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G7サミットきょう開幕 結束示せるか焦点
2017-05-25 19:15:00

安倍総理大臣はG7サミット=主要7か国首脳会議に出席するため、25日深夜、イタリアに到着しました。今回のサミットには、アメリカのトランプ大統領ら4人の首脳が初めて参加することになっていて、地球温暖化対策や難民問題への対応などで、G7の首脳の間でも意見の違いが見られる中で、結束を示すことができるかが焦点です。
25日朝、日本を出発した安倍総理大臣は日本時間の深夜、G7サミット=主要7か国首脳会議が開かれるイタリア南部のシチリア島に到着しました。
安倍総理大臣がG7サミットに出席するのは今回で6回目で、ドイツのメルケル首相の12回に続いて出席回数が多くなっている一方、アメリカのトランプ大統領、イギリスのメイ首相、フランスのマクロン大統領、それに議長を務めるイタリアのジェンティローニ首相の4人が初めての参加となります。
今回のサミットでは、弾道ミサイルの発射を繰り返す北朝鮮のほか、シリアやウクライナ情勢への対応、テロ・暴力的過激主義対策、それに世界経済や貿易、移民・難民問題、地球温暖化対策など、幅広いテーマについて意見が交わされます。
ただ、地球温暖化対策や難民問題への対応などをめぐって、アメリカのトランプ大統領とドイツのメルケル首相など、G7の首脳の間でも意見の違いも見られます。
安倍総理大臣は今回のサミットで、北朝鮮への対応を含めてG7の結束を示したい考えで、サミットの閉幕にあわせて発表される首脳宣言で、どこまで明確なメッセージを発出できるかが焦点です。
安倍総理大臣がG7サミットに出席するのは今回で6回目で、ドイツのメルケル首相の12回に続いて出席回数が多くなっている一方、アメリカのトランプ大統領、イギリスのメイ首相、フランスのマクロン大統領、それに議長を務めるイタリアのジェンティローニ首相の4人が初めての参加となります。
今回のサミットでは、弾道ミサイルの発射を繰り返す北朝鮮のほか、シリアやウクライナ情勢への対応、テロ・暴力的過激主義対策、それに世界経済や貿易、移民・難民問題、地球温暖化対策など、幅広いテーマについて意見が交わされます。
ただ、地球温暖化対策や難民問題への対応などをめぐって、アメリカのトランプ大統領とドイツのメルケル首相など、G7の首脳の間でも意見の違いも見られます。
安倍総理大臣は今回のサミットで、北朝鮮への対応を含めてG7の結束を示したい考えで、サミットの閉幕にあわせて発表される首脳宣言で、どこまで明確なメッセージを発出できるかが焦点です。
自由貿易推進で協調できるか
アメリカのトランプ政権が自国の利益を最優先に保護主義的な主張を続ける中、G7各国が重視してきた「自由貿易」の推進をめぐって、各国が協調できるかがサミットの焦点となっています。
トランプ政権は今の貿易の枠組みは、中国などが一方的に得をして、アメリカの雇用が奪われる不公正なものだとして、貿易の不均衡の是正や自国の利益を追求する姿勢を強めています。
ことし3月、ドイツで開かれたG20=主要20か国の財務相・中央銀行総裁会議では、各国が自由貿易を重視する立場を明確にするため、これまで共同声明に記されてきた「あらゆる保護主義に対抗する」という文言が、アメリカの反対で盛り込まれず、意見の隔たりが浮き彫りになりました。
今月、イタリアで開かれたG7の財務相・中央銀行総裁会議でも、アメリカのムニューシン財務長官が「自由で公正な貿易でないと判断される場合には、ある程度、保護主義的な政策をとる権利がある」と述べて、アメリカの立場を鮮明にしました。
G7では去年の伊勢志摩サミットの首脳宣言で「開かれた市場を維持し、あらゆる形態の保護主義と闘う」と、自由貿易の推進を掲げる文言を盛り込みました。
今回のサミットは、アメリカのトランプ大統領とイギリスのメイ首相、フランスのマクロン大統領らにとっては、初めてのG7となりますが、各国が重視してきた「自由貿易」の推進をめぐって、協調できるかが焦点となっています。
トランプ政権は今の貿易の枠組みは、中国などが一方的に得をして、アメリカの雇用が奪われる不公正なものだとして、貿易の不均衡の是正や自国の利益を追求する姿勢を強めています。
ことし3月、ドイツで開かれたG20=主要20か国の財務相・中央銀行総裁会議では、各国が自由貿易を重視する立場を明確にするため、これまで共同声明に記されてきた「あらゆる保護主義に対抗する」という文言が、アメリカの反対で盛り込まれず、意見の隔たりが浮き彫りになりました。
