いまも後悔こうかい「感染かんせんは想像そうぞう以上いじょうに大変たいへん。自分じぶんだけの問題もんだいではない」

東京とうきょうに住すむ40代だいの男性だんせいは、去年きょねん9月つき、新型しんがたコロナウイルスに感染かんせんしていることが分わかりました。

男性だんせいは自身じしんの手足てあしに障害しょうがいがあり車くるまいすでの生活せいかつをおくりながら、介護かいごの会社かいしゃを立たち上あげて経営けいえいし、高齢こうれい者しゃなどへの訪問ほうもん介護かいごサービスを行おこなっています。

当時とうじ、家族かぞく、社員しゃいん、そしてサービスを利用りようする高齢こうれい者しゃなどに感染かんせんが広ひろがらないか不安ふあんを抱かかえながらの日々ひびだったといいます。

「感染かんせんは自分じぶんだけの問題もんだいではない」という男性だんせいからのメッセージです。

障害しょうがい者しゃで経営けいえい者しゃという立場たちば、感染かんせん対策たいさくは行おこなっていたが…

高齢こうれい者しゃなどに訪問ほうもん介護かいごサービスを行おこなう会社かいしゃを経営けいえいする東京とうきょうの40代だいの男性だんせいは、10代だいの時ときに、事故じこでけい椎けいついを損傷そんしょうし、車くるまいすでの生活せいかつとなりました。

神経しんけいが損傷そんしょうしているため、排はいせつや入浴にゅうよくなどは毎日まいにちヘルパーや看護かんご師しの支援しえんが必要ひつようで、基礎きそ疾患しっかんもあるため、風邪かぜにかかると肺炎はいえんになりやすい状況じょうきょうだということです。

自分じぶんの障害しょうがいと、高齢こうれい者しゃらを支ささえる経営けいえい者しゃとしての立場たちばからマスクを欠かかさず、私的してきな用事ようじでは出歩であるかないようにして、感染かんせん対策たいさくを徹底てっていしていましたが、去年きょねん9月つきに異変いへんが起おきました。

陽性ようせい判明はんめい後ごも“自宅じたく待機たいき”「家族かぞくに感染かんせんしないか不安ふあんで」

この日ひ、いつものように自宅じたくで入浴にゅうよくケアを受うけているときに38度どを超こえる発熱はつねつ。

ふだんとは違ちがう、けん怠けんたい感かんがあったといいます。

翌日よくじつPCR検査けんさを受うけると、陽性ようせいの結果けっかが出でました。

妻つまと小学生しょうがくせいの子こどもと一緒いっしょに暮くらしていた男性だんせい。

発熱はつねつから5日にち後ごに入院にゅういんが決きまりましたが、それまでの間ま、自宅じたくでの待機たいきとなりました。

この間このかん、一部いちぶを除のぞき、ヘルパーの受け入うけいれが難むずかしくなったため、自分じぶんの支援しえんのほとんどは妻つまが担になうことになりました。

妻つまは、トイレの支援しえんなど朝あさから晩ばんまで介護かいごにあたったということです。

男性だんせいは「妻つまに感染かんせんしないか本当ほんとうに不安ふあんでした。負担ふたんも大おおきく申し訳もうしわけなく思おもった」と話はなしています。

その後そのご、入院にゅういん。

発熱はつねつやけん怠けんたい感かんがある状況じょうきょうが続つづきましたが、徐々じょじょに改善かいぜんし、9日にち後ご、退院たいいんすることができました。

従業じゅうぎょう員いんの多おおくが濃厚のうこう接触せっしょく者しゃに 会社かいしゃは業務ぎょうむを停止ていし

妻つまや子こどもについては、検査けんさの結果けっかは陰性いんせいでしたが、男性だんせいが強つよく不安ふあんに感かんじたのは、会社かいしゃの従業じゅうぎょう員いんや、訪問ほうもん介護かいごのサービスを利用りようする高齢こうれい者しゃなどへの感染かんせんでした。

従業じゅうぎょう員いんのほとんどが濃厚のうこう接触せっしょく者しゃと判定はんていされ、会社かいしゃも業務ぎょうむ停止ていしとなりました。

会社かいしゃでは、50人にん余あまりの利用りよう者しゃがいましたが、残のこった従業じゅうぎょう員いんが、利用りよう者しゃ側がわに電話でんわで説明せつめいしたり、ほかの事業じぎょう所しょに連絡れんらくして、代かわりに支援しえんできないか必死ひっしに調整ちょうせいしたといいます。

男性だんせいは、不安ふあんな気持きもちを抱かかえ、眠ねむれない日ひもあったといいます。

幸さいわい、従業じゅうぎょう員いんや高齢こうれい者しゃなどにも感染かんせんは確認かくにんされず、発熱はつねつから2週間しゅうかん余あまりで、ようやく会社かいしゃを再開さいかいすることができました。

いまも後悔こうかい「もっと対策たいさくをしていれば」

「障害しょうがい者しゃであり、介護かいごの会社かいしゃを経営けいえいする自分じぶんが感染かんせんしたことで、家族かぞくや従業じゅうぎょう員いん、それに介護かいごという社会しゃかいインフラにも影響えいきょうが出でてしまった。罪悪ざいあく感かんがあります」

もっと対策たいさくを徹底てっていしていれば、感染かんせんを防ふせぐことができたかも知しれないと男性だんせいはいまも後悔こうかいしているといいます。

各地かくちで感染かんせんが続つづく中なか、男性だんせいは、自分じぶんの経験けいけんを振り返ふりかえりメッセージを寄よせてくれました。

「感染かんせんは自分じぶんだけの問題もんだいではない。想像そうぞう以上いじょうに大変たいへんで、周囲しゅういの人ひとたちに感染かんせんさせる恐おそれもある。だからこそ身近みぢかな人ひとたちの顔かおを思い浮おもいうかべて、外出がいしゅつなど、自分じぶんの行動こうどうを判断はんだんしてほしい」


（取材しゅざい:映像えいぞうセンター カメラマン 小川おがわ原はら裕史ゆうじ）

ソース：NHK ニュース