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8人死亡の雪崩は弱層の崩壊か 低気圧の進路に注意必要
2017-04-27 06:06:37

1か月前、栃木県那須町で、高校生ら8人が死亡した雪崩は、結晶の結合が弱い雪の層が崩れて発生した可能性が高いことが、専門家の分析でわかりました。こうした雪は、山の南側を低気圧が通る場合に降りやすく、過去にも同じような気象条件で雪崩の被害が相次いでいたことがわかり、専門家は、登山の際には、低気圧の進路にも注意するよう呼びかけています。
防災科学技術研究所の中村一樹主任研究員らのグループは、1か月前の3月27日に栃木県那須町で発生した雪崩について、発生する時間帯の前後の気象状況や、現場のすぐ近くで、翌28日に行った調査結果などを詳しく分析しました。
その結果、現場付近では、深さ20センチから30センチのところに雪の結晶の結合が弱い弱層と呼ばれる層が見つかり、研究グループは、上に積もった雪の重みが加わるなどして、弱層が崩れ雪崩が発生した可能性が高いとしています。
研究グループによりますと、「弱層」を作り出す雪は、一つ一つの結晶がほかの結晶と結びつきにくい形をしているため、積もると隙間ができて、いわばスカスカの状態になることから、通常の雪より、もろく崩れやすいということです。
こうした雪は、比較的対流活動が弱く、上空の高いところで水蒸気量が少ない、低気圧の北東側に多く含まれるため、低気圧が山の南側を通る場合に降りやすいということで、今回の雪もこのコースを通った低気圧がもたらしたと見ています。
さらに、研究グループがこの5年に起きた雪崩による死亡事故を分析したところ、少なくとも7件で、今回と同じように山の南側を低気圧が通過し、その雪で作られた弱層が崩れ、発生したと見られることもわかりました。
中村主任研究員は「雪崩の原因の一つに低気圧の進路が大きく影響することがわかってきたので、登山などの際には注意が必要だ。今後は細かいエリアごとに雪崩の危険性を予測する研究を進めたい」と話していました。
その結果、現場付近では、深さ20センチから30センチのところに雪の結晶の結合が弱い弱層と呼ばれる層が見つかり、研究グループは、上に積もった雪の重みが加わるなどして、弱層が崩れ雪崩が発生した可能性が高いとしています。
研究グループによりますと、「弱層」を作り出す雪は、一つ一つの結晶がほかの結晶と結びつきにくい形をしているため、積もると隙間ができて、いわばスカスカの状態になることから、通常の雪より、もろく崩れやすいということです。
こうした雪は、比較的対流活動が弱く、上空の高いところで水蒸気量が少ない、低気圧の北東側に多く含まれるため、低気圧が山の南側を通る場合に降りやすいということで、今回の雪もこのコースを通った低気圧がもたらしたと見ています。
さらに、研究グループがこの5年に起きた雪崩による死亡事故を分析したところ、少なくとも7件で、今回と同じように山の南側を低気圧が通過し、その雪で作られた弱層が崩れ、発生したと見られることもわかりました。
中村主任研究員は「雪崩の原因の一つに低気圧の進路が大きく影響することがわかってきたので、登山などの際には注意が必要だ。今後は細かいエリアごとに雪崩の危険性を予測する研究を進めたい」と話していました。
過去の雪崩でも弱層崩れた可能性
防災科学技術研究所の研究グループは、今回、この5年間に発生した表層雪崩による死亡事故のうち、直後に専門家が現地調査を行い、積もった雪の質や断面などの記録が残されている10件について詳しく分析しました。
その結果、長野県や新潟県、それに北海道で起きた7件についても、今回と同じように山の南側を低気圧が通過し、この低気圧がもたらした雪で作られた弱層が崩れ、雪崩を引き起こした可能性が高いことがわかりました。
このうち、平成25年3月に北海道上富良野町の大雪山系の山で起きた雪崩では、スキーをしていた40代の外国人の男性が巻き込まれて死亡しました。
また、平成27年1月には、17日に新潟県妙高市の粟立山で雪崩が発生し、スノーボードをしていた40代の男性が巻き込まれて死亡したほか、翌18日には長野県山ノ内町のスキー場で、コース外でスキーをしていた外国人の男性2人が雪崩に巻き込まれて死亡しました。
このほか、死亡事故ではないものの、平成27年1月に仙台市青葉区の国道48号線沿いで発生し、乗用車20台以上が立往生する原因となった雪崩についても、研究グループは、南を通った低気圧による雪で作られた弱層が崩れ、発生したと見ています。
その結果、長野県や新潟県、それに北海道で起きた7件についても、今回と同じように山の南側を低気圧が通過し、この低気圧がもたらした雪で作られた弱層が崩れ、雪崩を引き起こした可能性が高いことがわかりました。
このうち、平成25年3月に北海道上富良野町の大雪山系の山で起きた雪崩では、スキーをしていた40代の外国人の男性が巻き込まれて死亡しました。
また、平成27年1月には、17日に新潟県妙高市の粟立山で雪崩が発生し、スノーボードをしていた40代の男性が巻き込まれて死亡したほか、翌18日には長野県山ノ内町のスキー場で、コース外でスキーをしていた外国人の男性2人が雪崩に巻き込まれて死亡しました。
このほか、死亡事故ではないものの、平成27年1月に仙台市青葉区の国道48号線沿いで発生し、乗用車20台以上が立往生する原因となった雪崩についても、研究グループは、南を通った低気圧による雪で作られた弱層が崩れ、発生したと見ています。
ソース:NHK ニュース