新型しんがたウイルス マスクの予防よぼう効果こうかある？ ない？

新型しんがたコロナウイルスの発生はっせいで、日本にっぽん国内こくないでも各地かくちでマスクが売り切うりきれるなど「マスク不足ふそく現象げんしょう」が起おこっています。マスクをしている人ひとの多おおくは予防よぼう効果こうかを期待きたいしているとみられます。ところが、新型しんがたコロナウイルスに対にたいするマスクの予防よぼう効果こうかを巡めぐっては、さまざまな情報じょうほうが飛び交とびかっています。マスクは予防よぼうになるのでしょうか？それともつけても予防よぼう効果こうかは無ないのでしょうか？今いまの時点じてんで分わかっていることをまとめました。

せきをしている人ひとは必かならずつける

まず、マスクについて１ひとつ確実かくじつなことがあります。それは、症状しょうじょうが少すこしでもある人ひとは必かならずマスクをするべきだということです。
せきやくしゃみをすると、１いちメートルから２にメートルほど、唾液だえきなどの飛ひまつが飛とぶとされています。
万が一まんがいち、感染かんせんしている場合ばあいは、この飛ひまつがウイルスを広ひろげる大おおきな要因よういんとなります。
これはインフルエンザや通常つうじょうのコロナウイルスなど多おおくのウイルス性せい感染かんせん症しょうで共通きょうつうする特徴とくちょうです。
このため、せきやくしゃみの症状しょうじょうがある人ひとが正まさしくマスクをつけることは、他たの人ひとにうつさない、感染かんせんを広ひろげないための、いわば「基本きほん原則げんそく」となっています。
いわゆる「せきエチケット」です。

割われる説明せつめい

では、せきなどの症状しょうじょうが無ない人ひとのマスク着用ちゃくようについては、どのような情報じょうほうが提供ていきょうされているのでしょうか？
国内こくないや海外かいがいの主おもな機関きかんのホームページから、「症状しょうじょうが無ない人ひとのマスク」について書かかれた内容ないようを調しらべてみました。ホームページの内容ないようは２月にがつ７なな日にち現在げんざいです。今後こんご、更新こうしんされることもあります。

（１いち）首相しゅしょう官邸かんていＨＰえいちぴ-
「予防よぼう用ようにマスクを着用ちゃくようすることは、混こみ合あった場所ばしょ、特とくに屋内おくないや乗り物のりものなどの換気かんきが不十分ふじゅうぶんな場所ばしょでは１ひとつの予防よぼう策さくと考かんがえられます」としています。
ただ、同時どうじに「相当そうとう混雑こんざつしていない限かぎり、効果こうかはあまり認みとめられていません」と注釈ちゅうしゃくを付つけて説明せつめいしていました。

（２に）厚あつ労ろう省しょうＨＰえいちぴ-
２月にがつ７なな日にちに新型しんがたコロナウイルスについてのＱ＆Ａが更新こうしんされ、首相しゅしょう官邸かんていのホームページと同おなじ内容ないようが掲載けいさいされました。

（３さん）消費しょうひ者しゃ庁ちょうＨＰえいちぴ-
マスクを必要ひつようとする人ひとが確保かくほできるよう、転売てんばい目的もくてきの購入こうにゅうは望のぞましくなく、配慮はいりょしてほしいと、注意ちゅういを呼よびかけていました。
予防よぼう策さくについては首相しゅしょう官邸かんていのホームページで確認かくにんするよう促うながしていました。

（４よん）ＷＨＯだぶりゅ-えいちお-（世界せかい保健ほけん機関きかん）のＨＰえいちぴ-
Ｑ＆Ａの中なかで、「予防よぼうのためにマスクを着用ちゃくようすべきですか？」という項目こうもくを設もうけています。
この中なかでは、マスクだけでは感染かんせんを防ふせげる保証ほしょうは無ないとして、貴重きちょうな資源しげんをむだにせず、また間違まちがった使い方つかいかたをしないためにも、症状しょうじょうのある人ひとだけがマスクをするよう呼よびかけています。
また、同おなじ場所ばしょにリンクがつけられている「マスク使用しようのアドバイス」には、マスクで予防よぼうできるという科学かがく的てき根拠こんきょは無ないため、症状しょうじょうが無ない場合ばあいはマスクは必要ひつようないと書かかれています。
ただ、新型しんがたコロナウイルスの患者かんじゃの看病かんびょうなどをする場合ばあいはマスクをつけるべきだとしています。

（５ご）ＣＤＣし-でぃ-し-（アメリカ疾病しっぺい対策たいさくセンター）
インフルエンザが大だい流行りゅうこうした際さいの備そなえについて用意よういされたガイドラインを、新型しんがたコロナウイルスが大だい流行りゅうこうした際さいにも有効ゆうこうだとして紹介しょうかいしています。
その中なかでは、特別とくべつな状況じょうきょうにないかぎり、感染かんせんを避さけるという目的もくてきで症状しょうじょうのない人ひとがマスクを着用ちゃくようすることは推奨すいしょうしないとしています。
一方いっぽうで、人混ひとごみを避さけられない場合ばあいや、妊婦にんぷや高齢こうれい者しゃなど発症はっしょうするとリスクが大おおきい人ひとや、家族かぞくなどでそうした人ひとと接触せっしょくする場合ばあいは、マスクを使用しようしてもいいとしています。

