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台風たいふう被害ひがい深刻しんこくいちまち「さらなる支援しえん必要ひつよう

2019-11-07 05:30:21

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台風たいふう19ごうなど被害ひがいけた被災ひさいおとずれたボランティアは、にちまでに11まんにん以上いじょうにのぼっています。一方いっぽう被害ひがい深刻しんこくよっつのけんではさらなるボランティアが必要ひつようだとしています。

丸森まるもりまち 長野ながのなど「さらなるボランティアを」

全国ぜんこく社会しゃかい福祉ふくし協議きょうぎかいによりますと、ことし9月くがつ以降いこう台風たいふう被害ひがいをうけた被災ひさいでは、にちまでに11まん4389にんみずにつかった住宅じゅうたくかたづけや廃棄はいきぶつ撤去てっきょなどの支援しえんにあたってきました。

台風たいふう19ごう被害ひがい発生はっせいしてさん週間しゅうかんがすぎ、一部いちぶ地域ちいきではかたづけがすすみボランティアの募集ぼしゅうえたところもありますが、被害ひがい深刻しんこく地域ちいきでは被災ひさいしゃのニーズに対にたいしてこたえきれない状態じょうたいつづいていて、さらなるボランティアの支援しえん必要ひつようとしているということです。

ななにち正午しょうご時点じてんで、さらなる協力きょうりょくもとめているのは、
東北とうほくでは、
宮城みやぎけん丸森まるもりまち福島ふくしまけんいわき郡山こおりやまみなみ相馬そうま
関東かんとう甲信越こうしんえつでは、
栃木とちぎけん佐野さの長野ながの
わせていちまちです。

全国ぜんこく社会しゃかい福祉ふくし協議きょうぎかいでは、各地かくちのボランティアの募集ぼしゅう状況じょうきょうをホームページで公表こうひょうしていて、必要ひつよう装備そうび手続てつづ確認かくにんしたうえで、活動かつどう参加さんかしてほしいとしています。

SNS くに自治体じちたい対応たいおうもとめるこえ有償ゆうしょう”も話題わだい

先週せんしゅう連休れんきゅうまえNHKえぬえいちけいはじとする報道ほうどう各社かくしゃが「ボランティアがりない」とつたえたところ、SNSにはさまざまな反応はんのうせられました。

「ボランティアは自由じゆう意志いし参加さんかするひとたちなのに、それ不足ふそくというはなしちが」とか、「ボランティアが不足ふそくわれると違和感いわかんある公的こうてき責任せきにん完全かんぜんにスルーされている」、「おおくのひと手伝てつだいたいとおもっているはずですが仕事しごとやすめない、遠方えんぽう被災ひさいけない。だから税金ぜいきんはらっての共助きょうじょなのでは?」などと、くに自治体じちたい対応たいおうもとめるこえや、「給料きゅうりょう仕事しごとですら人手ひとで不足ふそく。ボランティアの有償ゆうしょう検討けんとうする時期じきだ」とか、「交通こうつうしてほしい。自腹じばらってつづけられない。持続じぞくてきであることが意味いみがあるとおも」、「外国がいこくでは有償ゆうしょうボランティアが当たり前あたりまえだといたことがある」などと、ボランティアを有償ゆうしょうおこなことについても話題わだいとなっていました。

「ボランティア不足ふそくまちこえ

「ボランティア不足ふそく」ということばにまちひとたちの反応はんのうはさまざまです。

25さい男性だんせいは「りないので募集ぼしゅうするということなら、お金おかねはらべきだとおもいます」とはなしていました。

79さい男性だんせいは「ボランティア不足ふそくと、関心かんしんひくのかなとおもいます」とはなしていました。

一方いっぽうで、まだボランティアに参加さんかしていないというひとなかには、交通こうつうなど経済けいざいてき負担ふたん障害しょうがいになっているというこえもあります。

