神戸こうべ 児童じどう連続れんぞく殺傷さっしょう事件じけんから27年ねん 山下やました彩花あやかさん命日めいにちに父親ちちおや手記しゅき

1997年ねんに神戸こうべ市しで起おきた児童じどう連続れんぞく殺傷さっしょう事件じけんで、小学しょうがく4年生ねんせいの山下やました彩花あやかさんが当時とうじ14歳さいの少年しょうねんに殺害さつがいされてから、23日にちで27年ねんです。彩花あやかさんの父親ちちおやは、報道ほうどう機関きかんに手記しゅきを寄よせ「今いまでも胸むねが苦くるしくなります。辛つらくて寂さびしい、それだけです」と苦くるしい胸むねの内うちを明あかしました。

1997年ねんの2月つきから5月つきにかけて、神戸こうべ市し須磨すま区くで起おきた児童じどう連続れんぞく殺傷さっしょう事件じけんでは、当時とうじ14歳さいの少年しょうねんに小学生しょうがくせい5人にんが襲おそわれ2人にんが死亡しぼう、3人にんが大だいけがをしました。

3月つき23日にちは、このうち小学しょうがく4年生ねんせいだった山下やました彩花あやかさん（当時とうじ10）の命日めいにちで、父親ちちおやの山下やました賢治けんじさん（75）が報道ほうどう各社かくしゃに手記しゅきを寄よせました。

この中なかで、事件じけんに対にたいする思おもいについて「真相しんそうをどうしても知しりたいと思おもう反面はんめん、知しってしまうことへの恐怖きょうふ心しんとが絡み合からみあい、あまりにも複雑ふくざつ過すぎて私わたし達たちの思おもいを言葉ことばではとても表現ひょうげんすることができません。あまりにも深ふかく、重おもく辛つらい問といかけばかりが頭あたまのなかで渦うずを巻まいて、一向いっこうに答こたえが見みえてきません」と複雑ふくざつな心境しんきょうをつづっています。

そのうえで、「この27年ねんを振り返ふりかえるとついこの間このかんのように思おもわれ、時ときの流ながれの速はやさを感かんじます。今いまでも胸むねが苦くるしくなります・・・辛つらくて寂さびしい、それだけです」と、としつきがたっても変かわらない苦くるしい胸むねの内うちを明あかしました。

山下やましたさんは今回こんかい、NHKのインタビュー取材しゅざいにも応おうじました。

この中なかで山下やましたさんは「子こどもが、どのような状況じょうきょうで殺害さつがいされたのかを考かんがえただけでも怒いかりがわいてきます。27年ねんがたっても、この悔くやしさや悲かなしみ、そして、つらさは変かわることはありません」と話はなしていました。

事件じけんをめぐっては、記録きろくが裁判所さいばんしょで廃棄はいきされていたことが、2022年ねんに明あきらかになり、ほかにも重大じゅうだい事件じけんの記録きろく廃棄はいきが、各地かくちの裁判所さいばんしょで相次あいついでいたことが明あきらかになりました。

山下やましたさんは「裁判所さいばんしょは『終おわった事件じけん』としか捉とらえていなかったのだと思おもいます。遺族いぞくにとっては何なん年ねんたっても区切くぎりや終おわりはありません」と話はなしていました。

この問題もんだいを受うけて、最高さいこう裁判所さいばんしょは再発さいはつ防止ぼうし策さくとして、常設じょうせつの第三者だいさんしゃ委員いいん会かいを設置せっちして、記録きろくの永久えいきゅう保存ほぞんの必要ひつよう性せいについて、専門せんもん家かの意見いけんを聞きくなどとした規則きそくを制定せいていし、ことし1月つきから運用うんようを始はじめています。

山下やました彩花あやかさんの父親ちちおや 賢治けんじさんの手記しゅき全文ぜんぶん

山下やました彩花あやかさん（当時とうじ10）の父親ちちおやの山下やました賢治けんじさん（75）が報道ほうどう機関きかんに寄よせた手記しゅきの全文ぜんぶんです。


神戸こうべ連続れんぞく児童じどう殺傷さっしょう事件じけんが起おきたのは1997年ねん、平成へいせい9年ねん3月つき16日にち12時じ25分ふん頃ごろのこと、日曜にちよう日ひでした。

今いまから27年ねん前まえの事ことで、真相しんそうは全まったくの闇やみの中なかです。

被害ひがい者しゃの立場たちばである私わたしたちにさえも、一切いっさい公開こうかいされることはありませんでした。

真相しんそうをどうしても知しりたいと思おもう反面はんめん、知しってしまうことへの恐怖きょうふ心しんとが絡み合からみあい、あまりにも複雑ふくざつ過すぎて私わたし達たちの思おもいを言葉ことばではとても表現ひょうげんすることができません。

どのようにしてA少年しょうねんの心こころが殺人さつじんへと傾斜けいしゃしていったのか。

なぜ娘むすめの彩花あやかがあの場所ばしょで彼かれ、Aと行いき会あい、出会であってしまったのか。

そして理由りゆうもなく殺害さつがいされなければならなかったのか。

あまりにも深ふかく、重おもく辛つらい問といかけばかりが頭あたまのなかで渦うずを巻まいて、一向いっこうに答こたえが見みえてきません。

たった一ひとつだけ、おぼろげながら輪郭りんかくが見みえてきたのは、彼かれが犯おかした罪つみは、拭ぬぐえない事実じじつとして彼かれ自身じしんの心こころに確実かくじつに刻み込きざみこまれているということです。

そして心こころある人間にんげんならば、いつか「心こころ」によって裁さばかれる日ひが来くるのではないかということです。

そしていまだに行方ゆくえが分わからず、連絡れんらくも途絶とだえているということは、二に人にんの子供こどもたちに対にたいして詫わびる心こころが無なくなってしまったと思おもわざるを得えません。

被害ひがい者しゃ・家族かぞくに対にたいして、償つぐなう心こころを失うしなってしまったのか。

あなたは被害ひがい者しゃ家族かぞくに対にたいして何なにをしなければならないのか考かんがえてください。

この27年ねんを振り返ふりかえるとついこの間このかんのように思おもわれ、時ときの流ながれの速はやさを感かんじます。

重おもい十字架じゅうじかを背負せおっていばらの道みちを生いきている私わたしたち家族かぞくの人生じんせいはどんな風かぜに変かわって行いくのか。

何なにも変かわらないのではないかと思おもうことさえあります。

今年ことしも3月つき23日にち彩花あやかが旅立たびだって27年ねん目めを迎むかえますが、この事ことを考かんがえると今いまでも胸むねが苦くるしくなります・・・辛つらくて寂さびしい、それだけです。

竜が台りゅうがだい小学校しょうがっこうの正門せいもん前まえの彩花あやか桜さくらは今年ことしも鮮あざやかな花はなを咲さかせてくれることでしょう。

2024年ねん3月つき23日にち 山下やました賢治けんじ

ソース：NHK ニュース