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政府 国際捕鯨委員会から脱退の方針固める 商業捕鯨再開へ
2018-12-20 07:34:02

捕鯨をめぐって国際的な対立が続く中、政府はIWC=国際捕鯨委員会から脱退する方針を固め、自民党の関係議員に伝えました。今後、商業捕鯨を再開する方向で調整を進める見通しです。

IWCは1982年に商業捕鯨の一時停止を決議していて、これに沿って、日本は1988年以降、商業捕鯨を中断し、クジラの資源を調べるための調査捕鯨を続けています。
その後、日本は、クジラの資源量は回復しているとして、IWCに商業捕鯨の再開を提案してきましたが、反捕鯨国との対立で再開は認められていません。
こうした中、与党内から、IWCにとどまっていては商業捕鯨を再開する見通しが立たないという声が出ていることを踏まえ、政府はIWCから脱退する方針を固め、自民党の関係議員に伝えました。
政府は、今後、商業捕鯨を日本近海や日本のEEZ=排他的経済水域で再開する方向で調整を進める見通しです。
ただ、反捕鯨国が反発し、国際関係の悪化を招きかねないため、自民党の関係議員らが関係各国を訪れて説明し、理解を求めることにしています。
その後、日本は、クジラの資源量は回復しているとして、IWCに商業捕鯨の再開を提案してきましたが、反捕鯨国との対立で再開は認められていません。
こうした中、与党内から、IWCにとどまっていては商業捕鯨を再開する見通しが立たないという声が出ていることを踏まえ、政府はIWCから脱退する方針を固め、自民党の関係議員に伝えました。
政府は、今後、商業捕鯨を日本近海や日本のEEZ=排他的経済水域で再開する方向で調整を進める見通しです。
ただ、反捕鯨国が反発し、国際関係の悪化を招きかねないため、自民党の関係議員らが関係各国を訪れて説明し、理解を求めることにしています。
IWC 対立の歴史
IWCは、クジラの資源を管理しながら持続的に捕鯨を行うことを目的に1948年に設立され、日本は1951年に加盟しました。ことし8月時点で89か国が加盟しています。
IWCが設立された当初、加盟国の多くは捕鯨を推進している国でしたが、その後、加盟国が捕鯨をやめたり、捕鯨に反対する国の加盟が増えたりして、対立が激化していきました。
そして、1982年には商業捕鯨の一時停止が決議され、決議に従うかぎり、商業捕鯨は継続できなくなりました。
日本は当初、「決議は科学的な根拠を欠いている」として異議申し立てをして商業捕鯨を継続していましたが、1988年には決議を受け入れて商業捕鯨を中断しました。
IWCでは、その後も捕鯨を支持する国と反対する国がきっ抗して対立が続き、重要な決定ができない状態に陥っていました。
IWCが設立された当初、加盟国の多くは捕鯨を推進している国でしたが、その後、加盟国が捕鯨をやめたり、捕鯨に反対する国の加盟が増えたりして、対立が激化していきました。
そして、1982年には商業捕鯨の一時停止が決議され、決議に従うかぎり、商業捕鯨は継続できなくなりました。
日本は当初、「決議は科学的な根拠を欠いている」として異議申し立てをして商業捕鯨を継続していましたが、1988年には決議を受け入れて商業捕鯨を中断しました。
IWCでは、その後も捕鯨を支持する国と反対する国がきっ抗して対立が続き、重要な決定ができない状態に陥っていました。
商業捕鯨 再開目指す
政府がIWCからの脱退にカジを切ったのは、捕鯨を推進する国と反対する国の対立が激化し、IWCでは有効な決定ができなくなっていることが大きな理由です。
ことし9月、ブラジルで開かれた総会でも、日本は商業捕鯨の再開を提案しましたが認められず、IWCのもとでは再開に向けた展望は開けないと判断しました。
IWCを脱退したあと、政府は日本近海などでの商業捕鯨の再開を目指します。
ただ、日本は、海の利用などを定めた国連海洋法条約を批准していて、この中で捕鯨を行う場合には国際機関を通じて適切に管理することが定められています。
