災害さいがい時じのデマ見極みきわめるキーワード 「だいふく」とは？

「だいふく」東京とうきょう都内とないの中学校ちゅうがっこうの授業じゅぎょうで登場とうじょうしたキーワードです。これに気きをつけないと多おおくの人ひとに迷惑めいわくをかけてしまうかもしれません。

悪質あくしつデマなぜ広ひろがる？

「地震じしんのせいで動物どうぶつ園えんのライオンが放はなたれた」。

今月こんげつ14日にちに発生はっせいから5年ねんとなる熊本くまもと地震じしんの直後ちょくごにツイッターに投稿とうこうされたデマです。

うその情報じょうほうはあっという間あっというまに拡散かくさんし、ライオンが逃にげたとされた動物どうぶつ園えんには問い合といあわせの電話でんわが殺到さっとうしたほか、警察けいさつにも「ライオンが逃にげているから避難ひなんできない」という相談そうだんが相次あいつぎました。

善意ぜんいのはずが…

なぜこんなデマが広ひろがってしまうのか。

災害さいがい時じにSNS上じょうで拡散かくさんされるうその情報じょうほうは、悪意あくいのある人ひとだけが広ひろめているのではないと専門せんもん家かは指摘してきします。

静岡しずおか大学だいがく教育きょういく学部がくぶの塩田しおだ真しん吾われ准じゅん教授きょうじゅは「デマの拡散かくさんは悪意あくいからだけではなく、『役に立やくにたちたい』という使命しめい感かんから気きづかず加担かたんしてしまっているケースも多おおい。役に立やくにたつつもりが逆ぎゃくに迷惑めいわくにならないよう正ただしい情報じょうほうを見極みきわめる力ちからが必要ひつようです」と呼よびかけます。

若わかい世代せだいほど顕著けんちょ？

そして、若わかい世代せだいほどデマを信しんじて拡散かくさんしてしまう傾向けいこうにあるという調査ちょうさ結果けっかも。

総務そうむ省しょうが去年きょねん5月つきに行いった調査ちょうさでは、新型しんがたコロナウイルスに関にかんして「政府せいふがロックダウンを行おこなう」「こまめに水みずを飲のむと予防よぼうに効果こうかがある」など実際じっさいに流布るふされた誤あやまった情報じょうほうを信しんじていた人ひとの割合わりあいは若わかい世代せだいほど高たかくなりました。

その誤あやまった情報じょうほうを拡散かくさんしてしまった割合わりあいも若わかい世代せだいで高たかくなる傾向けいこうがみられました。

子こどもに向むけた授業じゅぎょう

若わかい世代せだいにSNSの情報じょうほうの見極みきわめ方かたを学まなんでもらおうと静岡しずおか大学だいがくの塩田えんでん准じゅん教授きょうじゅは、情報じょうほう教育きょういくなどに取り組とりくむLINEみらい財団ざいだんと共同きょうどうで、独自どくじに開発かいはつした教材きょうざいを使つかって小学生しょうがくせいから高校生こうこうせいに向むけた出前でまえ授業じゅぎょうを行おこなっています。

9日にち、東京とうきょう 足立あだち区くの伊興いこう中学校ちゅうがっこうで行おこなわれた授業じゅぎょうです。

台風たいふうが迫せまる中なか、スマートフォンで災害さいがいの情報じょうほうを集あつめているという想定そうていで、SNSで発見はっけんした情報じょうほうを拡散かくさんするべきかどうかを見極みきわめる訓練くんれんをしました。

スマートフォンの画面がめんの形かたちをした数すう枚まいのカードが配くばられ、「川かわが氾濫はんらんしそう」といったSNS上じょうの投稿とうこうについて、信頼しんらい性せいが高たかいものと低ひくいものに分類ぶんるいします。

そのうえでなぜそう思おもったかをグループで話し合はなしあいます。

生徒せいとからは、「人ひとから聞きいた伝聞でんぶんの情報じょうほうは信頼しんらいできない」、「市役所しやくしょなどの公式こうしきアカウントは信用しんようしてよい」といった意見いけんが出だされました。

一方いっぽうで、「公式こうしきアカウントではない個人こじんの投稿とうこうでも、正ただしいものはあるけどどうやって判断はんだんしたらよいか分わからない」という意見いけんも出でました。

情報じょうほうを見極みきわめるポイント

授業じゅぎょうでは、災害さいがい時じの情報じょうほうを見極みきわめる際さいのキーワードが紹介しょうかいされました。
「だ・い・ふく」です。

「だ」誰だれが言いっているか。

「い」いつ言いっているか。

「ふく」複数ふくすうの情報じょうほうを確たしかめたか。

いずれも大事だいじなポイントです。

「誰だれが言いっているか」。

自治体じちたいや報道ほうどう機関きかんの公式こうしきのアカウントか、大学だいがくの研究けんきゅう者しゃや個人こじんのアカウントなのか、
アカウントの過去かこの投稿とうこうを見みて不審ふしんな点てんがないか、チェックしましょう。

「いつ言いっているか」。

災害さいがい時じは刻こく一いち刻こくと状況じょうきょうが変化へんかするため正ただしかった情報じょうほうが数すう時間じかん後ごには間違まちがいになる可能かのう性せいもあり、どの時点じてんの情報じょうほうか確認かくにんする必要ひつようがあります。

「複数ふくすうの情報じょうほうを確たしかめたか」。

テレビや新聞しんぶんなど別べつのメディアをチェックしたり、同おなじ投稿とうこうがリツイートされているだけか、複数ふくすうの人ひとが同おなじ情報じょうほうを発信はっしんしているのか確認かくにんしたりしましょう。

たとえば、「川かわが氾濫はんらんした」という情報じょうほうが個人こじんのアカウントで投稿とうこうされていた場合ばあいでも、同おなじ地域ちいきで複数ふくすうの人ひとが同おなじ内容ないようの投稿とうこうをしていれば情報じょうほうの信頼しんらい性せいは高たかまります。

授業じゅぎょうを受うけた女子じょし生徒せいとは「新型しんがたコロナでトイレットペーパーがなくなるという話はなしをネットで見みて、信しんじてしまいそうになったことがあり、どう情報じょうほうを確たしかめたらよいか不安ふあんになった。授業じゅぎょうで学まなんだキーワードに気きをつけて自分じぶんで判断はんだんできるようになりたい」と話はなしていました。

授業じゅぎょうを終おえた塩田しおだ准じゅん教授きょうじゅは「東日本ひがしにっぽん大震災だいしんさいから10年ねんが経たちSNSの利用りよう状況じょうきょうも大おおきく変かわっていて災害さいがい時じのSNSの重要じゅうよう性せいは高たかくなっている。SNSに慣なれている子こどもたちにはデマにだまされないこと、そしてさらに一いち歩ほ進すすんで、正ただしい情報じょうほうを発信はっしんして災害さいがい時じに貢献こうけんできる役割やくわりも果はたしていってほしい」と話はなしていました。

ソース：NHK ニュース