プラスチック製せいレジ袋ぶくろ 来年らいねん7月つきから有料ゆうりょう義務ぎむ化かの方針ほうしん 課題かだいも

プラスチック製せいのレジ袋ぶくろについて国くには、来年らいねん７月しちがつ１いち日にちからすべての小売こうり店てんに有料ゆうりょう化かを義務ぎむづける方針ほうしんをまとめました。毎日まいにちのように手てにする生活せいかつに密着みっちゃくしたものだけに影響えいきょうや課題かだいも指摘してきされています。

来年らいねん７月しちがつ１いち日にちから有料ゆうりょう化かが義務ぎむづけられるのは、商品しょうひんを持ち運もちはこぶために使つかう、石油せきゆなどの化石かせき資源しげんからできたプラスチック製せいの買い物かいもの袋ぶくろです。業種ぎょうしゅや規模きぼにかかわらず全国ぜんこくすべての小売こうり店てんが対象たいしょうとなり、レジ袋ぶくろの価格かかくや売り上うりあげの使つかいみちは事業じぎょう者しゃみずからが決きめるとしています。

ただし、植物しょくぶつを原料げんりょうにしたバイオマスプラスチックを25％以上いじょう配合はいごうした袋ふくろや、海うみの中なかで水みずや二に酸化さんか炭素たんそに分解ぶんかいされるプラスチックでできた袋ふくろ、それに厚あつさが0.05ミリ以上いじょうの繰り返くりかえし使つかうことができる袋ふくろは義務ぎむづけの対象たいしょうからは外はずすとしています。

コンビニなどの業界ぎょうかい団体だんたいからは「温あたためた弁当べんとうや汁しるものなどを持ち帰もちかえる場合ばあいは対象たいしょう外がいにしてほしい」という要望ようぼうが出でていましたが対象たいしょう外がいにはしないということです。

こうした方針ほうしんについて神奈川かながわ県けん横須賀よこすか市しにあるコンビニエンスストアの経営けいえい者しゃは賛成さんせいだと言いいます。店内てんないに置おかれたごみ箱ごみばこには毎日まいにち、大量たいりょうのレジ袋ぶくろが捨すてられます。渡わたしてすぐに捨すてられることも少すくなくなく、もったいないと感かんじていました。

客きゃくには「レジ袋ぶくろは必要ひつようですか」と聞きくようにしてきましたが、ほかの店みせに比くらべてサービスが悪わるいなどと思おもわれてしまうのではないか心配しんぱいもあったということです。

店みせを経営けいえいする加藤かとう雄久かつひささん（51）は「以前いぜんに比くらべて『レジ袋ぶくろはいらない』と言いうお客おきゃくさんが増ふえてきていると実感じっかんしているので、有料ゆうりょう化かしてさらに削減さくげんを促うながすのはよいことだと思おもいます。熱あついものや汁物しるものの場合ばあいはレジ袋ぶくろが必要ひつようですが、だからこそ対価たいかとして払はらっていただけると思おもいます」と話はなしていました。

消費しょうひ者しゃの意見いけんはさまざま

コンビニに昼食ちゅうしょくを買かいに訪おとずれた20代だいの会社かいしゃ員いんの男性だんせいは「食たべたあとに空あいた容器ようきなどをレジ袋ぶくろにまとめて捨すてることができるのでやっぱり便利べんりです。消費しょうひ税ぜいも上あがったばかりなのにレジ袋ぶくろも有料ゆうりょう化かされるのは困こまります」と話はなしていました。

また、東京とうきょう 丸の内まるのうちで昼食ちゅうしょくどきに聞きいたところ、20代だいの会社かいしゃ員いんの男性だんせいは「レジ袋ぶくろは１いち日にちに４よん枚まいから５ご枚まいもらっていると思おもいますが、小ちいさい袋ふくろだったらすぐに捨すててしまいます。環境かんきょう問題もんだいを考かんがえたら有料ゆうりょう化かするのもしかたがないと思おもいます」と話はなしていました。

バイオマスプラスチックで作つくられた袋ふくろなどが有料ゆうりょう化か義務ぎむづけの対象たいしょう外がいとされることについては、40代だいの会社かいしゃ員いんの男性だんせいが「プラスチックごみ全体ぜんたいを減へらそうとしているのになぜ対象たいしょう外がいを作つくるのか、理由りゆうがよく分わかりません」と話はなし、幼おさない子こどもを連つれた30代だいの母親ははおやは「対象たいしょう外がいを設もうけると、消費しょうひ者しゃにとって分わかりにくくなります。すべてのレジ袋ぶくろを有料ゆうりょう化かするのか、しないのか。どちらかにしてほしい」と話はなしていました。

なぜ有料ゆうりょう化かに

環境省かんきょうしょうによりますと国内こくないで１いち年間ねんかんに出でるプラスチックごみの量りょうはおよそ900万まんトン。これに対にたいしてレジ袋ぶくろの年間ねんかんの消費しょうひ量りょうは30万まんトンから40万まんトンと試算しさんされていて、ごみの量りょうの３さん％から４よん％に当あたります。

