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国際こくさい学力がくりょく調査ちょうさ 日本にっぽん 課題かだい読解どっかいりょくで15 前回ぜんかいよりがる

2019-12-03 08:31:13

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世界せかい各国かっこくの15さい学力がくりょくはか国際こくさい学力がくりょく調査ちょうさ結果けっか公表こうひょうされました。日本にっぽんどもは科学かがく数学すうがくトップレベル維持いじしましたが、課題かだいとされている読解どっかいりょく前回ぜんかいよりひく15でした。専門せんもんは「いま学校がっこう英語えいご道徳どうとくなどあら課題かだい山積さんせきし、読解どっかいりょく育成いくせいむずかしくなっている」と指摘してきしています。

「PISA(ピザ)」とばれるこの国際こくさい学力がくりょく調査ちょうさは、OECDお-い-し-でぃ-経済けいざい協力きょうりょく開発かいはつ機構きこう世界せかいの15さい対象たいしょう科学かがく数学すうがくそれ読解どっかいりょく測定そくていするため、さんねん一度いちど実施じっししています。

去年きょねん調査ちょうさには世界せかい79のくに地域ちいきから、日本にっぽん高校こうこういち年生ねんせいふく、60まんにんどもが参加さんかし、その結果けっか公表こうひょうされました。

日本にっぽんどもの結果けっかは、科学かがくが529てん前回ぜんかいの2015ねんときくらべて、順位じゅんいみっひく数学すうがくは527てん順位じゅんいひとひくろくで、いずれ順位じゅんいげましたがトップレベルでした。

一方いっぽう文章ぶんしょう図表ずひょうから必要ひつよう情報じょうほう取り出とりだして文章ぶんしょうなどにまとめる「読解どっかいりょく」は504てんで、じゅんいななげて15でした。

参加さんかしたくに地域ちいきでは、いずれ中国ちゅうごく北京ぺきん上海しゃんはい江蘇こうそ浙江せっこうよっつの地域ちいきみっつの部門ぶもんともトップいで、シンガポールやエストニアなど上位じょういめました。

だつゆとり教育きょういく」へ転換てんかんきっかけ

日本にっぽん教育きょういく政策せいさくこの国際こくさい学力がくりょく調査ちょうさおおきく影響えいきょうけてきました。2003ねんには、順位じゅんいがったことがPISAショックといわれ、それまでの「ゆとり教育きょういく」から「だつゆとり教育きょういく」へと転換てんかんし、授業じゅぎょう時間じかんおしえる内容ないよう増加ぞうか、さらに、全国ぜんこく学力がくりょくテスト復活ふっかつにもつながりました。

日本にっぽんどもは過去かこ調査ちょうさトップレベル維持いじしている科学かがく数学すうがくくらべると、「読解どっかいりょく」がひくとされていて、いまの「だつゆとり教育きょういく」は、その育成いくせいちかられてきたものの今回こんかいはその成果せいかられませんでした。

結果けっかについて、文部もんぶ科学かがくしょうは「読解どっかいりょく低下ていかについては、おも受け止うけとめている。要因よういん分析ぶんせき詳細しょうさいおこなとともに、あら学習がくしゅう指導しどう要領ようりょうにより、教育きょういくしつ向上こうじょう取り組とりくみたい」とコメントしています。

読解どっかいりょく」の問題もんだいれい

今回こんかい公表こうひょうされた「読解どっかいりょく」の問題もんだいです。

試験しけんパソコン使つかっておこなわれました。モアイぞうられるイースターとうをテーマとした大学だいがく教授きょうじゅのブログと、ほん書評しょひょう、さらに、科学かがく雑誌ざっし記事きじみっつのことなる文章ぶんしょう読み比よみくらべてもらい、しまから大木たいぼく消滅しょうめつした原因げんいんについて、資料しりょうから根拠こんきょげて記述きじゅつするようもとめています。

正答せいとうれい以下いかのとおりです。

学説がくせつ支持しじしたもの)
人々ひとびとがモアイぞううごかすためにおおきな切り倒きりたおした。
▼ネズミがたねべたため、あたらしいそだたなかった。

いずれ学説がくせつえらばず)
実際じっさい大木たいぼくなにこったかについては、さらに研究けんきゅうすすめなければならない。

このように、どの学説がくせつえらかは自由じゆうですが、なぜそれえらんだのか、根拠こんきょしめしながら自分じぶんかんがをまとめるちからわれています。

日本にっぽん読解どっかいりょく正答せいとうりつは、全体ぜんたいではOECDお-い-し-でぃ-平均へいきん上回うわまわっていますが、この問題もんだいについては48.6%でOECDお-い-し-でぃ-ほぼおなレベルでした。

