News
Show Furigana

医師いし看護かんご 医療いりょう現場げんばばく管理かんり徹底てっていされない 実態じったいあきらか

2021-06-06 19:53:14

avatar
play
全国ぜんこく医療いりょう機関きかん対象たいしょう厚生こうせい労働ろうどうしょうはつばく管理かんり調査ちょうさおこなったところ、通常つうじょう手術しゅじゅつ検査けんささい医師いしらがつける線量せんりょうけいを3わりあま医療いりょう機関きかん必要ひつよう個数こすう配布はいふしていないなど医療いりょう現場げんばばく管理かんり徹底てっていされていない実態じったいあきらかになりました。

医療いりょう高度こうどして手術しゅじゅつ検査けんさ放射線ほうしゃせん使つか機会きかいえるなか医師いし看護かんごばく問題もんだいとなっていることから厚生こうせい労働ろうどうしょう全国ぜんこく8373の医療いりょう機関きかん管理かんり体制たいせいについてはじめて調査ちょうさおこない、6わりあまから回答かいとうました。

それによりますと、放射線ほうしゃせんあつか手術しゅじゅつ検査けんさなどさい通常つうじょうむねくびもとなどからだの2か所かしょ以上いじょう線量せんりょうけいをつけることが法令ほうれいまっていますが、調査ちょうさ線量せんりょうけいを2以上いじょう配布はいふしているか確認かくにんしたところ、33.3%の医療いりょう機関きかん必要ひつよう個数こすう配布はいふしていないことがわかりました。

また線量せんりょうけい適正てきせい装着そうちゃくのためにおこな周知しゅうち方法ほうほうなど複数ふくすう回答かいとうたずねたところ、21.0%が「周知しゅうちなどはおこなっていない」と回答かいとうしました。

さらに、通常つうじょう放射線ほうしゃせんあつかエリアにはいらない従事じゅうじしゃ一時いちじてきはい場合ばあいでもばく測定そくてい必要ひつようですが、こうした管理かんりについて複数ふくすう回答かいとうたずねたところ、15.2%の医療いりょう機関きかんが「管理かんりしていない」とこたえました。

厚生こうせい労働ろうどうしょう電離でんり放射線ほうしゃせん労働ろうどうしゃ健康けんこう対策たいさくしつ夏井なついさとしあつし室長しつちょう補佐ほさは「ばく管理かんり問題もんだいはかねてから指摘してきがあったが、あらためて課題かだい確認かくにんされた。放射線ほうしゃせん使つかった治療ちりょう検査けんさのニーズはたかまっており、管理かんり徹底てってい取り組とりくみたい」とはなしています。

医療いりょう従事じゅうじしゃばくについては、民間みんかん線量せんりょう測定そくてい機関きかん集計しゅうけいからくに行政ぎょうせい指導しどう基準きじゅんえるばくをしている医療いりょう従事じゅうじしゃが2019年度ねんどまでの10ねんとし平均へいきんで260にんあまのぼっているとされるなど問題もんだいとなっていて、専門せんもんなどから状況じょうきょう正確せいかく把握はあく必要ひつようだとする指摘してきがあがっていました。

くに担当たんとうしゃ

今回こんかいまとまった厚生こうせい労働ろうどうしょう調査ちょうさ結果けっかからは医療いりょう現場げんばばく管理かんり体制たいせい課題かだい浮き彫うきぼになりました。

たとえばほか医療いりょう機関きかんはたらいたひとあら雇用こようして放射線ほうしゃせん業務ぎょうむおこなってもらう場合ばあい過去かこばくりょう確認かくにんすることになっていますが、その把握はあく方法ほうほう複数ふくすう回答かいとうたずねたところ、15.7%が「把握はあくしていない」と回答かいとうしました。

厚生こうせい労働ろうどうしょう電離でんり放射線ほうしゃせん労働ろうどうしゃ健康けんこう対策たいさくしつ夏井なついさとしあつし室長しつちょう補佐ほさは「ばくりょう評価ひょうか測定そくてい基本きほんであり、3ぶん1の医療いりょう機関きかんでできていなかったことは重大じゅうだい結果けっかだ。早急そうきゅう改善かいぜんをしてもらう必要ひつようあるまた治療ちりょう検査けんささい医療いりょう従事じゅうじしゃが『めんどくさい』ことなど理由りゆう線量せんりょうけいけないといったことなどがないよう、医療いりょう機関きかんなかで、管理かんり体制たいせいしっかりとつくることが必要ひつようなる」とはなしています。

そのうえで「医療いりょう機関きかん点検てんけんして問題もんだいてん確認かくにんし、改善かいぜんにつなげるという経過けいかくにとしても把握はあくするとともに、定期ていきてきに、状況じょうきょうまもられているか医療いりょう機関きかんみずからが確認かくにんする機会きかいつくっていく必要ひつようある」とべ、今後こんご調査ちょうさ継続けいぞくしていくとしています。

専門せんもん引き続ひきつづき、管理かんり徹底てっていもとめる取り組とりく必要ひつよう

ばく管理かんり問題もんだいくわしい産業さんぎょう医科いか大学だいがくけやき尚樹なおき教授きょうじゅ医療いりょう従事じゅうじしゃばくが恒常こうじょうしている背景はいけいとして、「医療いりょう分野ぶんやでは患者かんじゃのケアが優先ゆうせんされ、ばく管理かんりあまり実施じっしされない状況じょうきょう常態じょうたいし、それ疑問ぎもんことがないままこれまですぎてきたとおも」とはなしています。

そしてくに調査ちょうさ結果けっかについては「今回こんかい医療いりょう機関きかんどういったところを改善かいぜんする必要ひつようあるのかが明確めいかくになった。こういうながつぎのステップにつながっていくかんがえられ、いま転換てんかんとして重要じゅうよう位置いちづけある」とべています。

