届とどいていても「見返みかえせなかった」災害さいがい時じ 緊急きんきゅう速報そくほうメールの課題かだい

甚大じんだいな被害ひがいが出でた台風たいふう19号ごうの豪雨ごうう災害さいがいの際さい、「緊急きんきゅう速報そくほうメール」として、スマートフォンなどに届とどいた気象きしょう警報けいほうや避難ひなん情報じょうほうを、「見返みかえすことができなかった」という声こえが、被災ひさい地ちで相次あいついでいることが分わかりました。中なかには避難ひなんが遅おくれて危険きけんな状況じょうきょうに陥おちいった人ひともいて、携帯けいたい各社かくしゃが対策たいさくに動うごいています。

「エリアメール」とも呼よばれる「緊急きんきゅう速報そくほうメール」は、国くにや自治体じちたいが携帯けいたい事業じぎょう者しゃを通をつうじて気象きしょう警報けいほうや避難ひなん情報じょうほうをスマートフォンなどに一斉いっせい送信そうしんするもので、先月せんげつ12日にちから13日にちにかけての台風たいふう19号ごうの豪雨ごうう災害さいがいでも相次あいついで送信そうしんされました。

ＮＨＫえぬえいちけいは、豪雨ごうう災害さいがいの被害ひがいを受うけた宮城みやぎ県けん大崎おおさき市しと丸森まるもり町まちで「緊急きんきゅう速報そくほうメール」をどのように活用かつようしたのか、聞き取ききとり調査ちょうさを行おこないました。

その結果けっか、調査ちょうさに答こたえた83人にんのうち68人にんが、緊急きんきゅう速報そくほうメールを見みていたものの、見みた人ひとの３さん分ぶんの２にに当にあたる44人にんは「見返みかえすことができなかった」と答こたえました。

見返みかえせなかった人ひとの中なかには、避難ひなんが遅おくれて自宅じたくが浸水しんすいする直前ちょくぜんまで家いえにいたという人ひともいました。

携帯けいたい大手おおて３さん社しゃによりますと、見返みかえすことができない理由りゆうは、表示ひょうじされた画面がめんを消けすと情報じょうほうが消去しょうきょされる機種きしゅがあるほか、メールを保存ほぞんする専用せんようのアプリをインストールしていなかったり使い方つかいかたを知しらなかったりするケースが多おおいということです。

携帯けいたい大手おおて３さん社しゃの中なかには対策たいさくを進すすめる動うごきも出でていますが、急速きゅうそくに普及ふきゅうしている緊急きんきゅう速報そくほうメールの使い方つかいかたをどう周知しゅうちするかが課題かだいになっています。

見返みかえせず 避難ひなん遅おくれた人ひとも

緊急きんきゅう速報そくほうメールを見返みかえすことができず、避難ひなんが遅おくれたという人ひともいました。

台風たいふう19号ごうの豪雨ごうう災害さいがいで宮城みやぎ県けん大崎おおさき市し鹿島かしま台だいの自宅じたくが床上ゆかうえ80センチまで浸水しんすいした高橋たかはし直治なおはるさん（41）は、台風たいふうが接近せっきんした先月せんげつ12日にち夕方ゆうがたごろにスマートフォンで緊急きんきゅう速報そくほうメールを何なん度どか受信じゅしんしましたが、十分じゅうぶんには確認かくにんしませんでした。

夜よるになって雨あめが激はげしくなったためにメールを見返みかえそうとしましたが、どこに表示ひょうじされるか分わからず、見返みかえすことができませんでした。

翌日よくじつ午前ごぜん０ぜろ時じごろになると、緊急きんきゅう速報そくほうメールがさらに相次あいついで届とどくようになり、大おおきな受信じゅしん音おんで不安ふあんになって外そとの様子ようすを見みると、玄関げんかんの前まえが15センチほど浸水しんすいしていました。そのため家族かぞくを起おこして急いそいで避難ひなんしたといいます。

当時とうじ、大崎おおさき市しは先月せんげつ12日にちの午後ごご３さん時じに避難ひなん準備じゅんび情報じょうほう、午後ごご９きゅう時半じはんに鹿島かしま台だいの住民じゅうみんへの避難ひなん勧告かんこく、13日にち午前ごぜん１いち時じに避難ひなん指示しじをそれぞれ出だし、緊急きんきゅう速報そくほうメールで知しらせていました。

