詩人しじんの谷川たにがわ俊太郎しゅんたろうさん死去しきょ「二に十じゅう億おく光年こうねんの孤独こどく」「生いきる」など

「二に十じゅう億おく光年こうねんの孤独こどく」や「生いきる」など鋭するどい感性かんせいで生み出うみだした親したしみやすい詩しで知しられる、現代げんだいを代表だいひょうする詩人しじんの谷川たにがわ俊太郎しゅんたろうさんが、今月こんげつ13日にちに老衰ろうすいのため都内とないの病院びょういんで亡なくなりました。92歳さいでした。

1931年ねんに東京とうきょうで生うまれた谷川たにがわさんは、高校こうこう時代じだいに詩しを作つくり始はじめ、1952年ねん、詩集ししゅう「二に十じゅう億おく光年こうねんの孤独こどく」を発表はっぴょうしデビュー。

広ひろい宇宙うちゅうに生いきる孤独こどくな人間にんげんの姿すがたを見事みごとに表現ひょうげんし、一躍いちやく脚光きゃっこうを浴あびました。

鋭するどい感性かんせいから生うまれる表現ひょうげんやテンポのよいことばあそびなどが特徴とくちょうで、半はん世紀せいき以上いじょうにわたり数すう多おおくの作品さくひんを発表はっぴょうし続つづけてきました。

生いきるすばらしさをつづった「生いきる」や、世界中せかいじゅうで朝あさを迎むかえる様子ようすを描えがいた「朝あさのリレー」など国語こくごの教科書きょうかしょに掲載けいさいされた詩しも多おおく、親したしみやすいことばで表現ひょうげんされた谷川たにがわさんの詩しは時代じだいをこえて読よみ継つがれてきました。

また、アニメ「鉄腕てつわんアトム」の主題しゅだい歌かの作詞さくしを手てがけたほか、絵本えほん「スイミー」や「マザー・グースのうた」、それにスヌーピーの漫画まんが「ピーナッツ」など海外かいがいの名作めいさくの翻訳ほんやくを多おおく手てがけたことでも知しられています。

NHK全国ぜんこく学校がっこう音楽おんがくコンクールでは過去かこ5回かいにわたり課題かだい曲きょくの作詞さくしを手てがけ、ことばの持もつ力ちからで日本にっぽんの文化ぶんかを支ささえてきたとして、ことし放送ほうそう文化ぶんか賞しょうを受賞じゅしょうしました。

谷川たにがわさんの事務所じむしょによりますと、今月こんげつ13日にちの午後ごご10時じすぎ、老衰ろうすいのため都内とないの病院びょういんで亡なくなったということです。

92歳さいでした。

息子むすこの賢作けんさくさん「詩しはずっと皆みなさんと共とともに」

谷川たにがわ俊太郎しゅんたろうさんの息子むすこでピアニストの谷川たにがわ賢作けんさくさんは、SNSのXで「私わたしは中国ちゅうごくからの公演こうえんの帰途きとについているところで間に合まにあいませんでしたが、妹いもうとが駆かけつけてくれて、最後さいごをみとってくれました。穏おだやかな最後さいごだったということです。皆様みなさまと同様どうよう私わたしも、俊太郎しゅんたろうの詩しに驚おどろき、感心かんしんし、クスッと笑わらわされ、ほろっと泣なかされ、楽たのしかったですね。紋もん切ぎり型がたですが、彼かれの詩しはずっと皆みなさんと共ともにあります。ありがとうございました」などと投稿とうこうしました。

谷川たにがわさんはことしの1月つきから体調たいちょうを崩くずしていたということで、NHKの取材しゅざいに対にたいして賢作けんさくさんは「10か月かげつにわたって大変たいへんだったな、お疲おつかれさまと声こえをかけてあげたいです」と話はなしていました。

放送ほうそう文化ぶんか賞しょうを受賞じゅしょう 3月つきにメッセージも

3月つきに開ひらかれた放送ほうそう文化ぶんか賞しょうの式典しきてんでは、息子むすこの賢作けんさくさんが出席しゅっせきしてメッセージを代読だいどくしました。

この中なかで谷川たにがわさんは「私わたしは詩しを原稿げんこう用紙ようしに書かくことから始はじめましたが、まもなくその詩しを声こえに出だして朗読ろうどくすることが求もとめられるようになり、自作じさくの詩しを自分じぶんの声こえで読よむようになりました。初はじめは恥はずかしかったけれど、そのうち慣なれて、活字かつじとは違ちがう詩しの広ひろげ方かたというものが自然しぜんに自分じぶんでもできるようになりました。そして放送ほうそうで自作じさくを読よんだりすることが自分じぶんの仕事しごととしても成り立なりたつようになったと思おもいます。放送ほうそうのジャンルで仕事しごとをすることは私わたしにとって自然しぜんなことで、誰だれかの声こえで自分じぶんの詩しが広ひろまることは新鮮しんせんな経験けいけんでした。まもなく私わたしは文字もじだけではなく声こえで自分じぶんの書かいたものを広ひろめることにエネルギーを注そそぐようになりました。私わたしは自分じぶんでは演奏えんそうはしませんが、音楽おんがくが大好だいすきで、自分じぶんの詩しが歌うたになることはいつでも歓迎かんげいしていました」と思おもいをつづっていました。

ソース：NHK ニュース