今月、イタリアで開かれたG7の財務相・中央銀行総裁会議でも、アメリカのムニューシン財務長官が「自由で公正な貿易でないと判断される場合には、ある程度、保護主義的な政策をとる権利がある」と述べて、アメリカの立場を鮮明にしました。
G7では去年の伊勢志摩サミットの首脳宣言で「開かれた市場を維持し、あらゆる形態の保護主義と闘う」と、自由貿易の推進を掲げる文言を盛り込みました。
今回のサミットは、アメリカのトランプ大統領とイギリスのメイ首相、フランスのマクロン大統領らにとっては、初めてのG7となりますが、各国が重視してきた「自由貿易」の推進をめぐって、協調できるかが焦点となっています。
パリ協定めぐる議論に注目
地球温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」をめぐって、どのような議論が行われるか注目されます。
パリ協定は発展途上国を含むすべての国が、それぞれ目標を立てて温室効果ガスの削減に取り組む国際的な枠組みで、去年11月に発効しました。
世界第2位の温室効果ガスの排出国のアメリカも、オバマ前政権の下ではパリ協定の発効の大きな推進力となりました。
しかし、トランプ政権はパリ協定からの脱退に言及し、対策を全面的に見直す方針を掲げており、各国からアメリカの温暖化対策が後退することに懸念が広がっています。
去年5月、日本で開かれた伊勢志摩サミットでは温暖化対策について、G7が指導的な役割を担っていくことに合意しており、トランプ大統領が初めて出席する今回のサミットで、どのような議論が行われるか注目されます。
パリ協定は発展途上国を含むすべての国が、それぞれ目標を立てて温室効果ガスの削減に取り組む国際的な枠組みで、去年11月に発効しました。
世界第2位の温室効果ガスの排出国のアメリカも、オバマ前政権の下ではパリ協定の発効の大きな推進力となりました。
しかし、トランプ政権はパリ協定からの脱退に言及し、対策を全面的に見直す方針を掲げており、各国からアメリカの温暖化対策が後退することに懸念が広がっています。
去年5月、日本で開かれた伊勢志摩サミットでは温暖化対策について、G7が指導的な役割を担っていくことに合意しており、トランプ大統領が初めて出席する今回のサミットで、どのような議論が行われるか注目されます。
格差是正へ協調打ち出せるか
G7サミットでは、格差の是正が主要な議題の1つです。世界経済は長い間、緩やかな成長にとどまっており、各国で格差の拡大に直面しているからです。
アメリカのFRB=連邦準備制度理事会が2014年に行った調査では、豊かな上位3%の世帯に富の54.4%が集中していて、1990年代以降、最も高くなっています。
また、ヨーロッパでは若い世代が仕事を得られず、厳しい暮らしを強いられる世代間の格差も問題になっています。
OECD=経済協力開発機構によりますと、2016年、G7の議長国イタリアでは、15歳から24歳の若者の失業率が37.8%に、フランスでは24.6%に達しました。
日本でも正社員と非正規労働者の所得格差の解消が課題になっています。こうした格差の拡大への不満から、アメリカやヨーロッパで「保護主義」や「内向き」の動きが広がっています。
自国の利益を最優先にする動きがG7内にも強まる中で、各国の首脳が格差の是正に向けてどのような協調を打ち出すのか、サミットの焦点になっています。
アメリカのFRB=連邦準備制度理事会が2014年に行った調査では、豊かな上位3%の世帯に富の54.4%が集中していて、1990年代以降、最も高くなっています。
また、ヨーロッパでは若い世代が仕事を得られず、厳しい暮らしを強いられる世代間の格差も問題になっています。
OECD=経済協力開発機構によりますと、2016年、G7の議長国イタリアでは、15歳から24歳の若者の失業率が37.8%に、フランスでは24.6%に達しました。
日本でも正社員と非正規労働者の所得格差の解消が課題になっています。こうした格差の拡大への不満から、アメリカやヨーロッパで「保護主義」や「内向き」の動きが広がっています。
自国の利益を最優先にする動きがG7内にも強まる中で、各国の首脳が格差の是正に向けてどのような協調を打ち出すのか、サミットの焦点になっています。
米研究所 米政権とほかの国との関係が焦点
