夏なつの電力でんりょく需給じゅきゅう “数すう年ねんで最もっとも厳きびしく 効率こうりつ的てきな使用しようを” 経けい産さん省しょう

ことしは梅雨つゆが長引ながびく可能かのう性せいが指摘してきされていますが梅雨つゆが明あけたあとのこの夏なつ、電力でんりょく需給じゅきゅうは首都しゅと圏けんや関西かんさい圏けんなど多おおくのエリアでここ数すう年ねんで最もっとも厳きびしくなる見込みこみです。
老朽ろうきゅう化かした火力かりょく発電はつでん所しょの休止きゅうしや廃止はいしによる供給きょうきゅう力りょくの減少げんしょうが要因よういんで、経済けいざい産業さんぎょう省しょうは有識ゆうしき者しゃの会議かいぎで、家庭かていや企業きぎょうに電気でんきの効率こうりつ的てきな使用しようを呼よびかけるなど安定あんてい供給きょうきゅうを確保かくほするための対策たいさくを取とりまとめました。

経済けいざい産業さんぎょう省しょうは、この夏なつは老朽ろうきゅう化かした火力かりょく発電はつでん所しょの休止きゅうしや廃止はいしによる供給きょうきゅう力りょくの減少げんしょうを要因よういんに電力でんりょく需給じゅきゅうが厳きびしくなると見込みこんでいます。

25日にちに開ひらいた総合そうごう資源しげんエネルギー調査ちょうさ会かいの小しょう委員いいん会かいで電力でんりょく供給きょうきゅうの余力よりょくを示しめす「予備よび率りつ」の見通みとおしを示しめしました。

それによりますと「予備よび率りつ」は
▽7月つきは北海道ほっかいどうと沖縄おきなわを除のぞくエリアで3.7％
▽8月つきは本州ほんしゅうと四国しこくの7つのエリアで3.8％まで
低下ていかするとしています。

これは10年ねんに1度ど程度ていどの猛暑もうしょを想定そうていしたものですが、安定あんてい供給きょうきゅうに最低さいてい限げん必要ひつようとされる3％の予備よび率りつをかろうじて上回うわまわる、ここ数すう年ねんで最もっとも厳きびしい水準すいじゅんを見込みこんでいます。

これを踏ふまえ経済けいざい産業さんぎょう省しょうは小しょう委員いいん会かいで対策たいさくを議論ぎろんし、節電せつでん要請ようせいは行おこなわず
▽家庭かていには、冷房れいぼうの利用りようなどふだん通どおりの生活せいかつを続つづけながら使つかっていない部屋へやの電気でんきを消けすなど支障ししょうのない範囲はんいで電気でんきの効率こうりつ的てきな使用しようを呼よびかけること。

▽企業きぎょうには、オフィスや工場こうじょうでの省エネしょうえねに加くわえて電力でんりょく需要じゅようが高たかまる時間じかん帯たいに電気でんきの使用しようを抑おさえる取り組とりくみに応おうじるよう要請ようせいしていくとしました。

また
▽電力でんりょく会社かいしゃに対にたいし、メンテナンスを徹底てっていし発電はつでん設備せつびのトラブルを防ふせぐとともに燃料ねんりょうの十分じゅうぶんな確保かくほを要請ようせいするとした対策たいさくを取とりまとめました。

一方いっぽう、経済けいざい産業さんぎょう省しょうは今度こんどの冬ふゆの電力でんりょく需給じゅきゅうについて10年ねんに1度ど程度ていどの厳きびしい寒さむさを想定そうていした場合ばあい、東京とうきょう電力でんりょく管内かんないの「予備よび率りつ」がマイナスまで低下ていかするなど多おおくのエリアで一段いちだんと深刻しんこくな状況じょうきょうが見込みこまれるとして、今後こんご、供給きょうきゅう力りょくの確保かくほに向むけた対策たいさくを急いそぐことにしています。

電力でんりょく供給きょうきゅうの余力よりょく「予備よび率りつ」 各地かくちの見通みとおしは？

電力でんりょく供給きょうきゅうの余力よりょくを示しめす「予備よび率りつ」について各地かくちの見通みとおしです。この夏なつの予備よび率りつはここ数すう年ねんで最もっとも低ひくくなる見込みこみです。

特とくに厳きびしいのが7月つきで、10年ねんに1度ど程度ていどの猛暑もうしょを想定そうていした場合ばあい、電力でんりょくの供給きょうきゅうに余裕よゆうのある北海道ほっかいどうと沖縄おきなわを除のぞいて予備よび率りつはいずれのエリアも3.7％となっていて、安定あんてい供給きょうきゅうに最低さいてい限げん必要ひつようとされる3％をかろうじて上回うわまわる水準すいじゅんです。

▽東北とうほく電力でんりょく管内かんないでは1339万まんキロワットの供給きょうきゅう力りょくに対にたいし、最大さいだい需要じゅようが1291万まんキロワット（予備よび率りつ3.7％）。

