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景気回復「戦後最長」に並んだ可能性 月例経済報告
2018-12-20 08:42:17

政府は、今月の月例経済報告で、「景気は緩やかに回復している」という判断を維持しました。これによって、今の景気回復の期間は6年1か月に達し、平成14年から平成20年まで続いた戦後最長の景気回復に並んだ可能性が高まりました。
政府は20日、関係閣僚会議を開いて、今月の月例経済報告をまとめました。
このうち、個人消費は、小売業の販売額が増加していることなどから引き続き「持ち直している」としたほか、企業の設備投資も、「増加している」という見方を据え置きました。
こうしたことから、景気全体についても「緩やかに回復している」というこれまでの判断を維持しました。
景気の回復や後退の時期は、内閣府の有識者による研究会が十分な統計データがそろった段階で正式に判断します。
ただ、政府が今月も景気が緩やかに回復しているという判断を示したことで、平成24年12月から始まった今の景気回復は今月で6年1か月に達し、平成14年2月から平成20年2月までの戦後最長の景気回復に並んだ可能性が高まりました。
民間のエコノミストや政府内では、来年1月には戦後最長の景気回復を更新するとの見方が強まっていますが、今の景気回復は可処分所得が伸び悩んでいることなどから、生活が豊かになった実感に乏しいという指摘も目立っています。
このうち、個人消費は、小売業の販売額が増加していることなどから引き続き「持ち直している」としたほか、企業の設備投資も、「増加している」という見方を据え置きました。
こうしたことから、景気全体についても「緩やかに回復している」というこれまでの判断を維持しました。
景気の回復や後退の時期は、内閣府の有識者による研究会が十分な統計データがそろった段階で正式に判断します。
ただ、政府が今月も景気が緩やかに回復しているという判断を示したことで、平成24年12月から始まった今の景気回復は今月で6年1か月に達し、平成14年2月から平成20年2月までの戦後最長の景気回復に並んだ可能性が高まりました。
民間のエコノミストや政府内では、来年1月には戦後最長の景気回復を更新するとの見方が強まっていますが、今の景気回復は可処分所得が伸び悩んでいることなどから、生活が豊かになった実感に乏しいという指摘も目立っています。
前回の戦後最長との比較
戦後で最も長く続いた景気回復は、平成14年2月から平成20年2月までの6年1か月間で、「いざなみ景気」と呼ぶ人もいます。今回、景気回復の期間がこの最長記録に肩を並べた可能性が高まりました。
前回の戦後最長の景気回復は、高度経済成長のような勢いはありませんでしたが、アメリカなど海外経済が好調だったこともあって、自動車などの輸出が景気をけん引しました。この間、多くの企業は好調な業績を上げていましたが、当時も「企業が国際競争の激化などから賃金を抑えているので、国民の間に景気回復の実感が薄い」と指摘されていました。
「アベノミクス」と呼ばれる経済政策とほぼ時を同じくして始まった今回の景気回復でも、円安などを背景に企業の業績は好調ですが、家計にとっては恩恵を受けている実感に乏しいのが実情です。
総務省の「家計調査」で2人以上の勤労者世帯の「可処分所得」=所得から税金や社会保険料などを差し引いた残りの収入の推移を見てみますと、前回の「いざなみ景気」の終盤にあたる平成19年にはひと月平均44万2000円余り、去年はひと月平均43万4000円余りと、わずかに減少しています。
一方、「社会保険料」の負担は、平成19年がひと月平均でおよそ4万7000円なのに対し、去年はおよそ5万6000円まで増えています。
政府はここ数年、経済界に対して繰り返し賃上げを要請し、企業もこれに答える形でベースアップやボーナス増額の動きが広がってきました。しかし、社会保険料などの負担も増えているため、自由に使えるお金が大きく伸びることはなく、生活が豊かになった実感が得られにくい要因の1つになっていることがうかがえます。
前回の戦後最長の景気回復は、高度経済成長のような勢いはありませんでしたが、アメリカなど海外経済が好調だったこともあって、自動車などの輸出が景気をけん引しました。この間、多くの企業は好調な業績を上げていましたが、当時も「企業が国際競争の激化などから賃金を抑えているので、国民の間に景気回復の実感が薄い」と指摘されていました。
「アベノミクス」と呼ばれる経済政策とほぼ時を同じくして始まった今回の景気回復でも、円安などを背景に企業の業績は好調ですが、家計にとっては恩恵を受けている実感に乏しいのが実情です。
総務省の「家計調査」で2人以上の勤労者世帯の「可処分所得」=所得から税金や社会保険料などを差し引いた残りの収入の推移を見てみますと、前回の「いざなみ景気」の終盤にあたる平成19年にはひと月平均44万2000円余り、去年はひと月平均43万4000円余りと、わずかに減少しています。
一方、「社会保険料」の負担は、平成19年がひと月平均でおよそ4万7000円なのに対し、去年はおよそ5万6000円まで増えています。
政府はここ数年、経済界に対して繰り返し賃上げを要請し、企業もこれに答える形でベースアップやボーナス増額の動きが広がってきました。しかし、社会保険料などの負担も増えているため、自由に使えるお金が大きく伸びることはなく、生活が豊かになった実感が得られにくい要因の1つになっていることがうかがえます。
専門家「最長だが最弱の景気」
今の景気回復が戦後最長に並んだ可能性が高まったことについて、第一生命経済研究所の新家義貴主席エコノミストは「戦後最長ではあるが、最弱の景気と言え、長いけれど弱いというのが今回の景気回復の特徴だ。成長率は緩やかで家計への波及も限定的だ」と分析しています。
そのうえで、「企業は、景気回復がいつまで続くか確信が持てないため、賃上げに及び腰になっている。給料が増えないため戦後最長というわりには全然実感がないという消費者が大半だと思う。物価の上昇や社会保険料負担の増加もあって、手取りで残るお金はますます伸びが小さくなるので、消費者は節約モードに入っている」と指摘しました。
一方、景気の先行きについては「緩やかな回復が続くと考えられるが、懸念されるのは中国経済だ。日本にとって中国は大きな輸出相手先なので、アメリカとの貿易戦争の影響で中国経済が減速すると力強い景気回復が難しくなるのではないか」と話しています。
そのうえで、「企業は、景気回復がいつまで続くか確信が持てないため、賃上げに及び腰になっている。給料が増えないため戦後最長というわりには全然実感がないという消費者が大半だと思う。物価の上昇や社会保険料負担の増加もあって、手取りで残るお金はますます伸びが小さくなるので、消費者は節約モードに入っている」と指摘しました。
一方、景気の先行きについては「緩やかな回復が続くと考えられるが、懸念されるのは中国経済だ。日本にとって中国は大きな輸出相手先なので、アメリカとの貿易戦争の影響で中国経済が減速すると力強い景気回復が難しくなるのではないか」と話しています。
ソース:NHK ニュース