日銀の短観は国内の企業1万社近くに3か月ごとに景気の現状などをたずねる調査で景気が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた企業の割合を差し引いた指数で景気を判断します。
このうち、大企業の非製造業では、まん延防止等重点措置が解除されたことで、いわゆる対面のサービス業を中心に景気判断が大きく改善しました。
ゴルフ場やウエディングなどの「対個人サービス」はプラス18ポイントと、前回から32ポイント改善したほか、ホテルや居酒屋などの「宿泊・飲食サービス」はマイナス31ポイントですが、前回から25ポイント改善しました。
一方、大企業・製造業では、「自動車」が部材の調達難に加えて中国・上海市などでの厳しい外出制限の影響による減産で、4ポイント悪化してマイナス19となったほか、「鉄鋼」も自動車の減産の影響を受けて16ポイント悪化し、マイナス6となりました。「食料品」は原材料高による仕入れコストの上昇で6ポイント悪化し、マイナス11となりました。
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日銀短観 非製造業が大きく改善 夏場に向け回復期待も…
2022-07-01 07:17:27

日銀が1日に発表した短観=企業短期経済観測調査で、大企業の製造業の景気判断を示す指数はプラス9ポイントと、前回を5ポイント下回り、2期連続で悪化しました。今回の短観は、原材料価格の高騰などが重荷となった製造業と、新型コロナの影響が和らいできた非製造業で、景気判断が分かれる結果となりました。

水族館 夏場の客足回復に期待も…
旅行やレジャー関連の業界では、この夏、本格的な客足の回復に大きな期待が寄せられていますが、原油高を受けた電気代などの負担が懸念材料になっているところもあります。

神奈川県の新江ノ島水族館では、まん延防止等重点措置が解除されて以降、団体客も増えて、このところの来場者数は感染拡大前の8割程度まで回復しています。
夏のレジャーシーズンに向けてはさらなる回復につなげようと、11年ぶりに人気のイルカショーをリニューアルします。
夏のレジャーシーズンに向けてはさらなる回復につなげようと、11年ぶりに人気のイルカショーをリニューアルします。

飼育員とイルカたちは、今月16日のリニューアル後の初公演に向けて、実際に観客も入れながらジャンプなどの技の練習を繰り返していて、この夏の呼び物のイベントにしたい考えです。
ただ、今気がかりなのは、電気代の値上がりです。
水族館には、地元の相模湾や深海の魚など、およそ600種類が展示されていて、魚の種類に合わせた温度や水質などの管理が欠かせません。24時間体制で水を循環させるポンプやろ過装置などを動かす必要があり多くの電力を使います。
また、新型コロナ対策も緩めるわけにはいかず、館内では展示室ごとに送風機を設置しています。原油高の影響を受けた料金値上げもあり、電気代は1年前と比べて3割近く増えています。
ただ、今気がかりなのは、電気代の値上がりです。
水族館には、地元の相模湾や深海の魚など、およそ600種類が展示されていて、魚の種類に合わせた温度や水質などの管理が欠かせません。24時間体制で水を循環させるポンプやろ過装置などを動かす必要があり多くの電力を使います。
また、新型コロナ対策も緩めるわけにはいかず、館内では展示室ごとに送風機を設置しています。原油高の影響を受けた料金値上げもあり、電気代は1年前と比べて3割近く増えています。

ほかにもイワシなどの餌となるプランクトンや館内で飼育しているカピバラの好物の干し草なども値上がりしていて、負担が増しているということです。
新江ノ島水族館飼育設備チームの川端康祐さんは、「せっかく新型コロナが落ち着きお客さんが増えてきてうれしく思っていたが、今度は電気代が上がってしまった。海の生き物は少しの環境変化にも弱く、設備は止めるわけにいかず対応は難しい」と話しています。
新江ノ島水族館飼育設備チームの川端康祐さんは、「せっかく新型コロナが落ち着きお客さんが増えてきてうれしく思っていたが、今度は電気代が上がってしまった。海の生き物は少しの環境変化にも弱く、設備は止めるわけにいかず対応は難しい」と話しています。
旅行の滞在時間伸ばすため「夜の時間」の新たな楽しみ方 広島
旅行関連の業種の景気判断が上向く中、広島県内ではより多くの客に長く宿泊してもらおうと、「夜の時間」を充実させる取り組みが広がっています。
広島県では宿泊者1人当たりの宿泊日数が全国平均と比べて短くなっていて、滞在時間を伸ばすことが課題となっています。このため広島県内では「夜の時間」の新たな楽しみ方を提案する動きが広がっています。
広島県では宿泊者1人当たりの宿泊日数が全国平均と比べて短くなっていて、滞在時間を伸ばすことが課題となっています。このため広島県内では「夜の時間」の新たな楽しみ方を提案する動きが広がっています。

