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東芝 2度延期の決算を発表 監査法人は「意見不表明」
2017-04-11 08:12:38

大手電機メーカーの東芝は、2度にわたって発表を延期していた、去年4月から12月までの決算を、国が認めた期限の11日に発表しました。決算をチェックする監査法人から、いわばお墨付きを得られない「意見不表明」という報告書を受け取っていて、上場企業としては異例の決算発表となります。
東芝は巨額の損失を出す原因となった、アメリカの原子力事業の会計処理が、経営幹部による不適切な圧力でゆがめられたという指摘があり、この調査に時間がかかるとして、去年12月までの9か月間の決算の発表を2度にわたって延期してきました。
11日は国が延期を認めた期限にあたり、東芝は決算をチェックする「PwCあらた監査法人」と会計処理が適正かどうか、ぎりぎりの調整を進めました。
その結果、監査法人は会計処理の調査の評価などが終わっていないとして、今回の決算について、内容の承認を見送り、「意見不表明」という、いわばお墨付きを与えない報告書を出しました。
一方で、東芝側は不適切な圧力による不正な会計処理はなかったと結論づけるとともに、これ以上決算発表を遅らせることはできないとして、発表に踏み切りました。
ただ、監査法人が意見不表明という報告書を出す中での発表は、上場企業としては異例のことです。
東芝の去年12月まで9か月間の決算は、5325億円の最終赤字となりましたが、その後、アメリカの原子力子会社、ウェスチングハウスが経営破綻したため、昨年度1年間の最終赤字は1兆100億円に膨らむ可能性があるとしています。
また、これに伴って、株主資本はマイナス6200億円の債務超過になる可能性があるとしています。これを受けて、東京証券取引所は東芝から詳しい経緯の説明を求めるなどして、東芝の株式を上場を維持するべきかどうか判断していく方針です。
11日は国が延期を認めた期限にあたり、東芝は決算をチェックする「PwCあらた監査法人」と会計処理が適正かどうか、ぎりぎりの調整を進めました。
その結果、監査法人は会計処理の調査の評価などが終わっていないとして、今回の決算について、内容の承認を見送り、「意見不表明」という、いわばお墨付きを与えない報告書を出しました。
一方で、東芝側は不適切な圧力による不正な会計処理はなかったと結論づけるとともに、これ以上決算発表を遅らせることはできないとして、発表に踏み切りました。
ただ、監査法人が意見不表明という報告書を出す中での発表は、上場企業としては異例のことです。
東芝の去年12月まで9か月間の決算は、5325億円の最終赤字となりましたが、その後、アメリカの原子力子会社、ウェスチングハウスが経営破綻したため、昨年度1年間の最終赤字は1兆100億円に膨らむ可能性があるとしています。
また、これに伴って、株主資本はマイナス6200億円の債務超過になる可能性があるとしています。これを受けて、東京証券取引所は東芝から詳しい経緯の説明を求めるなどして、東芝の株式を上場を維持するべきかどうか判断していく方針です。
綱川社長が会見で説明へ
大手企業で「意見不表明」は異例
監査法人は、会社が作った決算書の内容が実際の業績を忠実に表しているかを判断し、意見を表明します。
その対応は4つに分けられます。
決算書の内容が妥当だと認めた場合は「適正意見」。一部に問題はあるものの、全体的に見て重要な点は妥当だと認める「限定付適正意見」。反対に決算全体に重要な影響を与える不備があると判断した場合には「不適正意見」を出します。
一方で、判断に必要な情報が不十分なことを理由に、「意見不表明」とすることも認められています。
このうち、監査法人が「意見不表明」とするケースは、会計の記録が不十分な中小企業などが多く、株式市場では決算の内容を信用できないと受け止められることが一般的です。
金融庁によりますと、「東芝」のように株式市場に上場している大手企業の決算で、監査法人が「意見不表明」とするのは極めて異例だということです。
その対応は4つに分けられます。
決算書の内容が妥当だと認めた場合は「適正意見」。一部に問題はあるものの、全体的に見て重要な点は妥当だと認める「限定付適正意見」。反対に決算全体に重要な影響を与える不備があると判断した場合には「不適正意見」を出します。
