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温室おんしつ効果こうかガス排出はいしゅつりょう 過去かこ最悪さいあくおおさに UNEP発表はっぴょう

2019-11-26 09:57:41

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UNEP=国連こくれん環境かんきょう計画けいかくは、去年きょねんいち年間ねんかん世界せかい排出はいしゅつされた温室おんしつ効果こうかガスりょう統計とうけいはじめてから過去かこ最悪さいあくおおさになったとする報告ほうこくしょ発表はっぴょうし、各国かっこくに対にたいして環境かんきょう政策せいさく大幅おおはば強化きょうかもとめています。

この報告ほうこくしょは、来月らいげつにちから地球ちきゅう温暖おんだん対策たいさくについて話し合はなしあ国連こくれん会議かいぎ、「COP25」がスペインではじまるのをまえにUNEPが、26にち、スイスのジュネーブで発表はっぴょうしました。

それによりますと、去年きょねんいち年間ねんかん世界せかい排出はいしゅつされた温室おんしつ効果こうかガスりょうは553おくトンと、これまでの排出はいしゅつりょう更新こうしんして過去かこ最悪さいあくおおさとなりました。

報告ほうこくしょでは、世界せかい平均へいきん気温きおん上昇じょうしょうを、産業さんぎょう革命かくめいまえくらべて、未満みまんおさえるためには2030ねん時点じてんで150おくトンらす必要ひつようある指摘してきしていますが、現状げんじょうでは実現じつげんむずかしく、各国かっこくに対にたいして環境かんきょう政策せいさく大幅おおはば強化きょうかもとめています。

とく日本にっぽんに対にたいしては、石炭せきたん火力かりょく発電はつでんしょ建設けんせつ中止ちゅうしするほか再生さいせい可能かのうエネルギー利用りようすることで石油せきゆ利用りよう段階だんかいてきにやめていくことなどもとめています。

この報告ほうこくしょはCOP25でも取り上とりあげられる予定よていで、各国かっこく対策たいさく強化きょうかにつなげられるかわれています。

日本にっぽん取り組とりく酸化さんか炭素たんそ回収かいしゅう技術ぎじゅつ

日本にっぽん政府せいふはことし6月ろくがつ地球ちきゅう温暖おんだん対策たいさくすすめるための長期ちょうき戦略せんりゃく決定けってい。2050ねんまでに温室おんしつ効果こうかガスを80%削減さくげんし、今世紀こんせいき後半こうはんのできるだけはや時期じきに、排出はいしゅつゼロ=「だつ炭素たんそ社会しゃかい」の実現じつげん目指めざことをかかげています。

長期ちょうき戦略せんりゃくでは、温室おんしつ効果こうかガス排出はいしゅつおさえるだけでなく、いったん排出はいしゅつされたものを回収かいしゅうする技術ぎじゅつを2023ねんまでに実用じつようすることも盛り込もりこまれています。

このうち火力かりょく発電はつでんしょなど排出はいしゅつされるガスから酸化さんか炭素たんそ分離ぶんりして回収かいしゅう地下ちかふかくに封じ込ふうじこめる「CCS」とばれる技術ぎじゅつについては実証じっしょう試験しけんすすめられています。

北海道ほっかいどう苫小牧とまこまいある施設しせつでは、製油せいゆしょからガス溶液ようえきれてガスのなか酸化さんか炭素たんそ吸着きゅうちゃくさせ、分離ぶんりして回収かいしゅうする作業さぎょうが2016ねん4月しがつから今月こんげつまでおこなわれていました。

回収かいしゅうした酸化さんか炭素たんそは、パイプラインで沖合おきあいおよそさんキロふかさ1000メートルから1200メートルのそうと、ふかさ2400メートルから3000メートルのそうか所かしょ送り込おくりこまれます。

それぞれそううえには、どろいわなどでできた「しゃへいそう」とばれる地層ちそうがあり、酸化さんか炭素たんそとおさないため、長期ちょうきかん安定あんていして貯留ちょりゅうすることができるとされています。

この施設しせつでは、およそさんねんはんわせて30まんトンあま酸化さんか炭素たんそ封じ込ふうじこめたということで、現在げんざい安全あんぜんせい確認かくにんするためのモニタリングがつづけられています。

