地方ちほう自治体じちたいの借金しゃっきん返済へんさい金きん 25道府県どうふけんで積み立つみたて不足ふそくの状態じょうたい

返済へんさいのための資金しきんが国くにから交付こうふされる地方ちほう自治体じちたいの借金しゃっきん、「臨時りんじ財政ざいせい対策たいさく債さい」をめぐり、25の道府県どうふけんで、事実じじつ上じょう、資金しきんの積み立つみたてが不足ふそくしている状態じょうたいになっていることが総務そうむ省しょうの調しらべで分わかりました。専門せんもん家かは「このまま返済へんさいの時期じきを迎むかえると財政ざいせいを圧迫あっぱくして、住民じゅうみん生活せいかつに影響えいきょうが出でかねない」と指摘してきしています。

「臨時りんじ財政ざいせい対策たいさく債さい」は、地方ちほう交付こうふ税ぜいの国くにの財源ざいげん不足ふそくなどを受うけ、一時いちじ的てきに地方ちほう自治体じちたいが国くにの代かわりに借金しゃっきんする仕組しくみとして平成へいせい13年度ねんどに導入どうにゅうされました。

返済へんさいのための資金しきんは20年ねんから30年ねんに分割ぶんかつして、毎年まいとし、国くにから交付こうふされていて、多おおくの自治体じちたいが、今後こんご、本格ほんかく的てきな返済へんさいの時期じきを迎むかえることになります。

国くには、返済へんさいの期日きじつに向むけて自治体じちたい側がわが計画けいかく的てきに資金しきんを積み立つみたてることが適切てきせつだとしていますが、制度せいど上じょうその使つかいみちは制限せいげんされていません。

総務そうむ省しょう「責任せきにんを持もって対応たいおうして」

こうした中なか、総務そうむ省しょうが調しらべたところ、平成へいせい29年度ねんど末まつの時点じてんで、全国ぜんこくの都道とどう府県ふけんの半数はんすうを超こえる25の道府県どうふけんで資金しきんの一部いちぶを別べつの用途ようとに使つかうなどして、事実じじつ上じょう、積み立つみたて不足ふそくの状態じょうたいになっていることが分わかりました。

不足ふそくしている額がくは、北海道ほっかいどうが785億おく円えんと最もっとも多おおく、次ついで千葉ちば県けんの660億おく円えん、福岡ふくおか県けんの607億おく円えんなどとなっています。

総務そうむ省しょうは「返済へんさい計画けいかくは自治体じちたいの裁量さいりょうでつくることになっているので、責任せきにんを持もって対応たいおうしてもらいたい」としています。

専門せんもん家か「住民じゅうみん生活せいかつに影響えいきょう出でかねない」

地方ちほう財政ざいせいに詳くわしい一いち橋きょう大学だいがく経済けいざい学がく研究けんきゅう科かの佐藤さとう主しゅ光ひかり教授きょうじゅは「積み立つみたて不足ふそくの状態じょうたいで返済へんさい時期じきを迎むかえると、ほかに財源ざいげんを探さがさなければならず、財政ざいせいを圧迫あっぱくして住民じゅうみん生活せいかつに影響えいきょうが出でかねない。総務そうむ省しょうも、自治体じちたいに返済へんさい計画けいかくを提出ていしゅつさせるなど対策たいさくを考かんがえる必要ひつようがある」と指摘してきしています。

25道府県どうふけんの積立つみたて金きん不足ふそく額がく

総務そうむ省しょうによりますと、平成へいせい29年度ねんど末まつ時点じてんで、「臨時りんじ財政ざいせい対策たいさく債さい」の返済へんさい用ように国くにから交付こうふされた資金しきんの総額そうがくよりも、自治体じちたいが返済へんさいのために積み立つみたてている基金ききんの額がくが少すくなく、事実じじつ上じょう、積み立つみたて不足ふそくの状態じょうたいになっているのは、次つぎの25の道府県どうふけんです。