レジ袋ぶくろがごみの多おおくを占しめているわけではありませんが、国くには生活せいかつに身近みぢかなレジ袋ぶくろの有料ゆうりょう化かが使い捨つかいすてプラスチックへの意識いしきを高たかめる象徴しょうちょう的てきな取り組とりくみになると位置いちづけています。

去年きょねん、ＵＮＥＰゆ-えぬい-ぴ-＝国連こくれん環境かんきょう計画けいかくが発表はっぴょうした報告ほうこく書しょによりますと日本にっぽんでは容器ようきや包装ほうそうに使つかわれるプラスチックが、国民こくみん１いち人にん当たり年あたりどし間かんおよそ32キロ分ぶんごみとなっていて、アメリカに次ついで２に番目ばんめに多おおいとされています。

また、プラスチックごみによる海洋かいよう汚染おせんが世界せかい的てきな課題かだいとしてクローズアップされたこともあって、ことし５月ごがつ、国くには2030年ねんまでに使い捨つかいすてのプラスチックごみを25％削減さくげんするという目標もくひょうを立たてました。

環境省かんきょうしょうによりますと、ヨーロッパなど20か国かこく以上いじょうではレジ袋ぶくろを有料ゆうりょう化かしたり税ぜいを課かしたりしているほか、製造せいぞうや販売はんばいを禁止きんししている国くにや地域ちいきもあるということです。

また、国内こくないでも19の都道とどう府県ふけんが全域ぜんいきでレジ袋ぶくろの有料ゆうりょう化かを進すすめていて、このうち平成へいせい20年ねんから有料ゆうりょう化かを始はじめた富山とやま県けんでは去年きょねんまでにおよそ15億おく7000万まん枚まい、およそ１いち万まん6000トンのプラスチックごみを削減さくげんできたとしています。

小泉こいずみ環境かんきょう大臣だいじんは今月こんげつ１いち日にちの閣議かくぎ後ごの会見かいけんで「レジ袋ぶくろの有料ゆうりょう義務ぎむ化かを通をつうじて、プラスチックごみの問題もんだいへの理解りかいが深ふかまり、レジ袋ぶくろに終おわらない行動こうどうを生うむ前向まえむきな連鎖れんさにつながってほしい」と話はなしました。

「バイオマスプラスチック」などは対象たいしょう外がい

「バイオマスプラスチック」や「海洋かいよう生せい分解ぶんかい性せいプラスチック」で作つくられたレジ袋ぶくろが有料ゆうりょう化かの義務ぎむづけの対象たいしょうから外はずされることについては、課題かだいも指摘してきされています。

従来じゅうらいのレジ袋ぶくろは、石油せきゆなどを原料げんりょうにしていますが、バイオマスプラスチックはサトウキビやトウモロコシなどの植物しょくぶつの糖とうから作つくった樹脂じゅしを加工かこうしてできています。

植物しょくぶつは光合成こうごうせいの際さいに二に酸化さんか炭素たんそを吸収きゅうしゅうしているため、ごみとして燃もやしても地球ちきゅう温暖おんだん化かの原因げんいんとなる大気たいき中ちゅうの二に酸化さんか炭素たんその濃度のうどを上昇じょうしょうさせないと考かんがえられるとして活用かつようする動うごきが広ひろまっています。

例たとえば牛うし丼どんぶりチェーンの「松屋まつや」は、バイオマスプラスチックを90％配合はいごうした袋ふくろを、今月こんげつ中ちゅうに全国ぜんこくすべてのおよそ1000店舗てんぽに導入どうにゅうする予定よていです。

また、海洋かいよう生せい分解ぶんかい性せいプラスチックは海うみの中なかで微生物びせいぶつによって水みずや二に酸化さんか炭素たんそに分解ぶんかいされるとして開発かいはつが進すすめられています。しかし、日本にっぽんではレジ袋ぶくろとしてはまだ実用じつよう化かされていません。

こうした特殊とくしゅなプラスチックから作つくるレジ袋ぶくろの製造せいぞうコストはまだ高たかいほか、バイオマスプラスチックの場合ばあいはごみの削減さくげん自体じたいにつながるわけではありません。

環境省かんきょうしょうなどは特殊とくしゅなプラスチックを義務ぎむづけの対象たいしょう外がいとしたことについて「決けっして無料むりょう配布はいふを推奨すいしょうするものではなく、市場しじょうのやり取やりとりのなかで値段ねだんがついていくことを期待きたいしたい」としています。

検討けんとう会かいの委員いいんからは「バイオマスプラスチックや海洋かいよう生せい分解ぶんかい性せいプラスチックがなぜ、義務ぎむづけの対象たいしょう外がいとなったのか消費しょうひ者しゃにどう理解りかいしてもらうかが大おおきな課題かだいになる。有料ゆうりょうではないから使つかい捨すててもかまわないとならないようにしないといけない」という指摘してきが出でていました。

