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徴用めぐる訴訟 原告の訴え退ける 日本企業に賠償命じず 韓国
2021-06-07 08:01:40

太平洋戦争中の「徴用」で「強制的に働かされた」と主張する韓国人やその遺族ら85人が日本企業16社に対して賠償を求めている裁判で、ソウルの地方裁判所は「訴訟で請求権を行使することはできない」として、訴えを退ける判決を言い渡しました。
2018年に韓国の最高裁判所が日本企業に賠償を命じて以降、原告側の訴えを退ける判決が出たのはこれが初めてです。
2018年に韓国の最高裁判所が日本企業に賠償を命じて以降、原告側の訴えを退ける判決が出たのはこれが初めてです。
この裁判は2015年5月に起こされたもので「戦時中、『徴用』によって日本の工場などで強制的に働かされた」と主張する韓国人やその遺族ら85人が日本企業16社に対して1人当たり1億ウォン、日本円でおよそ1000万円の賠償を求めているものです。
ソウル中央地方裁判所は当初は今月10日に予定されていた判決言い渡しを7日に前倒しし、原告側の請求権は日本との請求権協定締結によって消滅したり放棄されたりしたとは言えないとする一方、訴訟で請求権を行使することは制限されるという判断を示しました。
そして、韓国は請求権協定に拘束されていて原告側の主張を認めれば国際法の原則に違反する可能性が高く、強制執行まで行われれば国家の安全保障や秩序の維持という憲法上の大原則を侵害し権利の乱用に該当するなどとして、原告側の訴えを退けました。
判決について、原告側は直ちに控訴する意向を示しています。
「徴用」をめぐっては2018年10月、韓国の最高裁判所が日本の韓国併合は不法だったという前提のもと、日韓請求権協定は不法な植民地支配に対する賠償を求めたものではないため個人請求権は行使できるとして、日本企業に賠償を命じる判決を言い渡しました。
この判決以降、韓国では同じように日本企業に賠償を命じる判決が相次いで出されていて、2018年の最高裁判決以降、原告側の訴えを退ける判決が出たのは今回が初めてです。
韓国外務省「日本側と協議を続けていく」
今回の判決について韓国外務省は「韓国政府としては今後も司法の判決と被害者の権利を尊重し、日韓関係などを考慮しながら両国政府やすべての当事者が受け入れ可能な合理的解決策を話し合うことについて、開かれた立場で日本側と協議を続けていく」とするコメントを出しました。
加藤官房長官「引き続き動向を注視」
加藤官房長官は午後の記者会見で「政府としては引き続き動向を注視していきたいと考えている。そのうえで現在、日韓関係は旧朝鮮半島出身労働者問題や慰安婦問題などにより非常に厳しい状況にある。両国間の懸案の解決のため韓国が責任を持って対応していくことが重要であると考えており、懸案の解決のための韓国側の具体的提案を合わせて注視している」と述べました。
ソース:NHK ニュース