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平成へいせいの30年間ねんかん 書籍しょせきベストセラーからえるものは

2018-11-29 19:01:46

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このいち年間ねんかんれたほん発表はっぴょうされたことで、平成へいせいの30年間ねんかんベストセラーそろいました。上位じょういさく振り返ふりかえってみると、「消費しょうひぜい」から「ちょう高齢こうれい社会しゃかい」にいたそのとき社会しゃかい世相せそう流行りゅうこうかいま見かいまみえてきます。
平成へいせい元年がんねんはじめて導入どうにゅうされた消費しょうひぜいこのとしのノンフィクション部門ぶもんでは、いち消費しょうひぜい解説かいせつほんがランクインしています。

また平成へいせい最初さいしょベストセラー作家さっか吉本よしもとばななさんでした。このとしのフィクション部門ぶもんで、いちの『TUGUMI』、の『キッチン』と上位じょうい独占どくせんします。

とくわか女性じょせい読者どくしゃ支持しじされ、デビューまもなくして、一躍いちやく人気にんき作家さっかとなりました。

平成へいせい元年がんねん消費しょうひぜい」に「吉本よしもとばなな」

平成へいせい元年がんねんはじめて導入どうにゅうされた消費しょうひぜいこのとしのノンフィクション部門ぶもんでは、いち消費しょうひぜい解説かいせつほんがランクインしています。

また平成へいせい最初さいしょベストセラー作家さっか吉本よしもとばななさんでした。このとしのフィクション部門ぶもんで、いちの『TUGUMI』、の『キッチン』と上位じょうい独占どくせんします。

とくわか女性じょせい読者どくしゃ支持しじされ、デビューまもなくして、一躍いちやく人気にんき作家さっかとなりました。

海外かいがい作品さくひんもランクイン

海外かいがい作家さっかたびたび登場とうじょうしています。

平成へいせいねんのフィクション部門ぶもんいちは、アメリカの小説しょうせつ、シドニィ・シェルダンさんの『真夜中まよなかべつかお』。その後そのごも『血族けつぞく』『明け方あけがたゆめ』とさんねん連続れんぞくいちなる人気にんきぶりでした。

このほかにも『マディソンぐんはし』が平成へいせいねんからねん連続れんぞくさん、『フォレスト・ガンプ』が平成へいせいななねんさんなるなどだいヒットした映画えいが原作げんさく小説しょうせつもランクりしています。

さくらももこさんのエッセーも

平成へいせいさんねんのノンフィクション部門ぶもんとなったのが、ことしくなった、さくらももこさんのエッセー、『もものかんづめ』。

さくらさん翌年よくねんにも『さるのこしかけ』がはいっています。当時とうじテレビアニメばんの「ちびまるちゃん」の放送ほうそうはじまった時期じきで、「ちびまるちゃん(現象げんしょう)」は、平成へいせいねん新語しんご流行りゅうこう大賞たいしょう流行りゅうこう部門ぶもん)にもえらばれました。

平成へいせいきゅうねん しつ楽園らくえんだいヒット

平成へいせいきゅうねんいちとなったのが『しつ楽園らくえん』。渡辺わたなべ淳一じゅんいちさんによる大人おとな不倫ふりんえがいた恋愛れんあい小説しょうせつで、映画えいがもされてだいヒットしました。

不倫ふりんすることをした「しつ楽園らくえん(する)」という言葉ことばは、このとし新語しんご流行りゅうこう大賞たいしょう年間ねんかん大賞たいしょうにもなりました。

またこの時期じき国民こくみんてきアイドルグループとして人気にんきあつめていたのが、おととし解散かいさんしたSMAPすまっぷテレビ番組ばんぐみ披露ひろうした料理りょうりのレシピほんが、このとしからねん連続れんぞくはいっています。

平成へいせい11ねん五体ごたい満足まんぞく』が600まん

平成へいせい11ねんいちは、おつ武洋たけひろただしさんの『五体ごたい満足まんぞく』。まれつき、手足てあしのないおつたけしさんが、早稲田わせだ大学だいがく在学ざいがくちゅう自身じしん半生はんせいをつづったこのほんは、前向まえむきにきるメッセージがおおくの読者どくしゃとどき、累計るいけい発行はっこう部数ぶすう600まんという驚異きょういてきなヒットとなります。

21世紀せいき最初さいしょベストセラーは?