不足ふそく額がくが多おおい順じゅんです。
▽北海道ほっかいどう 785億おく円えん
▽千葉ちば県けん 660億おく円えん
▽福岡ふくおか県けん 607億おく円えん
▽静岡しずおか県けん 531億おく円えん
▽宮城みやぎ県けん 441億おく円えん
▽岩手いわて県けん 436億おく円えん
▽秋田あきた県けん 393億おく円えん
▽兵庫ひょうご県けん 334億おく円えん
▽広島ひろしま県けん 316億おく円えん
▽山形やまがた県けん 308億おく円えん
▽奈良なら県けん 305億おく円えん
▽岐阜ぎふ県けん 295億おく円えん
▽茨城いばらき県けん 293億おく円えん
▽愛媛えひめ県けん 187億おく円えん
▽山口やまぐち県けん 166億おく円えん
▽香川かがわ県けん 151億おく円えん
▽長崎ながさき県けん 143億おく円えん
▽熊本くまもと県けん 137億おく円えん
▽新潟にいがた県けん 119億おく円えん
▽富山とやま県けん 56億おく円えん
▽和歌山わかやま県けん 24億おく円えん
▽京都きょうと府ふ 24億おく円えん
▽大分おおいた県けん 24億おく円えん
▽埼玉さいたま県けん 10億おく円えん
▽鹿児島かごしま県けん ２に億おく円えん
となっています。

北海道ほっかいどう「計画けいかくどおりで支障ししょうない」

このうち積み立つみたて不足ふそくの額がくがもっとも多おおい北海道ほっかいどうでは、返済へんさいのための資金しきんとして国くにから分割ぶんかつで交付こうふされた総額そうがくは、平成へいせい29年度ねんど末まつ時点じてんで6488億おく円えんだったのに対にたいし、専用せんようの基金ききんに積み立つみたてているのは5703億おく円えんで、785億おく円えんが不足ふそくした状態じょうたいになっています。

北海道ほっかいどうの担当たんとう者しゃは「国くにからの交付こうふ金きんの使つかいみちは、自治体じちたいが自由じゆうに決きめることができるため、年度ねんどごとに必要ひつような政策せいさくを進すすめるために使つかっている。独自どくじの返済へんさい計画けいかくに沿そって積み立つみたてを行おこなっており、返済へんさい期日きじつが来きたあとも財政ざいせいに支障ししょうが出でることはないと見みている」と話はなしています。

政令市せいれいし６ろく市し 積み立つみたて不足ふそく

総務そうむ省しょうによりますと、全国ぜんこくに20ある政令せいれい指定してい都市としでも、平成へいせい29年度ねんど末まつ時点じてんで、６むっつの市しで、「臨時りんじ財政ざいせい対策たいさく債さい」の返済へんさい用ようの資金しきんが、事実じじつ上じょう、積み立つみたて不足ふそくの状態じょうたいになっているということです。

不足ふそく額がくが多おおい順じゅんです。
▽京都きょうと市し 349億おく円えん
▽広島ひろしま市し 181億おく円えん
▽千葉ちば市し 35億おく円えん
▽相模原さがみはら市し 14億おく円えん
▽新潟にいがた市し 12億おく円えん
▽熊本くまもと市し 11億おく円えん
となっています。

臨財ざい債さい 制度せいど廃止はいし求もとめる声こえも

「臨時りんじ財政ざいせい対策たいさく債さい」の制度せいどは、平成へいせい13年度ねんどに３さん年間ねんかんに限かぎった措置そちとして始はじまりましたが、地方ちほう交付こうふ税ぜいの国くにの財源ざいげん不足ふそくで更新こうしんされ現在げんざいに至いたっています。

国くには毎年まいとし、各かく自治体じちたいの財政ざいせい状況じょうきょうに合あわせて地方ちほう交付こうふ税ぜいの交付こうふ額がくを決定けっていするとともに、各かく自治体じちたいに発行はっこうを認みとめる「臨時りんじ財政ざいせい対策たいさく債さい」の額がくを通知つうちしています。

総務そうむ省しょうによりますと、地方ちほう自治体じちたいが行おこなう借金しゃっきん全体ぜんたいに占しめる臨時りんじ財政ざいせい対策たいさく債さいの割合わりあいは、平成へいせい29年度ねんどで31％だということです。

国くにから返済へんさい資金しきんが分割ぶんかつして交付こうふされるとはいえ、自治体じちたいにとっては借金しゃっきんであることに変かわりなく、全国ぜんこく知事ちじ会かいなどは制度せいどを廃止はいしして地方ちほう交付こうふ税ぜいとして交付こうふするよう求もとめています。

これについて、一いち橋きょう大学だいがく経済けいざい学がく研究けんきゅう科かの佐藤さとう主しゅ光ひかり教授きょうじゅは「臨時りんじ財政ざいせい対策たいさく債さいは、その名なのとおり、臨時りんじ的てきな措置そちとして始はじまった。発行はっこう額がくが増加ぞうかしているのは健全けんぜんとは言いいがたく、国くには地方ちほう交付こうふ税ぜいの財源ざいげん不足ふそくへの対策たいさくをおこない、制度せいどを早期そうきに解消かいしょうする必要ひつようがある」と話はなしています。

ソース：NHK ニュース