安倍あべ首相しゅしょう 施政しせい方針ほうしん演説えんぜつ 五輪ごりん成功せいこうに決意けつい 憲法けんぽう改正かいせい議論ぎろん呼よびかけ

安倍あべ総理そうり大臣だいじんは衆参しゅうさん両院りょういんの本ほん会議かいぎで施政しせい方針ほうしん演説えんぜつを行おこない、ことしの東京とうきょうオリンピック・パラリンピックを「世界中せかいじゅうに感動かんどうを与あたえる最高さいこうの大会たいかい」にすると成功せいこうへの決意けついを表あらわしたうえで、国民こくみんとともに新あたらしい時代じだいを切きり拓ひらくと強調きょうちょうしました。また、憲法けんぽう改正かいせいについては「その案あんを示しめすのは国会こっかい議員ぎいんの責任せきにんではないか」と国会こっかいの場ばで議論ぎろんを進すすめようと呼よびかけました。

はじめに安倍あべ総理そうり大臣だいじんはことしの東京とうきょうオリンピック・パラリンピックについて、「日本にっぽん全体ぜんたいが力ちからを合あわせて、世界中せかいじゅうに感動かんどうを与あたえる最高さいこうの大会たいかい」にすると成功せいこうへの決意けついを表あらわしたうえで、「日本にっぽんはもう成長せいちょうできない」とされた「諦あきらめの壁かべ」は、この７なな年ねんで完全かんぜんに打ち破うちやぶることができたと強調きょうちょうし、「令りょう和わの新あたらしい時代じだいをともに切きり拓ひらいていこう」と呼よびかけました。

復興ふっこう五輪ごりん

そして、聖火せいかリレーがかつて原発げんぱつ事故じこ対応たいおうの拠点きょてんとなったサッカー施設しせつ、福島ふくしまの「Ｊじぇいヴィレッジ」からスタートし、浪江なみえ町まちでは世界せかい最大さいだい級きゅうの再生さいせいエネルギーによる水素すいそ製造せいぞう施設しせつが本格ほんかく稼働かどうするなど東日本ひがしにっぽん大震災だいしんさいの被災ひさい地ちで進すすむ復興ふっこうの状況じょうきょうを説明せつめいしたうえで、「力強ちからづよく復興ふっこうしつつある被災ひさい地ちの姿すがたを実感じっかんしてもらいたい。まさに『復興ふっこう五輪ごりん』だ」と述のべました。

観光かんこう立国りっこく

また、東京とうきょう大会たいかいは地域ちいきの魅力みりょくを世界せかいに発信はっしんする絶好ぜっこうの機会きかいだとして日本にっぽんが誇ほこる地域ちいき文化ぶんかに触ふれてもらう「日本にっぽん博はく」を開催かいさいするほか、ＩＲあいあ-る＝統合とうごう型がたリゾート施設しせつの整備せいびについては、「高たかい独立どくりつ性せいを持もった管理かんり委員いいん会かいの下した、厳正げんせいかつ公平こうへい・公正こうせいな審査しんさを行おこないながら整備せいびに取り組とりくむ」と述のべるとともに、2030年ねんに日本にっぽんを訪おとずれる外国がいこく人じん旅行りょこう者しゃを6000万まん人にんとする目標もくひょうの実現じつげんを目指めざすと宣言せんげんしました。

イノベーション

一方いっぽう、安倍あべ総理そうり大臣だいじんは「第だい四よん次じ産業さんぎょう革命かくめいがもたらすインパクトは、経済けいざいのみにとどまらず、安全あんぜん保障ほしょうをはじめ、社会しゃかいのあらゆる分野ぶんやに大おおきな影響えいきょうを及およぼす」と述のべ、高速こうそく・大だい容量ようりょうの通信つうしん規格きかく、５ごＧぎがの次つぎの世代せだいにあたる「ポスト５ごＧぎが」や、さらにその先さきも見据みすえ、大胆だいたんな税制ぜいせい措置そちと予算よさんでイノベーションを力強ちからづよく後押あとおしする考かんがえを示しめしました。

アベノミクス

そして、「新あたらしい経済けいざい対策たいさくは、安心あんしんと成長せいちょうの未来みらいを切きり拓ひらくものだ」と述のべ、事業じぎょう規模きぼが総額そうがく26兆ちょう円えん程度ていどの新あらたな経済けいざい対策たいさくを講こうじ、米べい中ちゅう貿易ぼうえき摩擦まさつやイギリスのＥＵい-ゆ-＝ヨーロッパ連合れんごうからの離脱りだつなどによる経済けいざいの下した振ふれリスクにも万全ばんぜんを期きす考かんがえを強調きょうちょうしました。

また、「経済けいざい再生さいせいなくして財政ざいせい健全けんぜん化かなし」という基本きほん方針ほうしんを堅持けんじし、引き続ひきつづき2025年度ねんどの基礎きそ的てき財政ざいせい収支しゅうしの黒字くろじ化かを目指めざすとしています。

いわゆる就職しゅうしょく氷河期ひょうがき世代せだいへの支援しえんについて、「就業しゅうぎょうを３さん年間ねんかん集中しゅうちゅうで一気いっきに拡大かくだいする。あらゆる施策しさくを講こうじ、意欲いよく、経験けいけん、能力のうりょくを活いかせるチャンスを広ひろげる」と述のべました。