一方で、判断に必要な情報が不十分なことを理由に、「意見不表明」とすることも認められています。
このうち、監査法人が「意見不表明」とするケースは、会計の記録が不十分な中小企業などが多く、株式市場では決算の内容を信用できないと受け止められることが一般的です。
金融庁によりますと、「東芝」のように株式市場に上場している大手企業の決算で、監査法人が「意見不表明」とするのは極めて異例だということです。
監査法人の役割とは
監査法人は5人以上の公認会計士で作る組織で、企業が作った決算書をチェックして内容が適正かどうか判断を示す役割を担っています。
株式会社の決算は、投資家がその企業の株式や社債に投資するかどうかを考える大きな判断材料となるだけに、その決算にお墨付きを与える監査法人の役割は極めて重大です。
また、決算のチェックを担当する公認会計士は、不正やミスの見落としによって、株主から訴訟を起こされるなどして監査法人に損失が出た場合、「無限責任」といって、自分の財産を処分してでも債務の支払いに責任を持つという重い責任を課されています。
東芝の決算をチェックする監査法人は、以前は大手の一角を占める「新日本監査法人」が担当していました。しかし、おととし発覚した東芝の不正会計の問題を長年にわたって見落としていたとして、金融庁は、おととし12月、新日本監査法人に対し、新しい契約を結ぶ業務を3か月間停止するとともに、およそ21億円の課徴金の納付などを命じる行政処分を出しました。監査法人に対する課徴金の納付命令は、平成20年に制度が導入されて以来、初めてとなる重い処分でした。
この問題をきっかけに、金融庁は新たに監査法人の行動指針をまとめました。この中では、規模の大きい監査法人は、会計士と企業の関係や監査の内容に問題がないかを内部でチェックする機関を設けることなどが盛り込まれました。
一方、東芝の決算をチェックする監査法人は不正会計の問題を受けて、「新日本監査法人」が契約を辞退したことから、去年4月、同じく大手の一角を占める「PwCあらた」が引き継ぎました。
「PwCあらた」はロンドンが発祥で、150を超える国と地域の会計事務所で作る「PwC=プライスウォーターハウスクーパース」に属する会計事務所の1つで、公認会計士など、およそ2500人が所属しています。
東芝の会計監査をめぐっては、巨額の損失を出す原因となったアメリカの原子力子会社で、先月、経営破綻した「ウェスチングハウス」の会計監査も「PwC」に属するアメリカの会計事務所が担当しています。
株式会社の決算は、投資家がその企業の株式や社債に投資するかどうかを考える大きな判断材料となるだけに、その決算にお墨付きを与える監査法人の役割は極めて重大です。
また、決算のチェックを担当する公認会計士は、不正やミスの見落としによって、株主から訴訟を起こされるなどして監査法人に損失が出た場合、「無限責任」といって、自分の財産を処分してでも債務の支払いに責任を持つという重い責任を課されています。
東芝の決算をチェックする監査法人は、以前は大手の一角を占める「新日本監査法人」が担当していました。しかし、おととし発覚した東芝の不正会計の問題を長年にわたって見落としていたとして、金融庁は、おととし12月、新日本監査法人に対し、新しい契約を結ぶ業務を3か月間停止するとともに、およそ21億円の課徴金の納付などを命じる行政処分を出しました。監査法人に対する課徴金の納付命令は、平成20年に制度が導入されて以来、初めてとなる重い処分でした。
この問題をきっかけに、金融庁は新たに監査法人の行動指針をまとめました。この中では、規模の大きい監査法人は、会計士と企業の関係や監査の内容に問題がないかを内部でチェックする機関を設けることなどが盛り込まれました。
一方、東芝の決算をチェックする監査法人は不正会計の問題を受けて、「新日本監査法人」が契約を辞退したことから、去年4月、同じく大手の一角を占める「PwCあらた」が引き継ぎました。
「PwCあらた」はロンドンが発祥で、150を超える国と地域の会計事務所で作る「PwC=プライスウォーターハウスクーパース」に属する会計事務所の1つで、公認会計士など、およそ2500人が所属しています。
東芝の会計監査をめぐっては、巨額の損失を出す原因となったアメリカの原子力子会社で、先月、経営破綻した「ウェスチングハウス」の会計監査も「PwC」に属するアメリカの会計事務所が担当しています。
ソース:NHK ニュース