▽東京とうきょう電力でんりょく管内かんないでは5750万まんキロワットの供給きょうきゅう力りょくに対にたいし、最大さいだい需要じゅようが5544万まんキロワット（予備よび率りつ3.7％）。

▽中部ちゅうぶ電力でんりょく管内かんないでは2672万まんキロワットの供給きょうきゅう力りょくに対にたいし、最大さいだい需要じゅようが2576万まんキロワット（予備よび率りつ3.7％）。

▽北陸電力ほくりくでんりょく管内かんないは524万まんキロワットの供給きょうきゅう力りょくに対にたいし、最大さいだい需要じゅようが505万まんキロワット（予備よび率りつ3.7％）。

▽関西かんさい電力でんりょく管内かんないは2937万まんキロワットの供給きょうきゅう力りょくに対にたいし、最大さいだい需要じゅようが2832万まんキロワット（予備よび率りつ3.7％）。

▽中国ちゅうごく電力でんりょく管内かんないは1119万まんキロワットの供給きょうきゅう力りょくに対にたいし、最大さいだい需要じゅようが1079万まんキロワット（予備よび率りつ3.7％）。

▽四国しこく電力でんりょく管内かんないは532万まんキロワットの供給きょうきゅう力りょくに対にたいし、最大さいだい需要じゅようが513万まんキロワット（予備よび率りつ3.7％）。

▽九州きゅうしゅう電力でんりょく管内かんないは1713万まんキロワットの供給きょうきゅう力りょくに対にたいし、最大さいだい需要じゅようが1652万まんキロワットです（予備よび率りつ3.7％）。

また、8月つきは東北とうほく、東京とうきょう、中部ちゅうぶ、北陸ほくりく、関西かんさい、中国ちゅうごく、四国しこくの各かくエリアで予備よび率りつが3.8％、九州きゅうしゅうで6.8％となっています。

各地かくちで同おなじ水準すいじゅんとなっているのは地域ちいきごとに需給じゅきゅう状況じょうきょうに大おおきな差さが出でた場合ばあい、電力でんりょくを融通ゆうずうすることが前提ぜんていとなっているためで、その場合ばあい、予備よび率りつは平準へいじゅん化かされます。

また、予備よび率りつの算出さんしゅつにあたっては発電はつでん所しょの補修ほしゅうの時期じきをずらすなどして最大限さいだいげん活用かつようすることを見込みこむ一方いっぽうで、故障こしょうなどのトラブルが起おきることも織り込おりこんでいます。

ただ想定そうていを超こえる暑あつさとなったり発電はつでん所しょのトラブルが重かさなったりすれば、需給じゅきゅうがさらに厳きびしくなるおそれもあります。

電力でんりょく需給じゅきゅう 厳きびしい見通みとおしの背景はいけいに火力かりょく発電はつでん所しょの廃止はいし

この夏なつの電力でんりょく需給じゅきゅうが厳きびしい見通みとおしとなっている背景はいけいには、火力かりょく発電はつでん所しょの廃止はいしなどによる供給きょうきゅう力りょくの低下ていかがあります。

脱だつ炭素たんそ社会しゃかいの実現じつげんに向むけて太陽光たいようこう発電はつでんの普及ふきゅうが進すすむ一方いっぽうで、火力かりょく発電はつでんの稼働かどう率りつが落おち採算さいさんが悪化あっかしていることなどから、電力でんりょく会社かいしゃの間までは老朽ろうきゅう化かした火力かりょく発電はつでん所しょを休止きゅうししたり、廃止はいししたりする動うごきが相次あいついでいます。

ことしに入はいって
▽東北とうほく電力でんりょくの東ひがし新潟にいがた火力かりょく発電はつでん所しょの港みなと1号機ごうきと港みなと2号機ごうき
▽東京とうきょう電力でんりょくと中部ちゅうぶ電力でんりょくの火力かりょく発電はつでん事業じぎょうを統合とうごうした電力でんりょく会社かいしゃ、JERAの姉崎あねざき火力かりょく発電はつでん所しょの3号機ごうきから6号機ごうき
それに
▽九州きゅうしゅう電力でんりょくの苅田かりた発電はつでん所しょの新しん1号機ごうきなどが
運転うんてんを取とりやめています。

この結果けっか、この夏なつの火力かりょく発電はつでんによる供給きょうきゅう力りょくは沖縄おきなわを除のぞく全国ぜんこくで1億おく1123万まんキロワットと、去年きょねんの夏なつと比くらべて676万まんキロワット減へっています。

その一方いっぽうで太陽光たいようこうなど再生さいせい可能かのうエネルギーなどによる供給きょうきゅう力りょくは増ふえていますが、火力かりょく発電はつでんの減少げんしょう分ぶんを補おぎなえず全体ぜんたいの供給きょうきゅう力りょくも去年きょねんの夏なつと比くらべて359万まんキロワット減へっています。