G7サミットについて、アメリカのシンクタンク、ブルッキングス研究所のトーマス・ライト研究員は、NHKのインタビューに対し「焦点はトランプ政権のアメリカとG7のほかの国々との関係だ」と指摘しました。
そして、安全保障政策をめぐっては「北朝鮮問題が優先順位の高い議題となるだろう。トランプ大統領は北朝鮮がアメリカにとって直接の脅威になっていると見ており、圧力をかけるため、ほかの国々に協力を求めると思う。より厳しい措置への支持は得られるだろう」と述べました。
一方で、通商政策をめぐっては「トランプ大統領は、これまでのあらゆる貿易協定を悪いものだと思っており、保護主義的な措置をとるとか、制裁関税を課すなどと、ほかの国々を脅してきた。サミットの参加国は懸念を表明し、世界の経済成長のため、ウィンウィンの関係が必要だと強調するだろう」と述べ、トランプ大統領がG7サミットで孤立する可能性もあると指摘しました。
また、トランプ大統領がロシアに機密情報を漏らしたと報じられるなど、疑惑が相次いで浮上していることについて、「ホワイトハウスは危機にあり、負のスパイラルに陥っているというのが一般的な見方だ。サミットの参加国は機密性の高い情報をアメリカと共有するのをためらうだろう」と述べました。
そして、安全保障政策をめぐっては「北朝鮮問題が優先順位の高い議題となるだろう。トランプ大統領は北朝鮮がアメリカにとって直接の脅威になっていると見ており、圧力をかけるため、ほかの国々に協力を求めると思う。より厳しい措置への支持は得られるだろう」と述べました。
一方で、通商政策をめぐっては「トランプ大統領は、これまでのあらゆる貿易協定を悪いものだと思っており、保護主義的な措置をとるとか、制裁関税を課すなどと、ほかの国々を脅してきた。サミットの参加国は懸念を表明し、世界の経済成長のため、ウィンウィンの関係が必要だと強調するだろう」と述べ、トランプ大統領がG7サミットで孤立する可能性もあると指摘しました。
また、トランプ大統領がロシアに機密情報を漏らしたと報じられるなど、疑惑が相次いで浮上していることについて、「ホワイトハウスは危機にあり、負のスパイラルに陥っているというのが一般的な見方だ。サミットの参加国は機密性の高い情報をアメリカと共有するのをためらうだろう」と述べました。
英 自由貿易協定の重要性訴える方針
去年7月に就任し、今回初めてG7サミットに臨むイギリスのメイ首相は、EU=ヨーロッパ連合から離脱したあと、各国との間で自由貿易協定の締結を目指すとしていて、今回のG7でもその重要性を訴える方針です。
アメリカのトランプ大統領はイギリスのEUからの離脱に理解を示していて、米英の間で自由貿易協定を締結することに前向きな姿勢を示しています。
これに対してドイツのメルケル首相や今月就任したフランスのマクロン大統領は、EUとの関係を重視し、離脱を進めるイギリスに厳しい姿勢を示していることから、メイ首相としてはイギリスの立場を改めて説明し、理解を取り付けたい考えです。
さらにサミット開幕の4日前にイギリス中部のマンチェスターで起きたテロ事件を受け、メイ首相はG7の場で国際的なテロ対策についての議論を主導し、治安や軍事面での対策に加え、インターネットなどを通じて過激な思想が広がるのをいかに防ぐかなどについて意見を交わしたい考えです。
ただ、メイ首相はテロ事件への対応のため、サミットの初日の日程終了後に帰国する見通しで、どこまで議論を主導していけるのかは不透明です。
アメリカのトランプ大統領はイギリスのEUからの離脱に理解を示していて、米英の間で自由貿易協定を締結することに前向きな姿勢を示しています。
これに対してドイツのメルケル首相や今月就任したフランスのマクロン大統領は、EUとの関係を重視し、離脱を進めるイギリスに厳しい姿勢を示していることから、メイ首相としてはイギリスの立場を改めて説明し、理解を取り付けたい考えです。
さらにサミット開幕の4日前にイギリス中部のマンチェスターで起きたテロ事件を受け、メイ首相はG7の場で国際的なテロ対策についての議論を主導し、治安や軍事面での対策に加え、インターネットなどを通じて過激な思想が広がるのをいかに防ぐかなどについて意見を交わしたい考えです。
ただ、メイ首相はテロ事件への対応のため、サミットの初日の日程終了後に帰国する見通しで、どこまで議論を主導していけるのかは不透明です。
独 貿易や地球温暖化対策で国際協力訴え
ドイツのメルケル首相は在任期間が11年余りと、G7サミットに出席する首脳の中で最も長く、サミットへの参加は12回目となります。今回の首脳会議でメルケル首相は、貿易や地球温暖化対策での国際協力の重要性を訴えたい考えです。
