国際こくさい観光かんこう旅客りょかく税ぜい きょうから 出国しゅっこくで1000円えん徴収ちょうしゅう 観光かんこう施策しさくに活用かつよう

日本にっぽんを出国しゅっこくする際さい、１いち人にん当あたり1000円えんを徴収ちょうしゅうする「国際こくさい観光かんこう旅客りょかく税ぜい」が７なな日にちから導入どうにゅうされました。年間ねんかんの税収ぜいしゅうは、約やく500億おく円えんと見込みこまれ、外国がいこく人じん旅行りょこう者しゃを増ふやすための施策しさくに使つかうことにしています。

「国際こくさい観光かんこう旅客りょかく税ぜい」は、日本にっぽんを出国しゅっこくする際さい、外国がいこく人じんか日本人にっぽんじんかを問とわず、１いち人にん当あたり1000円えんを徴収ちょうしゅうする新あたらしい税ぜいで、新税しんぜいの導入どうにゅうは、国税こくぜいでは平成へいせい４よん年ねんの「地価ちか税ぜい」以来いらい27年ねんぶりです。

海外かいがいに向むかう航空こうくう機きや船舶せんぱくのチケットを７なな日にち以降いこうに購入こうにゅうする際さい、代金だいきんに上乗うわのせする形かたちで徴収ちょうしゅうされますが、入国にゅうこく後ご24時間じかん以内いないに出国しゅっこくする乗り継のりつぎ客きゃくや、２に歳さい未満みまんは非課税ひかぜいとなります。

税収ぜいしゅうは、今年度こんねんどの約やく３さんか月かげつ間かんで60億おく円えん、新しん年度ねんど以降いこうは年間ねんかん500億おく円えんと見込みこまれていて、政府せいふは日本にっぽんを訪おとずれる外国がいこく人じん旅行りょこう者しゃを増ふやすための施策しさくに使つかうことにしています。

今年度こんねんどと新しん年度ねんどは、空港くうこうの出入国しゅつにゅうこく審査しんさをスピードアップする顔かお認証にんしょうシステムの導入どうにゅうや、国立こくりつ公園こうえんや文化財ぶんかざいの多言たげん語ごでの解説かいせつを充実じゅうじつさせることなどに充あてられる予定よていです。

政府せいふは、年間ねんかん3000万まん人にん程度ていどの外国がいこく人じん旅行りょこう者しゃを、来年らいねんまでに4000万まん人にんに増ふやす目標もくひょうを掲かかげていて、新税しんぜいの導入どうにゅうを旅行りょこう者しゃの増加ぞうかにつなげたい考かんがえです。

税収ぜいしゅうの使つかいみちは…

国際こくさい観光かんこう旅客りょかく税ぜいの税収ぜいしゅうは、観光かんこう分野ぶんやの施策しさくに充あてられることになっています。

その一ひとつが、顔かお認証にんしょう技術ぎじゅつを活用かつようし、出入国しゅつにゅうこく審査しんさを自動じどうで行おこなうゲートの拡充かくじゅうです。現在げんざいは、羽田はたや成田なりたなど５いつつの空港くうこうで日本人にっぽんじんの出入国しゅつにゅうこく審査しんさに導入どうにゅうされていますが、新しん年度ねんど以降いこうは、新税しんぜいの税収ぜいしゅうを活用かつようして、外国がいこく人じんが出国しゅっこくする際さいの審査しんさにも導入どうにゅうしていく計画けいかくです。

ゲートの拡充かくじゅうによって、出入国しゅつにゅうこく審査しんさのスピードアップとセキュリティーの強化きょうかが期待きたいされています。

また、新税しんぜいの税収ぜいしゅうは、国立こくりつ公園こうえんや文化財ぶんかざいの多言たげん語ごでの解説かいせつの充実じゅうじつにも充あてられる予定よていです。

年間ねんかん20万まん人にん以上いじょうの外国がいこく人じん観光かんこう客きゃくが訪おとずれる栃木とちぎ県けんの日光にっこう東照宮とうしょうぐうでは、国宝こくほうや重要じゅうよう文化財ぶんかざいを展示てんじしている宝物ほうもつ館かんに、英語えいごの解説かいせつ板ばんやタッチパネルを新あらたに設もうけました。

