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COP24 パリ協定きょうてい実施じっしルール採択さいたく閉幕へいまく

2018-12-16 02:03:17

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地球ちきゅう温暖おんだん対策たいさく会議かいぎ「COP24」は、パリ協定きょうてい実施じっし必要ひつようルール採択さいたくし、閉幕へいまくしました。今後こんごは、このルールのもとで各国かっこく対策たいさく強化きょうかできるかが焦点しょうてんとなります。
ポーランドでしゅうにわたってひらかれた「COP24」は16にちさい来年らいねん以降いこう温暖おんだん対策たいさく国際こくさいてき枠組わくぐみ、パリ協定きょうてい実施じっしするために必要ひつようルール全会ぜんかい一致いっち採択さいたくし、閉幕へいまくしました。

あら採択さいたくされたルールでは、途上とじょうこくふくすべてのくに温室おんしつ効果こうかガス削減さくげん実施じっし状況じょうきょうくわしく報告ほうこくし、専門せんもんねんいち検証けんしょうする方法ほうほうまったほか途上とじょうこくにどの程度ていど資金しきん支援しえんおこな予定よていか、可能かのう範囲はんい国連こくれん報告ほうこくすることが先進せんしんこく義務ぎむづけられました。

また会議かいぎでは、ルールとはべつ途上とじょうこくに対にたいする支援しえん目標もくひょうがくを、年間ねんかん1000おくドル以上いじょうとするか、さい来年らいねんから検討けんとうはじめることでも合意ごういしました。

一方いっぽうで、2031ねん以降いこう設定せっていする削減さくげん目標もくひょう期間きかんなんねん統一とういつするのかなど一部いちぶルール引き続ひきつづ交渉こうしょうすることになりました。

今回こんかい会議かいぎでは、各国かっこくかかげる現在げんざい温室おんしつ効果こうかガス削減さくげん目標もくひょう温暖おんだんによる深刻しんこく影響えいきょうふせためには不十分ふじゅうぶんだとする報告ほうこくがあり、今後こんごは、採択さいたくされたルールのもとで各国かっこく温暖おんだん対策たいさく強化きょうかできるかが焦点しょうてんとなります。

採択さいたくされたルールとは

29の条文じょうぶんからなるパリ協定きょうてい今回こんかいまったルールは、このうちとく重要じゅうようここのつの条文じょうぶん運用うんよう方針ほうしんさだめたもので、124ページおよその内容ないようは、温室おんしつ効果こうかガス削減さくげん目標もくひょう途上とじょうこくへの資金しきん支援しえんそして各国かっこく取り組とりくみをどう評価ひょうかするかなど多岐たきにわたります。

このうち途上とじょうこくふくすべてのくにねんごとに国連こくれん提出ていしゅつする温室おんしつ効果こうかガス削減さくげん目標もくひょうは、削減さくげんするガスの種類しゅるい具体ぐたいてき計画けいかくくわえて、そのくに実情じつじょうらして、適正てきせい十分じゅうぶんたか目標もくひょうといえるのか、その根拠こんきょなどくわしくしめ必要ひつようあるとされました。

資金しきん支援しえんでは、対象たいしょうなる途上とじょうこく支援しえん程度ていど目的もくてきなど可能かのう範囲はんいで、国連こくれん事務じむきょくねんいち報告ほうこくすることが先進せんしんこく義務ぎむづけられました。

また先進せんしんこく途上とじょうこくいずれ取り組とりくみも検証けんしょうすることが盛り込もりこまれたことも特徴とくちょうです。

先進せんしんこくでは、温室おんしつ効果こうかガス削減さくげん状況じょうきょう資金しきん支援しえん内容ないようなどを、また途上とじょうこくでは、温室おんしつ効果こうかガスの削減さくげん状況じょうきょうとともに先進せんしんこくからけた支援しえん内容ないようなどを専門せんもん検証けんしょうします。

そしてこれら情報じょうほうもとづいて各国かっこくそれぞれくに状況じょうきょう定期ていきてき確認かくにんして、ねんごとに目標もくひょう引き上ひきあげて、温暖おんだん対策たいさく段階だんかいてき強化きょうかする道筋みちすじ明確めいかくされました。

一方いっぽうで、運用うんよう方針ほうしんをめぐって合意ごういいたらなかった部分ぶぶんのこされ、このうち、2031ねん以降いこう設定せっていする削減さくげん目標もくひょう期間きかんなんねん統一とういつするのかについては、引き続ひきつづ交渉こうしょうすることになりました。

アメリカ脱退だったい”の影響えいきょう

「COP24」で、パリ協定きょうてい実効じっこうせいたせるためのルール採択さいたくされましたが、地球ちきゅう温暖おんだん食い止くいとめるうえでは課題かだいのこされています。

パリ協定きょうていは、先進せんしんこくだけに温室おんしつ効果こうかガス排出はいしゅつ削減さくげん義務ぎむづけた京都きょうと議定ぎていしょとはことなり、発展はってん途上とじょうこくふくすべてのくに削減さくげん取り組とりくことをさだめた枠組わくぐみです。

しかし去年きょねん6月ろくがつ中国ちゅうごく世界せかいだい温室おんしつ効果こうかガス排出はいしゅつこくアメリカトランプ大統領だいとうりょうは、パリ協定きょうていから脱退だったいする方針ほうしん表明ひょうめいしました。

