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停戦ていせんのガザ地区ちく 医療いりょう施設しせつ被害ひがいでコロナ感染かんせん拡大かくだいあら脅威きょうい

2021-05-23 10:41:58

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中東ちゅうとうパレスチナのガザ地区ちくではイスラエルとパレスチナの武装ぶそう勢力せいりょく停戦ていせんとなり、空爆くうばくなどによる攻撃こうげき市民しみんいのちとす危険きけんはなくなりました。しかし新型しんがたコロナウイルス対策たいさく拠点きょてんとなっていた医療いりょう施設しせつなど攻撃こうげき被害ひがいけていて、今後こんご感染かんせん拡大かくだいあら脅威きょういとなっています。
イスラエルとガザ地区ちく実効じっこう支配しはいするイスラム原理げんり主義しゅぎ組織そしきハマスのでは、今月こんげつ10にち以降いこう空爆くうばくロケットだんによる攻撃こうげき応酬おうしゅうとなりましたが、エジプトなど仲介ちゅうかいで21にちから停戦ていせんとなり、これまでのところ、攻撃こうげきおこなわれていません。

停戦ていせんによってガザ地区ちくでは、イスラエルぐんによる攻撃こうげき市民しみんいのちとす危険きけんはなくなりましたが、新型しんがたコロナウイルスの感染かんせん拡大かくだいあら脅威きょういとなっています。

ガザ地区ちく新型しんがたコロナウイルス対策たいさく中核ちゅうかくになってきた医療いりょう施設しせつや、ワクチンの接種せっしゅ会場かいじょうとなっていた診療しんりょうしょ攻撃こうげき被害ひがいけ、感染かんせんしゃ治療ちりょう接種せっしゅ態勢たいせい縮小しゅくしょうせざるをえなくなっています。

また国連こくれん運営うんえいする学校がっこう施設しせつには攻撃こうげきのさなか、住宅じゅうたく被害ひがいけたひとなどおよそ7まんにん避難ひなんし、マスク供給きょうきゅうもないなか、「密閉みっぺい密集みっしゅう密接みっせつ」のいわゆる「3みつ」で生活せいかつし、さらに地区ちく半数はんすう水道すいどうかん被害ひがいけていることから、衛生えいせい環境かんきょう悪化あっかしています。

攻撃こうげきはじまるまえ、ガザ地区ちくでは人口じんこう200まんにんのうち、10まんにんあま感染かんせんし、イスラエルがめていたワクチンが運び込はこびこまれ、ことし2つき後半こうはんから接種せっしゅはじまりましたが、接種せっしゅえたひとは3まん9000にんにとどまっています。

ワクチンは攻撃こうげきまえにWHO=世界せかい保健ほけん機関きかんなど主導しゅどうする「COVAXファシリティ」や、UAE=アラブ首長しゅちょうこく連邦れんぽうを通をつうじて提供ていきょうけていましたが、攻撃こうげき接種せっしゅおこなわれませんでした。

ガザ地区ちく保健ほけんしょうによりますと、攻撃こうげきのさなかは検査けんさなどおこなわれず、あら感染かんせんしゃすう減少げんしょうしましたが、停戦ていせん検査けんさ再開さいかいすると感染かんせんしゃすうふたた増加ぞうかしていて、今後こんご感染かんせんのさらなる拡大かくだい懸念けねんされています。

感染かんせん対策たいさくにあたっていた医師いし攻撃こうげき死亡しぼう

ガザ地区ちくでは、新型しんがたコロナウイルスの感染かんせん対策たいさく中核ちゅうかくになっていた医療いりょう機関きかんにもイスラエルの攻撃こうげきによる被害ひがいています。

北部ほくぶのガザあるリマル診療しんりょうしょは、ガザ地区ちく最大さいだい規模きぼ医療いりょう機関きかんで、攻撃こうげきまえ新型しんがたコロナウイルスに感染かんせんした患者かんじゃ治療ちりょうやPCR検査けんさおこななど感染かんせん対策たいさく中核ちゅうかくになっていました。

しかし今月こんげつ17にちとなり建物たてもの空爆くうばくされたことで診療しんりょうしょおおきな被害ひがいけ、医療いりょう活動かつどうをすべて停止ていしせざるをえなくなりました。

また、ガザ地区ちく保健ほけんしょうによりますと、感染かんせん対策たいさくにあたっていた2にん医師いし攻撃こうげき死亡しぼうし、複数ふくすう病院びょういん被害ひがいけ、部分ぶぶんてき医療いりょう活動かつどうができなくなっているということです。