都内とない18さい大学生だいがくせい女性じょせいは「もし交通こうつうしてもらえるなら、参加さんかしてみたいです」とはなしていました。

神奈川かながわけん33さい会社かいしゃいん男性だんせいは「被災ひさいまでの交通こうつう宿泊しゅくはくなど費用ひようになります」とはなしていました。

対策たいさくいち “One Nagano” 自治体じちたい自衛隊じえいたい連携れんけい

内閣ないかくによりますと、千曲川ちくまがわ決壊けっかいしておおくの家屋かおく浸水しんすいした長野ながのでは、ボランティアと自衛隊じえいたいそれ自治体じちたい役割やくわり分担ぶんたんして被災ひさい発生はっせいした「災害さいがいごみ」の撤去てっきょにあたる取り組とりくみがおこなわれています。

具体ぐたいてきには、まず、昼間ひるまあつまったボランティアが、道路どうろ広場ひろばなどされた大量たいりょう災害さいがいごみを自治体じちたい職員しょくいんとも連携れんけいしてだい規模きぼ集積しゅうせきじょう運び出はこびだします。そしてあつめられた災害さいがいごみは分別ふんべつおこなったうえで、夜間やかん自衛隊じえいたい業者ぎょうしゃががまとめて地区ちくそと運び出はこびだ仕組しくだということで、今月こんげつにちからのさん連休れんきゅうで8200にんあまのボランティアが参加さんかしたということです。

「One Nagano」とばれるこの取り組とりくみはボランティアや自治体じちたい自衛隊じえいたいなど事前じぜん情報じょうほう共有きょうゆうおこなったうえで連携れんけいして被災ひさい復旧ふっきゅうにあたった全国ぜんこくはつ事例じれいだということです。

兵庫ひょうご県立けんりつ大学だいがくげんわざわい復興ふっこう政策せいさく研究けんきゅうちょう室崎むろさきえきてる教授きょうじゅは「被災ひさい復旧ふっきゅう復興ふっこうにボランティアはいまかせない存在そんざいで、旅費りょひ宿泊しゅくはく補助ほじょなど
よりおおくのひと参加さんかしやすい環境かんきょうととのえ、ボランティアのすそ野すそのひろげていくことが必要ひつようだ。そのうえで、復旧ふっきゅうをボランティアまかせにせず、行政ぎょうせい活動かつどう後押あとおしする姿勢しせい取り組とりくみが重要じゅうようになってくる」とはなしていました。

対策たいさく 兵庫ひょうごけん ボランティアに助成じょせいきん支給しきゅう

兵庫ひょうごけんでは、「ふるさと納税のうぜい」の寄付きふきん財源ざいげんにして災害さいがいボランティア団体だんたいへの交通こうつう宿泊しゅくはく助成じょせい制度せいど全国ぜんこく先駆さきがけて今年度こんねんどからもうけました。

台風たいふう19ごう制度せいどはじめて適用てきようとなり、関西かんさいよんけんなど構成こうせいする「関西かんさい広域こういき連合れんごう」の割り当わりあ兵庫ひょうごけん支援しえんになことになった長野ながのけん活動かつどうするボランティアに助成じょせいきん支給しきゅうしています。

申請しんせい窓口まどぐちとなっている兵庫ひょうごけん外郭がいかく団体だんたい「ひょうごボランタリープラザ」には、年間ねんかん50けんほどとかんがえていた見込みこおおきく上回うわまわペースで申請しんせいせられていて、受け付うけつけをはじめてからろくにちまでの10日間にちかんで25けん申し込もうしこがあったということです。

「ひょうごボランタリープラザ」の高橋たかはし守雄もりお所長しょちょうは「小遣こづかなど使つかえるお金おかねかぎられる学生がくせいやお年寄としよにとって、この制度せいどが、活動かつどう後押あとおしになっているとあらためてかんじた。各地かくち災害さいがい頻発ひんぱつするなか無償むしょうのボランティアだけでは限界げんかいあるおもので、こうした制度せいどほか自治体じちたいくにレベルひろがってほしい」とはなしていました。

助成じょせいけたひと自己じこ負担ふたんすくなく すそ野すそのひろがる

台風たいふう19ごう被災ひさい活動かつどうした神戸こうべ市内しないのボランティアグループは、兵庫ひょうごけん制度せいど利用りようして移動いどうのためのレンタカーだい宿泊しゅくはく一部いちぶ助成じょせいけました。

