諫早はや湾わん干拓かんたく 開門かいもん禁止きんしの判決はんけつ 国くには控訴こうそせず

長崎ながさき県けんの諫早はや湾わんの干拓かんたく事業じぎょうをめぐる裁判さいばんで長崎ながさき地方ちほう裁判所さいばんしょが今月こんげつ、国くにに対にたいし、排水はいすい門もんの開門かいもんを禁止きんしすることを命めいじた判決はんけつについて、山本やまもと農林のうりん水産すいさん大臣だいじんは判決はんけつを受け入うけいれて控訴こうそしないことを明あきらかにしました。
ただ、一連いちれんの裁判さいばんでは７なな年ねん前まえに福岡ふくおか高等こうとう裁判所さいばんしょが漁業ぎょぎょう者しゃの訴うったえを認みとめて開門かいもんを命めいじた判決はんけつが確定かくていしていて、司法しほうの判断はんだんが相反そうはんする状態じょうたいが続つづいています。

諫早はや湾わんの干拓かんたく事業じぎょうをめぐっては長崎ながさき地方ちほう裁判所さいばんしょが今月こんげつ１いち７なな日にち、「開門かいもんすると農地のうちに塩害えんがいなどが発生はっせいする可能かのう性せいが高たかい」などとして、干拓かんたく地ちの農業のうぎょう者しゃの訴うったえに沿そって国くにに開門かいもんの禁止きんしを命めいじる判決はんけつを言い渡いいわたしました。

これについて、山本やまもと農林のうりん水産すいさん大臣だいじんは２に５ご日にちの閣議かくぎのあとの会見かいけんで、国くにとして判決はんけつを受け入うけいれ控訴こうそしないことを明あきらかにしました。

そのうえで、「開門かいもんによらない和解わかいを目指めざすことが問題もんだい解決かいけつの最良さいりょうの方策ほうさくだ」と述のべ、今後こんご、開門かいもんしないという国くにの姿勢しせいを明確めいかくにしながら漁業ぎょぎょう者しゃや農業のうぎょう者しゃと和解わかいを目指めざす考かんがえを示しめしました。

一連いちれんの裁判さいばんでは、７なな年ねん前まえに福岡ふくおか高等こうとう裁判所さいばんしょが漁業ぎょぎょう者しゃの訴うったえを認みとめて今回こんかいの長崎ながさき地方ちほう裁判所さいばんしょの判断はんだんとは逆ぎゃくに国くにに対にたいして開門かいもんを命めいじた判決はんけつがすでに確定かくていしていて、司法しほうの判断はんだんが相反そうはんする状態じょうたいが続つづいています。

今回こんかい、国くには控訴こうそしないことを明あきらかにしましたが、この裁判さいばんでは開門かいもんを求もとめている漁業ぎょぎょう者しゃ側がわがこれまでの補助ほじょ的てきな参加さんか者しゃとしてはではなく訴訟そしょうの当事者とうじしゃとしての地位ちいを認みとめるよう裁判所さいばんしょに申し立もうしたてていて、漁業ぎょぎょう者しゃが控訴こうそする可能かのう性せいもあります。

農業のうぎょう者しゃ側がわ「国くにの決断けつだん高たかく評価ひょうか」

国くにが控訴こうそしないことを明あきらかにしたことを受うけて、裁判さいばんの原告げんこくで農業のうぎょう者しゃ側がわの山下やました俊夫としお弁護べんご団長だんちょうはコメントを出だし、「開門かいもんを命めいじた確定かくてい判決はんけつ以降いこう、開門かいもんを認みとめない司法しほう判断はんだんが定着ていちゃくしていることを踏ふまえたものとして国くにの決断けつだんを高たかく評価ひょうかする。弁護べんご団だんとしては、国くにが和解わかい協議きょうぎで示しめしていた基金ききん案あんをより一層いっそう充実じゅうじつさせ、有明海ありあけかい再生さいせいのために尽力じんりょくし、諫早はや湾わん干拓かんたくをめぐるすべての争あらそいを一いち日にちも早はやく解決かいけつすることを強つよく要望ようぼうする」としています。

