「サル痘」 欧米おうべいなどで報告ほうこく相次あいつぐ 症状しょうじょう・注意ちゅういすべき点てんは…

「聞きいたことがなかった。。。」
「市中しちゅう感染かんせんの可能かのう性せいがあるってこと？」
「このニュースは当面とうめん、要よう注意ちゅういだと思おもいます」

イギリスやアメリカで、感染かんせん症しょう「サル痘」の患者かんじゃが相次あいついで報告ほうこくされ、SNSでも多おおくの関心かんしんを集あつめています。

「サル痘」とはどんな感染かんせん症しょうなのか、まとめました。

（※文中ぶんちゅうに「サル痘」の症例しょうれい写真しゃしんを掲載けいさいしています）

欧米おうべいなどで感染かんせん広ひろがる「サル痘」

ヨーロッパや北米ほくべいでは「サル痘」の患者かんじゃの確認かくにんが相次あいついでいます。WHO＝世界せかい保健ほけん機関きかんは各国かっこくの保健ほけん当局とうきょくに対にたいし、患者かんじゃを早期そうきに発見はっけんしたり、患者かんじゃに接触せっしょくした人ひとを迅速じんそくに追跡ついせきしたりする態勢たいせいを強化きょうかするよう呼よびかけています。

【イギリス】
イギリスの保健ほけん当局とうきょくは、今月こんげつ18日にちまでに「サル痘」の患者かんじゃが合あわせて9人にん確認かくにんされたと発表はっぴょうしました。
最初さいしょに確認かくにんされた患者かんじゃは西アフリカにしあふりかのナイジェリアへの旅行りょこうから帰かえってきた人ひとで、家族かぞく2人にんにも感染かんせんしたとみられるということです。一方いっぽう、残のこる6人にんの患者かんじゃの感染かんせん経路けいろは明あきらかになっておらず、現在げんざい調査ちょうさが行おこなわれています。

【アメリカ】
アメリカのCDC＝疾病しっぺい対策たいさくセンターは18日にち、東部とうぶマサチューセッツ州しゅうで「サル痘」の患者かんじゃが確認かくにんされたと発表はっぴょうしました。
患者かんじゃは最近さいきんカナダへ旅行りょこうしたことがあるということですが、どこで感染かんせんしたかは調査ちょうさ中ちゅうとしています。

【カナダ】
カナダ・モントリオールの保健ほけん当局とうきょくは19日にち、「サル痘」に感染かんせんした疑うたがいのある人ひとが17人にん報告ほうこくされたと発表はっぴょうしました。感染かんせんが疑うたがわれる人ひとは全員ぜんいんが隔離かくりされていて、これらの人ひとと接触せっしょくがあった人ひとも健康けんこう観察かんさつの対象たいしょうになっているということです。

【フランス】
フランスの保健ほけん当局とうきょくは19日にち、「サル痘」に感染かんせんした疑うたがいのある人ひとが国内こくないで初はじめて報告ほうこくされたと発表はっぴょうしました。
症状しょうじょうなど詳くわしいことは明あきらかにされていませんが、感染かんせんが疑うたがわれる症例しょうれいが報告ほうこくされたのは首都しゅとのパリやその近郊きんこうを含ふくむ地域ちいきだということです。

この他ほか、AP通信つうしんなどによりますと、
▼ポルトガルで14人にん、
▼スペインで7人にん、
▼イタリアとスウェーデン、ベルギーでそれぞれ1人にんの感染かんせんが確認かくにんされているということです。

またオーストラリアでも患者かんじゃひとりが確認かくにんされたことがわかりました。

「サル痘」とは

国立こくりつ感染かんせん症しょう研究所けんきゅうじょによりますと、「サル痘」は1958年ねんにポリオワクチン製造せいぞうのために世界せかい各国かっこくから霊長れいちょう類るいが集あつめられた施設しせつにいたカニクイザルで最初さいしょに発見はっけんされたため、「サル痘」という名前なまえが付つけられました。

WHOによりますと、ヒトでの「サル痘」の潜伏せんぷく期間きかんはおおむね6日にちから13日にちで、その後そのご、顔かおや体からだに特徴とくちょう的てきな発疹はっしんが出でるほか、発熱はつねつやのどの痛いたみ、リンパ節ぶしが腫はれるなどの症状しょうじょうが出でるということです。