今回こんかい、調しらべたホームページを見みた結論けつろんとしては、「マスクだけでは、予防よぼう効果こうかはあまり期待きたいできないけれど、人混ひとごみの中なかなど一定いっていの環境かんきょうでは、ある程度あるていどの予防よぼうに役立やくだつかもしれない。ただ、科学かがく的てきなエビデンスは存在そんざいしない」といったところでしょうか。

なぜ分わからない

どうして科学かがく的てきエビデンスが無ないのでしょうか。コロナウイルスやインフルエンザのウイルスが、マスクで防ふせぐことができるかどうかを科学かがく的てきに調しらべようと思おもうと、実じつは非常ひじょうに難むずかしい実験じっけんが必要ひつようとなります。
できる限かぎり多おおくの人ひとたちを２ふたつのグループに分わけ、必かならずマスクをつけて生活せいかつするグループとマスクを全まったくしないグループで、どれだけ感染かんせんするかを調しらべるなどです。
１いち週間しゅうかん程度ていどの期間きかんでは感染かんせんする人ひとが少すくなすぎるため、冬ふゆの間まずっと続つづける必要ひつようがあるかもしれません。
そもそも、日本にっぽんをはじめ、アジアの国々くにぐにでは習慣しゅうかん的てきにマスクを使用しようする人ひとが少すくなくありませんが、冬場ふゆばのインフルエンザの患者かんじゃ数すうや流行りゅうこう状況じょうきょうは、健康けんこうな人ひとはほとんどマスクをしない欧米おうべいの国くにと比くらべて、少すくなくはありません。
実際じっさい、2009年ねんから2010年ねんにかけて、当時とうじの新型しんがたインフルエンザが流行りゅうこうした際さいには、ワクチンも接種せっしゅが始はじまっていて、予防よぼう法ほうが大おおきく取り上とりあげられていました。
マスクをしていた人ひとも多おおかったと思おもいます。それでも、非常ひじょうに大おおきな流行りゅうこうとなりました。

確たしかなことに注目ちゅうもくしてみる

しかたが無ないので、確たしからしいことを見みていきます。

（１いち）新型しんがたコロナウイルスはウイルスが含ふくまれた飛ひまつを直接ちょくせつ、吸い込すいこむなどするか、飛ひまつによって飛び散とびちったウイルスが手てに付着ふちゃくし、その手てで顔かおなどの粘膜ねんまくを触さわることで感染かんせんするとみられる。（これは通常つうじょうのコロナウイルスと同おなじと考かんがえられています）

（２に）空気くうき中ちゅうをウイルスが漂ただよって空気くうき感染かんせんすることは、ＩＣＵあいし-ゆ-などのごく限かぎられた特殊とくしゅな環境かんきょう　以外いがいでは起おこらない。（これはインフルエンザでもいわれています）

（３さん）サージカルマスク（通常つうじょうの使い捨つかいすてマスク）はウイルス自体じたいをシャットアウトすることはできないが、飛ひまつは粒つぶが大おおきいため通とおさない。

（４よん）ウイルスが手てについていて、その手てで目めや鼻はな、口くちなどを触さわれば感染かんせんする。

（５ご）マスクをしていても鼻はなが出でていたり、あごにかけているだけだったりと間違まちがった使い方つかいかたをしていると予防よぼう効果こうかは無ない。

（６ろく）マスクをしていると顔かおを簡単かんたんに触さわらなくなるので、手てについたウイルスが鼻はなや口くちに入はいりにくいと説明せつめいされることがある。（ただ、周囲しゅういを見渡みわたしてみると、結構けっこう、マスクをずらして顔かおを触さわっている光景こうけいを見みることがありました。）

（７なな）マスクをつけていると安心あんしんするという意見いけんがある。ほかにも考かんがえるべき要因よういんは有あるとおもいますが、医師いしや研究けんきゅう者しゃなどへの取材しゅざいをまとめると以上いじょうのようになりました。

（１いち）から（５ご）までを合あわせて考かんがえると、やはり、ある程度あるていどの予防よぼう効果こうかはあるとしても、そこまで大おおきく無なく、むしろ手てについたウイルスをよく洗い流あらいながしたりアルコール消毒しょうどくしたりする方ほうが意味いみがあるように思おもえます。
「通常つうじょうの生活せいかつの中なかで、症状しょうじょうの無ない人ひとのマスクは効果こうかが無ない」と断言だんげんする感染かんせん症しょうの専門せんもん家かもいました。
ただ、（７なな）の安心あんしん感かんは決けっして無視むしはできない気きもします。

それでも結論けつろんを

「症状しょうじょうの無ない人ひとは、マスクはしないよりはした方ほうがマシ程度ていどに考かんがえるべき」。
今回こんかい、取材しゅざいした専門せんもん家かの１いち人にんのことばです。

手元てもとにマスクが無ないならば、あまり気きにせず、手洗てあらいや睡眠すいみんをしっかりとって体調たいちょうを整ととのえておくなどの対策たいさくに力ちからを入いれるのがいいと考かんがえられます。
ただ、感染かんせんのリスクを下さげるべき人ひとたち、つまり持病じびょうがあったり、高齢こうれいであったり、またウイルスに感染かんせんしやすくなっている妊婦にんぷであったり、感染かんせん症しょうのハイリスクとされる人ひとたちは、マスクをつけるほうがいいでしょう。
現在げんざい、マスクが品薄しなうすと報ほうじられていますが、正まさしく付つけられていないマスクは感染かんせん予防よぼうの意味いみがありません。
マスクを必要ひつようとするハイリスクの人ひとたちに、どうすればマスクを届とどけられるのか、一緒いっしょに考かんがえていければと感かんじました。

ソース：NHK ニュース