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首都直下地震 188万人が“住宅難民” 専門家分析
2019-12-07 08:09:10

首都直下地震で自宅が被災して住めなくなった場合、次の住まいを確保できるのか。専門家が、首都圏の1都3県を分析したところ、188万人が仮設住宅などには入れず次の住まいが見つけられない、“住宅難民”になるおそれがあることが分かりました。
首都直下地震が発生した場合、国は、東京・神奈川・千葉・埼玉の1都3県で、合わせて313万戸の建物が全半壊すると想定しています。






都市防災が専門の専修大学の佐藤慶一教授の試算によりますと住宅が全壊や半壊し自宅に住めなくなる人は、1都3県でおよそ595万人に上るということです。
こうした人たちが次の住まいを確保できるのか、佐藤教授は、国や1都3県の被害想定、賃貸住宅のデータなどのほか、インターネットで住民5000人以上に行った被災後の住まいに関する意向調査をもとに、発災からおよそ1か月後を想定しシミュレーションしました。
それによりますと、自宅が全半壊したおよそ595万人のうち、全国各地の親戚や知人の住宅に移ることができる人はおよそ140万人でした。
また、自力で賃貸住宅を見つけられる人はおよそ101万人、賃貸住宅を仮設住宅として自治体が借り上げる「みなし仮設」や、プレハブの仮設住宅に入居できる人はおよそ91万人、自宅を修理して再び住む人がおよそ74万人でした。
この結果、住まいが確保できるのは合わせておよそ407万人で、残る188万人は次の住まいを見つけられない“住宅難民”になるおそれがあることが分かりました。
この要因について佐藤教授は、首都圏では、建設用地が限られるなど、提供できる仮設住宅の数が足りなくなる一方で、東京出身者が多く、地方へ移り住む動きが鈍いことなどを挙げています。
こうした人たちが次の住まいを確保できるのか、佐藤教授は、国や1都3県の被害想定、賃貸住宅のデータなどのほか、インターネットで住民5000人以上に行った被災後の住まいに関する意向調査をもとに、発災からおよそ1か月後を想定しシミュレーションしました。
それによりますと、自宅が全半壊したおよそ595万人のうち、全国各地の親戚や知人の住宅に移ることができる人はおよそ140万人でした。
また、自力で賃貸住宅を見つけられる人はおよそ101万人、賃貸住宅を仮設住宅として自治体が借り上げる「みなし仮設」や、プレハブの仮設住宅に入居できる人はおよそ91万人、自宅を修理して再び住む人がおよそ74万人でした。
この結果、住まいが確保できるのは合わせておよそ407万人で、残る188万人は次の住まいを見つけられない“住宅難民”になるおそれがあることが分かりました。
この要因について佐藤教授は、首都圏では、建設用地が限られるなど、提供できる仮設住宅の数が足りなくなる一方で、東京出身者が多く、地方へ移り住む動きが鈍いことなどを挙げています。

住宅が見つからない場合には、避難所生活が長期化する、車の中などで生活する、壊れた家に住み続けることを余儀なくされ、東日本大震災や熊本地震では、体調を崩すなどして災害関連死につながった事例もあります。
佐藤教授は、「想定される住宅難民の数は、災害のリスクが高い場所に人が過密して住んでいるということを具体的に表した数字だ。仮設住宅に入れないことを前提に広域的な避難先をあらかじめ決めておくなど、事前の備えが必要だ」と話しています。
佐藤教授は、「想定される住宅難民の数は、災害のリスクが高い場所に人が過密して住んでいるということを具体的に表した数字だ。仮設住宅に入れないことを前提に広域的な避難先をあらかじめ決めておくなど、事前の備えが必要だ」と話しています。
分析の手法は “住宅難民”の詳細
佐藤教授は、東京・神奈川・千葉・埼玉の1都3県を対象に、シミュレーションを行いました。
想定は発災からおよそ1か月後。
佐藤教授はライフラインが復旧して次の住まいを探し始める段階だとしています。
佐藤教授は、まず、首都直下地震の国や自治体の被害想定のほか、国勢調査をもとに、全壊や半壊の被害を受けて住宅に住めなくなる人数、およそ595万人を算出しました。
そのうえで、プレハブの仮設住宅を建設する予定の土地の面積や、賃貸住宅の空き部屋のデータから、被災後に入居できる仮設住宅の数などを試算しました。
さらに、1都3県に住む20歳以上の男女5800人に対して、インターネットによるアンケートを実施し、自宅に住めなくなった場合に、次の住まいに求める立地や間取りの条件といった意向を聞きました。
シミュレーションはこれらのデータをもとに行われ、仮設住宅などに入れず次の住まいが見つけられない“住宅難民”は、188万人にも上るおそれがあることが分かりました。
想定は発災からおよそ1か月後。
佐藤教授はライフラインが復旧して次の住まいを探し始める段階だとしています。
佐藤教授は、まず、首都直下地震の国や自治体の被害想定のほか、国勢調査をもとに、全壊や半壊の被害を受けて住宅に住めなくなる人数、およそ595万人を算出しました。
そのうえで、プレハブの仮設住宅を建設する予定の土地の面積や、賃貸住宅の空き部屋のデータから、被災後に入居できる仮設住宅の数などを試算しました。
さらに、1都3県に住む20歳以上の男女5800人に対して、インターネットによるアンケートを実施し、自宅に住めなくなった場合に、次の住まいに求める立地や間取りの条件といった意向を聞きました。
シミュレーションはこれらのデータをもとに行われ、仮設住宅などに入れず次の住まいが見つけられない“住宅難民”は、188万人にも上るおそれがあることが分かりました。

