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高齢ドライバーに「限定免許」「実技検査」導入へ 警察庁
2019-12-19 06:36:58

高齢ドライバーによる深刻な事故が相次ぐなか、警察庁は、自動ブレーキなどを備えた車に運転を限定する新たな免許を導入することや、一定の違反歴のある高齢者には免許更新の際に実技検査を義務づける方針を固めました。
警察庁は、おととしから有識者会議を開いて高齢ドライバーの事故防止について議論を進めてきましたが、これまでよりも踏み込んだ対策が必要だとして、自動ブレーキなどの安全機能を備えた「サポートカー」に運転を限定する新たな免許を導入する方針を固めました。
この「限定免許」は、すでに普通免許などを持っている高齢ドライバーなどが切り替えられるほか、運転に不安がある人が免許を取る場合にも選択できることになる見通しです。
また、一定の違反歴がある高齢ドライバーには、免許更新の際に実技検査を義務づける方針です。
検査は自動車教習所などで行い、実際に車を運転して一時停止やハンドル操作がスムーズにできるかをチェックし、免許の更新を認めない場合もあります。
対象とするドライバーの年齢については、75歳以上もしくは80歳以上にすることで検討が進められています。
警察庁は、こうした内容を盛り込んだ道路交通法の改正案を年明けの通常国会に提出する見通しです。
この「限定免許」は、すでに普通免許などを持っている高齢ドライバーなどが切り替えられるほか、運転に不安がある人が免許を取る場合にも選択できることになる見通しです。
また、一定の違反歴がある高齢ドライバーには、免許更新の際に実技検査を義務づける方針です。
検査は自動車教習所などで行い、実際に車を運転して一時停止やハンドル操作がスムーズにできるかをチェックし、免許の更新を認めない場合もあります。
対象とするドライバーの年齢については、75歳以上もしくは80歳以上にすることで検討が進められています。
警察庁は、こうした内容を盛り込んだ道路交通法の改正案を年明けの通常国会に提出する見通しです。
重大な事故相次ぐ
交通死亡事故は、去年、全国で3449件と件数としては過去最少となる一方、高齢ドライバーによる重大な事故が相次いでいます。
2016年10月には横浜市で87歳のドライバーが運転する軽トラックが集団登校中の小学生の列に突っ込み、6歳の男の子が亡くなるなど、8人が死傷しました。
去年5月には、神奈川県茅ヶ崎市の国道で90歳のドライバーの車が赤信号を無視して歩行者などを次々とはね、4人を死傷させる事故が起きました。
ことしに入ってからも事故は相次ぎ、4月に、東京・池袋で、87歳のドライバーが運転する車が暴走して通行人を次々とはね3歳の女の子と母親の2人が死亡、10人がけがをしました。
75歳以上の高齢ドライバーによる死亡事故はことしに入って11月末までに全国で354件に上っています。
2016年10月には横浜市で87歳のドライバーが運転する軽トラックが集団登校中の小学生の列に突っ込み、6歳の男の子が亡くなるなど、8人が死傷しました。
去年5月には、神奈川県茅ヶ崎市の国道で90歳のドライバーの車が赤信号を無視して歩行者などを次々とはね、4人を死傷させる事故が起きました。
ことしに入ってからも事故は相次ぎ、4月に、東京・池袋で、87歳のドライバーが運転する車が暴走して通行人を次々とはね3歳の女の子と母親の2人が死亡、10人がけがをしました。
75歳以上の高齢ドライバーによる死亡事故はことしに入って11月末までに全国で354件に上っています。
高齢運転者対策 徐々に拡充・強化
高齢ドライバーについてはこれまでにもさまざまな対策が取られてきました。
平成10年に、運転免許を更新する75歳以上の高齢者を対象に「高齢者講習」を受けることが義務づけられ、平成14年以降は、これが70歳以上に拡大されて実施されています。
おととし3月には、75歳以上の高齢者が免許の更新時などに受ける「認知機能検査」が強化され、「認知症のおそれがある」と判定された人には医師の診断が義務づけられました。
認知機能の検査で「正常」と判定されていた人でも身体能力の衰えなどによって重大な事故を起こすケースがあることから、警察庁は自主的な免許の返納を呼びかけています。
さらに先月からは、全国共通の相談ダイヤルを設置してドライバーや家族から相談を受け付けるなどさまざまな取り組みを進めてきました。