ガザ地区ちく保健ほけんしょう国際こくさい機関きかんなどとの調整ちょうせい担当たんとうするメドハット・アッバスは「医療いりょう機関きかんへの被害ひがいは、今後こんご新型しんがたコロナ対策たいさくおおきな影響えいきょうあたえる今後こんご感染かんせん拡大かくだいするそれある」とべ、懸念けねんしめしていました。

ワクチン接種せっしゅ会場かいじょう被害ひがい

イスラエルによる攻撃こうげきでガザ地区ちくのワクチン接種せっしゅ会場かいじょう被害ひがいけ、今後こんご接種せっしゅへの影響えいきょう懸念けねんされています。

北部ほくぶのベイトラヒヤにある診療しんりょうしょは、北部ほくぶ唯一ゆいいつのワクチン接種せっしゅ会場かいじょうで、攻撃こうげきはじまるまえには、1まんかいえる接種せっしゅおこない、ガザ地区ちく全体ぜんたい接種せっしゅの3ぶん1をになっていました。
しかしこの診療しんりょうしょ攻撃こうげきによる被害ひがいけ、建物たてもの内部ないぶくろげ、ゆかには新型しんがたコロナウイルスの検査けんさキットが散乱さんらんしていました。

また攻撃こうげき保管ほかんしていたイギリスの製薬せいやく会社かいしゃアストラゼネカなど開発かいはつしたワクチンや、ロシアせいのワクチン、すくなくとも400回分かいぶん使つかえなくなり、診療しんりょうしょではPCR検査けんさやワクチンの接種せっしゅ中止ちゅうししています。

診療しんりょうしょ代表だいひょうのハーシェム・アブハーシム医師いしは「2かい接種せっしゅ予定よていしていたひともいましたが、診療しんりょうしょ被害ひがいけたことでできなくなってしまいました。接種せっしゅつづけるため、ほか施設しせつおこな必要ひつようがありますが、そうした施設しせつ被害ひがいけています。ワクチン接種せっしゅとどこおことで、感染かんせん拡大かくだいするのではないか非常ひじょう心配しんぱいしています」とはなしていました。

22にちには、ガザ地区ちくおとずれた国連こくれん代表だいひょうこの診療しんりょうしょおとずれ、被害ひがい状況じょうきょうなど確認かくにんしていました。

国連こくれんのヘイスティングスふく特別とくべつ調整ちょうせいかんは「衝突しょうとつまえから感染かんせん状況じょうきょう懸念けねんしていたにもかかわらず、地区ちくの3ぶん1の接種せっしゅになっていた施設しせつ被害ひがいけたことで、ガザ地区ちくでの感染かんせん対策たいさくおおきな影響えいきょうあたえる」とべて、攻撃こうげきによってガザ地区ちくでの感染かんせん対策たいさくおくことへの懸念けねんしめしました。

避難ひなんで「3みつ」に 今後こんご感染かんせん拡大かくだい警戒けいかいかん

ガザ地区ちくでは攻撃こうげき空爆くうばくいえうしなったひとやさらなる空爆くうばく警戒けいかいして避難ひなんするひとたちが国連こくれん運営うんえいする学校がっこう避難ひなんし、もっとおおときにはおよそ7まんにんせていました。

しかし校舎こうしゃスペースにはかぎりがあり、1つの教室きょうしつに50にん生活せいかつするなどいわゆる「3みつ」でソーシャルディスタンスなどの対策たいさくはとれず、マスク不足ふそくしていたということです。

これについて、パレスチナ難民なんみん支援しえんするUNRWA=国連こくれんパレスチナ難民なんみん救済きゅうさい事業じぎょう機関きかん清田きよた明宏あきひろ保健ほけん局長きょくちょうは「これまでは感染かんせん対策たいさくよりも、いのちまもことが大事だいじだったが、今後こんご感染かんせん対策たいさくにもつなげていかなければならない。避難ひなんしょからもどった場所ばしょ感染かんせんひろがらないか、継続けいぞくしてみていくこと必要ひつようある」とべ、今後こんご感染かんせん拡大かくだい警戒けいかいかんしめしました。

また清田きよた保健ほけん局長きょくちょうは「医療いりょう設備せつびやインフラ整備せいびなど復興ふっこうすすめ、市民しみん生活せいかつをもとにもどしていくことが大切たいせつだ」とべ、国際こくさい社会しゃかい連携れんけいして感染かんせん対策たいさくとともに、ガザ地区ちく復興ふっこうすすめていく重要じゅうようせい指摘してきしました。
ソース:NHK ニュース