このうち、広島市中区の「ひろしま美術館」では、閉館後の夜7時ごろから暗がりの中、ランタンを片手に作品を鑑賞する「ナイトミュージアム」が行われています。劇団員が画家にふんして作品や時代背景を説明し、非日常感が楽しめるとして、イベントを始めた去年春以降、申し込みの倍率は10倍を超えています。
福岡から参加した旅行客は「ナイトミュージアムに参加するために、広島に初めて宿泊しました」と話していました。
美術館近くのホテルでは、こうしたイベントに合わせて、ことし5月から、ナイトミュージアムの鑑賞券をセットにしたプランを販売しています。宿泊客が感染拡大前より1割ほど少ない状況が続く中、グレードの高い部屋の宿泊と組み合わせることでお得感を打ち出しています。
リーガロイヤルホテル広島の安武亜希 課長代理は、「夜の体験イベントはそのあとに宿泊につながるお客様が増えてるという期待感が大きい」と話しています。
福岡から参加した旅行客は「ナイトミュージアムに参加するために、広島に初めて宿泊しました」と話していました。
美術館近くのホテルでは、こうしたイベントに合わせて、ことし5月から、ナイトミュージアムの鑑賞券をセットにしたプランを販売しています。宿泊客が感染拡大前より1割ほど少ない状況が続く中、グレードの高い部屋の宿泊と組み合わせることでお得感を打ち出しています。
リーガロイヤルホテル広島の安武亜希 課長代理は、「夜の体験イベントはそのあとに宿泊につながるお客様が増えてるという期待感が大きい」と話しています。
義肢装具メーカー「短期間にコストが急増」
エネルギーや金属などの高騰に加え、急速に進む円安で海外から輸入する原材料のコストが上昇していて、国内のメーカーにとって重荷になっています。

東京 世田谷区にある「小原工業」は、創業76年の老舗の義肢装具メーカーで、職人が義足や義手の部品を手作業で作っています。
部品には主に軽くて丈夫なアルミが使われていますが、アルミの高騰の影響で仕入れ価格がこの半年間で2倍近くに値上がりしたといいます。そのほか、合わせて200種類にのぼる部品や材料を海外から輸入していますが、急速に進む円安の影響で仕入れ価格が2割上昇し、収益が圧迫される形となっています。
義足などの部品の場合、こうしたコストを販売価格に転嫁し値上げするには国の認可を得る必要があり、円安などの状況を見極めたうえで一部の部品で値上げを申請する予定ですが、仮に認められたとしても実際に値上げできるのは来年4月になるということです。そのため、部品や材料の在庫を必要最小限に減らして、コストの削減に努めています。
部品には主に軽くて丈夫なアルミが使われていますが、アルミの高騰の影響で仕入れ価格がこの半年間で2倍近くに値上がりしたといいます。そのほか、合わせて200種類にのぼる部品や材料を海外から輸入していますが、急速に進む円安の影響で仕入れ価格が2割上昇し、収益が圧迫される形となっています。
義足などの部品の場合、こうしたコストを販売価格に転嫁し値上げするには国の認可を得る必要があり、円安などの状況を見極めたうえで一部の部品で値上げを申請する予定ですが、仮に認められたとしても実際に値上げできるのは来年4月になるということです。そのため、部品や材料の在庫を必要最小限に減らして、コストの削減に努めています。

一方、新型コロナの感染拡大や原材料価格の高騰をきっかけに仕入れ先のうち10社ほどが廃業したということで、新たな仕入れ先の確保にも追われているということです。
小原工業の秋山七奈子 社長は「経験したことがない厳しさで、短期間に急激にコストが増えて準備する時間もなく、すぐに値上げもできないので現状を耐えるしかない。ただ、患者や医師などに心配をかけたくないので、会社で工夫しながら安定した製品の供給に努めたい」と話していました。
小原工業の秋山七奈子 社長は「経験したことがない厳しさで、短期間に急激にコストが増えて準備する時間もなく、すぐに値上げもできないので現状を耐えるしかない。ただ、患者や医師などに心配をかけたくないので、会社で工夫しながら安定した製品の供給に努めたい」と話していました。
アルミ加工メーカー 原材料価格高騰に加え急激な円安で…

大阪 西成区にある従業員およそ80人のアルミ加工メーカーでは、新幹線の部品など、アルミ製品の設計や加工を手がけています。
ロシアによるウクライナ侵攻や円安の影響で原材料価格が高騰しこの会社では、アルミ板の仕入れ価格がこの1年で3割以上、上昇し、採算が悪化しているといいます。
さらに、急激な円安の進行にも頭を悩ませています。この会社では納品先の企業に見積もり価格を提示したあと、実際に注文を受けるまでの間に円安の影響でアルミ板の仕入れ価格が大幅に上がったため、当初、示した価格では採算が取れないケースが出ているということです。
ロシアによるウクライナ侵攻や円安の影響で原材料価格が高騰しこの会社では、アルミ板の仕入れ価格がこの1年で3割以上、上昇し、採算が悪化しているといいます。
さらに、急激な円安の進行にも頭を悩ませています。この会社では納品先の企業に見積もり価格を提示したあと、実際に注文を受けるまでの間に円安の影響でアルミ板の仕入れ価格が大幅に上がったため、当初、示した価格では採算が取れないケースが出ているということです。

このため、納品する際の価格を見積もりの段階から引き上げられないか交渉しているということですが、価格への転嫁は難しいということです。
坂口製作所の坂口清信 社長は「材料費が上がるものの、納品価格は上げてもらえない板挟みのような状況になっている。円相場や材料費に関しては安定して先が読みやすい状況になってほしい」と話しています。
坂口製作所の坂口清信 社長は「材料費が上がるものの、納品価格は上げてもらえない板挟みのような状況になっている。円相場や材料費に関しては安定して先が読みやすい状況になってほしい」と話しています。
ソース:NHK ニュース