廃止はいしした一部いちぶの火力かりょく発電はつでんについては建て替たてかえる動うごきもありますが、火力かりょく発電はつでんの供給きょうきゅう力りょくは減少げんしょう傾向けいこうが続つづく見込みこみで、電力でんりょく需給じゅきゅうの悪化あっかは構造こうぞう的てきな課題かだいとなっています。

この冬ふゆ 電力でんりょく需給じゅきゅうはさらに厳きびしく…

経済けいざい産業さんぎょう省しょうは、この夏なつを乗り切のりきってもこの冬ふゆは電力でんりょく需給じゅきゅうがさらに厳きびしくなると見込みこんでいます。

10年ねんに1度ど程度ていどの厳きびしい寒さむさを想定そうていした場合ばあい、来年らいねん1月つきの東京とうきょう電力でんりょく管内かんないでは5324万まんキロワットの供給きょうきゅう力りょくに対にたいし最大さいだい需要じゅようが上回うわまわり、5332万まんキロワットになると見込みこまれています。

このため電力でんりょく供給きょうきゅうの余力よりょくを示しめす「予備よび率りつ」はマイナス0.2％まで低下ていかし、深刻しんこくな状況じょうきょうになるとしています。

また、来年らいねん2月つきにも東京とうきょう電力でんりょく管内かんないでは5314万まんキロワットの供給きょうきゅう力りょくに対にたいし、最大さいだい需要じゅようが5332万まんキロワットと予備よび率りつはマイナス0.3％になると見込みこまれています。

さらに中部ちゅうぶ、北陸ほくりく、関西かんさい、中国ちゅうごく、四国しこく、九州きゅうしゅうのエリアでも来年らいねん2月つきは予備よび率りつがそれぞれ3％と安定あんてい供給きょうきゅうを確保かくほできるギリギリの水準すいじゅんまで低下ていかする見通みとおしです。

このため、経済けいざい産業さんぎょう省しょうは
▽東京とうきょう電力でんりょく管内かんないを中心ちゅうしんに発電はつでん所しょの補修ほしゅうの時期じきを冬ふゆ以外いがいにずらすことや
▽企業きぎょうなどに対にたいし緊急きんきゅう時じに自家じか発電はつでんを動うごかすよう協力きょうりょくを求もとめることにしています。

それでも足たりない場合ばあいには
▽電力でんりょく会社かいしゃに対にたいし、休止きゅうししている発電はつでん所しょを運転うんてんするよう要請ようせいすることも検討けんとうするとしています。

経済けいざい産業さんぎょう省しょうは火力かりょく発電はつでん所しょの休止きゅうしや廃止はいしが加速かそくしていくことが見込みこまれる中なかで、そのペースを抑制よくせいするための制度せいど的てきな検討けんとうも進すすめる方針ほうしんです。

梶山かじやま経けい産さん相しょう「安定あんてい供給きょうきゅうに万全ばんぜんを期きす」

梶山かじやま経済けいざい産業さんぎょう大臣だいじんは25日にちの閣議かくぎのあとの記者きしゃ会見かいけんで「電力でんりょくの安定あんてい供給きょうきゅうは国民こくみん生活せいかつや経済けいざい活動かつどうに不可欠ふかけつだ。厳きびしい電力でんりょく需給じゅきゅうになる見通みとおしのこの夏なつと冬ふゆにおいても安定あんてい供給きょうきゅうに万全ばんぜんを期きす。電力でんりょく会社かいしゃへの要請ようせいや産業さんぎょう界かいへの呼よびかけといった夏なつの対策たいさくや追加ついか的てきな供給きょうきゅう力りょくの確保かくほなどの冬ふゆの対策たいさく、さらに構造こうぞう的てき課題かだいへの対応たいおうなどについて速すみやかに実行じっこうしていきたい」と述のべました。

加藤かとう官房かんぼう長官ちょうかん「電気でんきの効率こうりつ的てきな使用しようを」

加藤かとう官房かんぼう長官ちょうかんは午後ごごの記者きしゃ会見かいけんで「必かならずしも余裕よゆうがある見通みとおしではないことから、国民こくみんの皆みなさんは冷房れいぼうの利用りようなどはふだん通どおりの生活せいかつを続つづけていただきつつ、使つかってない部屋へやの電気でんきを消けすなど電気でんきの効率こうりつ的てきな使用しようをぜひ心こころがけいただきたい」と述のべました。

そのうえで「ことしの冬ふゆに向むけては電力でんりょく需要じゅようがひっ迫ひっぱくする事態じたいを避さけるべく、休止きゅうししている火力かりょく発電はつでん所しょの稼働かどう促進そくしんなど供給きょうきゅう面めんでの対策たいさくの検討けんとうを進すすめ、秋あきごろを目途もくとに最終さいしゅう的てきな電力でんりょく需給じゅきゅう対策たいさくを決定けっていすると聞きいている」と述のべました。

ソース：NHK ニュース