木下きのした英吉えいきちさん(64)は先月せんげつ29にちからさん日間にちかん千曲川ちくまがわ堤防ていぼう決壊けっかいしてひろ範囲はんい浸水しんすいした長野ながの赤沼あかぬまほかメンバーとともに住宅じゅうたく入り込はいりこんだどろかき出かきだしや家財かざい運搬うんぱんなど手伝てつだいました。

いちにんたりさんまんえん費用ひようがかかりましたが、助成じょせい適用てきようけたことで、自己じこ負担ふたんいちにんいちまん2000えんほどでんだということです。

木下きのしたさんは「これまでなん災害さいがいボランティアに参加さんかしてきたが、自己じこ負担ふたんすくなくなるのはありがたい。制度せいどによってボランティアに参加さんかするひとすそ野すそのひろがるおも」とはなしていました。

対策たいさくさん 仕事しごとのスキルいかす「プロボノ」に注目ちゅうもく

現地げんち出向でむかなくても仕事しごとつちかったスキルをかして被災ひさい支援しえんするボランティア活動かつどうもあります。

東日本ひがしにっぽん大震災だいしんさいでは、被災ひさいでまちづくりを支援しえんしている団体だんたい運営うんえいマニュアルをつくるため都内とないのIT企業きぎょうなどはたらひとたちが現地げんちとインターネットでつないではなし聞き取ききとり、マニュアルを作成さくせいしました。

また熊本くまもと地震じしんでは、大手おおて家電かでんメーカー社員しゃいんたちがおもて計算けいさんソフトのスキルをいかして、ボランティア団体だんたいこれまでの議事ぎじろくをキーワードごとにデータベースして、見返みかえしやすくしたということです。

こうした仕事しごとのスキルをかしたボランティアは「プロボノ」とばれ、近年きんねん注目ちゅうもくあつめているといいます。

スキルをったひと被災ひさいとを仲介ちゅうかいしているNPOえぬぴ-お-法人ほうじんサービスグラント」の嵯峨さが生馬いくまさんは「災害さいがいへの支援しえんのしかたの選択肢せんたくしひととして、自分じぶんのスキルや知恵ちえをいかせるプロボノがあることをってもらいたい。復旧ふっきゅうのあとの生活せいかつ復興ふっこうにこそ、プロボノのニーズがたかまるおもので、いろんな職業しょくぎょうひと参加さんかしてもらいたい」とはなしていました。

専門せんもんいろいろ仕掛しか きっかけ重要じゅうよう

ボランティア活動かつどう研究けんきゅうしている独立どくりつ行政ぎょうせい法人ほうじん労働ろうどう政策せいさく研究けんきゅう研修けんしゅう機構きこう小野おの晶子あきこ主任しゅにん研究けんきゅういんは、SNSでこうした反応はんのう背景はいけいとして、災害さいがいボランティアに参加さんかするひとひと役に立やくにたちたいという「利他りたてき動機どうき」がとくつよ一方いっぽう被災ひさいとお多額たがく交通こうつうなどかかるひとにとっては参加さんかしたくてもできないという状況じょうきょうある指摘してきします。

そのうえで「公的こうてきできることとボランティアができることはちが公的こうてき部分ぶぶん平等びょうどうおこなえることがあって、抜け落ぬけおちた部分ぶぶんをボランティア活動かつどう補完ほかんしていくことが必要ひつようだ」とはなしていました。

また災害さいがい相次あいつなか、「今後こんごもボランティアが必要ひつよう場面ばめんというのはかなりてくる。かなりボランティアをやるひとえているが、欧米おうべいのように全員ぜんいんがやるというような文化ぶんかではない。ボランティアをやしていくいろいろ仕掛しかきっかけつくっていくことが重要じゅうようになってくる」とはなし、交通こうつう実費じっぴぶん支給しきゅうするなどある程度あるていど経済けいざいてき負担ふたんをしたり、平常へいじょうとき登録とうろくしておいて災害さいがい発生はっせいしたときに派遣はけんできるようなボランティアの全国ぜんこくシステムつくったりする取り組とりくみが必要ひつようだとしています。
ソース:NHK ニュース