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“東北新社の幹部 総務省に報告・相談と認定するのが合理的”
2021-05-24 12:48:31

総務省の接待問題で衛星放送関連会社の東北新社は、外部の弁護士などからなる特別調査委員会の報告書を公表しました。この中では、外資規制に違反していることを把握したあと、平成29年の8月に会社の幹部が衛星放送の許認可を担当する総務省の課長を訪ね、何らかの報告・相談を行ったと認定することが合理的だとしています。
東北新社の外資規制違反をめぐっては、報告を行ったとする会社と報告を受けていないとする総務省の間で、食い違いが明らかになっています。
これについて、東北新社が公表した調査報告書では、会社が外資規制に違反していることを把握したあと、平成29年の8月18日にメールのやり取りの記録やタクシーで移動した交通費の精算から、幹部が総務省の衛星・地域放送課長を訪ねていたとしています。
そのうえで、メールなどの内容を踏まえて会社の幹部が
▼この年の8月9日までに当時の情報流通行政局の総務課長に対して外資規制に抵触している可能性について何らかの報告を行った、
▼それに8月18日に訪ねた衛星・地域放送課長に外資規制への抵触を前提とした子会社への衛星基幹放送の認定の承継について何らかの報告・相談を行った、
と認定することが合理的だとしています。
また今回の調査では、総務省幹部らとの会食は先に公表された総務省の調査結果に含まれないものも含めて、平成27年11月から去年12月までに54件、確認されたとしています。

こうした会食について、報告書は「東北新社が昼間の打ち合わせでは得られない情報などを取得できるのではないかと期待していたとの疑念をもたれる可能性があったと言わざるを得ず、コンプライアンス上、重大な問題がある」としています。
一方、外資規制違反に絡んだグループの衛星基幹放送の業務の認定などの申請手続きに関しては「不当な働きかけを行ったことをうかがわせる事情は認められない」としています。
そして、報告書では一連の問題の背景に、公務員への接待に関する経営トップの問題意識の欠如や、企業統治体制の問題があったと指摘しています。
一方、外資規制違反に絡んだグループの衛星基幹放送の業務の認定などの申請手続きに関しては「不当な働きかけを行ったことをうかがわせる事情は認められない」としています。
そして、報告書では一連の問題の背景に、公務員への接待に関する経営トップの問題意識の欠如や、企業統治体制の問題があったと指摘しています。
新たに20件の会食を確認
報告書では、54件の会食について、総務省側の出席者の氏名は公表されていませんが、総務省関係者によりますと、54件の会食のうち34件はすでに発表しているもので、残る20件は総務省として把握していなかったということです。

この20件の会食は7人の総務省職員と行ったとされ、このうち名前が特定されている6人は、すでに東北新社側からの別の接待で懲戒処分を受けているということです。
残る1人は、東北新社の報告書では氏名の特定に至っておらず、総務省は調査中だとしています。
残る1人は、東北新社の報告書では氏名の特定に至っておらず、総務省は調査中だとしています。
プロ野球のチケットも贈る
報告書では東北新社が外資規制違反の問題に対応していたさなかの平成29年8月28日に衛星放送の許認可を担当する当時の衛星・地域放送課長と会食していたことが新たに分かったとしています。
当時の課長は井幡晃三放送政策課長で会食には前執行役員らが参加し、プロ野球の話で盛り上がったとしています。
当時の課長は井幡晃三放送政策課長で会食には前執行役員らが参加し、プロ野球の話で盛り上がったとしています。