地球ちきゅう環境かんきょう産業さんぎょう技術ぎじゅつ研究けんきゅう機構きこう調査ちょうさでは、国内こくない地中ちちゅうには、およそ1400おくトン酸化さんか炭素たんそ貯留ちょりゅうできる試算しさんされ、これは、日本にっぽん年間ねんかん排出はいしゅつりょうのおよそ100ねんぶんにあたるということです。

しかし、コストがたかという課題かだいほか地中ちちゅうめた酸化さんか炭素たんそ地震じしんによってそとさないかや、ふか地層ちそうめることで、地震じしん誘発ゆうはつさせるのではないかという懸念けねんています。

さらに、大気たいきから直接ちょくせつ酸化さんか炭素たんそ回収かいしゅうする技術ぎじゅつ研究けんきゅう開発かいはつはじまっています。兵庫ひょうごけん明石あかしある川崎かわさきじゅう工業こうぎょう工場こうじょうでは環境省かんきょうしょう委託いたくけて、ことし8月はちがつから基礎きそ試験しけんおこなわれています。

使つかのは、「アミン」という酸化さんか炭素たんそ吸収きゅうしゅうする性質せいしつある化学かがく物質ぶっしつです。アミンをコーティングしたつぶをパイプに酸化さんか炭素たんそとおと、わずかすうふん酸化さんか炭素たんそ濃度のうどは10まんppmからぜろppmまでがります。

しかし大気たいきちゅう酸化さんか炭素たんそ濃度のうど通常つうじょう、300から400ppmで、てい濃度のうど大気たいきから酸化さんか炭素たんそだけを回収かいしゅうする方法ほうほう今後こんご研究けんきゅうする必要ひつようがあります。

同様どうよう技術ぎじゅつ海外かいがいでも開発かいはつすすめられていて、スイスのベンチャー企業きぎょうはごみ焼却しょうきゃく施設しせつ屋上おくじょう巨大きょだい装置そうち設置せっちして酸化さんか炭素たんそ回収かいしゅうしていますが、いちトン回収かいしゅうするのにおよそろくまん5000えんからはちまん5000えんかかり、回収かいしゅうできるのは年間ねんかん900トンだということです。

これに対にたいして、世界中せかいじゅう排出はいしゅつされる酸化さんか炭素たんそは300おくトンえるわれています。

酸化さんか炭素たんそ回収かいしゅう技術ぎじゅつについて環境省かんきょうしょうは「まずは再生さいせい可能かのうエネルギー普及ふきゅうさせたり省エネしょうえね徹底てっていしたりして酸化さんか炭素たんそ排出はいしゅつできるかぎりらすことが重要じゅうようだ。そのうえで、回収かいしゅう技術ぎじゅつ実用じつようしてコストなど課題かだい解決かいけつしていくこともわせてすすめる必要ひつようあるかんがえている」としています。

日本にっぽん火力かりょく発電はつでん 76%にのぼ

資源エネルギー庁しげんえねるぎ-ちょうによりますと、年度さくねんど(2018年度ねんど)の国内こくない発電はつでん電力でんりょくうち化石かせき燃料ねんりょう使つかった火力かりょく発電はつでんは76%にのぼります。

燃料ねんりょうべつますと天然てんねんガスが38%、石炭せきたんが31%、石油せきゆなどなな%となっています。

ほか主要しゅようこく化石かせき燃料ねんりょうめる割合わりあい原子力げんしりょく発電はつでん割合わりあいおおフランスがきゅう%、ドイツが57%、温暖おんだん対策たいさく消極しょうきょくてきとされるトランプ政権せいけんアメリカが65%となっています。

日本にっぽん火力かりょく発電はつでん割合わりあいたかのは福島ふくしまだいいち原発げんぱつ事故じこのあと原発げんぱつ稼働かどうゼロになり、火力かりょく発電はつでんおぎな必要ひつようがあったことが影響えいきょうしています。ただ海外かいがいからは、火力かりょく発電はつでんのなかでも石炭せきたん比率ひりつたかく、石炭せきたん火力かりょく発電はつでんしょ新設しんせつしていることが批判ひはんされています。

石炭せきたん火力かりょく発電はつでん新設しんせつについて政府せいふは、安定あんてい供給きょうきゅう経済けいざいせいすぐれた重要じゅうよう電源でんげんあるとして、環境かんきょうへの影響えいきょうなどをみたうえで問題もんだいがないと判断はんだんすればみとめることにしています。