また今後こんごについては「厚生こうせい労働ろうどうしょう継続けいぞくして注意ちゅうい喚起かんきできるよう、アンケートなど調査ちょうさ繰り返くりかえ医療いりょう機関きかん回答かいとうすることによって『できていない』という認識にんしきって改善かいぜんをしていくこれ繰り返くりかえしていくことがもとめられているとおもう」とべ、引き続ひきつづき、管理かんり徹底てってい医療いりょう機関きかんもとめる取り組とりくかせないと強調きょうちょうしました。

放射線ほうしゃせん利用りよう実態じったい対策たいさく

厚生こうせい労働ろうどうしょう専門せんもんによりますと、体内たいない透視とうしすることができる放射線ほうしゃせん利用りよう医療いりょう高度こうどするなかで、活用かつよう機会きかいえているといいます。

放射線ほうしゃせんだけでなく、循環じゅんかん内科ないか脳神経のうしんけい外科げか整形せいけい外科げかなど、さまざまな診療しんりょう使つかわれています。

こうしたなか医師いし看護かんごなど従事じゅうじしゃ放射線ほうしゃせん使つか手術しゅじゅつ検査けんさおこなさいばくすることがあるのです。

たとえばきもかんなど臓器ぞうき放射ほうしゃせん映し出うつしだして検査けんさおこなさいには、装置そうち上部じょうぶからベッドよこになっている患者かんじゃ放射線ほうしゃせんてられます。

放射線ほうしゃせんひろがりをイメージしたから患者かんじゃたった放射線ほうしゃせん部屋へやなか拡散かくさんしていることがわかります。

患者かんじゃまわ遮蔽しゃへいするカーテン設置せっちしても、放射線ほうしゃせん隙間すきまからし、ちかにいる医師いし看護かんごなど医療いりょう従事じゅうじしゃ多少たしょうばくけられないということです。

こうした医療いりょう従事じゅうじしゃばく問題もんだい厚生こうせい労働ろうどうしょう把握はあくしていて、近年きんねん対策たいさく乗り出のりだしていました。

たとえば昨年度さくねんどは、医療いりょう機関きかんばくりょう低減ていげんするためのめがねやカーテンなど購入こうにゅうするにあたって、100まんえん上限じょうげん費用ひようの2ぶん1の補助ほじょきん事業じぎょうおこないました。

また全国ぜんこく400の医療いりょう機関きかん対象たいしょうにしたオンラインによる研修けんしゅう昨年度さくねんど実施じっしし、担当たんとうしゃばくりょう低減ていげん計画けいかくてて医療いりょう従事じゅうじしゃへの教育きょういくなど実施じっししていくことの必要ひつようせいつたえたということです。

今回こんかいはつとなる管理かんり体制たいせい調査ちょうさから現場げんば実態じったいがより正確せいかく把握はあくできたとして厚生こうせい労働ろうどうしょうでは今後こんご状況じょうきょう把握はあくするための調査ちょうさ継続けいぞくすることにしています。

またこれまでってきたばくのリスクや対策たいさく重要じゅうようせいつたえる研修けんしゅうにさらにちからをいれ、管理かんり体制たいせい徹底てっていをはかりたいとしています。

医療いりょう従事じゅうじしゃばく実態じったい

医療いりょう従事じゅうじしゃばくの問題もんだいデータからもあきらかになっています。

くにのルールでは、全身ぜんしんばく影響えいきょうあらわ実効じっこう線量せんりょう」という年間ねんかん20ミリシーベルトをえると、医療いりょう機関きかんに対にたいくに行政ぎょうせい指導しどうおこなことになっています。

民間みんかん線量せんりょう測定そくてい機関きかん4しゃ毎年まいとしまとめている、医療いりょう従事じゅうじしゃなど線量せんりょう集計しゅうけいデータをみると、この基準きじゅんえた医療いりょう従事じゅうじしゃが2019年度ねんどまでの10年間ねんかんとし平均へいきんで265.2にんいました。

このうち行政ぎょうせい指導しどうよりもさらにきびしい法令ほうれい違反いはんなる50ミリシーベルトをえたひととし平均へいきんで12.4にんにのぼっていました。

医療いりょう現場げんばばくはこうしたデータよりもさらに深刻しんこくになっているとの指摘してきもあります。

今回こんかい厚生こうせい労働ろうどうしょう調査ちょうさから線量せんりょうけい適切てきせつ医師いしらに配布はいふされていないことなど不十分ふじゅうぶん管理かんり実態じったいがわかりましたが、こうした管理かんり体制たいせい不備ふびほか研究けんきゅう機関きかん報告ほうこくからもあきらかになっています。

産業さんぎょう医科いか大学だいがく研究けんきゅうグループ去年きょねんおこなった1348にん医療いりょう従事じゅうじしゃへの抜き打ぬきう調査ちょうさでは、6わり医師いし線量せんりょうけい装着そうちゃくしていなかったことがわかりました。

専門せんもんは、管理かんり徹底てっていされていないことから、実際じっさいデータよりもおお医療いりょう従事じゅうじしゃばくをしているのではないかと指摘してきしています。

調査ちょうさおこなったグループの1にん産業さんぎょう医科いか大学だいがくもりたけたかしじゅん教授きょうじゅは「行政ぎょうせい指導しどうける20ミリちょうとし平均へいきんで200にん以上いじょうという民間みんかん会社かいしゃ集計しゅうけい結果けっかすくないといえる。線量せんりょう限度げんどえのひとはもっといるとおもっている」とはなしています。
ソース:NHK ニュース