外国がいこく人じんにも歴史れきしなどを伝つたわりやすくするねらいで、外国がいこく人じんの入館にゅうかん者しゃの数かずは、英語えいごの解説かいせつ板ばんなどを設置せっちしてから３さん倍ばい以上いじょうに増ふえたということで、政府せいふはこうした取り組とりくみを全国ぜんこくに広ひろげていきたいとしています。

このほか、外国がいこく人じん旅行りょこう者しゃの通信つうしん環境かんきょうの改善かいぜんに向むけたＷｉーＦｉの整備せいびや、ＶＲ＝仮想かそう現実げんじつや、ＡＲ＝拡張かくちょう現実げんじつと呼よばれる最新さいしん技術ぎじゅつを使つかって、文化財ぶんかざいをＰＲぴ-あ-るする取り組とりくみなどに充あてられることになっています。

海外かいがいでは

出国しゅっこくする旅行りょこう者しゃに一定いっていの税金ぜいきんを課かす制度せいどは、海外かいがいではすでに導入どうにゅうしている国くにや地域ちいきがあります。

このうち、オーストラリアは、出国しゅっこくする際さい、１いち人にん当あたり60オーストラリアドル（約やく4600円えん）を徴収ちょうしゅうしています。

税収ぜいしゅうは、日本にっぽんと同様どうよう、出入国しゅつにゅうこく管理かんりや観光かんこう振興しんこうなどの財源ざいげんに充あてられています。

このほか、観光かんこう庁ちょうによりますと、中国ちゅうごくやイギリス、韓国かんこくなどでも出国しゅっこくの際さいに税ぜいを徴収ちょうしゅうする同様どうようの制度せいどが導入どうにゅうされているということです。

専門せんもん家か「観光かんこう人材じんざいの育成いくせいに活用かつようを」

国際こくさい観光かんこう旅客りょかく税ぜいの導入どうにゅうについて、専門せんもん家かは、税収ぜいしゅうを人材じんざい育成いくせいなどに重点じゅうてん的てきに充あてていくべきだと指摘してきしています。

政府せいふの観光かんこう事業じぎょうのアドバイザーも務つとめる観光かんこうコンサルティング会社かいしゃの村山むらやま慶けい輔社長しゃちょうは「日本にっぽんはこれまで、他国たこくに比くらべ観光かんこう予算よさんが少すくなかった現状げんじょうもあり、観光かんこう先進せんしん国こくの実現じつげんに向むけて必要ひつような財源ざいげんを確保かくほすることは評価ひょうかできる」と話はなしています。

また、税収ぜいしゅうの使つかいみちについては「ことし以降いこうは、ラグビーワールドカップや東京とうきょうオリンピック・パラリンピックなどで、外国がいこく人じん観光かんこう客きゃくの数かずは順調じゅんちょうに伸のびると思おもう。新税しんぜいの税収ぜいしゅうで、単たんに数かずを伸のばすだけでなく、一いち人にん一いち人にんの満足まんぞく度どを高たかめ消費しょうひ額がくが増ふえるような施策しさくを行おこなうことが必要ひつようだ」と話はなしています。

そのうえで「宿泊しゅくはく施設しせつや小売こうりの現場げんばでは、外国がいこく人じんを受け入うけいれる人材じんざいが圧倒的あっとうてきに不足ふそくしている。観光かんこう人材じんざいの育成いくせいに税収ぜいしゅうを一層いっそう活用かつようすべきだ」と指摘してきしています。

ソース：NHK ニュース