高橋たかはしさんは「当時とうじは自分じぶんにも慢心まんしんがありましたが、メールを見返みかえせていたらもう少もうすこし早はやめの行動こうどうはできたと思おもいます。スマホやメールの使い方つかいかたを事前じぜんに分わかっていないと本当ほんとうに使つかいたいときに使つかえないと感かんじました」と話はなしていました。

機種きしゅによって違ちがう確認かくにん方法ほうほう

携帯けいたい大手おおて３さん社しゃによりますと、緊急きんきゅう速報そくほうメールを確認かくにんする方法ほうほうはスマートフォンの機種きしゅによって異ことなります。

ｉＰｈｏｎｅの場合ばあい、通知つうちとして受信じゅしんすることはできますが、消去しょうきょのボタンを押おしたりスワイプしたりすると見返みかえすことができません。

グーグルの基本きほんソフト、「アンドロイド」を搭載とうさいしたスマートフォンでは、ＮＴＴドコモえぬてぃ-てぃ-どこもの「災害さいがい用ようキット」やＫＤＤＩの「ａえいｕゆ-災害さいがい対策たいさく」など、専用せんようのアプリを使つかうことで保存ほぞんして見返みかえすことができます。

従来じゅうらい型がたの携帯けいたい電話でんわ、いわゆる「ガラケー」の場合ばあい、機種きしゅによってはメールの受信じゅしんボックスに保存ほぞんされますが、アプリが必要ひつような場合ばあいもあるということです。

いずれも機種きしゅによって細こまかい使い方つかいかたが違ちがうケースがあり、携帯けいたい各社かくしゃはホームページなどで確認かくにんするように呼よびかけています。

対策たいさくの動うごきも

携帯けいたい大手おおての中なかには、対策たいさくに乗り出のりだすところも出でています。

「ａえいｕゆ-」を展開てんかいするＫＤＤＩは、ｉＰｈｏｎｅでも使つかえるアプリ、「プラスメッセージ」で「緊急きんきゅう速報そくほうメール」が保存ほぞんされるように、システムの改良かいりょうを進すすめているということで、実現じつげんすればスマホの機種きしゅを問とわず「緊急きんきゅう速報そくほうメール」を確認かくにんできるということです。

ＫＤＤＩパーソナル事業じぎょう本部ほんぶの服部はっとり誠まことマネージャーは「緊急きんきゅう速報そくほうメールは東日本ひがしにっぽん大震災だいしんさいの時ときは緊急きんきゅう地震じしん速報そくほうを伝つたえる役割やくわりが大おおきかったが、去年きょねん７月しちがつの西日本にしにほん豪雨ごうう以降いこう、自治体じちたいが避難ひなん指示しじなどの連絡れんらくで利用りようするようになった。それに伴ともない、避難ひなんの対象たいしょう地域ちいきや避難ひなん場所ばしょなどを見返みかえすケースが増ふえてきたので分わかりやすく伝つたえる方法ほうほうを考かんがえたい」と話はなしています。

一方いっぽう、ＮＴＴドコモえぬてぃ-てぃ-どこもは「不便ふべんをかけて申し訳もうしわけございません」としたうえで、ｉＰｈｏｎｅでは通知つうちを消けさないか、通知つうちの画面がめんをスクリーンショットで画像がぞうに残のこすことを勧すすめています。

ソフトバンクは「コメントを差し控さしひかえます」としています。

専門せんもん家か「不十分ふじゅうぶんさ否いなめない」

災害さいがい時じの情報じょうほう発信はっしんの在り方ありかたを研究けんきゅうしている東北とうほく大学だいがく災害さいがい科学かがく国際こくさい研究所けんきゅうじょの佐藤さとう翔しょう輔准じゅん教授きょうじゅは、緊急きんきゅう速報そくほうメールについて「とても有効ゆうこうなツールだが、不十分ふじゅうぶんさは否いなめない。通知つうちが消きえてしまうということを住民じゅうみんに知しってもらうことが重要じゅうようだ」と話はなしています。

そのうえで、「災害さいがいや避難ひなんに関にかんする情報じょうほうはさまざまなメディアで見みられるようになったが、住民じゅうみんが必かならずしも知しらない現状げんじょうがある。自治体じちたいが行おこなう避難ひなん訓練くんれんなどに合あわせて、こうした情報じょうほうを使つかいこなす訓練くんれんも行おこなうことが大切たいせつだ」と指摘してきしています。

ソース：NHK ニュース