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首都しゅと直下ちょっか地震じしん 188まんにんが“住宅じゅうたく難民なんみん専門せんもん分析ぶんせき

2019-12-07 08:09:10

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首都しゅと直下ちょっか地震じしん自宅じたく被災ひさいしてめなくなった場合ばあいつぎまい確保かくほできるのか。専門せんもんが、首都しゅとけんいちさんけん分析ぶんせきしたところ、188まんにん仮設かせつ住宅じゅうたくなどにはれずつぎまいつけられない、“住宅じゅうたく難民なんみん”になるそれあることがかりました。
首都しゅと直下ちょっか地震じしん発生はっせいした場合ばあいくには、東京とうきょう神奈川かながわ千葉ちば埼玉さいたまいちさんけんで、わせて313まん建物たてものぜん半壊はんかいすると想定そうていしています。
都市とし防災ぼうさい専門せんもん専修せんしゅう大学だいがく佐藤さとう慶一けいいち教授きょうじゅ試算しさんによりますと住宅じゅうたく全壊ぜんかい半壊はんかい自宅じたくめなくなるひとは、いちさんけんでおよそ595まんにんのぼということです。

こうしたひとたちがつぎまい確保かくほできるのか、佐藤さとう教授きょうじゅは、くにいちさんけん被害ひがい想定そうてい賃貸ちんたい住宅じゅうたくデータなどほか、インターネットで住民じゅうみん5000にん以上いじょうった被災ひさいまいに関にかんする意向いこう調査ちょうさをもとに、はつわざわいからおよそいちか月かげつ想定そうていしシミュレーションしました。

それによりますと、自宅じたくぜん半壊はんかいしたおよそ595まんにんのうち、全国ぜんこく各地かくち親戚しんせき知人ちじん住宅じゅうたくうつことができるひとはおよそ140まんにんでした。

また自力じりき賃貸ちんたい住宅じゅうたくつけられるひとはおよそ101まんにん賃貸ちんたい住宅じゅうたく仮設かせつ住宅じゅうたくとして自治体じちたい借り上かりあげる「みなし仮設かせつ」や、プレハブの仮設かせつ住宅じゅうたく入居にゅうきょできるひとはおよそ91まんにん自宅じたく修理しゅうりしてふたたひとがおよそ74まんにんでした。

この結果けっかまい確保かくほできるのはわせておよそ407まんにんで、のこ188まんにんつぎまいをつけられない“住宅じゅうたく難民なんみん”になるそれあることがかりました。

この要因よういんについて佐藤さとう教授きょうじゅは、首都しゅとけんでは、建設けんせつ用地ようちかぎられるなど提供ていきょうできる仮設かせつ住宅じゅうたくかずりなくなる一方いっぽうで、東京とうきょう出身しゅっしんしゃおおく、地方ちほう移り住うつりすうごにぶことなどをげています。

住宅じゅうたくつからない場合ばあいには、避難ひなんしょ生活せいかつ長期ちょうきする、くるまなかなど生活せいかつする、こわれたいえつづけることを余儀よぎなくされ、東日本ひがしにっぽん大震災だいしんさい熊本くまもと地震じしんでは、体調たいちょうくずなどして災害さいがい関連かんれんにつながった事例じれいもあります。

佐藤さとう教授きょうじゅは、「想定そうていされる住宅じゅうたく難民なんみんかずは、災害さいがいのリスクがたか場所ばしょひと過密かみつしてんでいるということを具体ぐたいてきあらわした数字すうじだ。仮設かせつ住宅じゅうたくれないことを前提ぜんてい広域こういきてき避難ひなんさきをあらかじめめておくなど事前じぜんそなえが必要ひつようだ」とはなしています。

分析ぶんせき手法しゅほうは “住宅じゅうたく難民なんみん”の詳細しょうさい

佐藤さとう教授きょうじゅは、東京とうきょう神奈川かながわ千葉ちば埼玉さいたまいちさんけん対象たいしょうに、シミュレーションをおこないました。

想定そうていはつわざわいからおよそいちか月かげつ

佐藤さとう教授きょうじゅはライフラインが復旧ふっきゅうしてつぎまいさがはじめる段階だんかいだとしています。

佐藤さとう教授きょうじゅは、まず、首都しゅと直下ちょっか地震じしんくに自治体じちたい被害ひがい想定そうていほか国勢こくせい調査ちょうさをもとに、全壊ぜんかい半壊はんかい被害ひがいけて住宅じゅうたくめなくなる人数にんずうおよそ595まんにん算出さんしゅつしました。

そのうえで、プレハブの仮設かせつ住宅じゅうたく建設けんせつする予定よてい土地とち面積めんせきや、賃貸ちんたい住宅じゅうたく部屋へやデータから、被災ひさい入居にゅうきょできる仮設かせつ住宅じゅうたくかずなど試算しさんしました。

さらに、いちさんけん20さい以上いじょう男女だんじょ5800にんに対にたいして、インターネットによるアンケート実施じっしし、自宅じたくめなくなった場合ばあいに、つぎまいもとめる立地りっち間取まどりの条件じょうけんといった意向いこうきました。

シミュレーションはこれらデータをもとにおこなわれ、仮設かせつ住宅じゅうたくなどれずつぎまいつけられない“住宅じゅうたく難民なんみん”は、188まんにんにものぼそれあることがかりました。

東京とうきょう 大田おおたもっとおおく14まんにん以上いじょう足立あだち江戸川えどがわで11まんにん以上いじょうと、木造もくぞう住宅じゅうたく密集みっしゅう深刻しんこく火災かさいによる被害ひがい想定そうていされているみっつのでは10まんにんえました。

