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らしめ”から“立ち直たちなお”へ 115ねんぶりにわるけい

2022-06-13 10:09:24

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懲役ちょうえき10ねん」「禁錮きんこ2ねん

ニュースみみにすることがあるけい名称めいしょう
この2つのけいをなくし、「拘禁こうきんけい」というあらけいいちほんする法案ほうあん成立せいりつしました。

明治めいじ時代じだい制定せいていされて以来いらい115ねんぶりのだい転換てんかんです。いま、なぜわるのか。
社会しゃかい 白井しらい綾乃あやの 伊沢いさわ浩志ひろし

刑務けいむ作業さぎょう中心ちゅうしん」の実態じったい

東京とうきょう府中ふちゅう刑務所けいむしょない工場こうじょうでは、民間みんかんから受注じゅちゅうしている衣類いるいなどつくため20だいから70だいすうじゅうにん受刑じゅけいしゃたちがミシンうごかしていました。
懲役ちょうえきけい」では、こうした刑務けいむ作業さぎょう義務ぎむづけられていて1にち最大さいだいで8時間じかんおこないます。
規則正きそくただしい生活せいかつおくことや就労しゅうろう意欲いよくやしなことなどその目的もくてきです。

しかしおかしたつみ反省はんせいにはつながらないというもと受刑じゅけいしゃもいます。
傷害しょうがい致死ちしつみべつ刑務所けいむしょで10ねん以上いじょうごした男性だんせいは、刑務けいむ作業さぎょうだけでは自分じぶんつみ向き合むきあことができなかったといいます。
もと受刑じゅけいしゃ
ぼく作業さぎょうをやっているときに内省ないせいふかまることはなかったですね。やはり“やらされているかん”というか、どうしてもそういう気持きもなる
刑法けいほうはん検挙けんきょされたひとのうち再犯さいはんしゃ割合わりあいしめ再犯さいはんしゃりつ」の統計とうけいです。
平成へいせい24ねんに45%をえると、その後そのごやく半数はんすう再犯さいはんしゃという状況じょうきょうで、こうまりつづいています。

今回こんかい改正かいせいでは、刑法けいほう条文じょうぶんに「改善かいぜん更生こうせいはかため、必要ひつよう作業さぎょうまたは指導しどうおこなことができる」と明記めいきしました。

自分じぶん向き合むきあって「立ち直たちなお」へ

では立ち直たちなおりを後押あとおするためにはどうすればいいか。

期待きたいされている1つが、グループおこな教育きょういくプログラムです。
府中ふちゅう刑務所けいむしょでは、薬物やくぶつ依存いぞんの6にん受刑じゅけいしゃ専門せんもん職員しょくいんしゅうに1かいあつまり、3か月かげつかけて教育きょういくプログラムおこなっています。
1かい90分間ふんかんプログラム
このテーマは、薬物やくぶつ使つかデメリットと使つかってしまう引き金ひきがね」についてでした。
職員しょくいん
「デメリットはどうだったのですか?」
受刑じゅけいしゃ
時間じかんルーズになったり、信用しんよううしなったり。それでまた刑務所けいむしょ生活せいかつなることです」

対話たいわかさねて自分じぶん自身じしんづくことで、薬物やくぶつことを目指めざしていて、ある受刑じゅけいしゃは「いろいろはなことが自分じぶんつめなおいいきっかけになる」とはなしていました。

府中ふちゅう刑務所けいむしょ 片山かたやま裕久ひろひさ教育きょういく専門せんもんかん
グループ参加さんかすることは、落ち着おちついて自分じぶん本当ほんとう気持きもよくつめるだけでなく、それはなことで自分じぶん自身じしんなかまれてくる気持きもちをかんじられる、そういう貴重きちょう機会きかいです」

拘禁こうきんけい導入どうにゅうで、刑務けいむ作業さぎょうだけでなく、こうした教育きょういくてき処遇しょぐう受刑じゅけいしゃ状況じょうきょうにあわせてやしていくことが可能かのうになります。
傷害しょうがい致死ちしつみおかしたもと受刑じゅけいしゃも「いか」をいかにコントロールするかについて1ねんはんグループまなんだことで、みずかつみ向き合むきあい、反省はんせいすることができたといいます。

もと受刑じゅけいしゃ
自分じぶん事件じけんこしたにもかかわらず、自分じぶん巻き込まきこまれたようにかんじていたんですけど、『それちがんじゃないか』とおもわせてくれたのが教育きょういく内容ないようでした。生い立おいたから事件じけん内容ないよういたまで、いたくないこともさらけ出さらけだグループワークがあったので、勉強べんきょうになったというか、参加さんかしてよかったです」

