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イラン当局が会見 旅客機撃墜の見方否定 公正な調査を強調
2020-01-10 11:13:49
ウクライナの旅客機がイランの空港を離陸後まもなく墜落したことについて、イランの航空当局は10日会見し「いかなるミサイルによっても撃ち落とされていないと断言できる」と述べて、イランが撃墜したという見方を改めて否定しました。事故の調査についてイランは今後、欧米の専門家らを招く方針を示し、公正な調査を行うと強調しています。
イランからウクライナに向かっていたウクライナ国際航空の752便は8日、首都テヘラン近郊の空港を離陸後まもなく墜落し、180人近い乗客乗員全員が死亡しました。
ウクライナ政府によりますと、乗客にはイラン国籍の82人とカナダ国籍の63人、またウクライナ、スウェーデン、アフガニスタン、ドイツ、イギリス国籍の人が含まれていたということです。
この事故でカナダのトルドー首相は「イランの地対空ミサイルで撃墜されたことを示す証拠がある」と述べるなど、欧米各国はイランが誤ってミサイルで撃墜したという見方を示しています。
これに対してイラン航空当局の責任者は10日、記者会見を開き「旅客機はいかなるミサイルによっても撃ち落とされていないと断言できる。1分30秒以上にわたって旅客機は火を出しながら飛んでいるし、旅客機の位置情報は、パイロットが引き返そうとしていたことを示している」と述べて、改めて撃墜されたという見方を否定しました。
操縦席の会話などが録音されるブラックボックスについては「通常の状態であれば、イランでデータを読み取ることができるが、損傷がひどい場合は、ほかの国に支援をお願いすることになる」と説明しています。
またイラン外務省は声明で、今後の事故調査で機体を製造したアメリカのボーイング社や、多くの乗客が乗っていたカナダなどからも専門家を招く意向を示しました。
欧米各国が旅客機は撃墜されたという見方を相次いで示す中、イランとしては国際社会に対し、公正な調査を行うことを強調しています。
ウクライナ政府によりますと、乗客にはイラン国籍の82人とカナダ国籍の63人、またウクライナ、スウェーデン、アフガニスタン、ドイツ、イギリス国籍の人が含まれていたということです。
この事故でカナダのトルドー首相は「イランの地対空ミサイルで撃墜されたことを示す証拠がある」と述べるなど、欧米各国はイランが誤ってミサイルで撃墜したという見方を示しています。
これに対してイラン航空当局の責任者は10日、記者会見を開き「旅客機はいかなるミサイルによっても撃ち落とされていないと断言できる。1分30秒以上にわたって旅客機は火を出しながら飛んでいるし、旅客機の位置情報は、パイロットが引き返そうとしていたことを示している」と述べて、改めて撃墜されたという見方を否定しました。
操縦席の会話などが録音されるブラックボックスについては「通常の状態であれば、イランでデータを読み取ることができるが、損傷がひどい場合は、ほかの国に支援をお願いすることになる」と説明しています。
またイラン外務省は声明で、今後の事故調査で機体を製造したアメリカのボーイング社や、多くの乗客が乗っていたカナダなどからも専門家を招く意向を示しました。
欧米各国が旅客機は撃墜されたという見方を相次いで示す中、イランとしては国際社会に対し、公正な調査を行うことを強調しています。
テヘラン市民は
墜落の原因について、イランの首都テヘランに暮らす26歳の男子大学生は「技術的な理由だと思っています。撃墜だという情報を出すことで、アメリカがイランのイメージをおとしめようとしているのではないか」と話していました。
23歳の女性は「イラン側の主張は真実だと思います。仮にミサイルならば、それは本当に悲しいことです」と話していました。
一方で、58歳の男性は「何が起きたのかわからないが、単純な事故ではないように思います。今後、各国との関係に100%影響を与えると思う」と話していました。
23歳の女性は「イラン側の主張は真実だと思います。仮にミサイルならば、それは本当に悲しいことです」と話していました。
一方で、58歳の男性は「何が起きたのかわからないが、単純な事故ではないように思います。今後、各国との関係に100%影響を与えると思う」と話していました。
住民「2回の爆発音」
墜落した現場から数キロのところに暮らす30代の女性がNHKの電話インタビューに応じました。