その後、東北新社が契約している東京ドームの年間シートのチケットを課長に渡していたということです。
この会食について報告書では外資規制について何らかの働きかけを行うことを目的に設定されたとは認められないとしたうえで「会食で認定の承継に関する話題が一切なされなかったとは考えにくい」としています。
この会食について報告書では外資規制について何らかの働きかけを行うことを目的に設定されたとは認められないとしたうえで「会食で認定の承継に関する話題が一切なされなかったとは考えにくい」としています。
菅首相の長男の関わりは
報告書では菅総理大臣の長男で、東北新社の統括部長を務めていた菅正剛氏について、平成27年から去年にかけて総務省幹部らとの会食に合わせて22件、出席したとしています。
1人で出席したケースやみずから積極的に会食を設定したことはなく、情報などを得る目的で会食に同席していたとは認められないとしています。
また、平成29年8月に外資規制違反の問題が生じた際、菅氏は特に関与していないとしています。
菅氏と総務省の幹部らとの会食や、会食の前後のメールのやり取りで、不当な働きかけが行われた例は確認されなかったとしています。
そのうえで報告書は、東北新社側が菅総理とのつながりがあるかのように示唆して、何らかの働きかけをする意図があったとは認められないと結論づけています。
1人で出席したケースやみずから積極的に会食を設定したことはなく、情報などを得る目的で会食に同席していたとは認められないとしています。
また、平成29年8月に外資規制違反の問題が生じた際、菅氏は特に関与していないとしています。
菅氏と総務省の幹部らとの会食や、会食の前後のメールのやり取りで、不当な働きかけが行われた例は確認されなかったとしています。
そのうえで報告書は、東北新社側が菅総理とのつながりがあるかのように示唆して、何らかの働きかけをする意図があったとは認められないと結論づけています。
外資規制違反の経緯
衛星放送の事業者は放送法で議決権のある株式の外資比率が20%未満であることが条件となっていて、違反した場合には総務大臣が認定を取り消さなければならないと定められています。
東北新社は平成28年10月にBS4K放送の「ザ・シネマ4K」の認定を申請し、翌平成29年1月に総務省に認定されましたが、実際には、申請の段階ですでに外資比率が20%を超え、法律に違反した状態だったということです。
東北新社は平成28年10月にBS4K放送の「ザ・シネマ4K」の認定を申請し、翌平成29年1月に総務省に認定されましたが、実際には、申請の段階ですでに外資比率が20%を超え、法律に違反した状態だったということです。

東北新社の中島信也社長の国会での答弁などによりますと東北新社側がBS4K放送の認定に外資規制違反のおそれがあることに気付いたのは平成29年8月4日。
きっかけになったのはその1週間前の平成29年7月28日に東北新社が公表した衛星放送事業の再編計画です。
東北新社はこの日、グループ会社などからCS放送の3つのチャンネルを継承することを取締役会で決議し、公表していましたが、その申請作業などの過程で外資規制違反のおそれに気付いたということです。
これを受けて東北新社は、8月16日、CS放送の3チャンネルを継承する事業を中止し、子会社に継承させる方針に変更したことを公表しました。
そして2週間後の9月1日に、100%子会社の「東北新社メディアサービス」を設立し、9月5日には、総務省の認定を受けていたBS4K放送事業をこの子会社に継承すると発表しました。
東北新社は子会社への継承を総務省に申請したあとの段階でも依然として外資比率が20%を超え違法状態が続いていましたが、認定は取り消されず、総務省は平成29年10月13日、CS放送3チャンネルとBS4K放送の「ザ・シネマ4K」の合わせて4チャンネルについて「東北新社メディアサービス」に継承することを認可しました。
この決裁には当時、衛星・地域放送課長だった井幡晃三放送政策課長も関わり当時、情報流通行政局長だった山田真貴子元内閣広報官が決裁者のトップでした。
この問題を受けて総務省は今月1日付けで子会社が継承しているBS4K放送の「ザ・シネマ4K」の認定を取り消しています。
きっかけになったのはその1週間前の平成29年7月28日に東北新社が公表した衛星放送事業の再編計画です。
東北新社はこの日、グループ会社などからCS放送の3つのチャンネルを継承することを取締役会で決議し、公表していましたが、その申請作業などの過程で外資規制違反のおそれに気付いたということです。
これを受けて東北新社は、8月16日、CS放送の3チャンネルを継承する事業を中止し、子会社に継承させる方針に変更したことを公表しました。
そして2週間後の9月1日に、100%子会社の「東北新社メディアサービス」を設立し、9月5日には、総務省の認定を受けていたBS4K放送事業をこの子会社に継承すると発表しました。
東北新社は子会社への継承を総務省に申請したあとの段階でも依然として外資比率が20%を超え違法状態が続いていましたが、認定は取り消されず、総務省は平成29年10月13日、CS放送3チャンネルとBS4K放送の「ザ・シネマ4K」の合わせて4チャンネルについて「東北新社メディアサービス」に継承することを認可しました。
この決裁には当時、衛星・地域放送課長だった井幡晃三放送政策課長も関わり当時、情報流通行政局長だった山田真貴子元内閣広報官が決裁者のトップでした。
この問題を受けて総務省は今月1日付けで子会社が継承しているBS4K放送の「ザ・シネマ4K」の認定を取り消しています。
食い違う説明
総務省は外資規制違反の状況をいつ認識したのか。総務省と東北新社側の説明は食い違っています。