過去かこにアフリカで感染かんせんが起おきた際さいには、致死ちし率りつは数すう％から10％程度ていどに上のぼったと報告ほうこくされています。

“サル痘ウイルス”は、ネズミやリスなど感染かんせんした動物どうぶつにかまれたり、血液けつえきや体液たいえき、発疹はっしんに触ふれたりすることで感染かんせんすることがあるほか、感染かんせんした人ひとの発疹はっしんや体液たいえきに触ふれたり、飛ひまつを浴あびたりすることで、ヒトからヒトに感染かんせんする可能かのう性せいがあるということです。

ただ、WHOは、ヒトからヒトへの感染かんせんは密接みっせつな接触せっしょくによるもので、比較的ひかくてき限かぎられているとしています。

日本にっぽんでは「サル痘」の感染かんせんが報告ほうこくされた例れいはこれまでありません。

ペットを通をつうじて…

1958年ねん、「サル痘」が初はじめて報告ほうこくされた当時とうじはヒトの感染かんせん例れいは報告ほうこくされていませんでした。

しかし1970年ねんに今いまのコンゴ民主みんしゅ共和きょうわ国こくで、ヒトへの感染かんせんが初はじめて確認かくにんされました。その後そのご、中央アフリカちゅうおうあふりかや西アフリカにしあふりかの熱帯ねったい雨林うりん地域ちいきで散発さんぱつ的てきに感染かんせんが広ひろがっているとしています。

また2003年ねんにはアフリカからペットとして輸入ゆにゅうされた小しょう動物どうぶつを通をつうじてアメリカにウイルスが持ち込もちこまれたあと、合あわせて71人にんが感染かんせんしましたが、亡なくなった人ひとはいなかったということです。

アメリカのCDCによりますと、この時ときはアフリカからペットを通をつうじて持ち込もちこまれた“サル痘ウイルス”がプレーリードックに感染かんせんしました。感染かんせんした人ひとはプレーリードックと接触せっしょくがあったとしています。

国立こくりつ感染かんせん症しょう研究所けんきゅうじょによりますと、“サル痘ウイルス”には大おおきくコンゴ型がたと西アフリカにしあふりか型がたがあり、コンゴ型がたは病原びょうげん性せいが高たかいということです。

また2003年ねんのアメリカでのケースは、西アフリカにしあふりか型がたの“サル痘ウイルス”によることが明あきらかになっているということです。

天然痘てんねんとうワクチンに高たかい予防よぼう効果こうか

「サル痘」には特異とくい的てきな治療ちりょう法ほうはなく対症たいしょう療法りょうほうで対応たいおうされていますが、1980年ねんに根絶こんぜつされた天然痘てんねんとうに対にたいするワクチンが、「サル痘」にも高たかい予防よぼう効果こうかがあるとされています。

「サル痘」注意ちゅういすべき点てんは 【一いち問もん一いち答とう】

「サル痘」に詳くわしい岡山おかやま理科りか大学だいがくの森川もりかわ茂しげる教授きょうじゅに話はなしを聞ききました。

Q．どんな病気びょうきなのか。
「モンキーポックスウイルス（＝サル痘ウイルス）は、天然痘てんねんとうに似にたウイルスで、ヒトに感染かんせんすると天然痘てんねんとうのような症状しょうじょうを出だすことが知しられています」
「2種類しゅるい、大おおきく分わけて強つよし毒どく型がたのと、それほど強つよ毒どくでない方ほうがあります。アフリカでは今いまも流行りゅうこうが続つづいて、毎年まいとし患者かんじゃさんが出でています。アフリカから帰国きこくした人ひととか、アフリカから来きた人ひとがイギリスとか海外かいがいで発症はっしょうして、それで見みつかるというケースが最近さいきん相次あいついでいるという状況じょうきょうだと思おもいます」