東京とうきょう23では、人口じんこう木造もくぞう住宅じゅうたくすくない千代田ちよだ中央ちゅうおうのぞ21ので、いちまんにん以上いじょうの“住宅じゅうたく難民なんみん”が発生はっせいする結果けっかとなりました。

佐藤さとう教授きょうじゅは、「木造もくぞう住宅じゅうたく密集みっしゅうしている地域ちいきとくおお。23その近郊きんこうつぎまいさがのはかなりむずかしく、おおくのひと地方ちほう疎開そかいせざるをえない状況じょうきょうなるおもわれる」と指摘してきしていました。

みっつの課題かだい

災害さいがいのち場所ばしょつからない、“住宅じゅうたく難民なんみん”。

そのさきには「避難ひなんしょ生活せいかつ長期ちょうき」、「在宅ざいたく被災ひさいしゃ増加ぞうか」、「震災しんさい疎開そかいすすまない」課題かだいあるといいます。

避難ひなんしょ生活せいかつ長期ちょうき
佐藤さとう教授きょうじゅがまず指摘してきするのは、「避難ひなんしょ生活せいかつ長期ちょうき」する課題かだいです。

避難ひなんしょでは、特定とくてい多数たすうひと集団しゅうだん生活せいかつおくため感染かんせんしょうひろがりやすく、衛生えいせい環境かんきょう悪化あっかにつながるほかスペースかぎられて寝返ねがえりをのもむずかしくなると「エコノミークラス症候しょうこうぐん」になるそれがあります。

実際じっさい東日本ひがしにっぽん大震災だいしんさい熊本くまもと地震じしんなど過去かこ災害さいがいではくなってしまうケース相次あいつぎました。

在宅ざいたく被災ひさいしゃ増加ぞうか
つぎは、こわれた住宅じゅうたくつづける在宅ざいたく被災ひさいしゃ」が増加ぞうかする課題かだいです。

仮設かせつ住宅じゅうたくなどちがって、自治体じちたいによる実態じったい把握はあくむずかしく必要ひつよう支援しえんけにくくなります。

またこわれたいえつづけることでストレスえ、被災ひさいしゃ体調たいちょう悪化あっかにつながることもあるということです。

震災しんさい疎開そかいすすまない
つづいて、つぎまいもとめて地方ちほう疎開そかいする「震災しんさい疎開そかい」がすすまないという課題かだいです。

佐藤さとう教授きょうじゅおこなったインターネット調査ちょうさでは、都内とない住宅じゅうたく世帯せたいぬしのうちななわり以上いじょう東京とうきょう出身しゅっしんだったということです。

地方ちほうたよれる親戚しんせき知人ちじんがいれば移り住うつりすみやすくなりますが、身寄みよりがないなかで、仕事しごと環境かんきょうえてらない土地とちことには抵抗ていこうあるひとおおく、大勢たいせいの“住宅じゅうたく難民なんみん”が首都しゅとけん滞留たいりゅうするそれがあるといいます。

佐藤さとう教授きょうじゅは、「住宅じゅうたく難民なんみんなることを想定そうていし、地方ちほうひととコミュニケーションをはかっていざというとき関係かんけいせい構築こうちくするなど事前じぜん疎開そかいさきつけておくことも必要ひつようだ」とはなしています。

▽“住宅じゅうたく難民なんみん事前じぜん対策たいさく減少げんしょう
そもそも住宅じゅうたくけたり、こわれたりしなければ、“住宅じゅうたく難民なんみん”のかずります。

佐藤さとう教授きょうじゅは、「住宅じゅうたく耐震たいしんかんしんブレーカーの設置せっち事前じぜんすすめることで、被害ひがい大幅おおはばらすことができる対策たいさく必須ひっすだ」とはなしていました。

住宅じゅうたく難民なんみん”にならないためには?

住宅じゅうたく難民なんみん”にならないためにどうすればいいのか。

佐藤さとう教授きょうじゅは、「自分じぶんがこうした状況じょうきょうおちいることをイメージして、いまからそなえておくことが重要じゅうようだ」と指摘してきしています。

先月せんげつ佐藤さとう教授きょうじゅは、東京とうきょう世田谷せたがや住民じゅうみん20にんほどをあつめ、首都しゅと直下ちょっか地震じしん自宅じたくめなくなった場合ばあいそななにをしておくべきかかんがえるワークショップをひらきました。

佐藤さとう教授きょうじゅのシミュレーションでは、首都しゅと直下ちょっか地震じしんきた場合ばあい世田谷せたがやでは、人口じんこうさんぶんいちにあたるおよそ27まんにん自宅じたくぜん半壊はんかいしてめなくなり、このうちきゅうまん3000にん住宅じゅうたく難民なんみんなるとされています。

これいた参加さんかしゃからは、「地方ちほう親戚しんせきがいないとどこけばいいのかからない」とか、「突然とつぜんらない地域ちいき移り住うつりすむことで、どもが精神せいしんてき不安定ふあんていにならないか心配しんぱいだ」といったこえがっていました。

くるまいすでの生活せいかつおくっている女性じょせいは、「身の回みのまわりのことを手伝てつだってくれるヘルパーや地域ちいきひとたちがいないと日常にちじょう生活せいかつすらおくれない。知り合しりあがいない土地とちのはむずかしく不安ふあんしかない」とはなしていました。

そのうえでワークショップではいまからできるそなえを話し合はなしあいました。

参加さんかしゃからは、「地方ちほう疎開そかいすることになっても抵抗ていこうなくけるようにしておくことが大切たいせつだ」とか「自治体じちたいおこなっている地方ちほうとの交流こうりゅう事業じぎょう参加さんかするなどいまから疎開そかい場所ばしょめて、つながりをっておくことが大事だいじだとおも」といった意見いけんていました。
ソース:NHK ニュース