東北新社の中島信也社長の国会での答弁などによりますと外資規制違反のおそれがあることに気付いたのは子会社にBS4K放送の認定を継承する前の平成29年8月4日で、その5日後の8月9日ごろ、東北新社の前執行役員が当時、総務省担当局の総務課長だった鈴木信也総合通信基盤局電波部長と面談し、外資規制違反のおそれがあることを報告したと説明しています。
その経緯については当時、衛星放送の許認可を担当する衛星・地域放送課長だった井幡晃三 放送政策課長が休暇中だったため鈴木氏に報告したとしていて、中島社長は「違法状態を解消するためその席上で子会社に継承するというアイデアをこちらから出した」などと説明しています。
調査報告書でも8月9日に会社の前取締役が部下に送ったメールに「外資規制に関して前執行役員が総務省に内々にヒアリングした結果、東北新社は認定を持つことができないということだった」などと記されているとしていて8月9日までに当時の総務課長に外資規制抵触の可能性について何らかの報告を行ったと認定するのが合理的だとしています。
これに対し当時の総務課長だった鈴木氏はことし3月16日の国会答弁で「あいさつに来られたかもしれないが外資規制違反のような重要な話を聞いていたら覚えているはずで、報告を受けた事実の記憶は全くない」と説明しています。
その経緯については当時、衛星放送の許認可を担当する衛星・地域放送課長だった井幡晃三 放送政策課長が休暇中だったため鈴木氏に報告したとしていて、中島社長は「違法状態を解消するためその席上で子会社に継承するというアイデアをこちらから出した」などと説明しています。
調査報告書でも8月9日に会社の前取締役が部下に送ったメールに「外資規制に関して前執行役員が総務省に内々にヒアリングした結果、東北新社は認定を持つことができないということだった」などと記されているとしていて8月9日までに当時の総務課長に外資規制抵触の可能性について何らかの報告を行ったと認定するのが合理的だとしています。
これに対し当時の総務課長だった鈴木氏はことし3月16日の国会答弁で「あいさつに来られたかもしれないが外資規制違反のような重要な話を聞いていたら覚えているはずで、報告を受けた事実の記憶は全くない」と説明しています。

また報告書によりますと、東北新社の前執行役員や前取締役が平成29年8月18日に衛星放送の許認可を担当する衛星・地域放送課長と面会しています。
その2日前、東北新社はCS放送の3チャンネルを継承する事業を中止し、子会社に継承させる方針に変更したことを公表していました。
当時の衛星・地域放送課長は井幡氏で報告書では「前執行役員らが当時の課長に外資規制への抵触を前提とした子会社への承継について、何らかの報告・相談を行ったと認定することが合理的だ」としています。
その根拠としてメールのやり取りの記録や霞が関にタクシーで移動した交通費の精算などをあげていて、面会後の8月21日に送信された社内のメールには、課長から前執行役員が「4Kの承継も速やかにやってほしい」という連絡を受けたなどと記されているとしています。
また顧問弁護士が子会社への継承について「総務省は問題にしていないのか」とメールで質問したのに対し会社側は「総務省に問題ない旨確認を得ている」と返信していたとしています。
一方、総務省の吉田博史情報流通行政局長はことし3月17日の国会答弁で、井幡氏ら課長級以上の職員に確認した結果として「いずれも外資規制に抵触する可能性があるという報告を東北新社から受けた記憶はないということだ」と説明しています。
その2日前、東北新社はCS放送の3チャンネルを継承する事業を中止し、子会社に継承させる方針に変更したことを公表していました。
当時の衛星・地域放送課長は井幡氏で報告書では「前執行役員らが当時の課長に外資規制への抵触を前提とした子会社への承継について、何らかの報告・相談を行ったと認定することが合理的だ」としています。
その根拠としてメールのやり取りの記録や霞が関にタクシーで移動した交通費の精算などをあげていて、面会後の8月21日に送信された社内のメールには、課長から前執行役員が「4Kの承継も速やかにやってほしい」という連絡を受けたなどと記されているとしています。
また顧問弁護士が子会社への継承について「総務省は問題にしていないのか」とメールで質問したのに対し会社側は「総務省に問題ない旨確認を得ている」と返信していたとしています。
一方、総務省の吉田博史情報流通行政局長はことし3月17日の国会答弁で、井幡氏ら課長級以上の職員に確認した結果として「いずれも外資規制に抵触する可能性があるという報告を東北新社から受けた記憶はないということだ」と説明しています。
総務省 報告書受け調査進める
関係者によりますと、総務省は、先月末に東北新社側から調査報告書の概要について連絡を受け、省内で調査を進めています。