サッカーワールドカップにちかん大会たいかい開催かいさいされた平成へいせい14ねんには、「ハリー・ポッター」シリーズいちに。平成へいせいつうじたロングヒットのシリーズとなり、その後そのごかいいち獲得かくとくしています。

また、21世紀せいき最初さいしょベストセラーは、平成へいせい13ねんいち、『チーズはどこえた?』です。シンプルなストーリーのなかで、状況じょうきょう変化へんかにいかに対応たいおうするべきかをいたこのほんは、ビジネスマンなどにも支持しじされてブームになりました。

うしなわれた20ねん」ともひょうされ、経済けいざい低迷ていめいしたこの時期じきは、このほんのような仕事しごと生活せいかつ役立やくだ実用じつようしょ啓発けいはつほんがたびたび登場とうじょうしているのも特徴とくちょうです。

平成へいせい22ねんいちの『もし高校こうこう野球やきゅう女子じょしマネージャーがドラッカーの『マネジメント』をんだら』=通称つうしょう「もしドラ」も、経営けいえいがく大家おおや理論りろん弱小じゃくしょう野球やきゅうのストーリーでわかりやすく紹介しょうかいしてだいヒットしました。

平成へいせい15ねん「バカのかべ」が首位しゅい

平成へいせい15ねん解剖かいぼう学者がくしゃ養老ようろう孟司たけしさんしるした『バカのかべ』が首位しゅいに。人間にんげんたがいに理解りかいしあうことの根本こんぽんてきむずかしさをいたこのほんは、累計るいけい発行はっこう部数ぶすう440まんえるベストセラーとなります。

この人気にんきじょうじて、書店しょてんには「バカ」をタイトルにつけたほんおおならびました。またこのあと新書しんしょほんのヒットが目立めだようになり、平成へいせい17ねんからさんねん連続れんぞく新書しんしょいちになっています。

村上むらかみ春樹はるきさん 12ねんぶり国内こくない作家さっか首位しゅい

民主党みんしゅとう圧勝あっしょうし、「政権せいけん交代こうたい」が新語しんご流行りゅうこう大賞たいしょう獲得かくとくした平成へいせい21ねんこのとしいちは、村上むらかみ春樹はるきさん長編ちょうへん小説しょうせついちきゅ-はちよん』でした。国内こくない作家さっか小説しょうせつ首位しゅいになったのは、『しつ楽園らくえん以来いらい12ねんぶり。

発売はつばいまで内容ないようまったかさず、読者どくしゃ期待きたいがふくらみ、発売はつばい直後ちょくごから驚異きょういてき売れ行うれゆ記録きろくしました。

村上むらかみさん平成へいせいねん以降いこうたん編集へんしゅうの『TVてれびピープル』や長編ちょうへん小説しょうせつ国境こっきょうみなみ太陽たいよう西にし』が上位じょういにランクイン。

平成へいせい25ねんの『色彩しきさいたないさきつくると、かれ巡礼じゅんれいとし』もいちはいっています。

昭和しょうわから活躍かつやくし、平成へいせいを通をつうじて人気にんきあつめてきた村上むらかみさんは、つぎ年号ねんごうでもベストセラーむのでしょうか。

お笑おわら芸人げいにんほんいち

平成へいせい27ねんいちは、又吉またよし直樹なおきさんの『火花ひばな』。人気にんきお笑おわら芸人げいにんじゅん文学ぶんがく小説しょうせつデビューしたことが話題わだいとなり、当初とうしょ掲載けいさい文學ぶんがくかい』は、出版しゅっぱん不況ふきょうなかで、創刊そうかん以来いらい増刷ぞうさつとなりました。

芥川あくたがわしょう受賞じゅしょうしたことでさらに読者どくしゃやし、じゅん文学ぶんがくでは異例いれい累計るいけい250まんだいヒットとなります。

お笑おわら芸人げいにんほんでは、ダウンタウンの松本まつもと人志ひとしさんいた平成へいせいななねんの『松本まつもと以来いらいいちとなりました。

高齢こうれい著者ちょしゃ作品さくひん人気にんき

去年きょねんいちは、佐藤さとう愛子あいこさんの『きゅうじゅうさいなにめでたい』。90さいえた直木賞なおきしょう作家さっかが「」について、本音ほんねユーモアまじえてつづる内容ないようが、おおくのひと共感きょうかんあつめました。

高齢こうれい著者ちょしゃが「」や「」についていたほんは、平成へいせいベストセラーなかにたびたび登場とうじょうしています。

平成へいせいろくねんにはえい六輔ろくすけさんしるしたエッセー『だい往生おうじょう』がに。平成へいせい14ねんには医師いし野原のはら重明しげあきさんの『きかた上手じょうず』がさんはいっています。

ことしは小説しょうせつ若竹わかたけ千佐子ちさこさんの60さいえてのデビューさく、『おらおらでひとりいぐも』が芥川賞あくたがわしょう受賞じゅしょうしたことも話題わだいとなりました。

※ランキング情報じょうほうはすべて「日本にっぽん出版しゅっぱん販売はんばい調しら
平成へいせい元年がんねんから平成へいせいよんねんまでは、「フィクション」と「ノンフィクション」の部門ぶもんべつ平成へいせいねんからは「総合そうごうランキング」に統一とういつ

