増ふえる外国がいこく人じん住民じゅうみん 苦慮くりょする自治体じちたい ３さん割わりが「対応たいおう追おいつかぬ」

外国がいこく人材じんざいの受け入うけいれ拡大かくだいを政府せいふが検討けんとうする中なか、ＮＨＫえぬえいちけいが、外国がいこく人じん住民じゅうみんの割合わりあいが高たかい全国ぜんこく50の自治体じちたいに取材しゅざいしたところ、生活せいかつ支援しえんなどの対応たいおうが追おいつかなくなっているという自治体じちたいが３さん割わりに上のぼることが分わかりました。国くにに対にたいして、多おおくの自治体じちたいが財政ざいせい支援しえんなどを求もとめています。

ＮＨＫえぬえいちけいは、外国がいこく人じん住民じゅうみんの割合わりあいが高たかい全国ぜんこく50の市区しく町村ちょうそんに先月せんげつアンケート調査ちょうさを行おこない、回答かいとうを得えました。

このうち、外国がいこく人じん住民じゅうみんに関にかんする業務ぎょうむに自治体じちたいとして対応たいおうできているか尋たずねたところ、「追おいついていない」または「どちらかというと追おいついていない」と答こたえた自治体じちたいが15と、現時点げんじてんで、すでに対応たいおうが追おいつかなくなっているという自治体じちたいが３さん割わりに上のぼりました。

また、課題かだいになっていることを複数ふくすう回答かいとうで尋たずねたところ、窓口まどぐち業務ぎょうむなどでの「多言たげん語ご化かへの対応たいおう」と答こたえた自治体じちたいが最もっとも多おおく、全体ぜんたいの８はち割わりの41に上のぼりました。

英語えいごやポルトガル語ごなど、これまで対応たいおうしてきた言語げんごに加くわえて、ベトナム語ごやネパール語ごなど多様たような言語げんごへの対応たいおうが必要ひつようになっているということです。

そのほかの課題かだいとしては、ゴミ出だしなどの生活せいかつルールや近隣きんりんトラブルの対応たいおうといった「生活せいかつ支援しえん」を挙あげた自治体じちたいが28、「子こどもへの教育きょういく支援しえん」が18、「防災ぼうさい情報じょうほうの伝達でんたつ」が11でした。

課題かだい解決かいけつのために国くにに求もとめることについても尋たずねたところ、「財政ざいせい支援しえん」を挙あげた自治体じちたいが７なな割わり余あまりの36に上のぼったほか、通訳つうやくや教育きょういく現場げんばのスタッフなど「人的じんてき支援しえん」を求もとめた自治体じちたいも18ありました。

増ふえる財政ざいせい負担ふたんに自治体じちたいは…

製造せいぞう業ぎょうの工場こうじょうが多おおく立地りっちする福井ふくい県けん越前えつぜん市しでは、ここ数すう年ねん、日系にっけいブラジル人じんを中心ちゅうしんに外国がいこく人じんの数かずが増ふえ続つづけていて、先月せんげつ１いち日にち現在げんざいで4326人にん、総そう人口じんこうに占しめる割合わりあいは5.2％に上のぼっています。

日系にっけい３さん世せいまでは「定住ていじゅう者しゃ」としての在留ざいりゅう資格しかくが認みとめられ、就労しゅうろうにも制限せいげんがないことから、多おおくは市内しないの工場こうじょうで働はたらいています。

特とくに近年きんねんは若わかい世代せだいの日系にっけいブラジル人じんが家族かぞくで来日らいにちして長期間ちょうきかん住すみ続つづけるケースが増ふえていて、これに伴ともなって外国がいこく人じんの子こどもの数かずも増加ぞうかしています。

市内しないで最もっとも外国がいこく人じんが多おおい武生たけお西小にしお学校がっこうでは、全校ぜんこう児童じどう355人にんのうち、79人にんが外国がいこく人じんと、その割合わりあいは５ご人にんに１いち人にんを超こえています。

学校がっこうでは、日本語にほんごを十分じゅうぶん理解りかいできない児童じどうのための特別とくべつクラスを設もうけて可能かのうなかぎりマンツーマンで指導しどうするほか、多おおくの教材きょうざいを教員きょういんたちが手て作業さぎょうでポルトガル語ごに翻訳ほんやくするなど、さまざまな方法ほうほうで外国がいこく人じん児童じどうを支援しえんしています。

県けんが派遣はけんする専門せんもんの教員きょういん２に人にんを含ふくめて７なな人にんが専属せんぞくで指導しどうや翻訳ほんやくにあたっていますが、毎月まいつきのように新あらたな外国がいこく人じん児童じどうが入はいってくるため対応たいおうが追おいついていません。

こうした現状げんじょうを受うけて、市しでは毎年まいとし、独自どくじの予算よさんをつけて支援しえんにあたる職員しょくいんを増ふやしてきましたが、人件じんけん費ひが急増きゅうぞう。今年度こんねんどは3700万まん円えん余あまりと３さん年間ねんかんで約やく２に倍ばいに増ふえ、市しでは、このまま伸のび続つづければ市しだけで負担ふたんし続つづけるのは限界げんかいだといいます。

越前えつぜん市しの奈良なら俊幸としゆき市長しちょうは「市しの単独たんどく予算よさんでこのまま負担ふたんが伸のびることは現実げんじつ的てきに不可能ふかのうで、国くにが予算よさん措置そちをして適切てきせつな教員きょういん配置はいちがされるように見直みなおしてほしい」と話はなしています。

専門せんもん家か「国くにも企業きぎょうも責任せきにんある」

アンケートの結果けっかについて、外国がいこく人じん労働ろうどう者しゃの問題もんだいに詳くわしい法政ほうせい大学だいがくの上林うえばやし千恵子ちえこ教授きょうじゅは「外国がいこく人じんの数かずが増ふえているだけでなく、日系にっけい人じんや技能ぎのう実習じっしゅう生せい、留学生りゅうがくせいなどさまざまな在留ざいりゅう資格しかくの人ひとが同おなじコミュニティに住すむようになっていることで、地方ちほう自治体じちたいの戸惑とまどいが生しょうじているとみられる。『負担ふたんを担になうのは自治体じちたいだ』と、国くにに対にたいする不公平ふこうへい感かんも持もっているのではないか」と分析ぶんせきしています。

そのうえで「ゴミ出だしなどの生活せいかつ習慣しゅうかんや教育きょういくの問題もんだいについて、これまで国くには自治体じちたいに任まかせていたが、外国がいこく人じんを入国にゅうこくさせるのは国くにで、雇用こようを決きめたのは企業きぎょうなのだから、責任せきにんの一端いったんを担になうべきだ。特とくに日本語にほんごの教育きょういくなどに必要ひつような人件じんけん費ひは、いちばんお金おかねがかかる部分ぶぶんなので、国くにとして支援しえんするべきだ」と指摘してきしています。

ソース：NHK ニュース