“災害さいがい並なみ”の暑あつさ キーワードは「筋肉きんにく」

連日れんじつ、猛暑もうしょが続つづく中なか、熱中ねっちゅう症しょうに詳くわしい専門せんもん家かは、新型しんがたコロナウイルスの影響えいきょうで、自粛じしゅく生活せいかつが続つづいた私わたしたちにとって、ことしの暑あつさは、「災害さいがい並なみに危険きけんだ」と指摘してきしています。自粛じしゅく生活せいかつで筋肉きんにく量りょうが落おちている可能かのう性せいがあるからだといいます。いったいどういうことなんでしょうか。

「筋肉きんにくは体液たいえきの貯蔵庫ちょぞうこ しかしこの2年間ねんかんで…」

兵庫ひょうご医科いか大学だいがく 服部はっとり益治ますじ特別とくべつ招聘しょうへい教授きょうじゅ
「筋肉きんにくは体液たいえきの貯蔵庫ちょぞうこです。筋肉きんにくがあるかないかがキーワードなんです。コロナ禍かでみんな自粛じしゅく生活せいかつをして、この2年間ねんかんで筋肉きんにく量りょうが落おちています。そこにおいてこの暑あつさとなると、考かんがえられないほど危険きけんな時ときに向むかっている、まさにそのときにいると思おもってほしい」

暑あつさと筋肉きんにくが関係かんけいあるとは どういうこと？

服部はっとり教授きょうじゅは、気温きおんが高たかい中なかで、体温たいおんが上あがらないようにするには筋肉きんにくが大事だいじだといいます。

体内たいないでは、筋肉きんにくが水分すいぶんを蓄たくわえる役割やくわりも果はたしているそうです。

しかし、自粛じしゅく生活せいかつで筋肉きんにく量りょうが減へり、体からだに蓄たくわえられる水分すいぶんも減少げんしょうしているおそれがあるため、脱水だっすい症状しょうじょうにつながりやすいとしています。

脱水だっすい症状しょうじょうになれば汗あせをかきにくくなり、体温たいおん調整ちょうせいがしづらくなる、という仕組しくみです。

そのため、対策たいさくとしては、特とくに大おおきな筋肉きんにくのある下半身かはんしんを鍛きたえることが重要じゅうようだと話はなしています。

一朝いっちょう一夕いっせきにはつかぬ筋肉きんにく ではどう暑あつさ対策たいさくをすれば？

しかし、筋肉きんにくは一朝いっちょう一夕いっせきにはつきません。日常にちじょうでできる対策たいさくをまとめました。

室内しつないの温度おんど・湿度しつどの管理かんりを

まず、部屋へやの温度おんどや湿度しつどの管理かんりが重要じゅうようです。

エアコンなどを使つかって
▽室温しつおんは26度どから27度ど程度ていど
▽湿度しつどは60％から70％程度ていど
にしておくのが、安全あんぜんで快適かいてきな環境かんきょうだということです。

冷房れいぼうが苦手にがてでタイマーで数すう時間じかん後ごに切きれる設定せっていにしている人ひともいると思おもいますが、夜よるでも気温きおんが下さがらなかったり、朝あさから急激きゅうげきに気温きおんが上あがったりすることもあるので、熱帯夜ねったいやはエアコンはつけたままで温度おんどや湿度しつどを管理かんりしたほうがいいということです。

マスクで気きづきにくい水分すいぶん補給ほきゅう より意識いしき的てきに

そして、マスクをしていると、のどの渇かわきに気きづきにくくなるといいます。

服部はっとり教授きょうじゅ
「マスクがあると吐はいた息いきがもう一度もういちど口くちの中なかに戻もどるような感かんじになります。そのため喉のどの渇かわきを感かんじにくいわけです。ぜひ1時間じかんに1回かいはマスクをとって水分すいぶん補給ほきゅうをしてほしい」

よく呼よびかけられているこまめな水分すいぶん補給ほきゅう。具体ぐたい的てきには1、2時間じかんに1回かい、100から200ミリリットルは最低さいてい限げん、飲のんだほうがいいとのことです。

飲み物のみものの種類しゅるいとしては、麦茶むぎちゃがおすすめだそうです。
一方いっぽうで、カフェインやアルコールを含ふくむものは利尿りにょう作用さようがあるため、必かならずしも脱水だっすいを防ふせぐ水分すいぶんの補給ほきゅうにはならないとのことです。

お酒さけを飲のんだら同どう量りょうの水みずを飲のむことが、重要じゅうようだと話はなしていました。

「ウォーキングなどで筋肉きんにくを育そだてて」

さらに、ちゃんと汗あせをかく体からだをつくることも大事だいじだといいます。

人間にんげんの体からだは、体温たいおんが上あがると皮膚ひふの血管けっかんを広ひろげて血ち流量りゅうりょうを増ふやし、体からだの表面ひょうめんから熱ねつを逃にがすほか、汗あせをかくことで汗あせが蒸発じょうはつして熱ねつを奪うばい体温たいおんを下さげようとします。

しかし、こうした能力のうりょく、「暑熱しょねつ順化じゅんか」は、2週間しゅうかんほどかけて徐々じょじょに暑あつさに慣なれることで、高たかまっていくということです。

急きゅうに気温きおんが上あがったこの時期じき、「暑熱しょねつ順化じゅんか」がまだできていないため体からだが追おいつかずに、熱ねつが逃にげにくく、汗あせがうまくかけずに熱中ねっちゅう症しょうになるリスクが高たかくなるといいます。

そこで、汗あせをかきやすい体からだにするために、朝夕あさゆうの比較ひかく的てき涼すずしい時間じかんに、ウォーキングなどをして汗あせをかく、そして筋肉きんにくを育そだてることが重要じゅうようだと話はなしていました。

難むずかしければ、家いえでスクワットをするとか、長ながめにお風呂ふろに入はいって汗あせをかくことも一定いっていの効果こうかがあるそうです。

また、日常にちじょうで汗あせをかくと不快ふかい感かんもありますので、汗あせをかいたら、ぬれたタオルなどで拭ふくのが効果こうか的てきだそうです。
肌はだの表面ひょうめんに水分すいぶんを残のこし、蒸発じょうはつするときに熱ねつを奪うばう効果こうかも期待きたいできるそうです。

「節電せつでんでもエアコン使つかって」

連日れんじつの暑あつさの中なか、各地かくちで呼よびかけられる節電せつでん。

それでも、エアコンを使つかうことをためらわないでほしいとしています。

兵庫ひょうご医科いか大学だいがく 服部はっとり益治ますじ特別とくべつ招聘しょうへい教授きょうじゅ
「節電せつでんは、照明しょうめいなどほかの家電かでんを優先ゆうせんして行いって、この暑あつさは命いのちにかかわることなので、エアコンは適切てきせつに使つかうようにしてほしい」

（大阪おおさか放送ほうそう局きょく 記者きしゃ 小野おの明良あきよし）

ソース：NHK ニュース