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真珠湾攻撃78年 知られざる強制収容所 ハワイ
2019-12-08 11:43:46

旧日本軍による真珠湾攻撃で太平洋戦争が勃発してから78年。当時の記憶の風化をいかに防ぐかが課題となる中、ハワイでは日系アメリカ人が入れられた強制収容所を発掘・調査し、後世に伝えていこうという取り組みが続けられています。
ホノウリウリ収容所とは

太平洋戦争中、オアフ島のホノウリウリという場所にあった強制収容所です。ハワイにいた大勢の日系アメリカ人は、真珠湾攻撃を境に「敵性外国人」とみなされ、このうち、日系人社会で指導的立場にあった人など、およそ400人がここに収容されました。
収容された人たちは、戦後、釈放されたあとも、社会からの差別を恐れるなどして多くを語らず、収容所の存在は人々の記憶から長く消し去られていました。
しかし、今からおよそ20年前、日系人の人たちがこの収容所があった場所を突き止め、発掘調査を始めました。
収容された人たちは、戦後、釈放されたあとも、社会からの差別を恐れるなどして多くを語らず、収容所の存在は人々の記憶から長く消し去られていました。
しかし、今からおよそ20年前、日系人の人たちがこの収容所があった場所を突き止め、発掘調査を始めました。
浮かび上がった収容所の実像
調査活動を中心になって行ってきた日系3世のジェーン・クラハラさん(88)。

図書館の学芸員を退職したあと、収容所の存在を知り、ボランティアで調査に没頭してきました。当時を知る人が減り、このままでは、収容所の存在自体が忘れ去られてしまうと感じたからです。
真珠湾から車でおよそ30分。クラハラさんたちが見つけた収容所跡は、いまは樹木が生い茂る森の中にありました。
細い道に沿って、お城の石垣のような壁が続き、収容所の食堂だった建物の基礎部分も残っていました。
細い道に沿って、お城の石垣のような壁が続き、収容所の食堂だった建物の基礎部分も残っていました。

クラハラさんの手元には、収容所にいた人たちの証言の記録が残っています。
(収容者の証言)
「収容されて3日目。食事はまだ支給されない」
「40~50人の名前が呼ばれてある場所に連れて行かれた。われわれはここで射殺されるのか。これは死の行進か。体が震えた」
証言からは、劣悪な環境のもと、精神的にも過酷な日々を送った収容者の実像が浮かび上がりました。
(収容者の証言)
「収容されて3日目。食事はまだ支給されない」
「40~50人の名前が呼ばれてある場所に連れて行かれた。われわれはここで射殺されるのか。これは死の行進か。体が震えた」
証言からは、劣悪な環境のもと、精神的にも過酷な日々を送った収容者の実像が浮かび上がりました。
負の歴史を風化させるな
クラハラさんたちの努力が実って、4年前、みずからもハワイ出身の、当時のオバマ大統領が収容所跡を国の史跡に指定。

国の財政的な支援も得られるようになり、3年前には資料館がオープンしました。

収容所内で日系人たちが、気を紛らわそうと作った首飾りや、歯ブラシの柄から作った指輪なども展示されています。

今では、多くの観光客が資料館に見学に訪れるようになっています。
(観光客のアメリカ人男性)
「この国でどうしてこういうことが起きたのか。ちょっと悲しくまた信じられないという気持ちです」
「この国でどうしてこういうことが起きたのか。ちょっと悲しくまた信じられないという気持ちです」
(日本人女性)
「アメリカ人のはずなのに、こういう風に日系人とか日本の血を引いているというだけで収容所に入れられてしまい、すごく悲しかっただろうなと思います」
「アメリカ人のはずなのに、こういう風に日系人とか日本の血を引いているというだけで収容所に入れられてしまい、すごく悲しかっただろうなと思います」
クラハラさんたちの思いは、地元の大学生たちにも引き継がれています。
4年前からは、ハワイ大学の考古学研究室が発掘調査に参加するようになったのです。
4年前からは、ハワイ大学の考古学研究室が発掘調査に参加するようになったのです。

(男子大学生)
「歴史を都合よく書き換えるようなことがあれば、国は将来の方向性を誤ってしまう。僕たちはしっかりと過去と向き合わないといけないと思います」
「歴史を都合よく書き換えるようなことがあれば、国は将来の方向性を誤ってしまう。僕たちはしっかりと過去と向き合わないといけないと思います」
負の歴史を繰り返して欲しくないと考えているクラハラさん。これからも活動を続けていく決意です。

(クラハラさん)
「歴史は繰り返される可能性があります。だからこそ、若い世代には収容所の歴史を知ってほしい。そうすることが、今の社会問題に向き合う上でも助けになるはずですし、再び誤った道に進むのを防いでくれるでしょう」
「歴史は繰り返される可能性があります。だからこそ、若い世代には収容所の歴史を知ってほしい。そうすることが、今の社会問題に向き合う上でも助けになるはずですし、再び誤った道に進むのを防いでくれるでしょう」
ソース:NHK ニュース