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政府 福島第一原発のトリチウムなど含む水 海洋放出方針固める
2021-04-09 03:31:40

東京電力福島第一原子力発電所で増え続けるトリチウムなど放射性物質を含む水の処分方法について、政府は、来週13日にも関係閣僚会議を開き、海への放出を決定する方針を固めたことがわかりました。放出前後のトリチウムの濃度を調べるモニタリングの強化や風評被害の対策を徹底し、それでも生じる被害には丁寧な賠償を実施するとしています。
トリチウムなどを含む水をめぐっては、国の小委員会が、基準以下の濃度に薄めて海か大気中に放出する方法が現実的で、海の方がより確実に実施可能だとする報告書をまとめ、菅総理大臣が7日、全国漁業協同組合連合会の岸会長と会談するなどして、最終的な調整を進めてきました。
その結果、政府は、来週13日にも関係閣僚会議を開き、海への放出を決定する方針を固めたことがわかりました。
具体的には2年後をめどに福島第一原発の敷地から放出する準備を進め、放出にあたっては、トリチウムの濃度を国の基準の40分の1まで薄めるとしています。
これはWHO=世界保健機関が示す飲料水の基準のおよそ7分の1にあたり、地元の自治体や水産業者なども加わって放出前後のトリチウムの濃度などを監視するモニタリングを強化するとしています。
また、IAEA・国際原子力機関の協力も得て、国内外に透明性の高い、客観的な情報を発信し風評を抑えるとしています。
さらに漁業関係者への支援や地元産品の販売促進、観光客の誘致などを後押しし、それでも生じる風評被害には東京電力が丁寧な賠償を実施するとしています。
このほか、関係閣僚による新たな会議を設けてこうした実施状況を監視し、必要に応じて追加の対策を機動的に実施するとしていますが地元の懸念は根強いだけに政府は、安全性を確保し風評を抑える対策の徹底が問われることになります。
小泉環境相「先送りが復興の足かせになってはならず」
東京電力福島第一原子力発電所で増え続けるトリチウムなどの放射性物質を含む水の処分方法をめぐり、小泉環境大臣は9日午前、閣議のあとの会見で、「まだ正式に決定した段階にはないが、決定を先送りし続けることが復興の足かせとなってはいけない。どのような放出方法を決定したとしても、風評という課題は出ると思う。環境大臣はモニタリング調整会議の議長を務めているので、風評という課題に対してできることを全力でやる」と述べ、正式に決定されれば放射性物質のモニタリングや国内外への情報の発信などに取り組んでいく考えを示しました。
梶山経済産業相「透明性の高い情報発信が重要」
梶山経済産業大臣は9日の閣議のあとの記者会見で、トリチウムなどの放射性物質を含む水の処分にあたって懸念される風評被害への対策について、「科学的な根拠に基づく丁寧な説明や客観性と透明性の高い情報発信が重要だ」と述べました。
その上で、梶山大臣は、「処理水を処分する場合にはIAEA=国際原子力機関がその安全性を客観的に確認し、国内外に透明性高く発信することになっている。こうした対応を取ることが、風評を抑制することにもつながり、私が先頭に立つ覚悟で責任を持って対策に取り組みたい」と述べました。
その上で、梶山大臣は、「処理水を処分する場合にはIAEA=国際原子力機関がその安全性を客観的に確認し、国内外に透明性高く発信することになっている。こうした対応を取ることが、風評を抑制することにもつながり、私が先頭に立つ覚悟で責任を持って対策に取り組みたい」と述べました。
野上農相「風評被害の懸念に対する支援策重要」
野上農林水産大臣は9日の閣議の後の記者会見で「原発事故以来、復興に向けて懸命に取り組まれている漁業者の方々には、労苦と心配をおかけしているところで、処理水が放出された場合の影響を懸念される気持ちは当然のことだ」と述べました。
その上で、「どのような処分方法であっても、風評被害の発生が懸念される。漁業者から求められた点も十分配慮しつつ、生産・流通・消費のそれぞれの段階で支援策を講じていくことが重要だ」と述べました。
また、輸出への影響について野上大臣は、「科学的な根拠に基づかない規制によって影響が出ることがないよう引き続き、関係省庁と連携して輸出先の国に対して丁寧に説明を行っていきたい」と述べました。
その上で、「どのような処分方法であっても、風評被害の発生が懸念される。漁業者から求められた点も十分配慮しつつ、生産・流通・消費のそれぞれの段階で支援策を講じていくことが重要だ」と述べました。
また、輸出への影響について野上大臣は、「科学的な根拠に基づかない規制によって影響が出ることがないよう引き続き、関係省庁と連携して輸出先の国に対して丁寧に説明を行っていきたい」と述べました。
ソース:NHK ニュース