この中で女性は「まず爆発音が聞こえ、それと同時に建物も揺れた。ほどなく2回目の爆発音も聞こえた。とても怖かったし、近所の人が叫んでいるのを聞いて、もっと怖くなりました」と話し、当時の様子を振り返りました。
また「2度目の爆発音は、最初の爆発音よりも比較的小さく感じました」としています。
そのうえで「私は報復攻撃に関するニュースを見るため起きていました。そのため、旅客機の事故ではなくアメリカ側が反撃としてイランにミサイル攻撃を行ったのかと思いました」と話していました。
この中で女性は「まず爆発音が聞こえ、それと同時に建物も揺れた。ほどなく2回目の爆発音も聞こえた。とても怖かったし、近所の人が叫んでいるのを聞いて、もっと怖くなりました」と話し、当時の様子を振り返りました。
また「2度目の爆発音は、最初の爆発音よりも比較的小さく感じました」としています。
そのうえで「私は報復攻撃に関するニュースを見るため起きていました。そのため、旅客機の事故ではなくアメリカ側が反撃としてイランにミサイル攻撃を行ったのかと思いました」と話していました。
墜落機 離陸から約3分で記録途絶える
旅客機が発信する位置や高度の情報をもとに飛行コースを公開している民間のホームページ「フライトレーダー24」によりますと、墜落したウクライナ国際航空の752便は、首都テヘラン近郊の国際空港を現地時間の午前6時すぎに離陸しました。
その後、高度を上げながら北西方向に飛行しましたが、離陸からおよそ3分後、高度およそ2400メートルで記録が途絶えています。
機体は、上空を飛んでいる段階で突然データを発信できない状態になった可能性があります。
その後、高度を上げながら北西方向に飛行しましたが、離陸からおよそ3分後、高度およそ2400メートルで記録が途絶えています。
機体は、上空を飛んでいる段階で突然データを発信できない状態になった可能性があります。
イランの地対空ミサイルシステムとは…
イランはミサイル攻撃などに備えて地上からミサイルを迎撃する複数の地対空ミサイルシステムを導入しています。
ロシア製の地対空ミサイルシステム「S300」を導入しているほか、国産とされる移動式地対空ミサイルシステム「ババル」も開発し、S300を上回る能力があるとしています。
こうした中、アメリカの有力紙ニューヨーク・タイムズなど複数のメディアは、旅客機は撃墜され、防空システムの「SA15」が使われたというアメリカ政府当局者の見方を伝えています。「SA15」は、1990年代にロシアが開発した防空システムでイランは、2000年代半ばに導入したと言われています。
NATO=北大西洋条約機構では、「SA15」という名称で呼ばれていますがロシアでは、「トール」と呼ばれています。SA15は、レーダーで空中の目標物の位置を捉えて移動が可能な発射台からミサイルを発射でき、都市など広い範囲を防御できるS300に比べて、特定の部隊や施設など比較的狭い範囲を防御するために使用されます。
ロシアの軍事に詳しい東京大学先端科学技術研究センターの小泉悠特任助教は「アメリカ当局者の見立ての真偽はわからないが、旅客機は離陸直後で速度も出ておらず、システムの能力を考慮すると、技術的には撃墜することも可能だと思われる」と話していました。
ロシア製の地対空ミサイルシステム「S300」を導入しているほか、国産とされる移動式地対空ミサイルシステム「ババル」も開発し、S300を上回る能力があるとしています。
こうした中、アメリカの有力紙ニューヨーク・タイムズなど複数のメディアは、旅客機は撃墜され、防空システムの「SA15」が使われたというアメリカ政府当局者の見方を伝えています。「SA15」は、1990年代にロシアが開発した防空システムでイランは、2000年代半ばに導入したと言われています。
NATO=北大西洋条約機構では、「SA15」という名称で呼ばれていますがロシアでは、「トール」と呼ばれています。SA15は、レーダーで空中の目標物の位置を捉えて移動が可能な発射台からミサイルを発射でき、都市など広い範囲を防御できるS300に比べて、特定の部隊や施設など比較的狭い範囲を防御するために使用されます。
ロシアの軍事に詳しい東京大学先端科学技術研究センターの小泉悠特任助教は「アメリカ当局者の見立ての真偽はわからないが、旅客機は離陸直後で速度も出ておらず、システムの能力を考慮すると、技術的には撃墜することも可能だと思われる」と話していました。
ソース:NHK ニュース