高齢こうれい受刑じゅけいしゃ作業さぎょう」から「からだ機能きのう回復かいふく」へ

高齢こうれい受刑じゅけいしゃ問題もんだい深刻しんこくです。
刑務所けいむしょ出所しゅっしょしてから2ねん以内いないつみおか刑務所けいむしょふたたはいったひと割合わりあいは、65さい以上いじょうが、ほか年代ねんだいよりもたかのが現状げんじょうです。
身体しんたいてきおとろ出所しゅっしょ社会しゃかい生活せいかつがままならず、犯罪はんざい繰り返くりかえしてしまうひとすくなくないためです。
高齢こうれい受刑じゅけいしゃにどんな処遇しょぐうをすべきか。
府中ふちゅう刑務所けいむしょでは認知にんち機能きのう体力たいりょく回復かいふくさせるリハビリのような取り組とりくおととしからおこなっています。
府中ふちゅう刑務所けいむしょ 作業さぎょう療法りょうほう かみみどりさん
とく高齢こうれい受刑じゅけいしゃ出所しゅっしょ就職しゅうしょくとてもむずかしいおもいます。いま受刑じゅけいしゃかかえている身体しんたい能力のうりょく認知にんち機能きのう特性とくせいからみえる課題かだいを1つでも解消かいしょうしたうえで出所しゅっしょして、地域ちいき生活せいかつ定着ていちゃくすることが、再犯さいはん防止ぼうしにつながるとおもいます」

115ねんぶりのだい転換てんかん 課題かだいは?

法務省ほうむしょうは、拘禁こうきんけい導入どうにゅうで、従来じゅうらい刑務けいむ作業さぎょうだけでなくこうした教育きょういくプログラムからだ機能きのう回復かいふくなどそのひとおうじて組み合くみあわせる柔軟じゅうなん処遇しょぐう」ができるようになるはなします。

法務省ほうむしょう成人せいじん矯正きょうせい 細川ほそかわ隆夫たかお課長かちょう
刑務けいむ作業さぎょうだけをさせて刑期けいき終了しゅうりょうしたら社会しゃかいのでは、再犯さいはんふせことはむずかしい個々ここ特性とくせい問題もんだいよく見極みきわめて、作業さぎょうほかにも必要ひつよう処遇しょぐうがあれば、それ時間じかんにとらわれずに実施じっししていきたい」

受刑じゅけいしゃかずは、ことし3月末げつまつ時点じてんやく3まん8000にん
つみ内容ないよう犯罪はんざいいたった背景はいけい刑期けいきもさまざまです。
受刑じゅけいしゃおかしたつみ向き合むきあい、更生こうせいするには、本人ほんにん自発じはつてき姿勢しせい不可欠ふかけつです。
1にん1にんにそうした処遇しょぐうおこなには、たずさわる刑務けいむかん意識いしき改革かいかくや、専門せんもんてき知識ちしきある人材じんざい確保かくほできるかという課題かだいがあります。

そして課題かだい刑務所けいむしょない処遇しょぐうだけではありません。
受刑じゅけいしゃ刑期けいきえれば社会しゃかいもどります。
仕事しごとまい確保かくほできずに安定あんていした生活せいかつおくれないひとすくなくありません。
龍谷大学りゅうこくだいがく矯正きょうせい保護ほご総合そうごうセンター 浜井はまい浩一こういちセンターちょう
最終さいしゅうてき立ち直たちなお場所ばしょ刑務所けいむしょではなく地域ちいき社会しゃかいなかです。『ここきていきたい』とおもえないと再犯さいはんにつながってしまうので、社会しゃかいささえていくことが大切たいせつです。そういった意味いみでも刑務所けいむしょなか環境かんきょうをより自律じりつせい自発じはつせい重視じゅうしした社会しゃかいでの生活せいかつちかものにして、社会しゃかい復帰ふっきのための準備じゅんび期間きかんなるようにしていくことが必要ひつようです」

受刑じゅけいしゃたちがみずかつみ真剣しんけん向き合むきあことは被害ひがいしゃのためでもあり、再犯さいはんきないことは、あら被害ひがいまないことにつながります。

改正かいせいされた刑法けいほうは、公布こうふから3ねん以内いない施行しこうされることになっています。
施行しこうまでにどのような準備じゅんびできるのか。
また実際じっさいどのように運用うんようがされるのかが、今後こんご課題かだいだとえます。
ソース:NHK ニュース