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障害者雇用率 中央省庁は法定雇用率の半分の水準
2018-12-25 04:56:50

中央省庁で働く障害者の割合が、法律で義務づけられた雇用率の半分の水準にとどまったことが厚生労働省の審議会で報告されました。委員からは「目先の数字の改善ではなく、恒久的な雇用対策を行うべきだ」という意見が上がりました。
障害者の雇用を進めるための国の制度改正について話し合う、厚生労働省の審議会が25日に開かれ、障害者団体や経済団体、それに労働組合の代表などが委員として出席しました。
審議会では、ことし6月1日時点での国の中央省庁で働く障害者の割合が公表され、職員の1.24%と法律で義務づけられた雇用率の半分の水準にとどまったことが報告されました。
これに対して、障害者団体の委員からは「国の機関の障害者雇用率が地方自治体を大きく下回っている」とか「雇用を進めるにあたっては、目先の数字を改善するための短い期間の措置ではなく、恒久的な対策を行うべきだ」といった意見が上がりました。
中央省庁の障害者雇用をめぐる水増し問題を受けて、厚生労働省は障害者の雇用実態のチェック機能を強化したり、障害者向けの相談窓口を設けたりする対策を進める方針です。
審議会の分科会長を務める中央大学の阿部正浩教授は「想定していたとは言え、国の障害者雇用率は非常に低く、早急に障害者の採用を進め、定着に向けた支援を行っていくことが必要だ」と話しています。
審議会では、ことし6月1日時点での国の中央省庁で働く障害者の割合が公表され、職員の1.24%と法律で義務づけられた雇用率の半分の水準にとどまったことが報告されました。
これに対して、障害者団体の委員からは「国の機関の障害者雇用率が地方自治体を大きく下回っている」とか「雇用を進めるにあたっては、目先の数字を改善するための短い期間の措置ではなく、恒久的な対策を行うべきだ」といった意見が上がりました。
中央省庁の障害者雇用をめぐる水増し問題を受けて、厚生労働省は障害者の雇用実態のチェック機能を強化したり、障害者向けの相談窓口を設けたりする対策を進める方針です。
審議会の分科会長を務める中央大学の阿部正浩教授は「想定していたとは言え、国の障害者雇用率は非常に低く、早急に障害者の採用を進め、定着に向けた支援を行っていくことが必要だ」と話しています。
課題は職場の理解
中央省庁が障害者の大量採用を計画する中、課題となっているのが、障害に対する職場の理解です。なじめずに退職した人からは懸念する声が上がっています。
パニック障害などがあり、精神障害の手帳を持つ東京都内の50代の男性は、去年4月、中央省庁の非常勤職員に採用され、郵便物の仕分けなどの作業を行っていました。
男性によりますと、採用からおよそ3か月後、同僚から仕事の手順をめぐって、強い口調で繰り返し注意されました。
男性は、障害の影響で感情の起伏が激しいため取り乱し、同僚に対して大声で言い返してしまったということです。
これをきっかけに職場に居場所がなくなったと感じ、別の仕事に変えてほしいと人事担当者に申し出ましたが、新しい部署を探すのに1か月かかると言われたため、仕事を続けることを諦め、退職しました。
男性は「私は感情のコントロールが難しく、突然怒り出すこともあると採用面接でも説明していたが、職場で理解されていなかった。国には障害者への接し方の研修などを行ったうえで採用を進めてほしい」と話していました。
パニック障害などがあり、精神障害の手帳を持つ東京都内の50代の男性は、去年4月、中央省庁の非常勤職員に採用され、郵便物の仕分けなどの作業を行っていました。
男性によりますと、採用からおよそ3か月後、同僚から仕事の手順をめぐって、強い口調で繰り返し注意されました。
男性は、障害の影響で感情の起伏が激しいため取り乱し、同僚に対して大声で言い返してしまったということです。
これをきっかけに職場に居場所がなくなったと感じ、別の仕事に変えてほしいと人事担当者に申し出ましたが、新しい部署を探すのに1か月かかると言われたため、仕事を続けることを諦め、退職しました。
男性は「私は感情のコントロールが難しく、突然怒り出すこともあると採用面接でも説明していたが、職場で理解されていなかった。国には障害者への接し方の研修などを行ったうえで採用を進めてほしい」と話していました。
専門家「乗り越えなければならない問題」
みずからも脳性まひがあり、障害者と社会の関わりについて研究している東京大学の熊谷晋一郎准教授は「障害者雇用は手間がかかると思われているかもしれないが、これは乗り越えなければならない命題だ」と指摘しています。
そのうえで、「中央省庁が率先して障害の有無に左右されない組織の在り方を考えてほしい」と述べました。
さらに、「周囲に合わせるよう障害者に努力させるのではなく、職場の環境のほうを障害に配慮した形にする必要がある。特に精神障害や知的障害など外見で分かりづらい障害は、一人一人の違いが大きい。職場に配属されたあとに日常の関係の中でお互いに理解を深め合う姿勢が重要だ」としています。
そのうえで、「中央省庁が率先して障害の有無に左右されない組織の在り方を考えてほしい」と述べました。
さらに、「周囲に合わせるよう障害者に努力させるのではなく、職場の環境のほうを障害に配慮した形にする必要がある。特に精神障害や知的障害など外見で分かりづらい障害は、一人一人の違いが大きい。職場に配属されたあとに日常の関係の中でお互いに理解を深め合う姿勢が重要だ」としています。
ソース:NHK ニュース