１１月じゅういちがつに起おきた余震よしんでも犠牲ぎせい者しゃが出でました。

さらに、２に０ぜろ１いち２に年ねん８月はちがつにはイラン北西ほくせい部ぶでマグニチュードが６ろくを超こえる地震じしんが２に回かい続つづけて発生はっせいし３さん０ぜろ０ぜろ人にん以上いじょうが死亡しぼうしたほか、３さん年ねん前まえの２に０ぜろ１いち４よん年ねん８月はちがつにイラン西部せいぶで起おきたマグニチュード６ろく．２にの地震じしんでも、多数たすうのけが人けがにんが出でました。

また、今回こんかいの震源しんげんの地域ちいきとは離はなれているものの、イランの南東なんとう部ぶでもたびたび大おおきな地震じしんが起おきていて、２に０ぜろ０ぜろ３さん年ねん１２月じゅうにがつには、南東なんとう部ぶの都市としバムを中心ちゅうしんとする地域ちいきでマグニチュード６ろく．６ろくの地震じしんがあり、４よん万まん人にん以上いじょうが死亡しぼうしています。

専門せんもん家か「２ふたつのプレートぶつかる衝突しょうとつ帯たいで発生はっせい」

日本にっぽん時間じかんの１いち３さん日にち未明みめい、イランとイラクの国境こっきょうに近ちかい場所ばしょで起おきたマグニチュード７なな．３さんの地震じしんについて、専門せんもん家かは、２ふたつのプレートがぶつかる「衝突しょうとつ帯たい」と呼よばれる地域ちいきで発生はっせいし、震源しんげんが比較的ひかくてき浅あさいことや山やまあいの地域ちいきで起おきたことなどから、今後こんごの地震じしん活動かつどうに十分じゅうぶん注意ちゅういが必要ひつようだと指摘してきしています。

今回こんかいの地震じしんについて、日本にっぽんの複数ふくすうの専門せんもん家かは、「アラビアプレート」と「ユーラシアプレート」がぶつかる『衝突しょうとつ帯たい』と呼よばれる場所ばしょで発生はっせいしたと指摘してきしています。

このうち、中東ちゅうとうの地震じしん活動かつどうに詳くわしい東京とうきょう工業こうぎょう大学だいがくの本ほん蔵くら義守よしもり名誉めいよ教授きょうじゅは、「この地域ちいきでは、２ふたつのプレートが衝突しょうとつすることで『ザグロス山脈さんみゃく』などのたくさんの山やまが作つくられてきたほか、活かつ断層だんそうも数多かずおおく見みつかっていて、今回こんかいの地震じしんはこのうち、１ひとつの活かつ断層だんそうがずれ動うごいて発生はっせいしたと考かんがえられる」と話はなしています。

一方いっぽう、東京とうきょう大学だいがく地震じしん研究所けんきゅうじょの古村こむら孝志たかし教授きょうじゅは、「ＵＳＧＳ＝アメリカ地質ちしつ調査ちょうさ所しょによる震源しんげんの深ふかさやメカニズムの解析かいせき結果けっかなどから、アラビアプレートとユーラシアプレートの境界きょうかい付近ふきんで発生はっせいした可能かのう性せいがある」と指摘してきしています。

また、古村こむら教授きょうじゅによりますと、『衝突しょうとつ帯たい』は、イランとイラク、それにトルコにかけて延のびていてこの周辺しゅうへんではプレートの衝突しょうとつに伴ともなう力ちからが岩盤がんばんにかかっているため、規模きぼの大おおきな地震じしんがたびたび起おきているということです。

６ろく年ねん前まえの平成へいせい２に３さん年ねん１０月じゅうがつには今回こんかいの地震じしんの震源しんげんから北東ほくとうにおよそ４よん７なな０ぜろキロ離はなれたトルコ東部とうぶで、マグニチュード７なな．１いちの大だい地震じしんが発生はっせいし、６ろく０ぜろ０ぜろ人にん以上いじょうが死亡しぼうしたほか、１いち４よん年ねん前まえの平成へいせい１いち５ご年ねん１２月じゅうにがつには、今回こんかいの震源しんげんから南東なんとうにおよそ１いち３さん０ぜろ０ぜろキロ離はなれたイラン南東なんとう部ぶでマグニチュード６ろく．６ろくの地震じしんが発生はっせいし、「バム」という都市としを中心ちゅうしんとする地域ちいきで４よん万まん人にん以上いじょうが死亡しぼうしました。

今回こんかいの地震じしんについて、本ほん蔵ぞう名誉めいよ教授きょうじゅは、「地震じしんの起おきた地域ちいきでは日干ひぼしレンガなどを使つかって作つくられた建物たてものが多おおく、地震じしんの揺ゆれに弱よわいと見みられる。また、急きゅうな斜面しゃめんが多おおい山やまあいで起おきたため土砂崩どしゃくずれなども発生はっせいしやすい。活かつ断層だんそうの地震じしんであれば、今後こんごも地震じしん活動かつどうが続つづくおそれがあり、しばらくの間まは建物たてものの倒壊とうかいや土砂どしゃ災害さいがいなどに十分じゅうぶんな注意ちゅういが必要ひつようだ」と指摘してきしています。

専門せんもん家か「耐震たいしん性せい低ひくく被害ひがい拡大かくだいか」

１いち４よん年ねん前まえ、イラン南東なんとう部ぶの都市とし「バム」を中心ちゅうしんとする地域ちいきに大おおきな被害ひがいを出だした地震じしんで被災ひさい地ちの建物たてものなどの調査ちょうさにあたった工学こうがく院いん大学だいがくの久田ひさた嘉章よしあき教授きょうじゅは、「『バム』の地震じしんでは、日干ひぼしレンガで作つくられ、耐震たいしん性せいが非常ひじょうに低ひくいうえ、屋根やねが厚あつく重おもい建物たてものが多おおかったため地震じしんの激はげしい揺ゆれで屋根やねが崩落ほうらくし、たくさんの人ひとが亡なくなった。今回こんかいの地震じしんの被災ひさい地ちも同おなじように耐震たいしん性せいが非常ひじょうに低ひくい建物たてものが多おおかったのではないか」と述のべました。

また、現地げんちで撮影さつえいされた映像えいぞうについては、「鉄筋コンクリートてっきんこんくり-とで作つくられた建物たてものだが、比較的ひかくてき古ふるいと見みられる。柱はしらそのものが崩くずれたり床ゆかがパンケーキ状じょうに落おちたりする壊こわれ方かたをしているので、耐震たいしん性せいについてあまり考かんがえられていないように見みえる」と話はなしています。

そのうえで、今回こんかいの地震じしんは、現地げんち時間じかんの夜よるに発生はっせいしたため多おおくの人ひとが建物たてものの中なかにいたと考かんがえられるとして、「被害ひがいの全容ぜんようがわかるにはまだ時間じかんがかかり、死者ししゃ・負傷ふしょう者しゃがさらに増ふえる可能かのう性せいがある。耐震たいしん性せいの低ひくい建物たてものに残のこっている人ひとも多おおいと思おもうので今後こんごも強つよい揺ゆれに十分じゅうぶん注意ちゅういが必要ひつようだ。また、山岳さんがく地帯ちたいということで地滑じすべりなどの土砂どしゃ災害さいがいにも気きをつけてほしい」と話はなしています。

ソース：NHK ニュース