京きょう急きゅう踏切ふみきり事故じこ「600ｍめ-とる手前てまえから信号しんごう見みえず」当初とうしょの説明せつめいと異ことなる

ことし９月くがつ、横浜よこはま市しで起おきた京きょう急きゅう線せんの脱線だっせん事故じこで、踏切ふみきり内ないの異常いじょうを知しらせる信号しんごう機きについて、当初とうしょ、会社かいしゃが説明せつめいしていた踏切ふみきりの600ｍめ-とる手前てまえからは運転うんてん士しが目視もくしで確認かくにんできないことが分わかりました。京きょう急きゅうは再発さいはつ防止ぼうし策さくとして信号しんごう機きの設置せっち場所ばしょなどを見直みなおす方針ほうしんです。

ことし９月くがつ、横浜よこはま市し神奈川かながわ区くの京きょう急きゅう線せんの踏切ふみきりで、快かい特電とくでん車しゃが踏切ふみきり内ないに立往生たちおうじょうした大型おおがたトラックと衝突しょうとつして脱線だっせんし、トラック運転うんてん手しゅが死亡しぼうしたほか、乗客じょうきゃくなど35人にんがけがをしました。

事故じこが起おきた踏切ふみきりには異常いじょうを知しらせる専用せんようの信号しんごう機きが３みっつあり、このうち最もっとも手前てまえにある信号しんごう機きは踏切ふみきりからおよそ340ｍめ-とるの場所ばしょにあります。

京きょう急きゅうは当初とうしょ、踏切ふみきりの600ｍめ-とる手前てまえから運転うんてん士しが目視もくしする事ことができると説明せつめいしていましたが、その後そのごの会社かいしゃの調査ちょうさで、この地点ちてんからはカーブなどがあって目視もくしで確認かくにんできないことが分わかりました。

このため会社かいしゃは再発さいはつ防止ぼうし策さくとして、運転うんてん士しが600ｍめ-とる地点ちてんでも確認かくにんできるよう、信号しんごう機きの設置せっち場所ばしょなどを見直みなおす方針ほうしんです。

具体ぐたい的てきには、信号しんごう機きの数かずを増ふやすことなどを新あらたに検討けんとうしているということです。

この信号しんごう機きについて会社かいしゃ側がわは、時速じそく120キロで走行そうこうする快かい特電とくでん車しゃが停止ていしするのに必要ひつようとされる距離きょり、およそ520ｍめ-とるからは少すくなくとも確認かくにんできるとしていて、国くにの省令しょうれいや社内しゃない規程きていに違反いはんはしていないとしています。

京きょう急きゅうはＮＨＫえぬえいちけいの取材しゅざいに対にたいし「現在げんざい、対策たいさくは検討けんとう中ちゅうなのでコメントは差し控さしひかえる」としています。

「600ｍめ-とるで止とまれる」は業界ぎょうかいの “慣例かんれい”

京きょう急きゅうが事故じこ直後ちょくごに「快かい特電とくでん車しゃ」が600ｍめ-とる手前てまえで信号しんごう機きが見みえると説明せつめいしていたのには、かつての国くにの「省令しょうれい」の存在そんざいがあるとみられます。

そもそも信号しんごう機きなどの鉄道てつどう施設しせつは、国土こくど交通こうつう省しょうの「省令しょうれい」に基もとづいて設置せっちされています。

このうち「鉄道てつどう運転うんてん規則きそく」という省令しょうれいの中なかで、在来ざいらい線せんは “非常ひじょうブレーキをかけてから600ｍめ-とる以内いないに停止ていししなければならない” とされていました。

この「鉄道てつどう運転うんてん規則きそく」は、鉄道てつどう車両しゃりょうのブレーキの性能せいのうが向上こうじょうしたことなどにより平成へいせい14年ねんに廃止はいしされ、新あたらしい省令しょうれいには具体ぐたい的てきな数値すうちなどは記載きさいされていません。

ただ、強制きょうせい力りょくを持もたない形かたちで省令しょうれいの解釈かいしゃくを具体ぐたい的てきに記しるした、「解釈かいしゃく基準きじゅん」と呼よばれるものには、「列車れっしゃの制動せいどう距離きょりは600ｍめ-とる以下いかを標準ひょうじゅんとすること」という記述きじゅつがあり、今いまも業界ぎょうかいの「慣例かんれい」として残のこっています。

このため、現在げんざいも列車れっしゃの多おおくは600ｍめ-とる以内いないで止とまることができる最高さいこう速度そくどの設計せっけいになっていて、踏切ふみきりの異常いじょうを知しらせる信号しんごう機きについても、600ｍめ-とるより手前てまえから見みえる場合ばあいが多おおくなっています。

「１いちキロ手前てまえで信号しんごう機き見みえることなど必要ひつよう」専門せんもん家か

鉄道てつどうの安全あんぜん対策たいさくに詳くわしい工学こうがく院いん大学だいがくの高木たかぎ亮あきら教授きょうじゅは「非常ひじょうブレーキを２に～３さん秒びょうためらうともう間に合まにあわないので、120キロというスピードが高たかい列車れっしゃを走はしらせていることを考かんがえると、最低さいてい限げん600ｍめ-とるは守まもってほしかった」と話はなしています。

そのうえで「運転うんてん士しに任まかせている判断はんだんが余裕よゆうをもって行おこなえるように、例たとえば１いちキロ手前てまえなどもう少もうすこし手前てまえから信号しんごう機きが見みえる体制たいせいを作つくるのがまずは必要ひつようだと思おもうし、今いまの重大じゅうだい事故じこは高たかい確率かくりつで踏切ふみきりで起おきているので、自動じどうで列車れっしゃにブレーキをかける仕組しくみなども検討けんとうしていく必要ひつようがある」と指摘してきしています。

ソース：NHK ニュース