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札幌さっぽろ 冬季とうき五輪ごりん・パラ 招致しょうち活動かつどう停止ていし表明ひょうめい 招致しょうち失敗しっぱい要因よういん

2023-12-19 11:37:57

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ふゆのオリンピック・パラリンピックをめぐり、札幌さっぽろは19にち関係かんけい団体だんたい意見いけんわし、招致しょうち時期じき見通みとおせないまま活動かつどう継続けいぞくすることはできないとして、今後こんご招致しょうち活動かつどう停止ていし正式せいしき表明ひょうめいしました。

ふゆのオリンピック・パラリンピックをめぐってIOC=国際こくさいオリンピック委員いいんかいは、2030ねん大会たいかいをフランスのアルプス地域ちいき、34ねん大会たいかいアメリカのソルトレークシティーにそれぞれ候補こうほいちほんし、38ねん大会たいかいについてもスイスと優先ゆうせんてき対話たいわすすめることをめ、札幌さっぽろ目指めざしてきた大会たいかい招致しょうち見通みとおせなくなりました。


こうしたなか、19にち札幌さっぽろ市内しないホテル秋元あきもと克広かつひろ市長しちょう北海道ほっかいどう鈴木すずき直道なおみち知事ちじほか地元じもと経済けいざい団体だんたいやJOC=日本にっぽんオリンピック委員いいんかいなど関係かんけい団体だんたい代表だいひょうしゃなどが参加さんかし、今後こんご方針ほうしんについて意見いけんわしました。

はじめに、JOCの担当たんとうしゃから「招致しょうち活動かつどう停止ていしする方向ほうこう議論ぎろんすすめたい」と提案ていあんがあり、参加さんかしゃからは「停止ていしやむをえないなど賛成さんせい意見いけん相次あいついだほか、「タイミング招致しょうち活動かつどう再開さいかいしてほしい」という意見いけんされました。

これけて秋元あきもと市長しちょうは、招致しょうち時期じき見通みとおせないまま活動かつどう継続けいぞくすることはできないとして、2014ねんからつづけてきた招致しょうち活動かつどう停止ていし決定けっていしました。

会議かいぎのあと秋元あきもと市長しちょう記者きしゃだんに対にたい撤退てったい白紙はくしだと、将来しょうらい開催かいさい可能かのうせいがなくなるので『停止ていし』とした。札幌さっぽろへの招致しょうち将来しょうらい実現じつげんできる可能かのうせい非常ひじょうたかおもっているが、15ねん以上いじょうさきのことになり、現状げんじょう見通みとおことはむずかしい」とべました。


招致しょうち失敗しっぱい要因よういん市民しみん支持しじひろがらず”“選定せんていプロセスあやま

札幌さっぽろによるふゆのオリンピック・パラリンピックの招致しょうち失敗しっぱいわった最大さいだい要因よういんは、「市民しみん支持しじひろがらなかったこと」です。

大会たいかい招致しょうち正式せいしき表明ひょうめいしたのは2014ねん当時とうじ市民しみん1まんにん対象たいしょうったアンケート調査ちょうさでは賛成さんせい反対はんたいおおきく上回うわまわり、当初とうしょは2026ねん大会たいかい目指めざしました。

しかし、4ねんの2018ねん北海道ほっかいどう胆振いぶり東部とうぶ地震じしん発生はっせいし、震災しんさい影響えいきょうなどまえ、は2030ねん大会たいかい招致しょうち方針ほうしん転換てんかんしたことで活動かつどう長期ちょうきします。

2020ねんからは新型しんがたコロナウイルスの感染かんせん拡大かくだい市民しみんとの対話たいわ事業じぎょう中止ちゅうしされるなど支持しじひろげるための活動かつどうおもようにすすみませんでした。

そして去年きょねん7つき以降いこうは、おととしなつ東京とうきょうオリンピックをめぐる汚職おしょく談合だんごう事件じけん発覚はっかくし、国民こくみん大会たいかいに対にたいする不信ふしんかんたかまり、招致しょうち活動かつどう休止きゅうし追い込おいこまれました。

こうした事情じじょうから、大会たいかいのビジョンや開催かいさい計画けいかくに対にたいする市民しみん理解りかいふかまらず、招致しょうちけてもっと重視じゅうしされる支持しじひろげることができませんでした。

また、IOC=国際こくさいオリンピック委員いいんかいすすめる開催かいさい選定せんていのプロセスについて、おおきなあやまがあったことも招致しょうち失敗しっぱい要因よういんげられます。

札幌さっぽろとJOCはことし10つき、2030ねん大会たいかい招致しょうち断念だんねんして34ねん以降いこう目指めざことを表明ひょうめいし、これによって機運きうん醸成じょうせいけた活動かつどう大会たいかい計画けいかく見直みなおおこな時間じかんてき猶予ゆうよできるかんがえていました。