東京 大田区が最も多く14万人以上、足立区と江戸川区で11万人以上と、木造住宅が密集し深刻な火災による被害が想定されている3つの区では10万人を超えました。
東京23区では、人口や木造住宅の少ない千代田区と中央区を除く21の区で、1万人以上の“住宅難民”が発生する結果となりました。
佐藤教授は、「木造住宅が密集している地域で特に多い。23区やその近郊で次の住まいを探すのはかなり難しく、多くの人が地方に疎開せざるをえない状況になると思われる」と指摘していました。
東京23区では、人口や木造住宅の少ない千代田区と中央区を除く21の区で、1万人以上の“住宅難民”が発生する結果となりました。
佐藤教授は、「木造住宅が密集している地域で特に多い。23区やその近郊で次の住まいを探すのはかなり難しく、多くの人が地方に疎開せざるをえない状況になると思われる」と指摘していました。
3つの課題

災害の後に住む場所が見つからない、“住宅難民”。
その先には「避難所生活の長期化」、「在宅被災者の増加」、「震災疎開が進まない」課題があるといいます。
▽避難所生活の長期化
佐藤教授がまず指摘するのは、「避難所生活が長期化」する課題です。
避難所では、不特定多数の人が集団生活を送るため感染症が広がりやすく、衛生環境の悪化につながるほか、スペースが限られて寝返りを打つのも難しくなると「エコノミークラス症候群」になるおそれがあります。
実際に東日本大震災や熊本地震など、過去の災害では亡くなってしまうケースも相次ぎました。
▽在宅被災者の増加
次は、壊れた住宅に住み続ける「在宅被災者」が増加する課題です。
仮設住宅などと違って、自治体による実態の把握が難しく必要な支援を受けにくくなります。
また、壊れた家に住み続けることでストレスも増え、被災者の体調悪化につながることもあるということです。
▽震災疎開が進まない
続いて、次の住まいを求めて地方に疎開する「震災疎開」が進まないという課題です。
佐藤教授が行ったインターネット調査では、都内の住宅の世帯主のうちの7割以上が東京出身だったということです。
地方に頼れる親戚や知人がいれば移り住みやすくなりますが、身寄りがない中で、仕事環境も変えて知らない土地に行くことには抵抗がある人も多く、大勢の“住宅難民”が首都圏に滞留するおそれがあるといいます。
佐藤教授は、「住宅難民になることを想定し、地方の人とコミュニケーションを図っていざという時の関係性を構築するなど事前に疎開先を見つけておくことも必要だ」と話しています。
▽“住宅難民”事前の対策で減少
そもそも住宅が焼けたり、壊れたりしなければ、“住宅難民”の数は減ります。
佐藤教授は、「住宅の耐震化や感震ブレーカーの設置を事前に進めることで、被害を大幅に減らすことができる。対策は必須だ」と話していました。
その先には「避難所生活の長期化」、「在宅被災者の増加」、「震災疎開が進まない」課題があるといいます。
▽避難所生活の長期化
佐藤教授がまず指摘するのは、「避難所生活が長期化」する課題です。
避難所では、不特定多数の人が集団生活を送るため感染症が広がりやすく、衛生環境の悪化につながるほか、スペースが限られて寝返りを打つのも難しくなると「エコノミークラス症候群」になるおそれがあります。
実際に東日本大震災や熊本地震など、過去の災害では亡くなってしまうケースも相次ぎました。
▽在宅被災者の増加
次は、壊れた住宅に住み続ける「在宅被災者」が増加する課題です。
仮設住宅などと違って、自治体による実態の把握が難しく必要な支援を受けにくくなります。
また、壊れた家に住み続けることでストレスも増え、被災者の体調悪化につながることもあるということです。
▽震災疎開が進まない
続いて、次の住まいを求めて地方に疎開する「震災疎開」が進まないという課題です。
佐藤教授が行ったインターネット調査では、都内の住宅の世帯主のうちの7割以上が東京出身だったということです。
地方に頼れる親戚や知人がいれば移り住みやすくなりますが、身寄りがない中で、仕事環境も変えて知らない土地に行くことには抵抗がある人も多く、大勢の“住宅難民”が首都圏に滞留するおそれがあるといいます。
佐藤教授は、「住宅難民になることを想定し、地方の人とコミュニケーションを図っていざという時の関係性を構築するなど事前に疎開先を見つけておくことも必要だ」と話しています。
▽“住宅難民”事前の対策で減少
そもそも住宅が焼けたり、壊れたりしなければ、“住宅難民”の数は減ります。
佐藤教授は、「住宅の耐震化や感震ブレーカーの設置を事前に進めることで、被害を大幅に減らすことができる。対策は必須だ」と話していました。
“住宅難民”にならないためには?

