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「大量の改ざんあった」ロシア選手のドーピング検体データ
2019-11-04 21:17:11

ロシアスポーツ界の組織的なドーピング問題をめぐり、RUSADA=ロシアアンチドーピング機構の会長がNHKの単独インタビューに応じ、ロシア側が資格回復に向けて提出した選手のデータについて「改ざんがあった」としたうえで、このままでは来年の東京オリンピックとパラリンピックにロシアが国として参加できない可能性が高いという見方を示しました。

RUSADAのユーリ・ガヌス会長は4日、WADA=世界アンチドーピング機構の会議が開かれているポーランドでNHKのインタビューに応じました。

RUSADAは、2014年にロシアの組織的なドーピング問題が明るみに出たあとWADAから「不適格な組織」と宣言され、事実上、活動停止となっていましたが、去年9月、条件付きで検査活動の再開が認められました。
しかし、RUSADAの立て直しのため、おととし就任したガヌス会長は、再開の条件としてロシアスポーツ省が提出した選手の検体のデータについて、WADAなどから得た情報として「数千か所に上る、大量の改ざんがあった」と述べました。
そして「RUSADAにはデータにアクセスする権限がない」として、改ざんの責任はスポーツ省と刑事事件の捜査のため、データを保管していた捜査委員会にあると指摘し、政府に内部調査を求める考えを示しました。
WADAは提出されたデータなどをもとに、RUSADAの扱いについて年内にも判断する見通しですが、再び活動停止となった場合、ロシア選手団は東京オリンピック・パラリンピックに出場できなくなる可能性があります。
ガヌス会長は、「危機的な状況に陥って5年目になり、一層危機が深まっている。ロシアは東京に国旗を持って行けない可能性が高い」と述べ、強い危機感を示しました。
しかし、RUSADAの立て直しのため、おととし就任したガヌス会長は、再開の条件としてロシアスポーツ省が提出した選手の検体のデータについて、WADAなどから得た情報として「数千か所に上る、大量の改ざんがあった」と述べました。
そして「RUSADAにはデータにアクセスする権限がない」として、改ざんの責任はスポーツ省と刑事事件の捜査のため、データを保管していた捜査委員会にあると指摘し、政府に内部調査を求める考えを示しました。
WADAは提出されたデータなどをもとに、RUSADAの扱いについて年内にも判断する見通しですが、再び活動停止となった場合、ロシア選手団は東京オリンピック・パラリンピックに出場できなくなる可能性があります。
ガヌス会長は、「危機的な状況に陥って5年目になり、一層危機が深まっている。ロシアは東京に国旗を持って行けない可能性が高い」と述べ、強い危機感を示しました。
ユーリ・ガヌス会長