このため、日本政府は、新たな国際機関を設立して捕鯨を行うか、オブザーバーという形でIWCの総会や科学委員会に関わっていくことなどを検討しています。
一方、日本が1987年から行ってきた調査捕鯨についてはIWCで認められる必要があるため、脱退すれば今のまま続けることはできなくなります。
ことし9月、ブラジルで開かれた総会でも、日本は商業捕鯨の再開を提案しましたが認められず、IWCのもとでは再開に向けた展望は開けないと判断しました。
IWCを脱退したあと、政府は日本近海などでの商業捕鯨の再開を目指します。
ただ、日本は、海の利用などを定めた国連海洋法条約を批准していて、この中で捕鯨を行う場合には国際機関を通じて適切に管理することが定められています。
このため、日本政府は、新たな国際機関を設立して捕鯨を行うか、オブザーバーという形でIWCの総会や科学委員会に関わっていくことなどを検討しています。
一方、日本が1987年から行ってきた調査捕鯨についてはIWCで認められる必要があるため、脱退すれば今のまま続けることはできなくなります。
商業捕鯨をめぐる状況
日本ではかつて商業捕鯨が盛んに行われていました。
戦後、慢性的に食料が不足する中、クジラの肉はタンパク源として重宝され、1960年代に最盛期を迎えました。
しかし、日本などの捕鯨推進国がクジラの捕獲を進めた結果、シロナガスクジラなどの貴重なクジラが減少したとして、次第に国際的な批判が高まりました。
さらに、欧米を中心に、クジラを捕獲することそのものに対して反対の声が強まっていきました。
こうした声を反映して、IWCで商業捕鯨の一時停止が決議されたことを受けて、1988年、日本の商業捕鯨は中断されました。
それ以降は、IWCが管轄しない小型のクジラに限って捕獲する沿岸の捕鯨が、一部の地域で小規模に行われています。
戦後、慢性的に食料が不足する中、クジラの肉はタンパク源として重宝され、1960年代に最盛期を迎えました。
しかし、日本などの捕鯨推進国がクジラの捕獲を進めた結果、シロナガスクジラなどの貴重なクジラが減少したとして、次第に国際的な批判が高まりました。
さらに、欧米を中心に、クジラを捕獲することそのものに対して反対の声が強まっていきました。
こうした声を反映して、IWCで商業捕鯨の一時停止が決議されたことを受けて、1988年、日本の商業捕鯨は中断されました。
それ以降は、IWCが管轄しない小型のクジラに限って捕獲する沿岸の捕鯨が、一部の地域で小規模に行われています。
豪「日本がIWCにとどまることを強く望む」
日本政府がIWCから脱退する方針を固めたことについて、反捕鯨国のオーストラリアのプライス環境相は声明の中で、「日本がIWCにとどまることを強く望むが、脱退するかどうかは日本が決める問題だ」と述べています。
そのうえで、「オーストラリアは引き続きIWCを通してクジラを保護し、いかなる形の商業捕鯨も、いわゆる“科学的な”捕鯨にも反対する」として、商業捕鯨の再開だけでなく、科学的な根拠に基づく調査捕鯨にも反対していく方針を強調しています。
また、地元テレビ局は、日本が商業捕鯨を再開するためにIWCから脱退する見通しだと繰り返し伝えていて、関心の高さがうかがえます。
そのうえで、「オーストラリアは引き続きIWCを通してクジラを保護し、いかなる形の商業捕鯨も、いわゆる“科学的な”捕鯨にも反対する」として、商業捕鯨の再開だけでなく、科学的な根拠に基づく調査捕鯨にも反対していく方針を強調しています。
また、地元テレビ局は、日本が商業捕鯨を再開するためにIWCから脱退する見通しだと繰り返し伝えていて、関心の高さがうかがえます。
日商 三村会頭「やむをえない結論」
日本商工会議所の三村会頭は20日の記者会見で「これは長い間の論争で、日本には固有の文化で試験操業も認めてくれと言ってきたが、十分論争した中での1つの結論なんでしょうから、やむをえないのではないか」と述べました。
ソース:NHK ニュース