ベストセラー そのうらにさまざまな工夫くふう

出版しゅっぱん業界ぎょうかいくわしいライター永江ながえあきらさんは、平成へいせいの30年間ねんかんには書籍しょせき売り上うりあげがマイナス成長せいちょうつづけるなか、ことなるメディアやインターネットの活用かつようタイトル付け方つけかたなど、さまざまな工夫くふうによってベストセラーがまれてきたと指摘してきします。

永江ながえさんは、平成へいせいベストセラー特徴とくちょうひとつとして、ほんそのものだけでなく、ことなるメディアきっかけとなってヒットさく頻繁ひんぱんまれるようになったと指摘してきし、そのいちれいとして、平成へいせい幕開まくあけにきた吉本よしもとばななさんのブレークは、当時とうじ人気にんき絶頂ぜっちょう小泉こいずみ今日子きょうこさんがテレビ番組ばんぐみ作品さくひん紹介しょうかいしたことがおおきなきっかけだったことをげています。

平成へいせいはいってメディア種類しゅるいがより多様たようし、たとえば小説しょうせつしつ楽園らくえん』は、最初さいしょ新聞しんぶん連載れんさいされたあとに単行たんこうほん刊行かんこうされ、その後そのごわずかか月かげつに、映画えいがテレビドラマもされてだいヒットにつながりました。

近年きんねんドラマ映画えいが相次あいついけ井戸いどじゅんさんの『下町したまちロケットなど小説しょうせつもこうしたれいひとだといいます。

さらに、インターネットの影響えいきょうつよかかわるようになり、近年きんねんベストセラーられるタイトル非常ひじょうながほんは、インターネットの検索けんさくでヒットしやすいように、キーワードをやすという出版しゅっぱんしゃがわ工夫くふうだと指摘してきします。

医者いしゃころされない47の心得こころえ医療いりょうくすりとおざけて、元気げんきに、長生ながいきする方法ほうほう』や『フランスじんは10ちゃくしかふくたない パリでまなんだ“らししつ”をたかめる秘訣ひけつなどのヒットほんにもそうした工夫くふうられます。

また書籍しょせき売り上うりあげがマイナス成長せいちょうつづける一方いっぽうで、刊行かんこうされるほんのタイトルすう増加ぞうかつづけるなか、「昭和しょうわおなようなほん作り方つくりかたをしていたら、到底とうていほん読者どくしゃとどけることができず、平成へいせい編集へんしゅうしゃは、ほん印象いんしょうづけていちにちでもなが店頭てんとういてもらうことに非常ひじょうくばようになった」と、装丁そうていからタイトルの付け方つけかたいたまで、さまざまな工夫くふうおこなわれてきたと指摘してきします。

たとえば、『かれた場所ばしょきなさい』など命令めいれい調ちょうタイトルについては、「目標もくひょう目指めざせばうまくいくという考え方かんがえかたが、昭和しょうわわりに通用つうようしなくなり、お手本おてほんがない時代じだいむかえたときに、『しなさい』とってくれるほん安心あんしんかんいだのではないか」と現代げんだい読者どくしゃ心理しんり分析ぶんせきしています。

さらに、バブル崩壊ほうかい以降いこう特徴とくちょうげているのが、『バカのかべ』の記録きろくてきヒットからはじまった「新書しんしょブーム」です。

あたまがいいひとわるひと話し方はなしかた』や『国家こっか品格ひんかくなどこの時期じき不況ふきょうでのヒットについて、「新書しんしょ言い方いいかたえると『価格かかく破壊はかい商品しょうひん』であって、おおくが書き下かきおろしなのに1000えんもせず、単行たんこうほんくらべてお値打ねうちという特徴とくちょうある一流いちりゅう専門せんもんがわかりやすく平易へいいしるした価値かちある言葉ことばを、ランチかいほど倹約けんやくすればえるということが、ブーム背景はいけいにあるのではないか」と理由りゆう分析ぶんせきします。

そのうえで、「先行さきゆきが不安ふあん時代じだいなかで、読者どくしゃは『はやほん』にかれるようになった」と、ビジネス役立やくだ実用じつようしょ健康けんこうほう紹介しょうかいするほん好調こうちょう売り上うりあげをばしている、近年きんねん傾向けいこう読み解よみといています。

最後さいご永江ながえさんは、これから時代じだい読書どくしょについて、「ほん魅力みりょくひとに『まだらない他人たにん出会であこと』があります。世の中よのなかには自分じぶんまったちがものがあるということをおしえてくれるほんにたくさん出会であい、それ受容じゅようして、立場たちばちがうものに寛容かんようになれるかということも、これから時代じだい読書どくしょをおもしろくするためのひとポイントだとおもいます」とはなしていました。
ソース:NHK ニュース