RUSADA=ロシアアンチドーピング機構のユーリ・ガヌス会長は、旧ソビエト生まれの55歳です。首都モスクワの大学で経営学を教えたあと、経営管理の手腕を買われて国内の大企業の役員を歴任し、2017年、RUSADAの会長に就任しました。
ロシアの国家ぐるみのドーピングと隠蔽工作の実態は内部告発によって明らかにされ、2015年にWADA=世界アンチドーピング機構に認定されましたが、プーチン政権は「責任は選手個人にある」として現在も国の関与を認めていません。
ガヌス会長はRUSADAのトップとして、WADAと協力してドーピングの根絶に取り組んでいて、過去にドーピングに関わったと認定されたロシアのスポーツ省や治安機関とは一線を画す立場を鮮明にしています。
ロシアの国家ぐるみのドーピングと隠蔽工作の実態は内部告発によって明らかにされ、2015年にWADA=世界アンチドーピング機構に認定されましたが、プーチン政権は「責任は選手個人にある」として現在も国の関与を認めていません。
ガヌス会長はRUSADAのトップとして、WADAと協力してドーピングの根絶に取り組んでいて、過去にドーピングに関わったと認定されたロシアのスポーツ省や治安機関とは一線を画す立場を鮮明にしています。
ロシアのドーピング問題とは
この問題は2014年にロシアの陸上選手などが組織的なドーピング疑惑をドイツの公共放送で証言したことから始まりました。
国際陸上競技連盟やWADA、世界アンチドーピング機構が調査を進めるなか、2015年8月にはドイツの公共放送などが国際陸連の採取した陸上選手の血液データを独自に入手して分析し、2001年から2012年の間にロシアが獲得した陸上のメダルの80%以上は、ドーピングが疑われる選手のものだったと伝え、前例のない大規模な薬物疑惑に世界の注目が集まりました。
WADAは、2015年11月に第三者委員会の調査で、モスクワの検査所の所長がドーピングを主導し検体を意図的に破棄したことなど、ロシアの組織的なドーピングを認定し、RUSADA=ロシアアンチドーピング機構を不適格な組織としました。
さらに2016年7月には、ソチオリンピックでロシアのスポーツ省などが関与し、国家が主導したドーピングや隠蔽が行われていたことを指摘しました。
これを受けてロシアは、リオデジャネイロオリンピックで陸上を中心に100人以上が選手団から除外され、リオデジャネイロパラリンピックではすべての競技で参加が認められませんでした。
さらにピョンチャンオリンピックでは、ロシア選手団自体の出場が認められず、厳しい条件を満たした選手については個人資格での参加にとどまり、パラリンピックには引き続き参加できませんでした。
WADAは去年9月にRUSADAの適格性を改めて判断し、資格を回復する決定をしましたが、その際に隠蔽工作が行われたモスクワの検査所で保管される選手のすべてのデータを提供することなどの条件を付けました。
ロシア側は求めに応じて、ことし1月にデータを提供しましたが、WADAが精査する中で情報提供者から入手していたデータとの間で食い違いがあることがわかり、改ざんの可能性があるとして改めて調査に乗り出しています。
WADAは、データに改ざんが見つかれば、再び不適格とするなど厳しい姿勢で臨むとしています。
国際陸上競技連盟やWADA、世界アンチドーピング機構が調査を進めるなか、2015年8月にはドイツの公共放送などが国際陸連の採取した陸上選手の血液データを独自に入手して分析し、2001年から2012年の間にロシアが獲得した陸上のメダルの80%以上は、ドーピングが疑われる選手のものだったと伝え、前例のない大規模な薬物疑惑に世界の注目が集まりました。
WADAは、2015年11月に第三者委員会の調査で、モスクワの検査所の所長がドーピングを主導し検体を意図的に破棄したことなど、ロシアの組織的なドーピングを認定し、RUSADA=ロシアアンチドーピング機構を不適格な組織としました。
さらに2016年7月には、ソチオリンピックでロシアのスポーツ省などが関与し、国家が主導したドーピングや隠蔽が行われていたことを指摘しました。
これを受けてロシアは、リオデジャネイロオリンピックで陸上を中心に100人以上が選手団から除外され、リオデジャネイロパラリンピックではすべての競技で参加が認められませんでした。
さらにピョンチャンオリンピックでは、ロシア選手団自体の出場が認められず、厳しい条件を満たした選手については個人資格での参加にとどまり、パラリンピックには引き続き参加できませんでした。
WADAは去年9月にRUSADAの適格性を改めて判断し、資格を回復する決定をしましたが、その際に隠蔽工作が行われたモスクワの検査所で保管される選手のすべてのデータを提供することなどの条件を付けました。
ロシア側は求めに応じて、ことし1月にデータを提供しましたが、WADAが精査する中で情報提供者から入手していたデータとの間で食い違いがあることがわかり、改ざんの可能性があるとして改めて調査に乗り出しています。
WADAは、データに改ざんが見つかれば、再び不適格とするなど厳しい姿勢で臨むとしています。
ソース:NHK ニュース