１いち円えんや５ご円えん硬貨こうかを使用しようできない券売けんばい機き使用しようの飲食いんしょく店てんは

注文ちゅうもんや会計かいけいを券売けんばい機きで行おこなっている飲食いんしょく店てんではレジ袋ぶくろの有料ゆうりょう化かにどう対応たいおうするか頭あたまを悩なやませています。券売けんばい機きの多おおくは１いち円えん硬貨こうかや５ご円えん硬貨こうかを使用しようできないからです。

このうち全国ぜんこくにおよそ70店舗てんぽある豚ぶた丼どんぶりなどを提供ていきょうする店みせでも券売けんばい機きは10円えん硬貨こうかからしか使つかえません。もともと持ち帰もちかえりの際さいは容器ようき代だいとして10円えん加算かさんしているため、レジ袋ぶくろの料金りょうきんもこのなかに含ふくまれているとみなせないかと考かんがえていますが、その場合ばあい、マイバッグを持もってきた客きゃくにはどう対応たいおうするのかという課題かだいが残のこります。レジ袋ぶくろ代だいを別途べっと、受け取うけとる方法ほうほうも今後こんご検討けんとうすることにしています。

店みせを経営けいえいする「アントワークス」広報こうほう室しつの昆野こんの明日香あすか課長かちょうは「人気にんき商品しょうひんはニンニク醤油しょうゆの味付あじつけでにおいも結構けっこう出でるので、そのままカバンに入いれることは難むずかしいと思おもいます。消費しょうひ税率ぜいりつの引き上ひきあげや軽減けいげん税率ぜいりつへの対応たいおうでかなり大変たいへんだったので、また来年らいねん、価格かかくをどうするかという課題かだいが出でてくると思おもうと少すこし不安ふあんです」と話はなしていました。

袋ふくろ生産せいさんのメーカーは深刻しんこくな影響えいきょうか

有料ゆうりょう化かの義務ぎむづけで深刻しんこくな影響えいきょうを受うけるとみられているのがレジ袋ぶくろを作つくっているメーカーです。

今回こんかいの方針ほうしんにはメーカーへの支援しえんを検討けんとうすることも盛り込もりこまれました。

50年ねんほど前まえからレジ袋ぶくろを生産せいさんしている広島ひろしま県けん大竹おおたけ市しにある会社かいしゃではレジ袋ぶくろの有料ゆうりょう化かに取り組とりくむ自治体じちたいや事業じぎょう者しゃが増ふえたことなどから、この10年ねんで販売はんばい量りょうが７なな割わりから8割わり、減へったということです。

環境かんきょうに配慮はいりょした製品せいひんを開発かいはつしようと、レジ袋ぶくろの厚あつみを従来じゅうらいのほぼ半分はんぶんにまで薄うすくしたりバイオマスプラスチックを配合はいごうした袋ふくろも生産せいさんしたりしていますが、有料ゆうりょう化かが義務ぎむづけられれば経営けいえいへの打撃だげきは深刻しんこくだと考かんがえています。

レジ袋ぶくろのメーカーで作つくる「日本にっぽんポリオレフィンフィルム工業こうぎょう組合くみあい」によりますと、有料ゆうりょう化かを進すすめた自治体じちたいでは需要じゅようが９きゅう割わり近ちかく落ち込おちこんだケースもあり、ここ数すう年ねんで倒産とうさんや廃業はいぎょうが相次あいついでいるということです。

大竹おおたけ市しの会社かいしゃの社長しゃちょうで組合くみあいの常任じょうにん理事りじを務つとめる中川なかがわ兼一けんいちさんは「レジ袋ぶくろは小売こうり業ぎょうの発展はってんに貢献こうけんし、消費しょうひ者しゃに便利べんりさを提供ていきょうしてきたと自負じふしています。全国ぜんこくで有料ゆうりょう化かが義務ぎむづけられると生いきていけないということになりかねません」と話はなしていました。

また、バイオマスプラスチックについて「原料げんりょうが高たかいのでレジ袋ぶくろの価格かかくも高たかくなってしまい、十分じゅうぶんに普及ふきゅうが進すすまない現状げんじょうがあります。従来じゅうらいのレジ袋ぶくろからの転換てんかんを促うながすには国くにの支援しえんが必要ひつようです」と話はなしていました。

レジ袋ぶくろの価格かかくは事業じぎょう者しゃが設定せってい

今回こんかい示しめされた方針ほうしんではレジ袋ぶくろをいくらにするかは事業じぎょう者しゃみずからが設定せっていすることになっていますが「0.1円えんのような無料むりょうに近ちかい価格かかくにすることもでき、有料ゆうりょう化かの効果こうかがなくなる」として、国くにが最低さいてい価格かかくを示しめすべきではないかという意見いけんがあります。

国くには今後こんご、国内外こくないがいの先行せんこう事例じれいを参考さんこうとして示しめすということです。

ソース：NHK ニュース