和解わかい協議きょうぎで解決かいけつするかが注目ちゅうもく

長崎ながさき県けんの諫早はや湾わんで行おこなわれた国くにの干拓かんたく事業じぎょうをめぐっては、排水はいすい門もんの開門かいもんを禁止きんしする今回こんかいの判決はんけつのほかにも関連かんれんする複数ふくすうの裁判さいばんが続つづいていて今後こんごは、１いち度どは決裂けつれつした和解わかい協議きょうぎが改あらためて行おこなわれて、問題もんだいが解決かいけつするかどうかが注目ちゅうもくされます。

諫早はや湾わん干拓かんたく事業じぎょうをめぐる裁判さいばんでは７なな年ねん前まえに福岡ふくおか高等こうとう裁判所さいばんしょが、漁業ぎょぎょう者しゃの訴うったえを認みとめて開門かいもんを命めいじた判決はんけつが確定かくていした一方いっぽう、４よん年ねん前まえには、長崎ながさき地方ちほう裁判所さいばんしょが、農業のうぎょう者しゃ側がわの訴うったえを認みとめて開門かいもんを禁止きんしする仮かり処分しょぶんの決定けっていを出だし、司法しほうの判断はんだんが相反そうはんする状態じょうたいが続つづいています。

現在げんざい、国くには、開門かいもんしてもしなくても制裁せいさい金きんを科かされていて、支払しはらわれた額がくは、先月せんげつ末まつの時点じてんで７なな億おく９きゅう０ぜろ０ぜろ０ぜろ万まん円えん余あまりに上のぼり、今後こんごも１いち日にち当あたり９きゅう０ぜろ万まん円えんを支払しはらい続つづける異常いじょうな事態じたいになっています。

諫早はや湾わん干拓かんたく事業じぎょうをめぐっては、長崎ながさき地裁ちさいが言い渡いいわたした開門かいもんを禁止きんしする今回こんかいの判決はんけつのほかにも、６ろく件けんの裁判さいばんや仮かり処分しょぶんが続つづけられ、このうち福岡ふくおか高裁こうさいでは、７なな年ねん前まえに確定かくていした開門かいもんを命めいじた判決はんけつの効力こうりょくを取り消とりけすよう求もとめて国くにが起おこした裁判さいばんが行おこなわれています。

漁業ぎょぎょう者しゃ側がわの弁護べんご団だんは、今回こんかいの長崎ながさき地裁ちさいの判決はんけつのあと、「和解わかいによる最終さいしゅう的てきな解決かいけつに向むけてあらゆる努力どりょくをすべきだ」と述のべ、福岡ふくおか高裁こうさいで和解わかい協議きょうぎを行おこなうよう求もとめています。

ただ、今回こんかいの判決はんけつに先立さきだって長崎ながさき地裁ちさいでは、漁業ぎょぎょう者しゃ、農業のうぎょう者しゃ、国くにの３さん者しゃによる和解わかい協議きょうぎが１いち年ねん２にか月かげつにわたって行おこなわれ、国くには、開門かいもんしない代かわりに漁業ぎょぎょう環境かんきょうを改善かいぜんするための１いち０ぜろ０ぜろ億おく円えんの基金ききんを設もうける案あんを示しめしましたが、漁業ぎょぎょう者しゃ側がわが受け入うけいれを拒否きょひしたことから協議きょうぎは先月せんげつ、決裂けつれつしています。

国くにが開門かいもんを禁止きんしする判決はんけつを受け入うけいれ、「開門かいもんしない」という姿勢しせいを明確めいかくにしたなか、今後こんご３さん者しゃの間まで改あらためて和解わかい協議きょうぎが行おこなわれ、問題もんだいが解決かいけつするかどうかが注目ちゅうもくされます。

ソース：NHK ニュース