Q．イギリスとかで見みつかったウイルスはどちらのタイプなのか。
「ナイジェリアからイギリスに輸入ゆにゅう症例しょうれいとして過去かこ何なん年ねんか出でているケースでは、ナイジェリアで今こん流行りゅうこうしてる西アフリカにしあふりか型がたという比較ひかく的てき病原びょうげん性せいが低ひくいとされている方ほうのモンキーポックスウイルスであることがわかっています。強つよし毒どく型がたは主おもにコンゴ民主みんしゅ共和きょうわ国こくを中心ちゅうしんに分布ぶんぷしているウイルスで、ヒトからヒトへも比較的ひかくてき容易よういに感染かんせんするようになってきていて、重じゅう症例しょうれいでは天然痘てんねんとうと区別くべつのつかないような症状しょうじょうを出だして死亡しぼうするケースも知しられています」

Ｑきゅ-.強きょう毒どく型がたでなければあまり心配しんぱいはないのか。
「西アフリカにしあふりか型がたは、サルに対にたいする病原びょうげん性せいも低ひくいとされていて、ヒトでは非常ひじょうに軽症けいしょうで済すむと言いわれていましたが、ナイジェリアでここ数すう年ねん流行りゅうこうが相次あいついでいる中なかでは、かなり重症じゅうしょう化かしているケースもあります。弱毒じゃくどく型がたの西アフリカにしあふりか型がたでも、ナイジェリアで流行りゅうこうしている株かぶは、少すこし強つよ毒どく化かしている可能かのう性せいが指摘してきされています」

Ｑきゅ-．怖こわいウイルスということか。
「天然痘てんねんとうほど強つよいウイルスであるというふうには今いまのところなっていません。昔むかしは天然痘てんねんとうのワクチンを世界中せかいじゅうの人ひとが受うけていたので免疫めんえきがありましたが、今いまの若わかい世代せだいの人ひとたちは天然痘てんねんとうがなくなったので天然痘てんねんとうのワクチンを受うけていません。免疫めんえき力りょくの低ひくい基礎きそ疾患しっかんのある方ほうとかの場合ばあいは重症じゅうしょう化かするリスクがないとは言いえないと思おもいます。新型しんがたコロナウイルスのようなパンデミックを起おこすようなウイルスではないと思おもいます」

Ｑきゅ-．なぜでしょうか。
「新型しんがたコロナウイルスは呼吸こきゅう器き感染かんせんで広ひろがるウイルスなので、かなり広ひろがりましたが、ポックスウイルスは主おもに接触せっしょく感染かんせん、一部いちぶ飛ひまつ感染かんせんしますけれども、それほど感染かんせん力りょくが強つよいわけではないので、一気いっきに世界中せかいじゅうにひろがるものではないと思おもいます」

Ｑきゅ-．もし国内こくないに入はいってくるとしたらどういう状況じょうきょうが考かんがえられるか。
「おそらく、その流行りゅうこう国こくで感染かんせんした人ひとが潜伏せんぷく期間きかん中ちゅうに帰国きこくして、あるいは流行りゅうこう国こくの人ひとが日本にっぽんに訪問ほうもんされたときに発症はっしょうするケースで出でることが想定そうていされます。もともとはリスが持もっているウイルスで、輸入ゆにゅう動物どうぶつとして感染かんせんした動物どうぶつが入はいってきた事例じれいというのは、20年ねんほど前ぜんアメリカでありましたので、そういうリスクがゼロというわけではないです」

Ｑきゅ-．私わたしたちはどう気きをつけたらいいのか。
「例たとえばナイジェリアとかコンゴ民主みんしゅ共和きょうわ国こくでは、感染かんせん者しゃが出でていますけれども、そういう国くにに行いっても、都会とかい、首都しゅとみたいなところで知しらないうちに感染かんせんするものではありません。リモートエリアで流行りゅうこうが起おきてますから、そういうところに行いかないっていうのはひとつあります。リモートエリアというのは要ようするに自然しぜん豊ゆたかな熱帯ねったい林りんのようなところとか野生やせい動物どうぶつがいるような所ところですね」
「（海外かいがいの感染かんせんが広ひろがっている地域ちいきで）野生やせい動物どうぶつにむやみに接触せっしょくするようなことは避さけるというのが重要じゅうよう、特とくに海外かいがいに行いったときは重要じゅうようだと思おもいます」

ソース：NHK ニュース