アメリカのトランプ大統領はドイツとの貿易収支が赤字になっていることに強い不満を示していて、3月のメルケル首相との会談では「孤立主義に反対し、自由貿易を支持するが、公正さも重要だ」と述べていました。
これに対してメルケル首相は、EU=ヨーロッパ連合とアメリカの自由貿易協定の交渉再開を望んでおり、G7の場で自由貿易の重要性を改めて訴えるものと見られます。
また、地球温暖化対策では、世界第2位の温室効果ガス排出国であるアメリカのトランプ大統領に対し、国際的な枠組み「パリ協定」にとどまるよう求めるものと見られます。
このほか、中東やアフリカなどからヨーロッパを目指す難民や移民が後を絶たない中、メルケル首相は1国だけでなく、国際的に難民支援の負担を分担する必要があるとの立場で、トランプ大統領との温度差が表面化する場面も予想されます。
アメリカのトランプ大統領はドイツとの貿易収支が赤字になっていることに強い不満を示していて、3月のメルケル首相との会談では「孤立主義に反対し、自由貿易を支持するが、公正さも重要だ」と述べていました。
これに対してメルケル首相は、EU=ヨーロッパ連合とアメリカの自由貿易協定の交渉再開を望んでおり、G7の場で自由貿易の重要性を改めて訴えるものと見られます。
また、地球温暖化対策では、世界第2位の温室効果ガス排出国であるアメリカのトランプ大統領に対し、国際的な枠組み「パリ協定」にとどまるよう求めるものと見られます。
このほか、中東やアフリカなどからヨーロッパを目指す難民や移民が後を絶たない中、メルケル首相は1国だけでなく、国際的に難民支援の負担を分担する必要があるとの立場で、トランプ大統領との温度差が表面化する場面も予想されます。
仏 自由主義経済推進 米と一線画す
フランスのマクロン大統領は、EU=ヨーロッパ連合との関係を重視し、自由主義経済を推進する立場で、自国第一主義を掲げて保護主義的な姿勢を強めるアメリカのトランプ大統領とは一線を画しています。
マクロン大統領は、今月半ばの就任直後にドイツを訪問して、メルケル首相と会談したのに続いて、21日にはG7議長国のイタリアのジェンティローニ首相とも会談し、イギリスの離脱で揺れるEUの結束を強化していくことで一致しました。
G7の主要議題の中で、フランスは気候変動や内戦が続くシリア情勢、難民・移民の問題に強い関心を寄せています。特にフランスはおととし、地球温暖化対策の国連の会議、COP21で議長国を務め、地球温暖化対策を進める国際的な枠組み「パリ協定」を採択に導いた自負があるだけに、「パリ協定」に懐疑的なトランプ大統領とは対極の立場にあります。
また、マクロン大統領は中東やアフリカなどからの難民については、EUの方針に従って受け入れるとともに、合法的な手続きを経た移民についても受け入れを続けるとしていて、テロ対策を理由に移民や難民の受け入れを規制する政策を打ち出すトランプ大統領と対照的な立場をとっています。
マクロン大統領はベルギーで開かれたNATO=北大西洋条約機構の首脳会議でトランプ大統領と初めて会談し、G7の場でこうしたさまざまなテーマについてどこまで折り合うことができるのか注目されます。
マクロン大統領は、今月半ばの就任直後にドイツを訪問して、メルケル首相と会談したのに続いて、21日にはG7議長国のイタリアのジェンティローニ首相とも会談し、イギリスの離脱で揺れるEUの結束を強化していくことで一致しました。
G7の主要議題の中で、フランスは気候変動や内戦が続くシリア情勢、難民・移民の問題に強い関心を寄せています。特にフランスはおととし、地球温暖化対策の国連の会議、COP21で議長国を務め、地球温暖化対策を進める国際的な枠組み「パリ協定」を採択に導いた自負があるだけに、「パリ協定」に懐疑的なトランプ大統領とは対極の立場にあります。
また、マクロン大統領は中東やアフリカなどからの難民については、EUの方針に従って受け入れるとともに、合法的な手続きを経た移民についても受け入れを続けるとしていて、テロ対策を理由に移民や難民の受け入れを規制する政策を打ち出すトランプ大統領と対照的な立場をとっています。
マクロン大統領はベルギーで開かれたNATO=北大西洋条約機構の首脳会議でトランプ大統領と初めて会談し、G7の場でこうしたさまざまなテーマについてどこまで折り合うことができるのか注目されます。
ソース:NHK ニュース