しかし直後ちょくごにIOCは2030ねんと34ねんの2大会たいかい候補こうほ同時どうじいちほんし、38ねん大会たいかいについてもスイスと優先ゆうせんてき対話たいわすすめることをめ、札幌さっぽろへの招致しょうちまった見通みとおせなくなりました。

IOCは、温暖おんだんなど気候きこう変動へんどうふゆのスポーツにもたらす影響えいきょう懸念けねんし、持続じぞく可能かのう大会たいかいにするためはや開催かいさい確保かくほしたいという姿勢しせいつよめていて、そうした意向いこうを、札幌さっぽろやJOCがつかみきれなかったこともおおきな痛手いたでとなったといえます。


招致しょうち活動かつどう停止ていし」にのこあわ期待きたいかん

札幌さっぽろ招致しょうち活動かつどうを「撤退てったい」ではなく「停止ていし」とした背景はいけいには、2038ねん大会たいかい以降いこう招致しょうちに対にたいしてのこあわ期待きたいかんがうかがえます。

その理由りゆうの1つが気象きしょう条件じょうけんです。

近年きんねんふゆのオリンピック・パラリンピックをめぐっては、温暖おんだん影響えいきょう世界せかいてきゆき不足ふそくすすみ、大会たいかい開催かいさいするための安定あんていした気象きしょう条件じょうけんととの候補こうほっていることが課題かだいとなっています。

カナダの大学だいがく中心ちゅうしんとした研究けんきゅうチームは、今世紀こんせいきまつには過去かこふゆのオリンピックの開催かいさいうち安全あんぜん競技きょうぎ環境かんきょう提供ていきょうできるのは札幌さっぽろのみになる可能かのうせいがあると予測よそくしています。

こうしたことからIOC=国際こくさいオリンピック委員いいんかいは、ふゆ大会たいかい気象きしょう条件じょうけん安定あんていした複数ふくすう候補こうほ持ち回もちまわ開催かいさいしていくことも検討けんとうはじめていて、実現じつげんすれば、札幌さっぽろ重要じゅうよう候補こうほひととなります。

IOCの「将来しょうらい開催かいさい委員いいんかい」のカール・シュトス委員いいんちょうも、札幌さっぽろ気象きしょう条件じょうけんたか評価ひょうかしていて、招致しょうち関係かんけいしゃからは将来しょうらいてき札幌さっぽろ優位ゆういせいたかまっていく期待きたいするこえかれます。

また、JOC=日本にっぽんオリンピック委員いいんかい関係かんけいしゃによりますと、2038ねん大会たいかい可能かのうせいがあるとしています。

IOCは選定せんていけて、スイスと優先ゆうせんてき対話たいわすすめるとしていますが、その期限きげんについては2027ねんまでとしました。

スイスの招致しょうち計画けいかく競技きょうぎ会場かいじょう分散ぶんさんしているなど議論ぎろん余地よちおおとしていて、期限きげんまでに課題かだい解決かいけつ見通みとおたなかった場合ばあい札幌さっぽろ立候補りっこうほできる態勢たいせいととのえておけばチャンスゼロではないという見方みかたています。


招致しょうち暗転あんてん ことし2つきおおきな分岐ぶんきてん

当初とうしょ札幌さっぽろは2030ねんふゆのオリンピック・パラリンピックの候補こうほさい有力ゆうりょくとみられていました。

新型しんがたコロナウイルスの影響えいきょうあるなか東京とうきょうオリンピックをおおきな混乱こんらんなく乗り切のりきった日本にっぽん運営うんえい能力のうりょくたかに対にたいするIOC=国際こくさいオリンピック委員いいんかい信頼しんらいあつく、東京とうきょう大会たいかいの2021ねん12つき会見かいけんでバッハ会長かいちょうは、札幌さっぽろ招致しょうち計画けいかくについて「すべてがそろっている」とはなし、たか評価ひょうかしていました。

その後そのご東京とうきょう大会たいかいでの相次あいつ不祥事ふしょうじあきらかになったことで、巨額きょがく公金こうきんとうじる大会たいかいへの不信ふしんかんひろがり、札幌さっぽろ市民しみんでも招致しょうちに対にたいする支持しじ急激きゅうげき低下ていかしました。

それでも、IOCの札幌さっぽろへの期待きたいは「途切とぎれてはいなかった」と関係かんけいしゃ証言しょうげんします。

IOCは、去年きょねん12つき理事りじかいで2030ねん大会たいかい開催かいさい決定けってい時期じきを、当初とうしょ予定よていしていたことし10つき総会そうかいから先送さきおくすることをめましたが、この関係かんけいしゃによりますと「気候きこう変動へんどうへの対応たいおう検討けんとうするためというのが表向おもてむ理由りゆうだったが、『本命ほんめい候補こうほだった札幌さっぽろ市民しみんなどからの支持しじりつげるために時間じかんてき猶予ゆうよもうけたことはあきらかだった」とかしました。