アメリカは、今回こんかい交渉こうしょうでも脱退だったい方針ほうしんわりはないことを強調きょうちょうしました。

アメリカ脱退だったいは、規定きていにより、はやくてもさい来年らいねん11つきよんにち以降いこうですが、アメリカがければパリ協定きょうてい実効じっこうせいことになるだけでなく、追随ついずいして温暖おんだん対策たいさく後ろ向うしろむきなくにえることも懸念けねんされています。

削減さくげん目標もくひょう引き上ひきあげは

パリ協定きょうていでは、世界せかい平均へいきん気温きおん上昇じょうしょう産業さんぎょう革命かくめいまえくら未満みまんたもとともに、1.5おさえる努力どりょくをするという目標もくひょうかかげています。

この目標もくひょう達成たっせいけて、世界せかい全体ぜんたい取り組とりくみがどれだけすすんでいるか、ねんごとに検討けんとうするとしていて、各国かっこくは、その結果けっかをもとに、削減さくげん目標もくひょう見直みなおことが期待きたいされています。

「COP24」に先立さきだって、国連こくれん専門せんもん機関きかんIPCCあいぴ-し-し-=「気候きこう変動へんどうに関にかんする政府せいふかんパネル」は、ことし10つき報告ほうこくしょ公表こうひょうし、各国かっこくかかげている削減さくげん目標もくひょうでは、世界せかい平均へいきん気温きおん上昇じょうしょう産業さんぎょう革命かくめいまえくらべ1.5おさえることができず、温暖おんだん深刻しんこく影響えいきょうふせげないとして、世界せかい全体ぜんたい取り組とりくみを加速かそくさせることが必要ひつようだと指摘してきしました。

これけて、今回こんかいの「COP24」で、各国かっこく削減さくげん目標もくひょう引き上ひきあげをうながような決定けっていおこなわれるか、注目ちゅうもくされていました。

会議かいぎなかで、海面かいめん上昇じょうしょうなど温暖おんだん影響えいきょうけやすいとうしょこくなどは、削減さくげん目標もくひょう引き上ひきあげを義務ぎむづけるようつよもとめましたが、先進せんしんこく一部いちぶ途上とじょうこく消極しょうきょくてき姿勢しせいしめし、義務ぎむづけは見送みおくられました。

気温きおん上昇じょうしょうおさえるためには、目標もくひょう引き上ひきあげがかせないとされていて、各国かっこくどううながしていくかが今後こんご課題かだいです。

原田はらだ環境かんきょうしょう日本にっぽんしっかりやっていく

原田はらだ環境かんきょう大臣だいじんは、パリ協定きょうていルール採択さいたくけて「直前ちょくぜんまでどうなるかはらはらしたが、合意ごういできたので、すばらしい会合かいごうになった。それぞれくにがいかに実行じっこうしていくこれから大切たいせつだ。日本にっぽんしっかりやっていく」とべました。

各国かっこく反応はんのう

インド洋いんどよう島国しまぐに、モルディブの交渉こうしょうかんNHKえぬえいちけい取材しゅざいに対にたいし、「とてもうれしく興奮こうふんしている。各国かっこくのリーダーは、わたしたちを温暖おんだん被害ひがいからたすけてくれるだろう」とはなしました。

そのうえで、「世界せかい平均へいきん気温きおん上昇じょうしょうが、産業さんぎょう革命かくめいまえより1.5えないように、ともに取り組とりくまなければならない。そうすることで地球ちきゅう破滅はめつふせことができるおも」とうったえました。

また、イランの交渉こうしょうかんは「自分じぶんたちの主張しゅちょうがすべてはいったルールにはならなかったが、とてもバランスがとれたルールで、すべてのくに納得なっとくして合意ごういできた。地球ちきゅう温暖おんだん対策たいさくすすめるただしいみち各国かっこくみちびいてくれるおも」とはなしていました。

専門せんもん公正こうせい公平こうへいかたちでまとめられた」

地球ちきゅう温暖おんだん対策たいさく国際こくさい交渉こうしょうくわしい東京とうきょう大学だいがく高村たかむらゆかり教授きょうじゅは「各国かっこくがパリ協定きょうていのもと、対策たいさく強化きょうかしていくそして、パリ協定きょうてい本格ほんかくてきうごかしていくための基盤きばんつくられた」とべました。

そのうえで、「先進せんしんこく発展はってん途上とじょうこく区別くべつをせずに、ひとつの枠組わくぐみだということを前提ぜんていにしながら、途上とじょうこく能力のうりょくおうじて柔軟じゅうなん対応たいおうできるようになっていて、うまく公正こうせい公平こうへいかたちでまとめられたとおも」と評価ひょうかしました。

今回こんかい会議かいぎでは、ルールづくとはべつ各国かっこく温室おんしつ効果こうかガス削減さくげん目標もくひょう引き上ひきあげをどこまで具体ぐたいするかも焦点しょうてんでした。

高村たかむら教授きょうじゅは「IPCCあいぴ-し-し-=『気候きこう変動へんどうに関にかんする政府せいふかんパネル』が対策たいさく強化きょうか指摘してきしていることをまえて、各国かっこくできるかぎり目標もくひょう引き上ひきあげる方向ほうこう見直みなおし、さい提出ていしゅつすることが確認かくにんされたことは意義いぎある」とべました。

そのうえで、削減さくげん目標もくひょう引き上ひきあげにけては世界せかいてき機運きうんつくっていく必要ひつようある指摘してきしました。

さらに、日本にっぽんに対にたいしては、来年らいねんじ-20サミットの議長ぎちょうこくとして、世界せかい温暖おんだん対策たいさくをリードする役割やくわりになってほしいと期待きたいしめしました。
ソース:NHK ニュース