具体的には、新たに明らかになった総務省の幹部職員と会社側の20件の会食について、名前があがっている6人の幹部職員にヒアリングを行うなどして、違法な接待かどうかを調べています。
また、接待などによって行政がゆがめられたことがなかったか検証を行っている第三者委員会は、外資規制違反問題をめぐり、総務省側が事前に違反の事実を認識していたかどうかについても調査しています。
東北新社の調査報告書では、会社に残っていたメールなどから「総務省の当時の課長2人に対し、会社側が何らかの報告を行っていたと認定することが合理的だ」と結論づけていて、この2人に対し、第三者委員会は、ヒアリングを行っているということです。
関係者によりますと、2人はともに「東北新社側から、外資規制に違反していることを事前に聞いた記憶はない」と説明しているということで、双方の主張が真っ向から食い違う中、第三者委員会がどのような結論を出すかが焦点となっています。
総務省は、内部調査と第三者委員会の検証の結果を、来月上旬に取りまとめ公表する方向で調整しています。
また、接待などによって行政がゆがめられたことがなかったか検証を行っている第三者委員会は、外資規制違反問題をめぐり、総務省側が事前に違反の事実を認識していたかどうかについても調査しています。
東北新社の調査報告書では、会社に残っていたメールなどから「総務省の当時の課長2人に対し、会社側が何らかの報告を行っていたと認定することが合理的だ」と結論づけていて、この2人に対し、第三者委員会は、ヒアリングを行っているということです。
関係者によりますと、2人はともに「東北新社側から、外資規制に違反していることを事前に聞いた記憶はない」と説明しているということで、双方の主張が真っ向から食い違う中、第三者委員会がどのような結論を出すかが焦点となっています。
総務省は、内部調査と第三者委員会の検証の結果を、来月上旬に取りまとめ公表する方向で調整しています。
加藤官房長官「総務省で調査・検証を」
加藤官房長官は、24日の午後の記者会見で「東北新社の特別調査委員会による調査報告書が公表されたことは承知しているが、詳細な内容は把握していない。総務省職員と東北新社役員との会食、同社の外資規制違反の問題などについて報告されたと承知している」と述べました。

そのうえで「現在、総務省では、検証委員会を立ち上げ、東北新社に関する外資規制違反の問題についての検証を行うとともに、倫理規程違反の会食について、徹底的な調査が進められていると承知している。今回の東北新社側の報告の中身も念頭におきながら総務省においてしっかり調査、検証を進めてもらいたい」と述べました。
立民 福山幹事長「真実の調査報告を」

立憲民主党の福山幹事長は、記者団に対し「これだけ総務省幹部などとの会食があったということは、接待が常態化していたということだ。こうした接待に、菅総理大臣の長男がどの程度関わっていたのか、しっかり確認をしていきたい。外資規制違反と接待のつながりも含め、今後、総務省が真実の調査報告を出すよう強く求めていきたい」と述べました。
ソース:NHK ニュース