全ぜん世代せだい型がた社会しゃかい保障ほしょう

「最大さいだいのチャレンジ」と位置いちづける全ぜん世代せだい型がた社会しゃかい保障ほしょう改革かいかくについては働はたらく意欲いよくのある65歳さい以上いじょうの人ひとたちに70歳さいまでの就業しゅうぎょう機会きかいを確保かくほし年金ねんきんの受給じゅきゅう開始かいし年齢ねんれいの選択肢せんたくしを75歳さいまで拡大かくだいするなど、働はたらき方かたの変化へんかを中心ちゅうしんに据すえ、改革かいかくを進すすめるとしたうえで、「現役げんえき世代せだいの負担ふたん上昇じょうしょうに歯止はどめをかけることは、待まったなしの課題かだいだ」と述のべ、年齢ねんれいではなく、能力のうりょくに応おうじた負担ふたんへと見直みなおす考かんがえを強調きょうちょうしました。

外交がいこう・安全あんぜん保障ほしょう

一方いっぽう、外交がいこう・安全あんぜん保障ほしょうについて、安倍あべ総理そうり大臣だいじんは、戦後せんご外交がいこうを総そう決算けっさんし、新あたらしい時代じだいの日本にっぽん外交がいこうを確立かくりつする正念場しょうねんばの１いち年ねんだとしたうえで、北朝鮮きたちょうせんによる拉致らち問題もんだいの解決かいけつに向むけ、条件じょうけんをつけずに日にち朝ちょう首脳しゅのう会談かいだんの実現じつげんを目指めざす考かんがえを重かさねて示しめす一方いっぽう、「国民こくみんの生命せいめいと財産ざいさんを守まもるため、毅然きぜん（きぜん）として行動こうどうしていく方針ほうしんはしっかりと貫つらぬいていく」と述のべました。

また、北東ほくとうアジアの安全あんぜん保障ほしょう環境かんきょうが厳きびしさを増ます中なか、近隣きんりん諸国しょこくとの外交がいこうが極きわめて重要じゅうようだと指摘してきし、関係かんけいが冷え込ひえこむ韓国かんこくについて、「元来がんらい、基本きほん的てき価値かちと戦略せんりゃく的てき利益りえきを共有きょうゆうする最もっとも重要じゅうような隣国りんごくだ。未来みらい志向しこうの両国りょうこく関係かんけいを築き上きずきあげることを切せつに期待きたいする」と述のべ、「徴用ちょうよう」をめぐる問題もんだいで国際こくさい法ほう違反いはんの状態じょうたいを是正ぜせいするよう重かさねて求もとめました。

次ついで、ロシアとの間まで北方ほっぽう領土りょうど問題もんだいを解決かいけつし、平和へいわ条約じょうやくを締結ていけつする方針ほうしんに「まったく揺ゆらぎはない」としたほか、中国ちゅうごくについては、首脳しゅのう間かんの往来おうらいに加くわえてあらゆる分野ぶんやで交流こうりゅうを深ふかめ、新しん時代じだいの成熟せいじゅくした日にち中ちゅう関係かんけいを構築こうちくしていく考かんがえを示しめしました。

さらに、安倍あべ総理そうり大臣だいじんは、ことしが日にち米べい安全あんぜん保障ほしょう条約じょうやくの改定かいていから60年ねんの節目ふしめとなることに触ふれたうえで、アメリカ軍ぐん普天間ふてんま基地きちの移設いせつ計画けいかくの推進すいしんとは明示めいじせず、「日にち米べいの深ふかい信頼しんらい関係かんけいのもと、沖縄おきなわに駐留ちゅうりゅうする海兵かいへい隊たいのグアム移転いてんに向むけ、施設しせつ整備せいびなどを進すすめる」としています。

緊張きんちょうが続つづく中東ちゅうとう情勢じょうせいをめぐっては「対話たいわによる問題もんだい解決かいけつと自制じせい的てきな対応たいおうを求もとめる」と述のべ、粘り強ねばりづよい外交がいこう努力どりょくを展開てんかいし、自衛隊じえいたい派遣はけんによる情報じょうほう収集しゅうしゅう態勢たいせいを整ととのえ、日本にっぽんが関係かんけいする船舶せんぱくの安全あんぜんを確保かくほする考かんがえを重かさねて示しめしました。

一方いっぽう、地球ちきゅう温暖おんだん化か対策たいさくをめぐり、安倍あべ総理そうり大臣だいじんは５ご年ねん連続れんぞくで温室おんしつ効果こうかガスの削減さくげんを実現じつげんしたと成果せいかを強調きょうちょうし、「アメリカやＥＵい-ゆ-などの研究けんきゅう機関きかんの叡智えいちを結集けっしゅうし、産業さんぎょう革命かくめい以来いらい、増加ぞうかを続つづけてきたＣＯ２し-お-つ-を減少げんしょうに転てんじさせる『Ｂｅｙｏｎｄゼロ』を目指めざす」と述のべました。

憲法けんぽう改正かいせい

最後さいごに、安倍あべ総理そうり大臣だいじんは憲法けんぽう改正かいせいについて、「未来みらいに向むかってどのような国くにを目指めざすのか。その案あんを示しめすのは、私わたしたち国会こっかい議員ぎいんの責任せきにんではないか」と述のべ、憲法けんぽう改正かいせいの実現じつげんに強つよい意欲いよくを重かさねて示しめし、衆参しゅうさん両院りょういんの憲法けんぽう審査しんさ会かいの場ばで議論ぎろんを進すすめようと呼よびかけました。

一方いっぽう、今回こんかいの演説えんぜつでは、総理そうり大臣だいじん主催しゅさいの「桜さくらを見みる会かい」の見直みなおしや野党やとう側がわが指摘してきしている公文こうぶん書しょ管理かんりの問題もんだいについて触ふれられませんでした。

ソース：NHK ニュース