平成10年に、運転免許を更新する75歳以上の高齢者を対象に「高齢者講習」を受けることが義務づけられ、平成14年以降は、これが70歳以上に拡大されて実施されています。
おととし3月には、75歳以上の高齢者が免許の更新時などに受ける「認知機能検査」が強化され、「認知症のおそれがある」と判定された人には医師の診断が義務づけられました。
認知機能の検査で「正常」と判定されていた人でも身体能力の衰えなどによって重大な事故を起こすケースがあることから、警察庁は自主的な免許の返納を呼びかけています。
さらに先月からは、全国共通の相談ダイヤルを設置してドライバーや家族から相談を受け付けるなどさまざまな取り組みを進めてきました。
高齢運転者対策 検討の経緯
警察庁によりますと、高齢化によって、平成2008年の末に304万人だった75歳以上の運転免許の保有者は、去年564万人に増加し、4年後の2013年には、717万人に達すると予測されています。
警察庁は、おととし、交通や医療の専門家による有識者会議を設置して新たな対策の検討を始めました。
議論されてきたのが、高齢者が運転できる条件を制限する「限定免許」と免許更新の際に運転がきちんとできるか技能検査を行うことなどでした。
ただ、高齢者が運転できる条件を制限したり、免許の更新を認めなかったりすることは、ドライバーのそれまでの権利を奪うことにもつながることから、警察庁は、海外で導入されている制度や国民へのアンケートなども参考にしながら、慎重に検討を進めてきました。
警察庁は、おととし、交通や医療の専門家による有識者会議を設置して新たな対策の検討を始めました。
議論されてきたのが、高齢者が運転できる条件を制限する「限定免許」と免許更新の際に運転がきちんとできるか技能検査を行うことなどでした。
ただ、高齢者が運転できる条件を制限したり、免許の更新を認めなかったりすることは、ドライバーのそれまでの権利を奪うことにもつながることから、警察庁は、海外で導入されている制度や国民へのアンケートなども参考にしながら、慎重に検討を進めてきました。
地方で車は生活の足
愛媛県鬼北町は、人口およそ1万人、町民の44%が65歳以上で、高齢化が進んでいます。主な産業は農業や林業で、ふだんの生活や仕事で車は欠かすことができません。
10年前に愛媛県庁を定年退職し、現在、故郷の鬼北町に戻って農業をしている渡邊正一さん(70)も、自宅から5キロほど離れた畑との行き来に車を利用しています。
全国で発生する高齢ドライバーの事故は「ひと事とは思えない」と感じる一方で、車がなければ畑に行くこともできず、「可能なかぎり運転は続けたい」と話しています。
鬼北町の町役場では、運転免許を返納した人にタクシーで利用できる補助券を配布するなど、高齢者の移動手段の確保に取り組んでいますが、財政的な限界もあります。
鬼北町企画振興課の二宮浩課長は「国には地方の事情も理解してもらい、高齢者が、安心して車に乗り続けることができる制度を考えてほしい」と話しています。
10年前に愛媛県庁を定年退職し、現在、故郷の鬼北町に戻って農業をしている渡邊正一さん(70)も、自宅から5キロほど離れた畑との行き来に車を利用しています。
全国で発生する高齢ドライバーの事故は「ひと事とは思えない」と感じる一方で、車がなければ畑に行くこともできず、「可能なかぎり運転は続けたい」と話しています。
鬼北町の町役場では、運転免許を返納した人にタクシーで利用できる補助券を配布するなど、高齢者の移動手段の確保に取り組んでいますが、財政的な限界もあります。
鬼北町企画振興課の二宮浩課長は「国には地方の事情も理解してもらい、高齢者が、安心して車に乗り続けることができる制度を考えてほしい」と話しています。
専門家「運転以外の移動手段確保も必要」
交通政策に詳しい桜美林大学の戸崎肇教授は「公共交通機関が衰退している中で、単に運転免許の返納を迫るだけでは、問題解決にはつながらない。サポートカーの機能はまだ限定的だが、高齢者が安心して車を運転できるという意味で普及が進むことは望ましい」と話しています。
そのうえで「特に地方に住む高齢者にとっては車の運転は生活に必要で死活問題だ。高齢者ができるだけ長く運転を続けられることに加えて車を運転しなくても移動手段を確保できることを同時に進めていく必要がある」と指摘しています。
そのうえで「特に地方に住む高齢者にとっては車の運転は生活に必要で死活問題だ。高齢者ができるだけ長く運転を続けられることに加えて車を運転しなくても移動手段を確保できることを同時に進めていく必要がある」と指摘しています。
ソース:NHK ニュース