しかし、「蜜月みつげつ」ともえる札幌さっぽろとIOCとの信頼しんらい関係かんけい一転いってんしてくずれる事態じたいが、ことし2つきこっていたといます。

関係かんけいしゃによりますと、JOC=日本にっぽんオリンピック委員いいんかい山下やました泰裕やすひろ会長かいちょう東京とうきょう大会たいかい組織そしき委員いいんかい会長かいちょうつとめた橋本はしもと聖子せいこが、スイスのローザンヌにバッハ会長かいちょう訪問ほうもんし「招致しょうち活動かつどうを2034ねん以降いこう大会たいかい切り替きりかえたい」と提案ていあんしたところ、バッハ会長かいちょういかをあわらにし、部屋へやってしまったということです。

さらに同席どうせきしたIOCの幹部かんぶも「ありえない」と提案ていあん批判ひはんし、取り合とりあってもらえなかったということです。

札幌さっぽろとJOCはことし10つきになって、2034ねん大会たいかいへの招致しょうち活動かつどう方針ほうしん転換てんかん表明ひょうめいしましたが、その直後ちょくごのIOCの総会そうかいで2030ねんと34ねんの2大会たいかい同時どうじ開催かいさい決定けっていすることが承認しょうにんされ、さらにその翌月よくげつの11つきには、それぞれフランスのアルプス地域ちいきアメリカのソルトレークシティーに候補こうほいちほんされました。

こうした舞台裏ぶたいうらからはことし2つきおおきな分岐ぶんきてんになったとそうです。


札幌さっぽろとJOC 今後こんご活動かつどう

札幌さっぽろ秋元あきもと市長しちょうは、招致しょうち活動かつどう再開さいかい時期じき見込みこわれると「IOC=国際こくさいオリンピック委員いいんかい将来しょうらい開催かいさいについてさまざまな検討けんとうすすめているので、そういったものが一定いってい程度ていどあきらかになってこないと具体ぐたいてき招致しょうち活動かつどうにははいっていけない」と説明せつめいしました。

そして招致しょうち活動かつどうをどういうかたちすすめていくべきだったのか、っている情報じょうほう整理せいりしたうえでだいさんしゃてき意見いけんをいただきたい」として将来しょうらいてき招致しょうち可能かのうせいさぐうえで、これまでの活動かつどう検証けんしょうして市民しみん説明せつめいするかんがしめしました。

一方いっぽう、JOC=日本にっぽんオリンピック委員いいんかいでも、おととし東京とうきょう大会たいかいをめぐる不祥事ふしょうじなどうしなわれたオリンピックの信頼しんらい取り戻とりもどための活動かつどう優先ゆうせんてき取り組とりくほか今回こんかい招致しょうち活動かつどうまえてそのプロセスや情報じょうほう収集しゅうしゅうあり方ありかたについて検証けんしょうすることにしています。

そのうえで、オリンピック・パラリンピックの将来しょうらいてき自国じこく開催かいさい機会きかいさぐとともに、複数ふくすう都市としでの連携れんけいなど国内こくない立候補りっこうほ選定せんていにおけるあらあり方ありかたなども検討けんとうしていく予定よていです。


専務せんむ理事りじあらいちとしてとらえたい」

19にち意見いけん交換こうかんかいにオンラインで出席しゅっせきしたJOC=日本にっぽんオリンピック委員いいんかいみつぎ専務せんむ理事りじは「招致しょうち活動かつどう停止ていし残念ざんねんだが、けっして後ろ向うしろむにとらえず、あらたないちとしてとらえたい。オリンピックムーブメントの醸成じょうせいにさらにつとめていかないといけない」とはなしました。

そのうえで、招致しょうち活動かつどう停止ていし追い込おいこまれたことについて「1つの要因よういんではない。コロナもあり、おととしの東京とうきょう大会たいかい一連いちれん不祥事ふしょうじある東京とうきょう大会たいかい前後ぜんごその価値かちやおもしろさを国民こくみん十分じゅうぶんつたえられなかったのかもしれない。わたしたちにも反省はんせいすべきてんはあったが、どこわるという問題もんだいではなかったとおもっている」とはなし、招致しょうち活動かつどうに関にかんする検証けんしょう報告ほうこくしょ作成さくせいについては「今後こんごなにをやっていくかはいまから検証けんしょうしたい」とはなにとどまりました。

ソース:NHK ニュース