仮想かそう通貨つうか「運営うんえい会社かいしゃのシステム不備ふびで損失そんしつ」顧客こきゃくが申し立もうしたて

仮想かそう通貨つうかをめぐる取り引とりひきの安全あんぜん性せいが課題かだいとなる中なか、トラブルが相次あいついでいる大手おおて仮想かそう通貨つうか交換こうかんサービスの「Ｚａｉｆ」をめぐり、全国ぜんこくの顧客こきゃく18人にんが、システムの不備ふびによって多額たがくの損失そんしつを被こうむったとして、運営うんえい会社かいしゃに取り引とりひきの取り消とりけしなどを求もとめるＡＤＲ＝裁判さいばん外がい紛争ふんそう解決かいけつ手続てつづきを一斉いっせいに申し立もうしたてました。

申し立もうしたてを行おこなったのは、大阪おおさかに本社ほんしゃがあるテックビューロが運営うんえいする仮想かそう通貨つうか交換こうかんサービス「Ｚａｉｆ」を利用りようしていた全国ぜんこくの顧客こきゃく18人にんです。

申し立もうしたてによりますと、ことし１月いちがつから４月しがつにかけて、顧客こきゃくらが「Ｚａｉｆ」を通をつうじて仮想かそう通貨つうかを売買ばいばいしていたところ、突然とつぜんログインできなくなるトラブルが複数ふくすう回かいにわたって発生はっせいしたということです。

復旧ふっきゅう後ごに確認かくにんしたところ、ログインできなかった間まに不当ふとうに低ひくい価格かかくで自動じどう的てきに決済けっさいが行おこなわれ、18人にんが合計ごうけいで5500万まん円えんの損失そんしつを被こうむったとしています。

18人にんは損失そんしつの原因げんいんはシステムの不備ふびにあるとして、運営うんえい会社かいしゃに対にたいして取り引とりひきの取り消とりけしなどを求もとめ、東京とうきょう弁護士べんごし会かいに一斉いっせいにＡＤＲを申し立もうしたてました。

テックビューロをめぐっては、不正ふせいアクセスやシステムの不ふ具合ぐあいなどのトラブルが相次あいつぎ、金融きんゆう庁ちょうがたびたび業務ぎょうむ改善かいぜん命令めいれいを出だしているほか、ことし９月くがつにはおよそ70億おく円えん相当そうとうの仮想かそう通貨つうかが流出りゅうしゅつする事件じけんが起おき、その後そのご、事業じぎょうを別べつの会社かいしゃに譲渡じょうとして解散かいさんすることを決きめています。

申し立もうしたてについてテックビューロは「事業じぎょう譲渡じょうと前まえなので単独たんどくではコメントできず、回答かいとうは差し控さしひかえる」としています。

「まともな話し合はなしあいできず申し立もうしたてに踏み切ふみきった」

申し立もうしたてを行おこなった18人にんが利用りようしていたのは、テックビューロがサービスを提供ていきょうしていた仮想かそう通貨つうかの信用しんよう取引とりひきでした。

信用しんよう取引とりひきでは保有ほゆうする資産しさんを超こえる仮想かそう通貨つうかを売買ばいばいできる一方いっぽう、相場そうばが急変きゅうへんして損失そんしつが広ひろがるおそれがあるとシステムが判断はんだんした場合ばあい、「ロスカット」と呼よばれる決済けっさいを自動的じどうてきに行いって取り引とりひきを止とめます。

取り引とりひきに使つかわれる相場そうばは交換こうかん会社かいしゃごとに異ことなりますが、顧客こきゃくらは当時とうじ、ほかの交換こうかん会社かいしゃでは相場そうばの急変きゅうへんは起おきていなかったことに加くわえ、事前じぜんに定さだめていたよりも大おおきな下さげ幅はばになるまで「ロスカット」が行おこなわれず、いずれもシステムの不備ふびが原因げんいんだと主張しゅちょうしています。

みずからも損失そんしつを被こうむり一斉いっせい申し立もうしたてを呼よびかけた30代だいの会社かいしゃ員いんの男性だんせいは「いくら問い合といあわせをしてもテックビューロ側がわがトラブルを認みとめず、まともな話し合はなしあいができないので申し立もうしたてに踏み切ふみきった。事業じぎょうを譲渡じょうとされてしまったら、どこに申し立もうしたてていいのか分わからなくなり、逃にげられてしまうことを心配しんぱいしている」と話はなしています。

ＡＤＲ 裁判さいばんより「早はやく」「安やすく」解決かいけつ

ＡＤＲは紛争ふんそう解決かいけつ機関きかんがトラブルの当事者とうじしゃの間まに入はいって和解わかい案あんを示しめす制度せいどで、裁判さいばんより解決かいけつまでの時間じかんが短みじかく、費用ひようも少すくなくて済すむというメリットがあります。

仮想かそう通貨つうかの交換こうかん会社かいしゃの多おおくは紛争ふんそう解決かいけつ機関きかんにあたる弁護士べんごし会かいなどと協定きょうていを結むすんでいて、顧客こきゃくからＡＤＲを申し立もうしたてられた場合ばあい、正当せいとうな理由りゆうが無ないかぎり求もとめられた資料しりょうを提出ていしゅつする義務ぎむがあります。

ＡＤＲに詳くわしい東京とうきょう大学だいがく先端せんたん科学かがく技術ぎじゅつ研究けんきゅうセンターの渡部わたなべ晃あきら特とく任にん教授きょうじゅは「仮想かそう通貨つうかの業界ぎょうかいは急激きゅうげきに成長せいちょうした一方いっぽうで、トラブルなどへの対応たいおうが追おいついていないと思おもわれる。こうした業界ぎょうかいでのトラブルの解決かいけつ方法ほうほうとしてＡＤＲを使つかうことは、時間じかんや費用ひようの面めんからも、合理ごうり的てきだと思おもう」と話はなしています。

ソース：NHK ニュース