“住宅難民”にならないためにどうすればいいのか。
佐藤教授は、「自分がこうした状況に陥ることをイメージして、今から備えておくことが重要だ」と指摘しています。
先月、佐藤教授は、東京・世田谷区の住民20人ほどを集め、首都直下地震で自宅に住めなくなった場合に備え何をしておくべきか考えるワークショップを開きました。
佐藤教授のシミュレーションでは、首都直下地震が起きた場合、世田谷区では、人口の3分の1にあたるおよそ27万人が自宅が全半壊して住めなくなり、このうち9万3000人が住宅難民になるとされています。
これを聞いた参加者からは、「地方に親戚がいないとどこに行けばいいのか分からない」とか、「突然知らない地域に移り住むことで、子どもが精神的に不安定にならないか心配だ」といった声が上がっていました。
車いすでの生活を送っている女性は、「身の回りのことを手伝ってくれるヘルパーや地域の人たちがいないと日常生活すら送れない。知り合いがいない土地に行くのは難しく不安しかない」と話していました。
そのうえでワークショップでは今からできる備えを話し合いました。
参加者からは、「地方へ疎開することになっても抵抗なく行けるようにしておくことが大切だ」とか「自治体が行っている地方との交流事業に参加するなど、今から疎開場所を決めて、つながりを持っておくことが大事だと思う」といった意見が出ていました。
佐藤教授は、「自分がこうした状況に陥ることをイメージして、今から備えておくことが重要だ」と指摘しています。
先月、佐藤教授は、東京・世田谷区の住民20人ほどを集め、首都直下地震で自宅に住めなくなった場合に備え何をしておくべきか考えるワークショップを開きました。
佐藤教授のシミュレーションでは、首都直下地震が起きた場合、世田谷区では、人口の3分の1にあたるおよそ27万人が自宅が全半壊して住めなくなり、このうち9万3000人が住宅難民になるとされています。
これを聞いた参加者からは、「地方に親戚がいないとどこに行けばいいのか分からない」とか、「突然知らない地域に移り住むことで、子どもが精神的に不安定にならないか心配だ」といった声が上がっていました。
車いすでの生活を送っている女性は、「身の回りのことを手伝ってくれるヘルパーや地域の人たちがいないと日常生活すら送れない。知り合いがいない土地に行くのは難しく不安しかない」と話していました。
そのうえでワークショップでは今からできる備えを話し合いました。
参加者からは、「地方へ疎開することになっても抵抗なく行けるようにしておくことが大切だ」とか「自治体が行っている地方との交流事業に参加するなど、今から疎開場所を決めて、つながりを持っておくことが大事だと思う」といった意見が出ていました。
ソース:NHK ニュース