また日本にっぽんがインドや東南アジアとうなんあじあなど石炭せきたん火力かりょく発電はつでん導入どうにゅう支援しえんしていることについても批判ひはんこえもでていますが、これについて資源エネルギー庁しげんえねるぎ-ちょうは、「日本にっぽん輸出ゆしゅつするたか効率こうりつ発電はつでん技術ぎじゅつ酸化さんか炭素たんそ排出はいしゅつおさえることができ、結果けっかてきにはアジア全体ぜんたい温室おんしつ効果こうかガス削減さくげんにつながる」と説明せつめいしています。

温暖おんだんへの危機きき世界中せかいじゅう

温室おんしつ効果こうかガスらさなくてはいけないという危機ききかんは、世界中せかいじゅうひろがっています。なかでもわか世代せだいうごかすきっかけになったのは、スウェーデンの16さい活動かつどう、グレタ・トゥーンベリさんです。

グレタさんは、温暖おんだん対策たいさくうったえるため毎週まいしゅう金曜日きんようび学校がっこうやすんで抗議こうぎおこなったことから、「未来みらいのための金曜日きんようび」として世界中せかいじゅうおおくの若者わかもの参加さんかする運動うんどうとなりました。

世界せかいだい企業きぎょう温暖おんだん対策たいさく積極せっきょくてきうごはじめています。業務ぎょうむ使つか電力でんりょくを2050ねんまでにすべて再生さいせい可能かのうエネルギーまかなことを目指めざ「RE100」という取り組とりくみには、マイクロソフトやBMWのほか世界せかい大手おおて企業きぎょう中心ちゅうしんに200しゃあま参加さんかし、日本にっぽんからもイオンや富士通ふじつうなど参加さんかする企業きぎょうえています。

また市民しみん環境かんきょう意識いしき企業きぎょううごかしたれいもあります。航空こうくう業界ぎょうかいです。国土こくど交通こうつうしょう試算しさんでは飛行機ひこうきいちキロ移動いどうするさい排出はいしゅつされる乗客じょうきゃくいちにんたり酸化さんか炭素たんそは、鉄道てつどうくらべるばいほどとされていて、グレタさんもこうした理由りゆうから飛行機ひこうきらないとしています。

ヨーロッパでは長距離ちょうきょり移動いどう手段しゅだん列車れっしゃえらうごていて、航空こうくうのはずかしいという意味いみの「はじ」ということばもまれました。

こうしたうごけ、フランスの航空こうくう会社かいしゃ「エールフランス」はことし10つき来年らいねんから国内こくない便びん運航うんこうによって排出はいしゅつされる酸化さんか炭素たんそについて、植林しょくりん事業じぎょうなど削減さくげんされるぶん買い取かいとることで、100%相殺そうさいすると発表はっぴょうしました。また、KLMオランダ航空こうくうは、鉄道てつどう会社かいしゃ連携れんけいし、500キロ以下いか路線ろせん鉄道てつどうなど置き換おきかえることを検討けんとうしているとあきらかにしています。

専門せんもんあせかんじるべき状態じょうたい

国立こくりつ環境かんきょう研究所けんきゅうじょ地球ちきゅう環境かんきょう研究けんきゅうセンター江守えもりただしふくセンターちょうは「パリ協定きょうていでは世界せかい平均へいきん気温きおん上昇じょうしょう産業さんぎょう革命かくめいまえくらべ1.5おさえる努力どりょくをすることになっているが、そのためには2050ねんには温室おんしつ効果こうかガス排出はいしゅつりょうゼロにするペースでらしていかないといけない。まずいちねんでもはや減少げんしょうてんじなければいけないが2018ねんえてしまったのはあせりをかんじなければいけない状態じょうたいだ」と指摘してきしました。


そして日本にっぽん石炭せきたん火力かりょく発電はつでんしょ新設しんせつしていることに国際こくさいてき批判ひはんせられている。近年きんねんおおきな水害すいがい猛暑もうしょ経験けいけんしたこともまえて、気候きこう変動へんどうめるための施策しさくもう一度もういちど真剣しんけんかんがえなければならない。パリ協定きょうてい来年らいねんから本格ほんかくてきはじまるが、来月らいげつひらかれる『COP25』で各国かっこくどのような取り組とりくみをしめのか、注目ちゅうもくされる」とはなしていました。
ソース:NHK ニュース