読解どっかいりょく向上こうじょう 模索もさくする学校がっこう現場げんば

課題かだいとなっている「読解どっかいりょく」をばそうと、学校がっこう現場げんばでは試行しこう錯誤さくごつづけています。

福岡ふくおかけん久山ひさやままち久原くはら小学校しょうがっこうではおよそ20ねんまえから登校とうこうに15分間ふんかん読書どくしょをしたり、保護ほごしゃらが参加さんかして、ほんかせたりする取り組とりくみをつづけています。

また児童じどう文学ぶんがく作家さっか新美にいみ南吉なんきちの「ごんきつね」を題材だいざいとした国語こくご授業じゅぎょうでも、ギツネの「ごん」のこころ変化へんか作者さくしゃメッセージについて、たがいに意見いけん交換こうかんしながら、自分じぶんかんが文章ぶんしょうにまとめるようにしていました。

児童じどういちにんは「友達ともだち話し合はなしあなかこたかったときは『ああそうだ!』とうれしくなります」とはなしていました。

小学校しょうがっこうでは、来年度らいねんどから英語えいご教科きょうかされたりプログラミング教育きょういくはじまったりするため、読解どっかいりょく育成いくせいばかりに時間じかんをかけられないなど課題かだいもあります。

吉田よしだ昌平しょうへい教諭きょうゆは「こうすれば読解どっかいりょくそだという正解せいかいはなく、なかなかえた結果けっかないところにむずかしさをかんじるどもはもともと好奇こうきしん旺盛おうせいはずだが、テストあたえられた問題もんだいしかこたえなくなるテストはかりえないかんがつづける姿勢しせい土台どだいそだてたい」とはなしていました。

専門せんもん教員きょういんいっぱい スリムを」

学力がくりょく問題もんだいくわしいはや稲田いなだ大学だいがく教職きょうしょく大学院だいがくいん田中たなか博之ひろゆき教授きょうじゅは「日本にっぽんではPISA調査ちょうさはじまって以来いらい、20ねんにわたって学習がくしゅう指導しどう要領ようりょう学力がくりょくテストなど読解どっかいりょく向上こうじょうけた施策しさく実践じっせんしてきたが、その効果こうかが、十分じゅうぶんていないのは残念ざんねんだとおも」とはなしています。

そのうえで、「PISAでもとめられる読解どっかいりょくたんなる文章ぶんしょう読み解よみときではなく理科りか社会しゃかい総合そうごう学習がくしゅうなど教科きょうか全体ぜんたいなかそだてていく必要ひつようがありかなり高度こうど学力がくりょくだ。他方たほう日本にっぽん学校がっこう現場げんばには英語えいごやプログラミング、道徳どうとくなど学習がくしゅう内容ないよう過密かみつし、『スクラップ』がないまま、『ビルド』ばかりがつづいている。教員きょういん基本きほんおしえることでいっぱいで、高度こうど学力がくりょくそだてるための授業じゅぎょう準備じゅんび十分じゅうぶんできていないのが実態じったいだ。今後こんごは、業務ぎょうむ学習がくしゅう内容ないようのスリムすすめる必要ひつようある」と指摘してきしています。

日本にっぽん順位じゅんい水位すいい

国際こくさい学力がくりょく調査ちょうさで、日本にっぽんどもは「科学かがくてきリテラシー」と「数学すうがくてきリテラシー」についてはだいいちかいの2000ねんから今回こんかいの2018ねんまで、ななかい調査ちょうさすべてでトップクラスを維持いじしています。

実施じっしねん     科学かがく数学すうがく
2000ねん・・・ いち
2003ねん・・・ ろく
2006ねん・・・ ろく・10
2009ねん・・・ きゅう
2012ねん・・・ よんなな
ーー(調査ちょうさ方法ほうほう変更へんこう)ーー
2015ねん・・・ 
2018ねん・・・ ろく


一方いっぽう読解どっかいりょくについては、ほかふたつの部門ぶもんくらべて、ひく順位じゅんいつづいています。

2000ねんはち、2003ねんは14がり、教育きょういく関係かんけいしゃなどで、ゆとり教育きょういくによる学力がくりょく低下ていか裏付うらづけられたとして、PISAショックわれました。

2006ねんは15、2009ねんはち推移すいいしましたが、2012ねんよん順位じゅんいげると、授業じゅぎょう時間じかんおしえる内容ないようやすなどした「だつゆとり教育きょういく」の成果せいかとされました。

しかし、2015ねんはちそして今回こんかいの2018ねんは15ふたた低下ていか傾向けいこうつづ結果けっかとなりました。
ソース:NHK ニュース