ユーチューバー ひぼう中傷ちゅうしょうが深刻しんこく化か 業界ぎょうかいが連携れんけいして対策たいさくへ

動画どうがをネット上じょうで継続けいぞく的てきに発信はっしんするユーチューバー。

若わかい世代せだいを中心ちゅうしんに人気にんきを集あつめる人ひとがいる一方いっぽうで、深刻しんこく化かしているのが殺害さつがい予告よこくなどの「ひぼう中傷ちゅうしょう」です。

多おおくのユーチューバーが所属しょぞくする大手おおて事務所じむしょ3社しゃなどが初はじめて合同ごうどうで検討けんとう会かいを設置せっちし、連携れんけいしてひぼう中傷ちゅうしょう対策たいさくを進すすめることになりました。

“被害ひがいを未然みぜんに防ふせぎたい”

検討けんとう会かいを設置せっちしたのは、▼「UUUM」など多おおくのユーチューバーらが所属しょぞくする大手おおて事務所じむしょ3社しゃと、▼動画どうが投稿とうこうサイト「ユーチューブ」を運営うんえいするIT大手おおて・グーグルなどです。

28日にち、都内とないで開ひらかれた記者きしゃ会見かいけんで、UUUMの鎌田かまた和樹かずき会長かいちょうは「ひぼう中傷ちゅうしょうは今いままで企業きぎょうが個別こべつに対策たいさくし、事ことが起おきてから対処たいしょしてきたが、検討けんとう会かいを設置せっちすることで被害ひがいを未然みぜんに防ふせぎ、その数かずを減へらしていくことを目指めざしたい」と述のべました。

ユーチューバー “被害ひがいの実情じつじょう知しってほしい”

自身じしんもひぼう中傷ちゅうしょうを受うけたことがあるユーチューバーの女性じょせいがNHKの取材しゅざいに応おうじ、被害ひがいの実情じつじょうを語かたりました。

2008年ねんからユーチューバーとして活動かつどうを始はじめた佐々木ささきあさひさん。

メーキャップの方法ほうほうや同どう世代せだいの女性じょせいに役立やくだつ情報じょうほうを発信はっしんし、長年ながねんにわたって支持しじを集あつめてきました。

その一方いっぽうで、人格じんかくを否定ひていするようなコメントが寄よせられたり、ひぼう中傷ちゅうしょうによって外そとを出歩であるくのが怖こわいと感かんじたりするような経験けいけんもしてきたと言いいます。

佐々木ささきさんは「私わたしは顔かおをさらしていますが、相手あいての顔かおは見みえない。その時点じてんで全まったくフェアじゃないと思おもいます。発信はっしん者しゃと視聴しちょう者しゃを比くらべると圧倒的あっとうてきに視聴しちょう者しゃの数かずが多おおく、集団しゅうだん心理しんりが働はたらくと、ひぼう中傷ちゅうしょうはエスカレートする傾向けいこうがあると思おもいます」と話はなしました。

これまで、ひぼう中傷ちゅうしょうを受うけても、恐怖きょうふ心しんや応援おうえんしてくれる人ひとを悲かなしませたくないという思おもいから、そのことに触ふれるのは避さけてきたということですが、「少すこしでも被害ひがいがなくなれば」と、今回こんかい、取材しゅざいに応おうじたということです。

佐々木ささきさんは「同おなじように頑張がんばってきた友人ゆうじんたちがひぼう中傷ちゅうしょうに耐たえられず、この世界せかいから姿すがたを消けすのを見みてきました。『ネットに顔かおを出だしているのだから言いわれて当たり前あたりまえだ』と言いわれることがありますが、それは違ちがうと思おもっています。ひぼう中傷ちゅうしょうは私わたしだけでなく家族かぞくや周まわりの人ひとも嫌いやな思おもいをしてしまう。私わたしがこうして伝つたえることで中傷ちゅうしょう行為こういを踏ふみとどまってもらうきっかけになれば」と話はなしています。

4人にんに1人にんが「ひぼう中傷ちゅうしょう受うけたことある」

ユーチューバーの所属しょぞく事務所じむしょも独自どくじの対策たいさくを進すすめていますが、エスカレートするひぼう中傷ちゅうしょうに危機きき感かんを強つよめています。

「UUUM」などが加盟かめいする業界ぎょうかい団体だんたい「クリエイターエコノミー協会きょうかい」などが去年きょねん行おこなった調査ちょうさでは、ユーチューバーなどのクリエーター1500人にん余あまりのうち、4人にんに1人にんが「ひぼう中傷ちゅうしょうを受うけたことがある」と回答かいとうしました。

UUUMでは3年ねん前まえに専門せんもんの対策たいさくチームを立たち上あげましたが、これまでに相談そうだんや通報つうほうが1000件けん以上いじょう寄よせられ、▼ネットの掲示板けいじばんに名指なざしで殺害さつがいを予告よこくするスレッドを立たてられたケースや▼自宅じたく近ちかくで待ち伏まちぶせされたケースなど、合あわせて6件けんで発信はっしん者しゃが特定とくていされるなどして警察けいさつによって検挙けんきょされたということです。

UUUMは、ユーチューバー自身じしんが誰だれかを傷きずつけてしまわないようコンプライアンス研修けんしゅうなどを行おこなっていますが、その一方いっぽうで、ユーチューバーに対にたいする攻撃こうげき的てきな投稿とうこうは後ごを絶たたないとしています。

UUUMの金子かねこ宗之むねゆき執行しっこう役員やくいんは「クリエーターは外そとに向むけて発信はっしんしているので、ある程度あるていどの批判ひはんや意見いけんが寄よせられるのは当然とうぜんだと思おもうが、度どを過すぎてひぼう中傷ちゅうしょうになるのは別べつ問題もんだい。精神せいしん的てきにまいって活動かつどうできなくなる人ひとも出でていて、深刻しんこくな状況じょうきょうは続つづいている」と話はなしています。

大手おおて事務所じむしょなど検討けんとう会かい設置せっち対策たいさくへ

「1億おく総そうクリエーター時代じだい」とも言いわれるように、個人こじんで動画どうがを制作せいさくしネット上じょうで継続けいぞく的てきに発信はっしんするユーチューバーは増ふえています。

ひぼう中傷ちゅうしょうへの対策たいさくで、大手おおて事務所じむしょ3社しゃなどは初はじめて合同ごうどうで「誹謗ひぼう中傷ちゅうしょう対策たいさく検討けんとう会かい」を設置せっちしました。

28日にちの会見かいけんで、検討けんとう会かいのメンバーで、SNSのひぼう中傷ちゅうしょうに詳くわしい国際こくさい大学だいがくの山口やまぐち真一しんいち准じゅん教授きょうじゅは「ひぼう中傷ちゅうしょうは人ひとの命いのちを奪うばうこともあり世界せかいでは芸能人げいのうじんやインフルエンサーが亡なくなる事例じれいが生しょうじている。ネット上じょうでは極端きょくたんな意見いけんが目立めだつ傾向けいこうがあり、ことばも攻撃こうげき的てきになりやすく、個人こじんを守まもる仕組しくみが必要ひつようだ」と指摘してきしました。

検討けんとう会かいでは、各社かくしゃが抱かかえる課題かだいを共有きょうゆうするとともに、起おきた事例じれいに対処たいしょするだけでなく、ユーザーへの働はたらきかけも含ふくめ未然みぜん防止ぼうしのための対策たいさくを進すすめることにしています。

ソース：NHK ニュース